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本の中身はこうでした
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キャスリンは目を開けた。もう何度経験しただろうか気が付いたらまたベッドの上にいた。
もう何度目だろう、気を失ったのは。起き上がり、ついこの前までは気を失ったことなど一度もなかったのにとひとり苦笑いを浮かべていると、ドアのノックの音がしてバーバラは入ってきた。
「お嬢様、お体の具合はいかがですか」
「なんともないわ。ありがとう」
このやり取りも何度目だろうと思いながらバーバラを見ると、バーバラもそう思ったのか、キャスリンを見て笑った。
「お嬢様、大変でしたね」
「そうね。ねえバーバラお茶が飲みたいわ。もってくてくれる?」
「はい」
そういってバーバラは部屋を出ていき、部屋にはキャスリン一人になった。
改めて腕にはまっている腕輪を見る。きれいな装飾が施された小さな腕輪だった。真ん中に黄色い石がはめ込まれている。まるでアシュイラの花の色の様だった。先ほどの出来事が夢ではなかったことを物語っていた。
時計を見るとマークの家に行ってから1時間ぐらいしかたっていない。キャスリンは本を手に取ってからの事を思い返した。
キャスリンは真っ白な中にいた。次第に景色が浮かび上がってきた。
「ここはどこなの?」
キャスリンではない声がした。どうやら森の中にいるようで、木々の緑と土の深い匂いがした。声の様子から女性らしいとキャスリンは思った。その声の主はいろいろつぶやきながら歩いていく。
「誰かいませんか?」
時々誰か助けを呼んでいるのか声が聞こえた。しかしうっそうと木々が茂った森の中は、彼女の歩く足音と木々の葉が風にそよぐ音しか聞こえない。
「もう、嫌になっちゃうわ。靴も泥だらけ」
そういってその女性は大きな木にもたれかかって座った。キャスリンはその泥だらけの靴を見て驚いた。何やら変な履物を穿いている。紐が靴に巻かれていて、靴は布なのか小さな穴がぽつぽつ開いている。見たこともない不思議なものだった。もっとへんなのはその靴をキャスリンが履いているのである。もっというと女性が履いている靴をキャスリンも見ている。
「あ~あ、洋服も汚れちゃった。それにしてもここどこよ。アマゾンか何か?私東京にいたのに」
女性は意味不明なことをぶつぶつ言っていた。まるでキャスリンが言っているようにすぐ近くで聞こえる。キャスリンはその女性に話しかけようとした。しかし声が出せない。手も足も動かせない。自分の体を見ようとしたが見ることができない。
女性は変わった洋服の中から四角い小さなものを取り出した。
「ここ圏外?いやだぁ、どこにいるのかわからないじゃない」
女性は途方に暮れたようだ。その悲しくて苦しい気持ちがキャスリンに伝わってきた。
キャスリンはその女性に話しかけようと頑張ったが、どうもキャスリンの意思は通じないようだった。
それからその女性とキャスリンは一緒に過ごした、というよりその女性の頭の中にキャスリンの意思だけがあるということがわかってきた。
どうやらその女性は別の場所から来たらしく、森を抜けやっと町に着いた時には町の様子を見てへたり込んだ。
「ここどこよ~」
ただ女性は森の中で不思議なことをしていた。どうやら女性が願うとほしいものが出てくるらしく、木を触ると不思議なものがぶら下がって女性は喜んでそれを食べたり飲んだりしていた。
「私ってチート?」
そしてそのたびに謎の言葉をつぶやいていた。それからキャスリンは何度もこの言葉を聞くことになるが、この時の女性のあまりの喜びに、訳が分からないキャスリンまでうれしくなった。
女性は汚れた洋服と靴を変えるため、村の人たちに何やら不思議なものと交換していた。木からぶら下がった変なものを同じく木からぶら下がっていた変な入れ物に入れて、背中に背負い旅をした。
途中危ない目にも何度もあったが、女性の持つ不思議な力で解決していった。
