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38 会社の帰りに
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会社に着いて、着替えてから部署に戻りました。
青木さんが先に鈴木課長に報告してくれています。私はいったん席に戻りました。
「どうだった?」
近藤さんがさっそく聞いてきました。
「はい。無事終わりました」
「そう。よかったわね。今日暑かったでしょ?」
「はい。でも雨より仕事は楽でした。カッパ着たり検針票が濡れないか気にしなくてもいいので」
「今日は晴れてよかったわよね」
私と近藤さんが話していた時です。鈴木課長に呼ばれました。
「柳さん、ちょっといいかな」
私は、鈴木課長のところに行きました。まだ青木さんもいます。何のお話しでしょうか。
「急なんだけど、今日会社終わった後、何か用事あるかな? いや、今日お天気もいいし、近くのホテルの屋上ビアガーデンどうかなあと思って。ただ今日は金曜日だし、急だからね。用事があれば遠慮なく言ってくれていいから。私たちは、別の日でもいいんだから」
「私は大丈夫です」
青木さんが先に答えました。
「私も大丈夫です」
私も金曜日だからといって特に用事はありません。今日は家の用事もないですからね。
「ありがとう。じゃあ、仕事が終わったらみんなで行くか!」
「いいですね~」
「私、割引券持ってます!」
鈴木課長の声に、私たちの様子を見ていた小田係長と近藤さんから元気のいい返事が返ってきました。どうやら三人の中で話が進んでいたようですね。ビアガーデンですか。楽しみですね!
私は席に戻って近藤さんに気になったことを聞いてみました。
「近藤さん、お子さんとか大丈夫ですか?」
「今日もし行くようだったら、うちの母が子どもたちを実家で預かっていてくれる予定なの。いつもは私が保育園にお迎えに行くんだけどね。今日は仕事もあったし母に頼んでいたのよ。たまには自分へのご褒美も必要よね」
そういって近藤さんはにっこりしました。手には、ビアガーデンの割引券が握られています。
「今日は仕事が終わってすぐ行くから、二時間として帰りは8時すぎぐらいになるかしら。ご家族に連絡しておくといいわよ。私も連絡しなくっちゃあ」
近藤さんは、お先にといって一足お先に更衣室に向かいました。私も仕事をかたずけてから、更衣室に向かう前に非常階段のところで急いで電話をしました。もちろん久美ちゃんにです。
「久美ちゃん、今日会社の人達とホテルの屋上ビアガーデンに行ってくるね。お迎え8時過ぎにお願いしてもいい?」
「はい。気を付けて行ってきます。ありがとう!」
久美ちゃんから無事了解を得ました。今日お迎えの車の時間変更をお願いしたのです。運転手さん、突然でごめんなさいね。今はこの会社のそばに駐車場を借りてもらっています。いつもそこで待っていてもらうのですが、今日はビアガーデンのあるホテルに変更をお願いしました。もちろんホテルの駐車場です。
更衣室に行くとちょうど近藤さんと桧垣さんがお話しされていました。どうやらビアガーデンの話のようです。
「今日ビアガーデン行くんだって!」
「はい」
桧垣さんがうらやましそうに私に言ってきました。桧垣さんも行きたいのでしょうか? 私が、近藤さんを見やると近藤さんも私をちらりと見てきました。
「ねえ柳さん、桧垣さんもいいかしらねえ」
「もちろんです!」
やっぱりビアガーデンは、にぎやかなほうが楽しいですよね。私が元気よく返事をしたので、桧垣さんは嬉しそうに私に言いました。
「じゃあ行ってもいいかしら。今年初なのよね~。ビアガーデン!」
最近雨が多くて涼しい日が多かったですもんね。今日のようにからりと晴れた日は久しぶりですよね。支度を終えた私たち三人は、玄関へ向かいました。
玄関に行くと、同じ部署の男性社員三人だけでなく、何やらほかの人たちもいますよ。鈴木課長が私たちを見てこちらに飛んできました。
「ビアガーデンの話をしたら、行きたいっていう人たちがいてね。一緒にいいかな」
「もちろんです。こっちも桧垣さんが一緒に行きますから」
「そうか。じゃあみんなで行こうか」
近藤さんが鈴木課長に話をしてくれました。
「人数が増えたわね」
「大丈夫! この割引券ひとグループごとだもの!」
桧垣さんが近藤さんが握りしめている割引券を見て言いました。近藤さんが力強く宣言してくれます。本当に楽しみですね~。
私たちは、駅近くにあるビアガーデンまで歩いていくことにしました。
「青木く~ん」
「はい!」
近藤さんが前を歩いている青木さんを呼びます。青木さんが振り向いて近藤さんのところにやってきました。
「せっかくだから一緒に行きましょうよ。おじさんたちと一緒に歩くよりいいでしょ」
そういって青木さんを私の横に並ばせました。桧垣さんがどや顔で近藤さんを見ています。あらあらまるわかりですよ。すみませんね。青木さん。
近藤さんと桧垣さんは素晴らしいコンビネーションで、私と青木さんを一緒に歩かせるとすぐに、自分たちは前を歩くおじさんたちの輪の中に入って行ってしまいました。
「結構人増えたね」
「そうですね」
私が、近藤さんと桧垣さんのバレバレな行動に思わず苦笑いを浮かべてしまっていた時です。青木さんも同じように感じたのか、半分笑いながら時話しかけてきました。
「でも今日外で汗かいたから、きっとビールがおいしいよ」
「はい! 私も楽しみです」
「ビアガーデンは初めてだよね?」
「ええ」
前世では、いったことがありますけどね。今世では初めてですよ。
でもあれっ。どうして青木さんは私が行ったことがないと思ったのでしょうか。もしかして、もしかしなくても私に友達がいないのがバレバレですか?
