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エピローグ
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キャスリンはスティーブとふたり、キャスリンの母国であるナクビル国へと向かっている。
銅像のお披露目の時に起こった奇跡は、各地に建っている天使の像の周りでも起こっていた。
王宮の庭園で奇跡が起こったちょうどそのとき、アシュイラ皇国にあるすべての天使の像が急に光り輝いたかと思うと、アシュイラの花が降り注いできたらしい。人々はあまりの奇跡に涙を流すものや拍手をするもの、歓喜の叫びをあげるものなどしばらくお祭り騒ぎのようになったようだ。
それから皆が一斉に王宮に向かった。なぜなら天使の生まれ変わりと言われているキャスリンが王宮にいるという噂が、アシュイラ皇国全土に瞬く間に広がったからである。
「キャスリン嬢、申し訳ないがわが皇国の民がこの王宮に押し寄せている。一目そなたを見たいと願っておるのだ」
王宮の周りを取り囲むように人々が押し寄せてきたので、王はキャスリンにバルコニーに顔を出すようにお願いをしてきた。もちろん第二王子であるスティーブも出ることになった。キャスリンもそのことに少しだけほっとした。
結局王族皆がバルコニーに出ることになったが、最後にスティーブに伴われたキャスリンがバルコニーに出ると、割れんばかりの拍手と歓声が上がった。それにこたえてスティーブとキャスリンが手を振った時だ。
雨も降っていないのに、空には大きなくっきりとした虹が現れた。
「「「「「虹だ!」」」」」
虹に気が付いた者たちから次々に声が上がった。集まっている人々が、その声で一斉に空を見上げた。その虹を見た者たちは皆穏やかで幸せな気分になったのだった。
そんな様子を見ていたアシュイラ皇国の貴族たちがこぞって王に働きかけた。スティーブ第二王子の伴侶にぜひキャスリン様をと。王も王妃も乗り気だった。
「キャスリン嬢、突然の事で驚かれると思うが、わが息子スティーブには婚約者がいない。ぜひこのスティーブの婚約者となってはくれないだろうか」
王がこう発言した。これには当のスティーブもキャスリンも驚いた。スティーブはもちろん大賛成だが、すぐには、ことは動かないだろうと思っていた。キャスリンはもちろんスティーブと一緒にいたいので、すぐに了承の返事をした。それを聞いた王は、すぐさまその日のうちに使者をナクビル国に送った。
ナクビル国もいきなり使者が来てびっくりしたが、キャスリンとスティーブの様子を実際にこの目で見ていたので、誰も反対する者はいなかった。若干一名を除いて。
結局キャスリンは一度ナクビル国に戻ることとなった。もちろんスティーブがナクビル国に直接自分で説明するためでもある。
キャスリンとスティーブは馬車に揺られていた。
「キャス、ここがどこかわかるかい?」
スティーブがキャスリンに見せたいところがあるというので、少しだけ回り道をすることとなった。不意にスティーブが馬車の窓の外を指さした。窓の外の景色は別に普通の景色だ。ごく普通の田舎の景色にしか見えない。
「ここはまだアシュイラ皇国よね」
「うん、だけど昔はペジタ国があったところだよ」
スティーブの言葉にキャスリンはもう一度窓の外を眺めた。今はごく普通の田園風景にしか見えない。
「ここが昔ペジタ国の王都があったあたりだと思う。ペジタ国だったこの土地は、アシュイラ皇国のどの土地より痩せていて、作ることができる作物も少ないし採れても収穫量も少ない。
もしかしたらこれが、毒物を作ってしまった一つの原因だったのかもしれないね。ここは今はアシュイラ皇国の王領だけれど、僕はここを自分の領地にしたいと思ってるんだ。父王からは、ほかの場所をと言われてるんだけど。キャスリン、ここを二人で王都にも負けないぐらいいい領地にしてみないか?やりがいがあるだろう?」
「そうね!いいわね!やりがいがありそう」
スティーブはキャスリンの手を握り締めていった。
「これから幸せになろう!」
スティーブの熱いまなざしに、力強くうなづいたキャスリンだった。
のちにアシュイラ皇国の第二王子スティーブと結婚したナクビル国の公爵令嬢キャスリンは、肥沃な大地が多いアシュイラ皇国の中でも特に貧しい土地を治めることとなった。
二人の仲はむつまじく一男一女をもうけたが、その仲の良さはのちにまで語り継がれるほどだったという。
二人は土地の改良、教育・医療改革そして政治改革をも推し進め、彼らから何代目かの子孫は、とうとうアシュイラ皇国の王都をもしのぐほどの大都市を作り上げた。そして二人が推し進めた政治改革をついに成し遂げることとなった。いわゆる民主主義国家を成し遂げたのである。