それでも女性はたまにすごく悲しくなることがあるらしく、キャスリンにまでその気持ちが流れ込んできた。そんな時にはキャスリンは聞こえていないと思いながらも、自分が小さい時に母親から聞かせてもらった子守唄を歌った。すると女性は何だか少し元気が出るようだった。
次第にキャスリンは、女性が住んでいた世界を見ることができるようになった。
女性が眠っているとき夢で見ているのだろうか、女性が住んでいた世界を知った。この世界とはあまりに違い、初めてその世界の様子を見た時には、女性と一緒にいていろいろびっくりしていたキャスリンも、これ以上ないほど驚くこととなった。
四角い黒いものから景色や人が映ったり声がした。夜には部屋がものすごく明るくなったり、外には大きな不思議な建物がいっぱい立っていた。さらには馬車ではない不思議な乗り物が動いており、空にも不思議な乗り物が鳥のように飛んでいた。
お店と呼ばれるところには、色とりどりの不思議な洋服や食べ物やらありとあらゆるものが売っていた。
その女性が住んでいた世界は、平和で皆が楽しく暮らしているようにキャスリンには思えた。しかし女性が家族であろう人達や学校で戦争の話をしたりするのを聞いた。不思議な四角い黒いものからも戦争の話が出てきた。しかしその戦争は、この世界の争いというものとは程遠いもっと怖くて危ないものだった。
女性はあるときこの世界で一人の男性と会った。その男性と一緒にいるようになったころから、楽しいうれしいという感情がキャスリンにも流れてきた。
2人は、いつも一緒に行動するようになって、いつの間にかその女性は家族を持っていた。
女性は自分の持っている不思議な力で、次々にいろいろなものを作っていった。そして周りの人たちに分け与えていった。そうして二人は仲良く年を取っていった。
ついに男性が先に死んでしまい、しばらく女性は嘆き悲しんでいたが家族に見守られて亡くなった。
そこでキャスリンは目が覚めたのだった。
そして一つの事実を知った。
これってアシュイラ皇国建国の王と王妃の事だったの?キャスリンは今では神話のように伝説となったアスイラ皇国の裏話を知ってがっくりきたのだった。
アシュイラって名前、彼女が口の中にものをいっぱい入れて話したときに、聞いた人がうっかり聞き間違えてつけられた名前だったの?
もう何度目だろう、気を失ったのは。起き上がり、ついこの前までは気を失ったことなど一度もなかったのにとひとり苦笑いを浮かべていると、ドアのノックの音がしてバーバラは入ってきた。
「お嬢様、お体の具合はいかがですか」
「なんともないわ。ありがとう」
このやり取りも何度目だろうと思いながらバーバラを見ると、バーバラもそう思ったのか、キャスリンを見て笑った。
「お嬢様、大変でしたね」
「そうね。ねえバーバラお茶が飲みたいわ。もってくてくれる?」
「はい」
そういってバーバラは部屋を出ていき、部屋にはキャスリン一人になった。
改めて腕にはまっている腕輪を見る。きれいな装飾が施された小さな腕輪だった。真ん中に黄色い石がはめ込まれている。まるでアシュイラの花の色の様だった。先ほどの出来事が夢ではなかったことを物語っていた。
時計を見るとマークの家に行ってから1時間ぐらいしかたっていない。キャスリンは本を手に取ってからの事を思い返した。
キャスリンは真っ白な中にいた。次第に景色が浮かび上がってきた。
「ここはどこなの?」
キャスリンではない声がした。どうやら森の中にいるようで、木々の緑と土の深い匂いがした。声の様子から女性らしいとキャスリンは思った。その声の主はいろいろつぶやきながら歩いていく。
「誰かいませんか?」
時々誰か助けを呼んでいるのか声が聞こえた。しかしうっそうと木々が茂った森の中は、彼女の歩く足音と木々の葉が風にそよぐ音しか聞こえない。
「もう、嫌になっちゃうわ。靴も泥だらけ」
そういってその女性は大きな木にもたれかかって座った。キャスリンはその泥だらけの靴を見て驚いた。何やら変な履物を穿いている。紐が靴に巻かれていて、靴は布なのか小さな穴がぽつぽつ開いている。見たこともない不思議なものだった。もっとへんなのはその靴をキャスリンが履いているのである。もっというと女性が履いている靴をキャスリンも見ている。