青木さんが先に鈴木課長に報告してくれています。私はいったん席に戻りました。
「どうだった?」
近藤さんがさっそく聞いてきました。
「はい。無事終わりました」
「そう。よかったわね。今日暑かったでしょ?」
「はい。でも雨より仕事は楽でした。カッパ着たり検針票が濡れないか気にしなくてもいいので」
「今日は晴れてよかったわよね」
私と近藤さんが話していた時です。鈴木課長に呼ばれました。
「柳さん、ちょっといいかな」
私は、鈴木課長のところに行きました。まだ青木さんもいます。何のお話しでしょうか。
「急なんだけど、今日会社終わった後、何か用事あるかな? いや、今日お天気もいいし、近くのホテルの屋上ビアガーデンどうかなあと思って。ただ今日は金曜日だし、急だからね。用事があれば遠慮なく言ってくれていいから。私たちは、別の日でもいいんだから」
「私は大丈夫です」
青木さんが先に答えました。
「私も大丈夫です」
私も金曜日だからといって特に用事はありません。今日は家の用事もないですからね。
「ありがとう。じゃあ、仕事が終わったらみんなで行くか!」
「いいですね~」
「私、割引券持ってます!」
鈴木課長の声に、私たちの様子を見ていた小田係長と近藤さんから元気のいい返事が返ってきました。どうやら三人の中で話が進んでいたようですね。ビアガーデンですか。楽しみですね!
私は席に戻って近藤さんに気になったことを聞いてみました。
「近藤さん、お子さんとか大丈夫ですか?」
「今日もし行くようだったら、うちの母が子どもたちを実家で預かっていてくれる予定なの。いつもは私が保育園にお迎えに行くんだけどね。今日は仕事もあったし母に頼んでいたのよ。たまには自分へのご褒美も必要よね」
そういって近藤さんはにっこりしました。手には、ビアガーデンの割引券が握られています。
「今日は仕事が終わってすぐ行くから、二時間として帰りは8時すぎぐらいになるかしら。ご家族に連絡しておくといいわよ。私も連絡しなくっちゃあ」
近藤さんは、お先にといって一足お先に更衣室に向かいました。私も仕事をかたずけてから、更衣室に向かう前に非常階段のところで急いで電話をしました。もちろん久美ちゃんにです。
「久美ちゃん、今日会社の人達とホテルの屋上ビアガーデンに行ってくるね。お迎え8時過ぎにお願いしてもいい?」
「はい。気を付けて行ってきます。ありがとう!」
久美ちゃんから無事了解を得ました。今日お迎えの車の時間変更をお願いしたのです。運転手さん、突然でごめんなさいね。今はこの会社のそばに駐車場を借りてもらっています。いつもそこで待っていてもらうのですが、今日はビアガーデンのあるホテルに変更をお願いしました。もちろんホテルの駐車場です。
更衣室に行くとちょうど近藤さんと桧垣さんがお話しされていました。どうやらビアガーデンの話のようです。
「今日ビアガーデン行くんだって!」
「はい」
桧垣さんがうらやましそうに私に言ってきました。桧垣さんも行きたいのでしょうか? 私が、近藤さんを見やると近藤さんも私をちらりと見てきました。
「ねえ柳さん、桧垣さんもいいかしらねえ」
「もちろんです!」
やっぱりビアガーデンは、にぎやかなほうが楽しいですよね。私が元気よく返事をしたので、桧垣さんは嬉しそうに私に言いました。
「じゃあ行ってもいいかしら。今年初なのよね~。ビアガーデン!」
最近雨が多くて涼しい日が多かったですもんね。今日のようにからりと晴れた日は久しぶりですよね。支度を終えた私たち三人は、玄関へ向かいました。
玄関に行くと、同じ部署の男性社員三人だけでなく、何やらほかの人たちもいますよ。鈴木課長が私たちを見てこちらに飛んできました。
「ビアガーデンの話をしたら、行きたいっていう人たちがいてね。一緒にいいかな」
「もちろんです。こっちも桧垣さんが一緒に行きますから」
「そうか。じゃあみんなで行こうか」
近藤さんが鈴木課長に話をしてくれました。
「人数が増えたわね」
「大丈夫! この割引券ひとグループごとだもの!」
桧垣さんが近藤さんが握りしめている割引券を見て言いました。近藤さんが力強く宣言してくれます。本当に楽しみですね~。
私たちは、駅近くにあるビアガーデンまで歩いていくことにしました。
「青木く~ん」
「はい!」
近藤さんが前を歩いている青木さんを呼びます。青木さんが振り向いて近藤さんのところにやってきました。
「せっかくだから一緒に行きましょうよ。おじさんたちと一緒に歩くよりいいでしょ」
そういって青木さんを私の横に並ばせました。桧垣さんがどや顔で近藤さんを見ています。あらあらまるわかりですよ。すみませんね。青木さん。
近藤さんと桧垣さんは素晴らしいコンビネーションで、私と青木さんを一緒に歩かせるとすぐに、自分たちは前を歩くおじさんたちの輪の中に入って行ってしまいました。
「結構人増えたね」
「そうですね」
私が、近藤さんと桧垣さんのバレバレな行動に思わず苦笑いを浮かべてしまっていた時です。青木さんも同じように感じたのか、半分笑いながら時話しかけてきました。
「でも今日外で汗かいたから、きっとビールがおいしいよ」
「はい! 私も楽しみです」
「ビアガーデンは初めてだよね?」
「ええ」
前世では、いったことがありますけどね。今世では初めてですよ。
でもあれっ。どうして青木さんは私が行ったことがないと思ったのでしょうか。もしかして、もしかしなくても私に友達がいないのがバレバレですか?
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