9 / 35
銀河のコア
しおりを挟む
「きちんと説明をしてくれ」祐樹は自分の部屋にいた。
祐樹はベッドの上に胡坐をかいて座っていた。目の前にレオが片手を腰に当て立っている。その姿はまるでモデルが立っているように美しい。
「約百二十九億年前に銀河は生まれました。生まれる前、銀河は小さな点に過ぎなかったのです。その点は二つに分かれて一つは銀河、もう一つは違う生命体『コア』になりました」レオは宇宙を指差すように上を指した。
「銀河は二つに分かれたけれど、銀河とコアは一つの生命のままだったのです。銀河が消えるとコアが消え、コアが死ぬと・・・・・、銀河も死にます」レオは両足首を握り体を前後に揺らしている。
「まるで、銀河が生き物のような言い方だな。でも、そんな百億年も生きられる生き物なって存在しないだろう」祐樹の疑問に、レオは当然だという顔をして返答した。
「そう銀河は生きているのです。それに貴方の言うとおり確かに銀河と同じように生き続けることは不可能です。コアの魂は、親から子へ、子から孫へ受け継がれていくのです。」レオは、両膝に手を置き、少し前のめりになって説明を続けた。
「貴方のご祖先様は、銀河の中心にある保護区域で、ずっと保護され崇められてきたのです。でも、その秩序を破る出来事が発生しました。貴方のお父様が子供の時に、悪戯で使用した空間移動装置『ヘブンズロード』で地球に訪れたのです。 そして、地球人の女性と恋に落ちた。大人になった、貴方のお父様は再び地球に逃亡したあと『ヘブンズロード』を破壊したのです。追っ手が来ないように・・・・・・。これによって暫くの間、「コア」の行方が分からないというトラブルが発生したのです」
「親父は、宇宙人なのか?」祐樹も体を乗り出した。
「そうです・・・・・・ 私達は血眼になってコア、いえ貴方のお父様を探した。コアを狙う者に渡すことは、銀河の命運を握られることだから」レオはゆっくりと祐樹の座る横に腰掛けた。
「私達が、貴方のお父様の居場所を見つけたとき、お父様は既に死亡していました」レオの目力が鋭くなった。
「・・・・・・ 」
「コアの使命は貴方に引き継がれたのです」
「そんな、勝手な・・・・・・!」祐樹は立ち上がりレオに詰め寄った。
「そうですね、でも貴方に選択肢はありません。コアと生きていくしかないのです」レオは肩に掛かる髪を掻きあげた。赤い髪の毛が綺麗に揺れる。
「私達、ガイダーの仕事はコアを守ることなのです。貴方の命は私達が守ります!」レオが拳を握り締めながら言った。
「私達・・・・・・? 」
ドタドタドタと階段を駆け上がってくる足音が聞こえる。
「祐ちゃん! 」
扉が凄い勢いで開いた。部屋の入り口には奈緒が立っていた。
「おい・・・・・・!奈緒、いきなりドアを開けるな!」レオに目をやる。そこには・・・・・・。
「ニャー」赤毛の猫が一匹、ベッドの上に座っている。祐樹は目を疑った。
「祐ちゃん、いつの間に猫を飼ったのって・・・・・・、それより一緒に学校に行こうよ」奈緒は無理やり作ったとわかる笑顔で声をかけた。
「そうだな・・・・・・ 」祐樹は、少しうつむいて呟くように返答した。
「もう少し時間をくれよ」
「おばさんが、亡くなって悲しいのは分かるけど、いつまでも落ち込んでは駄目よ」奈緒も、2年ほど前にお父さんを交通事故で亡くしていた。その頃の奈緒は元気が無くて、かわいそうに思え、祐樹が必死になって励ました。それでも、何日かすると奈緒はいつもの奈緒に戻っていた。いや、戻ろうと努力したのだ。
祐樹は自分は奈緒ほど強い人間ではないと、喉まで言葉が出かけたがその言葉はかみ殺した。
「もう!」奈緒が祐樹の腕を掴み引っ張るが、思った以上に祐樹の体は重たかった。逆に引いた反動で奈緒の体は、祐樹の上に覆いかぶさるような形になった。
「きゃ」奈緒は小さな悲鳴をあげ祐樹に抱きつくような姿となった。
「おっ、おい!」下敷きなった祐樹は驚いて奈緒の顔を見つめる。
(えっ!)奈緒との顔の距離は拳が一つ分であった。二人の間に沈黙が続き、奈緒の頬は赤く染まった。祐樹は全身で、奈緒の体を支えている。
奈緒がゆっくりと瞳を閉じた。
「ミャー!」赤毛の猫が大きな鳴き声を上げた。
「キャー!」正気に引き戻されて、奈緒は突然悲鳴をあげ立ち上がった。
「私ったら、ごめんなさい・・・・・・、祐ちゃん、大丈夫?」奈緒は恥ずかしそうな表情を隠しながら言葉を発した。
「ああ」返答しながら、祐樹はレオの頭を優しく撫でた。 レオは気持ちよさそうに目を細めていた。
「奈緒、有難う・・・・・学校に行くよ、俺」祐樹は精一杯の笑顔で奈緒に告げた。
