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46 お買い物でもしましょうか
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翌日の日曜日には、さっそく久美ちゃんとエステに行きました。いい香りに包まれて、気分爽快です。お肌ももちもちした気がします。髪もヘッドスパをやっていただきました。おかげですっきり、髪もつやつやした気がします。久美ちゃんもつやつやサラサラですね。
それから二人で、お気に入りのレストランで昼食をとりました。そこは、サラダの種類が豊富なんです。鶏肉やフルーツも入っていて、健康的なおかつボリュームもあります。フレッシュジュースも人気なので、もちろん注文しました。私は食べながら、昨日の摩訶不思議なバイキングの話をしました。
「久美ちゃん、そういえば昨日行ったバイキングなんだけど不思議だったよ。席の前にねえ...」
「そうでしたか。あそこは、うちの系列なんです。すみません。きっと気を利かせすぎてしまったんですね」
久美ちゃんは、そういって詫びましたが、その顔は少しも悪いと思っていない顔ですね。まあおいしかったしよしとしましょうか。私たちはおいしいお料理を堪能した後、今度はお洋服を見に行きました。
あらかじめ久美ちゃんが連絡してくれていたのでしょう。店に着くなりすぐにオーナーがやってきました。事前に久美ちゃんから聞いてはいたのでしょうが、私の髪型を見た時の驚きようにこちらの方がびっくりしました。普段からクールな仕事ぶりを見ていたので、あんな顔もするんだとつい笑ってしまいました。オーナーはさすがにびっくりしすぎたのが恥ずかしかったのか、早口で話してきました。
「ようこそ、おいでくださいました。それにしてもずいぶん印象がおかわりになられましたね。でもこちらの方がお嬢様には断然お似合いです! ちょうどそのお姿によくお似合いのワンピーズが入荷いたしましたのよ。今日はぜひご覧くださいませ」
私と久美ちゃんは思いっきり顔を見合わせました。二人で笑いあいます。オーナーずいぶん気合が入っていますね。
このお店では、今では黒歴史となっているあのフリフリのスーツなどいつもフリフリのものを買っていました。ただ売る側にも関わらずここのオーナーは、いつも別のものを勧めてきました。今考えると、プロ根性抜群ですよね。自分が見て似合うものを売りたかったんですね。普通だったら客が希望すれば、似合わなくてもどんどん売ればいいのに、ここのオーナーは、いつも最後まで私が買うのを阻止しようとしていた気がします。確か髪型についてもやんわりといわれたことがあった気もします。
パーティー用のドレスは、いつも母の行きつけのお店で買っていたのですが、ここでも取り扱っているようなので一度お願いしてみるのもいいかもしれませんね。
オーナーが選んだものを次々に着てみます。結局夏らしい色のシフォンのドレスと普段にも着れるようなシンプルなワンピースを何着か買うことにしました。それにしてもさすがプロです。どれも私に似合っている気がします。
久美ちゃんも私以上に買いました。もちろん私のごり押しです。これからは、航さんの奥様としていろいろな場面に出て行かないといけないので、スーツやワンピーズは必須ですよね。
それにしても久美ちゃんは何でも似合います。いつもは地味なスーツばかり着ているのですが、これからはだめですよ。
「久美ちゃん、社交界で足を引っ張られることがないように備えなくてはね」
まあそうなることなど、この私、千代子が許すはずがありませんけどね。私はついそう言ってしまいましたが、久美ちゃんがにやりと顔に似合わない笑みを浮かべました。
「大丈夫ですよ。返り討ちにして見せますから」
確かに久美ちゃんならできそうですね。イヤ絶対しそうです。なんなら倍返しでもしそうです。
ひとしきり買った後、私たち二人はせっかくだからと買ったお洋服の一枚を着ていくことにしました。お買い上げの品は、自宅に届けてもらいます。満足げなオーナーに見送られて、私と久美ちゃんは今度は家具屋さんに行くことにしました。
家具屋さんは、誰もが知っている高級家具やさんでした。そういえば、検針の時青木さんがこの家具屋さんの事を何か言っていましたね。家具屋さんの名前で青木さんのことを思い出して、少しだけ胸がちくっとしました。
気を取り直して店内に入っていきます。久美ちゃんがもう何回か訪れたことがあるせいで、店員さんがさっとやってきました。
「いらっしゃいませ」
「今日は、買う予定の家具を見に来たんです。ソファの色をもう一度確認しようかと思って」
「そうですか。ではご案内させていただきますね」
そういって売り場へ案内されました。
「こちらですね。お買い求めいただいておりますのは」
「そうね。どの色がいいと思います?」
久美ちゃんは、横に立っていた私に聞いてきました。まず座り心地を確かめてみます。いいですね~。
「久美ちゃん、色は何色なの?」
「白です」
「いいんじゃない?」
白なら部屋も明るくなるし、フローリングの色や壁の色がどの色でも映えますよね。さすが久美ちゃんです。おしゃれでありながら、飽きのこないものをチョイスしていますね。そして久美ちゃんは、他にも買う予定のものを教えてくれました。もう何も言うことがありません。いいんじゃないでしょうか?
