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映画に行かない?
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学校に到着すると、シンディに勇希は職員室の場所を説明してから、二年生の校舎に向かって歩いていった。
別れ際、勇希は響樹に軽く手を振ってから微笑んだ。彼女のその微笑に響樹も笑顔で返した。
「へー、紅先輩って、なんだか雰囲気変わったわね」声のする方向を見ると、同じ空手部の有村がいた。 彼女は覗き込むように響樹の顔を見た。
なぜだか、彼女は怪訝な顔をしているような感じであった。
「ねえ、不動君。 紅先輩と付き合っているの?」直球で質問してきた。
「な、なにを言っているんだよ。・・・・・・・そんな訳無いだろう」響樹は誤魔化すように返答する。ただ、本当に勇希とは付き合っているという関係ではない。
「ふーん、でも昨日は一緒に部活休んでいたし、・・・・・・皆《みんな》、少し疑《うたが》っているよ。 なんだか紅先輩も首に赤いチョーカー巻いちゃって、なんだか違う人みたい。女の子って感じになっちゃって・・・・・・」有村の言葉はもっともだと響樹は思った。 この数日で彼の勇希への印象も一気に変化した。
以前の勇希は、空手部の先輩で指導員。 組手、型、基本全てが素晴らしくて、その技を見ているだけで魅了され、この人のようになりたいという存在であった。 しかし、ここ数日の勇希は、拗ねたり怒ったり笑ったり、女の子らしい可愛い姿を沢山見せてくれる。
もちろん、それが嫌だという事では決してなかった。
「あの、ゆ・・・・・・・・紅先輩が、男と付き合う訳無いだろう。 それに付き合ったとしても、もっと相応しい人がいるよ」響樹は勇希と口づけした事により、彼女を妙な事件に巻き込んでしまったようだ。
なんとか勇希の体を元にもどして、普通の生活にもどしてあげたいと考えていた。
これ以上、無関係の人間を巻き込む事は、響樹には耐え切れなかった。
「ねえ、ところで今度の日曜日って暇?」有村は突然提案をしてきた。
「え、なに。 別に用事はないけれど」日曜日は、部活動は休みである。 響樹には取り立てて予定は無かった。
「じゃあさ、映画行かない? 不動君が好きっていていたアメコミの券が二枚手に入ったんだ」有村は鞄の中を探り、二枚のチケットを取り出した。
その映画は、以前有村との会話の中で、響樹が見てみたいと言っていた映画であった。
「でも、その券・・・・・・高いんじゃないのか?」一人暮らしの響樹には、映画を見るほどの余裕は無かった。 それに、最近の洋画は三ヵ月もすればレンタルビデオの棚に並ぶのだから好きな映画も劇場で見るのは勿体無い。
「・・・・・・・ざ、雑誌の懸賞で当たったのよ。・・・・・・・あ、別にわざわざお金を出して不動君と見るために買った訳じゃないから、本当よ!」有村は顔を真っ赤に染めてチケットを一枚差し出した。
「俺とでいいのか? 狩屋とかと一緒に行かなくていいのか?」狩屋とは、有村と一緒に仲のいいクラスメイトであった。
「ふ、普通、女の子はこんな映画行かないよ。 狩屋さんとは、また違う映画に行くから・・・・・・・・、それとも私と一緒じゃ嫌?」有村は少し俯いて呟いた。
「いや、そんなこと無いよ。 これ、俺が丁度見たかった映画だから、有難う」響樹は嬉しそうにお礼を言った。
「う、それじゃあ駅のビッグマンの前で・・・・・・朝、八時。すこし早いけれど大丈夫?」有村がはにかみながら微笑んだ。
「うん、大丈夫。遅れないように行くよ」響樹はもらったチケットを鞄にしまうと手を振りながら教室に向かった。
「よかった・・・・・・紅先輩とは、付き合ってないんだ・・・・・・」有村はスキップするように歩いた。
別れ際、勇希は響樹に軽く手を振ってから微笑んだ。彼女のその微笑に響樹も笑顔で返した。
「へー、紅先輩って、なんだか雰囲気変わったわね」声のする方向を見ると、同じ空手部の有村がいた。 彼女は覗き込むように響樹の顔を見た。
なぜだか、彼女は怪訝な顔をしているような感じであった。
「ねえ、不動君。 紅先輩と付き合っているの?」直球で質問してきた。
「な、なにを言っているんだよ。・・・・・・・そんな訳無いだろう」響樹は誤魔化すように返答する。ただ、本当に勇希とは付き合っているという関係ではない。
「ふーん、でも昨日は一緒に部活休んでいたし、・・・・・・皆《みんな》、少し疑《うたが》っているよ。 なんだか紅先輩も首に赤いチョーカー巻いちゃって、なんだか違う人みたい。女の子って感じになっちゃって・・・・・・」有村の言葉はもっともだと響樹は思った。 この数日で彼の勇希への印象も一気に変化した。
以前の勇希は、空手部の先輩で指導員。 組手、型、基本全てが素晴らしくて、その技を見ているだけで魅了され、この人のようになりたいという存在であった。 しかし、ここ数日の勇希は、拗ねたり怒ったり笑ったり、女の子らしい可愛い姿を沢山見せてくれる。
もちろん、それが嫌だという事では決してなかった。
「あの、ゆ・・・・・・・・紅先輩が、男と付き合う訳無いだろう。 それに付き合ったとしても、もっと相応しい人がいるよ」響樹は勇希と口づけした事により、彼女を妙な事件に巻き込んでしまったようだ。
なんとか勇希の体を元にもどして、普通の生活にもどしてあげたいと考えていた。
これ以上、無関係の人間を巻き込む事は、響樹には耐え切れなかった。
「ねえ、ところで今度の日曜日って暇?」有村は突然提案をしてきた。
「え、なに。 別に用事はないけれど」日曜日は、部活動は休みである。 響樹には取り立てて予定は無かった。
「じゃあさ、映画行かない? 不動君が好きっていていたアメコミの券が二枚手に入ったんだ」有村は鞄の中を探り、二枚のチケットを取り出した。
その映画は、以前有村との会話の中で、響樹が見てみたいと言っていた映画であった。
「でも、その券・・・・・・高いんじゃないのか?」一人暮らしの響樹には、映画を見るほどの余裕は無かった。 それに、最近の洋画は三ヵ月もすればレンタルビデオの棚に並ぶのだから好きな映画も劇場で見るのは勿体無い。
「・・・・・・・ざ、雑誌の懸賞で当たったのよ。・・・・・・・あ、別にわざわざお金を出して不動君と見るために買った訳じゃないから、本当よ!」有村は顔を真っ赤に染めてチケットを一枚差し出した。
「俺とでいいのか? 狩屋とかと一緒に行かなくていいのか?」狩屋とは、有村と一緒に仲のいいクラスメイトであった。
「ふ、普通、女の子はこんな映画行かないよ。 狩屋さんとは、また違う映画に行くから・・・・・・・・、それとも私と一緒じゃ嫌?」有村は少し俯いて呟いた。
「いや、そんなこと無いよ。 これ、俺が丁度見たかった映画だから、有難う」響樹は嬉しそうにお礼を言った。
「う、それじゃあ駅のビッグマンの前で・・・・・・朝、八時。すこし早いけれど大丈夫?」有村がはにかみながら微笑んだ。
「うん、大丈夫。遅れないように行くよ」響樹はもらったチケットを鞄にしまうと手を振りながら教室に向かった。
「よかった・・・・・・紅先輩とは、付き合ってないんだ・・・・・・」有村はスキップするように歩いた。
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