「あ~あ、洋服も汚れちゃった。それにしてもここどこよ。アマゾンか何か?私東京にいたのに」
女性は意味不明なことをぶつぶつ言っていた。まるでキャスリンが言っているようにすぐ近くで聞こえる。キャスリンはその女性に話しかけようとした。しかし声が出せない。手も足も動かせない。自分の体を見ようとしたが見ることができない。
女性は変わった洋服の中から四角い小さなものを取り出した。
「ここ圏外?いやだぁ、どこにいるのかわからないじゃない」
女性は途方に暮れたようだ。その悲しくて苦しい気持ちがキャスリンに伝わってきた。
キャスリンはその女性に話しかけようと頑張ったが、どうもキャスリンの意思は通じないようだった。
それからその女性とキャスリンは一緒に過ごした、というよりその女性の頭の中にキャスリンの意思だけがあるということがわかってきた。
どうやらその女性は別の場所から来たらしく、森を抜けやっと町に着いた時には町の様子を見てへたり込んだ。
「ここどこよ~」
ただ女性は森の中で不思議なことをしていた。どうやら女性が願うとほしいものが出てくるらしく、木を触ると不思議なものがぶら下がって女性は喜んでそれを食べたり飲んだりしていた。
「私ってチート?」
そしてそのたびに謎の言葉をつぶやいていた。それからキャスリンは何度もこの言葉を聞くことになるが、この時の女性のあまりの喜びに、訳が分からないキャスリンまでうれしくなった。
女性は汚れた洋服と靴を変えるため、村の人たちに何やら不思議なものと交換していた。木からぶら下がった変なものを同じく木からぶら下がっていた変な入れ物に入れて、背中に背負い旅をした。
途中危ない目にも何度もあったが、女性の持つ不思議な力で解決していった。
それでも女性はたまにすごく悲しくなることがあるらしく、キャスリンにまでその気持ちが流れ込んできた。そんな時にはキャスリンは聞こえていないと思いながらも、自分が小さい時に母親から聞かせてもらった子守唄を歌った。すると女性は何だか少し元気が出るようだった。
次第にキャスリンは、女性が住んでいた世界を見ることができるようになった。
女性が眠っているとき夢で見ているのだろうか、女性が住んでいた世界を知った。この世界とはあまりに違い、初めてその世界の様子を見た時には、女性と一緒にいていろいろびっくりしていたキャスリンも、これ以上ないほど驚くこととなった。
四角い黒いものから景色や人が映ったり声がした。夜には部屋がものすごく明るくなったり、外には大きな不思議な建物がいっぱい立っていた。さらには馬車ではない不思議な乗り物が動いており、空にも不思議な乗り物が鳥のように飛んでいた。
お店と呼ばれるところには、色とりどりの不思議な洋服や食べ物やらありとあらゆるものが売っていた。
その女性が住んでいた世界は、平和で皆が楽しく暮らしているようにキャスリンには思えた。しかし女性が家族であろう人達や学校で戦争の話をしたりするのを聞いた。不思議な四角い黒いものからも戦争の話が出てきた。しかしその戦争は、この世界の争いというものとは程遠いもっと怖くて危ないものだった。
女性はあるときこの世界で一人の男性と会った。その男性と一緒にいるようになったころから、楽しいうれしいという感情がキャスリンにも流れてきた。
2人は、いつも一緒に行動するようになって、いつの間にかその女性は家族を持っていた。
女性は自分の持っている不思議な力で、次々にいろいろなものを作っていった。そして周りの人たちに分け与えていった。そうして二人は仲良く年を取っていった。
ついに男性が先に死んでしまい、しばらく女性は嘆き悲しんでいたが家族に見守られて亡くなった。
そこでキャスリンは目が覚めたのだった。
そして一つの事実を知った。
これってアシュイラ皇国建国の王と王妃の事だったの?キャスリンは今では神話のように伝説となったアスイラ皇国の裏話を知ってがっくりきたのだった。
アシュイラって名前、彼女が口の中にものをいっぱい入れて話したときに、聞いた人がうっかり聞き間違えてつけられた名前だったの?
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