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かん子いよいよ寮へ?
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かん子は買い物から帰り夕食を済ませると、部屋に戻り衣装ケースに真っ先に着るであろう洋服を詰め始めた。
ホームセンターで購入した大きなプラスチック製の衣装ケース3つは、あっという間に洋服でいっぱいになってしまった。
めんどくさいので今着る長袖から一応半袖まで入れたからだ。洋服は多くないと思っていただけに、自分でもびっくりしたかん子だった。
兄の俊史から、寮はそんなに広くないだろうから洋服も季節ごとに持っていけばいいといわれている。慣れるまでなるべく家に帰らず寮にいようと思ってはいるのだが、いざこうやって洋服ダンスから洋服をだすと家を出るんだというだという実感がわいてきた。
正直うれしい半面なんだか不安な感じもする。
寮はどんなところだろう、かん子はやっぱり今日見ておけばよかったと思った。今日買ってきたものは、明日持っていきやすいように1階の居間に置いてある。
(そうだ、やっぱりあのパジャマ持っていこう!)
かん子は今日兄の俊史が買ってくれたパジャマを思い出し、友達がくれたパジャマを1着持っていくことにした。
今着ているのは2着あるうちのパジャマタイプなので、持っていくのはドレスタイプだ。
(見つからないように、洋服の下に入れておこう)
かん子は、パジャマを洋服の下に押し込んだ。あと他のこまごました物も段ボールにいれ、整理し終わった時には時計を見ると夜中の一時を過ぎていた。
かん子は明日に備えて寝ることにした。
翌朝は起きる予定の時間を大幅に遅れてしまった。あわてて下に降りて行くと、かん子以外の家族、父親・母親・兄はもう朝食を食べ終えていた。
いつものように父親と兄は新聞を読んでおり、母親はキッチンにいた。
「おはよう~!」
かん子の挨拶に父親と母親が返してきた。
「おはよう」
「おはよう~かん子、昨日はもう寮に行くのが嫌になって、眠れなかったのか?」
「違うよ。持っていくものを整理していたの」
「お兄ちゃんの言うことは無視して、早くご飯食べたら」
母の美絵子が、朝食を運んでくれながらいった。
「今日は10時に出かけるわよ」
時間を見ればすでに8時半を過ぎている。七時には起きようと思っていただけに大失態であった。
「今日は、とうさんもいって手伝うから」
「ほんと?ありがとう」
いつも忙しい父親も来てくれるとあって、うれしくなったかん子であった。
「かん子?荷物は部屋にもあるんだよな」
兄の俊史が言った。かん子がうなづくと、俊史は新聞をテーブルの上に置いて、立ち上がり部屋を出て行った。 どうやら車に積み込んでくれるようだ。
かん子も急いで朝食を食べ支度をすることにした。
かん子が寝坊したのにもかかわらず、他の家族の協力のおかげで予定の時刻に出発できた。
出発する前に母がどこかに電話をかけていて、かん子を呼んで電話に出るように言った。
「もしもし」
「かん子ちゃん?こんにちは!わたくし正也の母親の佐和子よ。これから正也のことよろしくね。あの子好き嫌いないから、なんでもOKよ。今からいくのよね。気をつけてね。あと美絵子さんによろしくね!」
かん子がもしもし以外一言も話す余裕もないまま、電話が切られてしまった。
途中意味不明のことがいっぱい出てきたようだったが、そのことを聞けないままになってしまった。
「お母さんによろしくって。あとなんかいろいろ言ってたけど、何のこと?」
隣にいた母の美絵子に聞くと、はぐらかすかのように
「さあもう出発しましょう」
といわれ、さっさと玄関に行ってしまった。
同じ部屋にいた父親を見れば、なぜか視線を外された。そこで兄の俊史はと見れば、これほどないというようなほど苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。結局かん子は聞くのをやめて、皆と玄関に向かったのであった。
ホームセンターで購入した大きなプラスチック製の衣装ケース3つは、あっという間に洋服でいっぱいになってしまった。
めんどくさいので今着る長袖から一応半袖まで入れたからだ。洋服は多くないと思っていただけに、自分でもびっくりしたかん子だった。
兄の俊史から、寮はそんなに広くないだろうから洋服も季節ごとに持っていけばいいといわれている。慣れるまでなるべく家に帰らず寮にいようと思ってはいるのだが、いざこうやって洋服ダンスから洋服をだすと家を出るんだというだという実感がわいてきた。
正直うれしい半面なんだか不安な感じもする。
寮はどんなところだろう、かん子はやっぱり今日見ておけばよかったと思った。今日買ってきたものは、明日持っていきやすいように1階の居間に置いてある。
(そうだ、やっぱりあのパジャマ持っていこう!)
かん子は今日兄の俊史が買ってくれたパジャマを思い出し、友達がくれたパジャマを1着持っていくことにした。
今着ているのは2着あるうちのパジャマタイプなので、持っていくのはドレスタイプだ。
(見つからないように、洋服の下に入れておこう)
かん子は、パジャマを洋服の下に押し込んだ。あと他のこまごました物も段ボールにいれ、整理し終わった時には時計を見ると夜中の一時を過ぎていた。
かん子は明日に備えて寝ることにした。
翌朝は起きる予定の時間を大幅に遅れてしまった。あわてて下に降りて行くと、かん子以外の家族、父親・母親・兄はもう朝食を食べ終えていた。
いつものように父親と兄は新聞を読んでおり、母親はキッチンにいた。
「おはよう~!」
かん子の挨拶に父親と母親が返してきた。
「おはよう」
「おはよう~かん子、昨日はもう寮に行くのが嫌になって、眠れなかったのか?」
「違うよ。持っていくものを整理していたの」
「お兄ちゃんの言うことは無視して、早くご飯食べたら」
母の美絵子が、朝食を運んでくれながらいった。
「今日は10時に出かけるわよ」
時間を見ればすでに8時半を過ぎている。七時には起きようと思っていただけに大失態であった。
「今日は、とうさんもいって手伝うから」
「ほんと?ありがとう」
いつも忙しい父親も来てくれるとあって、うれしくなったかん子であった。
「かん子?荷物は部屋にもあるんだよな」
兄の俊史が言った。かん子がうなづくと、俊史は新聞をテーブルの上に置いて、立ち上がり部屋を出て行った。 どうやら車に積み込んでくれるようだ。
かん子も急いで朝食を食べ支度をすることにした。
かん子が寝坊したのにもかかわらず、他の家族の協力のおかげで予定の時刻に出発できた。
出発する前に母がどこかに電話をかけていて、かん子を呼んで電話に出るように言った。
「もしもし」
「かん子ちゃん?こんにちは!わたくし正也の母親の佐和子よ。これから正也のことよろしくね。あの子好き嫌いないから、なんでもOKよ。今からいくのよね。気をつけてね。あと美絵子さんによろしくね!」
かん子がもしもし以外一言も話す余裕もないまま、電話が切られてしまった。
途中意味不明のことがいっぱい出てきたようだったが、そのことを聞けないままになってしまった。
「お母さんによろしくって。あとなんかいろいろ言ってたけど、何のこと?」
隣にいた母の美絵子に聞くと、はぐらかすかのように
「さあもう出発しましょう」
といわれ、さっさと玄関に行ってしまった。
同じ部屋にいた父親を見れば、なぜか視線を外された。そこで兄の俊史はと見れば、これほどないというようなほど苦虫を噛みつぶしたような顔をしていた。結局かん子は聞くのをやめて、皆と玄関に向かったのであった。
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