後の歴史書には民主主義の基礎を作り上げたのは、第二皇子であったスティーブと天使の再来といわれたキャスリンだとされている。
銅像のお披露目の時に起こった奇跡は、各地に建っている天使の像の周りでも起こっていた。
王宮の庭園で奇跡が起こったちょうどそのとき、アシュイラ皇国にあるすべての天使の像が急に光り輝いたかと思うと、アシュイラの花が降り注いできたらしい。人々はあまりの奇跡に涙を流すものや拍手をするもの、歓喜の叫びをあげるものなどしばらくお祭り騒ぎのようになったようだ。
それから皆が一斉に王宮に向かった。なぜなら天使の生まれ変わりと言われているキャスリンが王宮にいるという噂が、アシュイラ皇国全土に瞬く間に広がったからである。
「キャスリン嬢、申し訳ないがわが皇国の民がこの王宮に押し寄せている。一目そなたを見たいと願っておるのだ」
王宮の周りを取り囲むように人々が押し寄せてきたので、王はキャスリンにバルコニーに顔を出すようにお願いをしてきた。もちろん第二王子であるスティーブも出ることになった。キャスリンもそのことに少しだけほっとした。
結局王族皆がバルコニーに出ることになったが、最後にスティーブに伴われたキャスリンがバルコニーに出ると、割れんばかりの拍手と歓声が上がった。それにこたえてスティーブとキャスリンが手を振った時だ。
雨も降っていないのに、空には大きなくっきりとした虹が現れた。
「「「「「虹だ!」」」」」
虹に気が付いた者たちから次々に声が上がった。集まっている人々が、その声で一斉に空を見上げた。その虹を見た者たちは皆穏やかで幸せな気分になったのだった。
そんな様子を見ていたアシュイラ皇国の貴族たちがこぞって王に働きかけた。スティーブ第二王子の伴侶にぜひキャスリン様をと。王も王妃も乗り気だった。
「キャスリン嬢、突然の事で驚かれると思うが、わが息子スティーブには婚約者がいない。ぜひこのスティーブの婚約者となってはくれないだろうか」
王がこう発言した。これには当のスティーブもキャスリンも驚いた。スティーブはもちろん大賛成だが、すぐには、ことは動かないだろうと思っていた。キャスリンはもちろんスティーブと一緒にいたいので、すぐに了承の返事をした。それを聞いた王は、すぐさまその日のうちに使者をナクビル国に送った。
ナクビル国もいきなり使者が来てびっくりしたが、キャスリンとスティーブの様子を実際にこの目で見ていたので、誰も反対する者はいなかった。若干一名を除いて。
結局キャスリンは一度ナクビル国に戻ることとなった。もちろんスティーブがナクビル国に直接自分で説明するためでもある。
キャスリンとスティーブは馬車に揺られていた。
「キャス、ここがどこかわかるかい?」
スティーブがキャスリンに見せたいところがあるというので、少しだけ回り道をすることとなった。不意にスティーブが馬車の窓の外を指さした。窓の外の景色は別に普通の景色だ。ごく普通の田舎の景色にしか見えない。
「ここはまだアシュイラ皇国よね」
「うん、だけど昔はペジタ国があったところだよ」
スティーブの言葉にキャスリンはもう一度窓の外を眺めた。今はごく普通の田園風景にしか見えない。
「ここが昔ペジタ国の王都があったあたりだと思う。ペジタ国だったこの土地は、アシュイラ皇国のどの土地より痩せていて、作ることができる作物も少ないし採れても収穫量も少ない。
もしかしたらこれが、毒物を作ってしまった一つの原因だったのかもしれないね。ここは今はアシュイラ皇国の王領だけれど、僕はここを自分の領地にしたいと思ってるんだ。父王からは、ほかの場所をと言われてるんだけど。キャスリン、ここを二人で王都にも負けないぐらいいい領地にしてみないか?やりがいがあるだろう?」
「そうね!いいわね!やりがいがありそう」
スティーブはキャスリンの手を握り締めていった。
「これから幸せになろう!」
スティーブの熱いまなざしに、力強くうなづいたキャスリンだった。
のちにアシュイラ皇国の第二王子スティーブと結婚したナクビル国の公爵令嬢キャスリンは、肥沃な大地が多いアシュイラ皇国の中でも特に貧しい土地を治めることとなった。
二人の仲はむつまじく一男一女をもうけたが、その仲の良さはのちにまで語り継がれるほどだったという。
二人は土地の改良、教育・医療改革そして政治改革をも推し進め、彼らから何代目かの子孫は、とうとうアシュイラ皇国の王都をもしのぐほどの大都市を作り上げた。そして二人が推し進めた政治改革をついに成し遂げることとなった。いわゆる民主主義国家を成し遂げたのである。
後の歴史書には民主主義の基礎を作り上げたのは、第二皇子であったスティーブと天使の再来といわれたキャスリンだとされている。
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