祐樹はベッドの上に胡坐をかいて座っていた。目の前にレオが片手を腰に当て立っている。その姿はまるでモデルが立っているように美しい。
「約百二十九億年前に銀河は生まれました。生まれる前、銀河は小さな点に過ぎなかったのです。その点は二つに分かれて一つは銀河、もう一つは違う生命体『コア』になりました」レオは宇宙を指差すように上を指した。
「銀河は二つに分かれたけれど、銀河とコアは一つの生命のままだったのです。銀河が消えるとコアが消え、コアが死ぬと・・・・・、銀河も死にます」レオは両足首を握り体を前後に揺らしている。
「まるで、銀河が生き物のような言い方だな。でも、そんな百億年も生きられる生き物なって存在しないだろう」祐樹の疑問に、レオは当然だという顔をして返答した。
「そう銀河は生きているのです。それに貴方の言うとおり確かに銀河と同じように生き続けることは不可能です。コアの魂は、親から子へ、子から孫へ受け継がれていくのです。」レオは、両膝に手を置き、少し前のめりになって説明を続けた。
「貴方のご祖先様は、銀河の中心にある保護区域で、ずっと保護され崇められてきたのです。でも、その秩序を破る出来事が発生しました。貴方のお父様が子供の時に、悪戯で使用した空間移動装置『ヘブンズロード』で地球に訪れたのです。 そして、地球人の女性と恋に落ちた。大人になった、貴方のお父様は再び地球に逃亡したあと『ヘブンズロード』を破壊したのです。追っ手が来ないように・・・・・・。これによって暫くの間、「コア」の行方が分からないというトラブルが発生したのです」
「親父は、宇宙人なのか?」祐樹も体を乗り出した。
「そうです・・・・・・ 私達は血眼になってコア、いえ貴方のお父様を探した。コアを狙う者に渡すことは、銀河の命運を握られることだから」レオはゆっくりと祐樹の座る横に腰掛けた。
「私達が、貴方のお父様の居場所を見つけたとき、お父様は既に死亡していました」レオの目力が鋭くなった。
「・・・・・・ 」
「コアの使命は貴方に引き継がれたのです」
「そんな、勝手な・・・・・・!」祐樹は立ち上がりレオに詰め寄った。
「そうですね、でも貴方に選択肢はありません。コアと生きていくしかないのです」レオは肩に掛かる髪を掻きあげた。赤い髪の毛が綺麗に揺れる。
「私達、ガイダーの仕事はコアを守ることなのです。貴方の命は私達が守ります!」レオが拳を握り締めながら言った。
「私達・・・・・・? 」
ドタドタドタと階段を駆け上がってくる足音が聞こえる。
「祐ちゃん! 」
扉が凄い勢いで開いた。部屋の入り口には奈緒が立っていた。
「おい・・・・・・!奈緒、いきなりドアを開けるな!」レオに目をやる。そこには・・・・・・。
「ニャー」赤毛の猫が一匹、ベッドの上に座っている。祐樹は目を疑った。
「祐ちゃん、いつの間に猫を飼ったのって・・・・・・、それより一緒に学校に行こうよ」奈緒は無理やり作ったとわかる笑顔で声をかけた。
「そうだな・・・・・・ 」祐樹は、少しうつむいて呟くように返答した。
「もう少し時間をくれよ」
「おばさんが、亡くなって悲しいのは分かるけど、いつまでも落ち込んでは駄目よ」奈緒も、2年ほど前にお父さんを交通事故で亡くしていた。その頃の奈緒は元気が無くて、かわいそうに思え、祐樹が必死になって励ました。それでも、何日かすると奈緒はいつもの奈緒に戻っていた。いや、戻ろうと努力したのだ。
祐樹は自分は奈緒ほど強い人間ではないと、喉まで言葉が出かけたがその言葉はかみ殺した。
「もう!」奈緒が祐樹の腕を掴み引っ張るが、思った以上に祐樹の体は重たかった。逆に引いた反動で奈緒の体は、祐樹の上に覆いかぶさるような形になった。
「きゃ」奈緒は小さな悲鳴をあげ祐樹に抱きつくような姿となった。
「おっ、おい!」下敷きなった祐樹は驚いて奈緒の顔を見つめる。
(えっ!)奈緒との顔の距離は拳が一つ分であった。二人の間に沈黙が続き、奈緒の頬は赤く染まった。祐樹は全身で、奈緒の体を支えている。
奈緒がゆっくりと瞳を閉じた。
「ミャー!」赤毛の猫が大きな鳴き声を上げた。
「キャー!」正気に引き戻されて、奈緒は突然悲鳴をあげ立ち上がった。
「私ったら、ごめんなさい・・・・・・、祐ちゃん、大丈夫?」奈緒は恥ずかしそうな表情を隠しながら言葉を発した。
「ああ」返答しながら、祐樹はレオの頭を優しく撫でた。 レオは気持ちよさそうに目を細めていた。
「奈緒、有難う・・・・・学校に行くよ、俺」祐樹は精一杯の笑顔で奈緒に告げた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる