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kiss
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キーン!
金属のぶつかり合う音がする。
勇希はゆっくりと目を開ける。彼女の体に傷はないようだった。
目の前に男達とは違う人の気配を感じ、その方向に視線を向けた。
日本刀が真っ直ぐ勇希の頭上に伸びている。 この日本刀が男の刃を防御してくれたようであった。
日本刀の主は肩膝を地面に着き、反対の手に刀の鞘を握っていた。長い髪を青い布で束ねている。 ゆっくりと目を見開き、鋭い視線で響樹の様子を確認した。
「油断をするから、こんな目にあうのだ! 修行が足りん!」声の主は立ち上がりながら、男の刃を弾き飛ばした。
その声の姿は、セーラ服に日本刀と不似合いな組み合わせである。彼女のその制服は竜虎学院のものでは無く少し古めかしい雰囲気のもので、なんだか少し薄汚れた感じであった。
少女の首には青いチョーカーが巻かれている。彼女は日本刀を構えると、素早い動作で動き男達を順番に切り裂いていった。男達の体から血しぶきが吹き上がる。
「ちょ、ちょっと!? いやー!!」勇希は目の前で繰り広げられる血なまぐさい戦いに驚愕の声を発した。
「あなた! やめなさい!」勇希は日本刀の少女の腕を握り制止する。
「なにをする! 離せ!」少女は勇希の腕を振り払おうとした。その時、少女が倒した男達の体に異変が発生する。
男達の衣服が弾けとんだかと思うと、おおよそ人間のものとは思えないような皮膚の色に変化していく。
次の瞬間、男達の体はロウソクのロウが溶けるように地面に滴り落ちた。
「何なの、一体!」勇希は目の前の光景に驚き目を見開いている。
「ち、仕方ない!」舌打ちをしてから、少女は響樹の寝ている傍に移動した。彼の体を抱き上げてその顔をじっくりと見つめた。
溶解した男達の体は一箇所に集まり、一つの塊に変化していった。
「ちょっと、何をするの?!」叫ぶ勇希の目の前で、少女は響樹の唇に自分の唇を重ねた。
その行動にタイミングを合わせたかのように、少女の首に巻かれたチョーカーが青く輝く。
「え?」目を見開く勇希の目の前で、響樹と少女の体が小さな粒子のように四散した。
次の瞬間、激しい輝きが辺りを照らした。
その中心には、青い衣装を身にまとった絶世の美女が立っていた。その衣装は少し日本的で胸元は着物のように重ね合わせた物である。大きな二つの胸がはち切れんばかりに納まっている。
瞳は美しい青色。 彼女の手には、大きな日本刀が握られていた。
さきほどの塊が大きくなり、二mほどの深緑の体をした化け物が姿を現した。
「貴様、覚悟しろ!」青い少女は刀を肩に抱えてから、正面に移動させて化け物の正面に向けた。
化け物が雄叫びをあげる。
両手を開くと爪の辺りが鋭い刃のように輝いていた。
「「面白しろい!」」青の少女が歓喜の言葉を発した。同時に化け物の右手が少女の顔面目掛けて伸びてくる。
青の少女はその攻撃を紙一重でかわして日本刀を下から上に振り上げた。
化け物の右手が宙を舞う。 続けて日本刀の柄を握り返し、体をスライドさせてから反対の腕を切断した。
両腕を失った化け物が咆哮をあげる。
「「うおー!」」青の少女は空中を回転しながら化け物の頭上から日本刀を振り落とした。
化け物の頭から真っ直ぐな切り込みが発生したかと思うと二つの塊に変わり左右に倒れた。
少し残心を残した後、再び化け物が復活しない事を確認してから彼女は立ち上がり汚れを振り払いように日本刀を勢いよく振り下ろした。
少女は上空を見上げたかと思うと、懐から出した、数本の長く太い針を、住宅の屋根に向かって手裏剣のように発射した。投げられた針の前方を宙返りする人影が見える。
針の攻撃を避けた様子であった。
「あら、ばれちゃった?」屋根の上から人影が舞い降りる。それは、黒い装束を纏った少女であった。
「「やはり・・・・・・貴様か」」青の少女は歯ぎしりをしながら呟いた。
「そういうこと、せいぜい頑張ってその色男を守ることね!」黒装束の少女は地面に何かを投げつける。
次の瞬間激しい光と煙が辺りに立ち込める。
「「つ、煙幕か!?」」青の少女が悔しそうな声で叫ぶ。
ゆっくりと煙が消えていく。
「一体、何が・・・・・・・?」勇希は破れた制服の胸の辺りを押さえながら状況を確認した。 目の前には青い髪の少女が立っていた。
彼女はゆっくり目を閉じると、再び体を四散して響樹と少女の姿が現れた。 響樹の体が崩れるように倒れていく。
「不動君!」勇希は響樹の体を受け止めた。
