かん子の小さな願い

にいるず

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かん子の天敵朝居正也 その5

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 かん子の穏やかな学校生活は、正也の出現で幕を閉じた。

 「おい、缶づめかん子~!お前また無視しただろ!缶づめかん子のくせに生意気なんだよ!」

 「うるさい!だまれ!」

 今日も教室の異動の途中であいつと会ってしまった。なるべく目を合わせないようにしていたら、あいつが目の前にずいっと立ちふさがってきた。

 周りは面白そうに見ている。

 すごくいごこちが悪い。最近では友達たちが、正也のことをあれこれ聞いてきたりする。小学校からの友達が、かん子の代わりに勝手にいろいろいってくれているようだ。かん子は、皆にまったく正也のことを話さないのだから。

 入学して1カ月たつが、正也は結構有名人になっていた。入学式のときに新入生代表をつとめてから、特に女の子達に注目をあびているらしい。

 部活のサッカーでも目立っている。うまいらしく上級生からも一目置かれているらしい。

 これらは全部勝手に入ってくる噂からなのだが。

 「先輩!朝居君とお付き合いされているんですか?」

 今日も部活の後輩から聞かれた。最近では全く知らない子からも聞かれる始末だ。そのたびごとに全面否定しているのだが。

 (あいつとのやり取りを見れば、明らかに違うとわかりそうなものなのに)

 いつも正也とのことを聞かれるたびに、溜息をつきたくなる。

 (好きな女の子に、あんないやがらせのようなこと言うはずないのに!)

 そう考えて、なぜか勝手に落ち込む自分がいる。あいつのことを考える自分が許せないかん子であった。


 そんななか、ある小さなでもかん子と正也の関係を変える出来事が起きたのだった。

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