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三人で相談

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 「お父様、どうやら流行り病はシムが作り出した薬の様です。やはり魔法で作り出したようです。それもイソベラやほかの家族を人質にして。それなのに作ったら家族ともども薬の効果を見るために殺されてしまうんです。あとその流行り病を広めたのは、クミールです。ストラ男爵の妻の実家の商会を使って、うまくダイモック公爵家寄りの貴族たちの屋敷に手のものを入り込ませたみたいです。公爵家うちにしたようにうまく忍ばせたんです」

 「そうなのか。許せない奴らだ」

 「お嬢様、でもどうしてシムが使われたんでしょう?」

 「今シムは薬を作って男爵領で安い価格で売っているでしょう。それがよく効くと評判になっていくの。そのことがストラ男爵の耳にも入ったみたい。
 シムにしたら、いっぱい薬を作って一生懸命稼いで、早くイソベラを引き取って家族を連れて男爵領から逃げたかったのね。それが裏目に出てしまったみたいだけど。ストラ男爵はそんな家族思いのシムの思いを利用して作らせたのよ。ストラ男爵の未来を見たら、イソベラも家族を盾に脅していたわ。第二王子やその周りの者たちを篭絡させて、私を排除したかったのね」

 「キャスリン、どうしたらいいと思う?」

 「お父様、まずはシムたち家族とイソベラをストラ男爵領から逃がしたほうがいいと思います。じゃないと薬ができてしまいます。
 あとジョージ王子が落馬して死んでしまうといいましたよね。それはバスクがしたんです。
 バスクがバスクの妻の薬代をほしがっているのを知ったクミールが、賭博場に連れて行ってもっと借金まみれにするんです。バスクを言いなりにさせるために。そしてダイモック公爵家で働いていたというお墨付きで、バスクを王宮で働かせます。そして王子の馬に細工をさせるんです。
 もう一つ、バスクはマーク達の死にもかかわっています。マークがバーバラと馬車で出かけるのを知ったクミールが、その馬車にバスクを使って細工させるんです。マークが目を光らせているのが邪魔だったんでしょうね。
 それで思いついたんですが、バスクも妻の病気が治れば、賭博場にもいかないし、クミールの言うことも聞かないですよね。たぶんシムならバスクの妻の病気を治せると思うんです。
 あとはクミールですね。このままだとダイモック公爵家寄りの貴族の家々も、公爵家うちのようにストラ男爵ひいてはハビセル侯爵の手のものにいいようにされてしまいます。とにかく防がないと。
 あと公爵家うちに商品を卸しに来ていた男もグルですので、それも考えないといけませんね」

 「なるほど。でもどうやってシムたち家族を連れてくる?」

 「私がマークと一緒にいって魔法で連れてきます。どこかにいい隠れ家的なところありませんか?まずはそこに行ってもらって、とりあえず生活していてもらいます。ストラ男爵とハビセル侯爵さえいなくなったら、あとは好きなところに行けますよね。マークと同郷の方ですし、援助もしてあげてほしいんです。お父様頑張ってください!」

 「お嬢様!」

 キャスリンの話にマークが嬉しそうに声を上げた。やはり気になっていたのだろう。
 
 こうしてまずスコットとマークでシムが当面住む隠れ家を手配することにした。それができたらキャスリンとマークがシムの元へ行くことになったのだった。

 スコット公爵は、自分の力を目いっぱい使って、マークとシムたちが住む隠れ家を手配した。
 しばらくの間ダイモック公爵領の一つの村に住まわせるつもりのようだ。しかも別の身分を用意して。しばらく薬師の仕事はできなくなるが、シムは知識も豊富なので、子供たちに勉強を教える仕事をしてもらう事にしたようだった。もちろんイソベラと息子のアルも一緒に勉強できる。
 ついでにバスク家族もそちらに住んでもらう事にしたようだった。シムの近くなら、隠れてシムがバスクの妻の薬を作ってあげることができる。バスクの息子も学校に通える。バスクには、村にある自警団の馬の世話をしてもらうつもりらしい。
 
 「キャスリン、このことをクミールやタクシルからストラ男爵たちに情報を漏らされては困るんだが。どうする?」

 「そうですね~。まずタクシルが結婚を反対されているのは、クミールのせいなんです。あらかじめ調べておいたんでしょう。
 ほかの者を使ってタクシルの好きな人の家に、タクシルのあることないこと悪いことを吹き込んでいます。ですからここは、スコット公爵お父様自身がタクシルに協力してあげたらいかがです?タクシルとその女性は好きあっているようですし、スコット公爵自ら言ったとなれば、その女性のおうちもむげにはできないでしょう。タクシルの実家はそんなに裕福ではありませんが、まじめにコツコツと働いているものばかりの様です。お父様が縁結びして差し上げれば、タクシルの件は解決ですよ!」

 キャスリンがいいアイデアだとばかりにスコットに言えば、スコットはまんざらでも無さげな顔をしていた。マークがちらっとキャスリンのほうを見たので、キャスリンはマークにどや顔をした。そのせいでマークはしかめっ面をして笑いをこらえなくてはならなかったのだった。

 「クミールはどうします?」

 マークがまじめな顔を作って聞いてきた。

 「それは、お仕置きですわ。クミールは賭け事がお好きなようですから~。いろいろ考えましたのよ」

 とても12歳の顔とは思えないキャスリンの黒すぎるほほえみにマークは少しだけあとずさったのだった。

 
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