「不動? ・・・・・・・それが、その男の今の名前なのか?」少女は呟くと日本刃を鞘に納め、綺麗な刀袋の中に収めた。
金属のぶつかり合う音がする。
勇希はゆっくりと目を開ける。彼女の体に傷はないようだった。
目の前に男達とは違う人の気配を感じ、その方向に視線を向けた。
日本刀が真っ直ぐ勇希の頭上に伸びている。 この日本刀が男の刃を防御してくれたようであった。
日本刀の主は肩膝を地面に着き、反対の手に刀の鞘を握っていた。長い髪を青い布で束ねている。 ゆっくりと目を見開き、鋭い視線で響樹の様子を確認した。
「油断をするから、こんな目にあうのだ! 修行が足りん!」声の主は立ち上がりながら、男の刃を弾き飛ばした。
その声の姿は、セーラ服に日本刀と不似合いな組み合わせである。彼女のその制服は竜虎学院のものでは無く少し古めかしい雰囲気のもので、なんだか少し薄汚れた感じであった。
少女の首には青いチョーカーが巻かれている。彼女は日本刀を構えると、素早い動作で動き男達を順番に切り裂いていった。男達の体から血しぶきが吹き上がる。
「ちょ、ちょっと!? いやー!!」勇希は目の前で繰り広げられる血なまぐさい戦いに驚愕の声を発した。
「あなた! やめなさい!」勇希は日本刀の少女の腕を握り制止する。
「なにをする! 離せ!」少女は勇希の腕を振り払おうとした。その時、少女が倒した男達の体に異変が発生する。
男達の衣服が弾けとんだかと思うと、おおよそ人間のものとは思えないような皮膚の色に変化していく。
次の瞬間、男達の体はロウソクのロウが溶けるように地面に滴り落ちた。
「何なの、一体!」勇希は目の前の光景に驚き目を見開いている。
「ち、仕方ない!」舌打ちをしてから、少女は響樹の寝ている傍に移動した。彼の体を抱き上げてその顔をじっくりと見つめた。
溶解した男達の体は一箇所に集まり、一つの塊に変化していった。
「ちょっと、何をするの?!」叫ぶ勇希の目の前で、少女は響樹の唇に自分の唇を重ねた。
その行動にタイミングを合わせたかのように、少女の首に巻かれたチョーカーが青く輝く。
「え?」目を見開く勇希の目の前で、響樹と少女の体が小さな粒子のように四散した。
次の瞬間、激しい輝きが辺りを照らした。
その中心には、青い衣装を身にまとった絶世の美女が立っていた。その衣装は少し日本的で胸元は着物のように重ね合わせた物である。大きな二つの胸がはち切れんばかりに納まっている。
瞳は美しい青色。 彼女の手には、大きな日本刀が握られていた。
さきほどの塊が大きくなり、二mほどの深緑の体をした化け物が姿を現した。
「貴様、覚悟しろ!」青い少女は刀を肩に抱えてから、正面に移動させて化け物の正面に向けた。
化け物が雄叫びをあげる。
両手を開くと爪の辺りが鋭い刃のように輝いていた。
「「面白しろい!」」青の少女が歓喜の言葉を発した。同時に化け物の右手が少女の顔面目掛けて伸びてくる。
青の少女はその攻撃を紙一重でかわして日本刀を下から上に振り上げた。
化け物の右手が宙を舞う。 続けて日本刀の柄を握り返し、体をスライドさせてから反対の腕を切断した。
両腕を失った化け物が咆哮をあげる。
「「うおー!」」青の少女は空中を回転しながら化け物の頭上から日本刀を振り落とした。
化け物の頭から真っ直ぐな切り込みが発生したかと思うと二つの塊に変わり左右に倒れた。
少し残心を残した後、再び化け物が復活しない事を確認してから彼女は立ち上がり汚れを振り払いように日本刀を勢いよく振り下ろした。
少女は上空を見上げたかと思うと、懐から出した、数本の長く太い針を、住宅の屋根に向かって手裏剣のように発射した。投げられた針の前方を宙返りする人影が見える。
針の攻撃を避けた様子であった。
「あら、ばれちゃった?」屋根の上から人影が舞い降りる。それは、黒い装束を纏った少女であった。
「「やはり・・・・・・貴様か」」青の少女は歯ぎしりをしながら呟いた。
「そういうこと、せいぜい頑張ってその色男を守ることね!」黒装束の少女は地面に何かを投げつける。
次の瞬間激しい光と煙が辺りに立ち込める。
「「つ、煙幕か!?」」青の少女が悔しそうな声で叫ぶ。
ゆっくりと煙が消えていく。
「一体、何が・・・・・・・?」勇希は破れた制服の胸の辺りを押さえながら状況を確認した。 目の前には青い髪の少女が立っていた。
彼女はゆっくり目を閉じると、再び体を四散して響樹と少女の姿が現れた。 響樹の体が崩れるように倒れていく。
「不動君!」勇希は響樹の体を受け止めた。
「不動? ・・・・・・・それが、その男の今の名前なのか?」少女は呟くと日本刃を鞘に納め、綺麗な刀袋の中に収めた。
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