「ねえ久美ちゃん、ソファに置くクッションはもう決めてあるの?」
「ああ、まだです」
「じゃあ、それ私に結婚祝いとして贈らせて。お願い!」
「ありがとうございます。じゃあいただきますね」
家族で贈るのは、もう母が決めていますが、私個人としても何か贈りたかったのです。クッションならもし気に入らなくてもカバーを変えればいいだけですしね。でも久美ちゃんの事だからきっとセンスのない私が選んだものでも、使ってくれそうですけどね。
家具屋さんを出るころには、今日一日が楽しくて昨日の事はすっかり忘れていました。
家に帰って、寝る前に明日着ていく洋服の準備を始めたとたん、また昨日の事が思い出されて憂鬱な気分が戻ってきました。
明日どんな顔で青木さんに会えばいいんですかね。
それから二人で、お気に入りのレストランで昼食をとりました。そこは、サラダの種類が豊富なんです。鶏肉やフルーツも入っていて、健康的なおかつボリュームもあります。フレッシュジュースも人気なので、もちろん注文しました。私は食べながら、昨日の摩訶不思議なバイキングの話をしました。
「久美ちゃん、そういえば昨日行ったバイキングなんだけど不思議だったよ。席の前にねえ...」
「そうでしたか。あそこは、うちの系列なんです。すみません。きっと気を利かせすぎてしまったんですね」
久美ちゃんは、そういって詫びましたが、その顔は少しも悪いと思っていない顔ですね。まあおいしかったしよしとしましょうか。私たちはおいしいお料理を堪能した後、今度はお洋服を見に行きました。
あらかじめ久美ちゃんが連絡してくれていたのでしょう。店に着くなりすぐにオーナーがやってきました。事前に久美ちゃんから聞いてはいたのでしょうが、私の髪型を見た時の驚きようにこちらの方がびっくりしました。普段からクールな仕事ぶりを見ていたので、あんな顔もするんだとつい笑ってしまいました。オーナーはさすがにびっくりしすぎたのが恥ずかしかったのか、早口で話してきました。
「ようこそ、おいでくださいました。それにしてもずいぶん印象がおかわりになられましたね。でもこちらの方がお嬢様には断然お似合いです! ちょうどそのお姿によくお似合いのワンピーズが入荷いたしましたのよ。今日はぜひご覧くださいませ」
私と久美ちゃんは思いっきり顔を見合わせました。二人で笑いあいます。オーナーずいぶん気合が入っていますね。
このお店では、今では黒歴史となっているあのフリフリのスーツなどいつもフリフリのものを買っていました。ただ売る側にも関わらずここのオーナーは、いつも別のものを勧めてきました。今考えると、プロ根性抜群ですよね。自分が見て似合うものを売りたかったんですね。普通だったら客が希望すれば、似合わなくてもどんどん売ればいいのに、ここのオーナーは、いつも最後まで私が買うのを阻止しようとしていた気がします。確か髪型についてもやんわりといわれたことがあった気もします。
パーティー用のドレスは、いつも母の行きつけのお店で買っていたのですが、ここでも取り扱っているようなので一度お願いしてみるのもいいかもしれませんね。
オーナーが選んだものを次々に着てみます。結局夏らしい色のシフォンのドレスと普段にも着れるようなシンプルなワンピースを何着か買うことにしました。それにしてもさすがプロです。どれも私に似合っている気がします。
久美ちゃんも私以上に買いました。もちろん私のごり押しです。これからは、航さんの奥様としていろいろな場面に出て行かないといけないので、スーツやワンピーズは必須ですよね。
それにしても久美ちゃんは何でも似合います。いつもは地味なスーツばかり着ているのですが、これからはだめですよ。
「久美ちゃん、社交界で足を引っ張られることがないように備えなくてはね」
まあそうなることなど、この私、千代子が許すはずがありませんけどね。私はついそう言ってしまいましたが、久美ちゃんがにやりと顔に似合わない笑みを浮かべました。
「大丈夫ですよ。返り討ちにして見せますから」
確かに久美ちゃんならできそうですね。イヤ絶対しそうです。なんなら倍返しでもしそうです。
ひとしきり買った後、私たち二人はせっかくだからと買ったお洋服の一枚を着ていくことにしました。お買い上げの品は、自宅に届けてもらいます。満足げなオーナーに見送られて、私と久美ちゃんは今度は家具屋さんに行くことにしました。
家具屋さんは、誰もが知っている高級家具やさんでした。そういえば、検針の時青木さんがこの家具屋さんの事を何か言っていましたね。家具屋さんの名前で青木さんのことを思い出して、少しだけ胸がちくっとしました。
気を取り直して店内に入っていきます。久美ちゃんがもう何回か訪れたことがあるせいで、店員さんがさっとやってきました。
「いらっしゃいませ」
「今日は、買う予定の家具を見に来たんです。ソファの色をもう一度確認しようかと思って」
「そうですか。ではご案内させていただきますね」
そういって売り場へ案内されました。
「こちらですね。お買い求めいただいておりますのは」
「そうね。どの色がいいと思います?」
久美ちゃんは、横に立っていた私に聞いてきました。まず座り心地を確かめてみます。いいですね~。
「久美ちゃん、色は何色なの?」
「白です」
「いいんじゃない?」
白なら部屋も明るくなるし、フローリングの色や壁の色がどの色でも映えますよね。さすが久美ちゃんです。おしゃれでありながら、飽きのこないものをチョイスしていますね。そして久美ちゃんは、他にも買う予定のものを教えてくれました。もう何も言うことがありません。いいんじゃないでしょうか?
「ねえ久美ちゃん、ソファに置くクッションはもう決めてあるの?」
「ああ、まだです」
「じゃあ、それ私に結婚祝いとして贈らせて。お願い!」
「ありがとうございます。じゃあいただきますね」
家族で贈るのは、もう母が決めていますが、私個人としても何か贈りたかったのです。クッションならもし気に入らなくてもカバーを変えればいいだけですしね。でも久美ちゃんの事だからきっとセンスのない私が選んだものでも、使ってくれそうですけどね。
家具屋さんを出るころには、今日一日が楽しくて昨日の事はすっかり忘れていました。
家に帰って、寝る前に明日着ていく洋服の準備を始めたとたん、また昨日の事が思い出されて憂鬱な気分が戻ってきました。
明日どんな顔で青木さんに会えばいいんですかね。
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