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映画鑑賞
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半年後、白川純一と穂乃花のダブル主演という形で映画が公開された。
内容は男性アイドルと、そのアイドルに憧れる女子高生の恋物語みたいな感じであった。なぜだか成り行きで友伽里と一緒に観賞に来たが正直いって女性向きの内容で俺の頭の中にはそのストーリーは入って来なかった。
「穂乃花さん素敵だったね」映画を見終わった帰りハンバーガーショップで軽く食事をする。友伽里はどっぷりと映画の世界に入っていたようであった。
「そうか?やっぱり映画はアクションがないと面白くねえよ」コーラの入った容器から突き出たストローを軽く咥えて俺は外の景色を見た。
「やっぱり双子の妹でも他の男の人とイチャイチャしているのを見たら焼きもち焼いちゃいますか?」友伽里は両腕で頬杖をつきながら笑った。
「うるせー」俺は体の向きを彼女から反らした。なぜか図星を突かれたような気がする。
「訂正しないんだ……」あの日から友伽里の俺に対する態度にも若干の変化があった。
穂乃花に彼女を突き落としたのが自分であると告白したが、穂乃花は笑いながら自分の不注意で階段から落ちたのだと言っていた。
当の本人が自分で足を滑らせたというのだから友伽里の事を責める事も出来ない。穂乃花がそう言った時、友伽里は号泣して穂乃花の体にしがみついた。
「あれから穂乃花さんとは会ってないの?」ちょっと後ろめたい事でもあるかのようにいつもより声が低い感じがした。
「ああ、芸能人さんだからな、なかなか会えねえよ」実際あれから彼女とはほとんど会っていない。
「でも、光君にもお誘いがあったのでしょう?芸能界へのお誘いが」誰に聞いたのか解らないがそれは事実であった。別れていたとはいえ、有名芸能人である渡辺直人の一人息子ということで穂乃花の二匹目の鰌を狙っているのだろう。
「俺に、演技なんて無理だわ。一体なに考えてるんだろうな。あのおっさん」あの芸能プロダクションのおっさんにその話をされた時は呆れて言葉が出なかった。
「でも、せっかくのチャンスなのに、なりたいと思ってもなれない人が多いのよ」友伽里は、なぜか残念そうに呟く。そういえば、穂乃花《ほのか》と同じような話ををしたような気がする。
「でも、穂乃花さんがあんな有名人になるとは思わなかったわ。サインでももらっておけば良かったかしら」友伽里は残念そうな顔をした。
「そんなもん欲しいか?要らねえだろ」
「でも、値打ちが出るかもよ」穂乃花がもっと有名になったらサインを売り飛ばすつもりなのかと思った。
「結局、金かよ」俺は精一杯の呆れ顔を見せた。
友伽里と別れて家に帰る。途中そろそろ自分も受験生であることを思い出して大学の赤本を書店へ探しに行くことにする。
書店の自動ドアをくぐり店内へ入る。
「なんじゃこりゃ!」俺は書店の中のを見て絶叫してしまった。
内容は男性アイドルと、そのアイドルに憧れる女子高生の恋物語みたいな感じであった。なぜだか成り行きで友伽里と一緒に観賞に来たが正直いって女性向きの内容で俺の頭の中にはそのストーリーは入って来なかった。
「穂乃花さん素敵だったね」映画を見終わった帰りハンバーガーショップで軽く食事をする。友伽里はどっぷりと映画の世界に入っていたようであった。
「そうか?やっぱり映画はアクションがないと面白くねえよ」コーラの入った容器から突き出たストローを軽く咥えて俺は外の景色を見た。
「やっぱり双子の妹でも他の男の人とイチャイチャしているのを見たら焼きもち焼いちゃいますか?」友伽里は両腕で頬杖をつきながら笑った。
「うるせー」俺は体の向きを彼女から反らした。なぜか図星を突かれたような気がする。
「訂正しないんだ……」あの日から友伽里の俺に対する態度にも若干の変化があった。
穂乃花に彼女を突き落としたのが自分であると告白したが、穂乃花は笑いながら自分の不注意で階段から落ちたのだと言っていた。
当の本人が自分で足を滑らせたというのだから友伽里の事を責める事も出来ない。穂乃花がそう言った時、友伽里は号泣して穂乃花の体にしがみついた。
「あれから穂乃花さんとは会ってないの?」ちょっと後ろめたい事でもあるかのようにいつもより声が低い感じがした。
「ああ、芸能人さんだからな、なかなか会えねえよ」実際あれから彼女とはほとんど会っていない。
「でも、光君にもお誘いがあったのでしょう?芸能界へのお誘いが」誰に聞いたのか解らないがそれは事実であった。別れていたとはいえ、有名芸能人である渡辺直人の一人息子ということで穂乃花の二匹目の鰌を狙っているのだろう。
「俺に、演技なんて無理だわ。一体なに考えてるんだろうな。あのおっさん」あの芸能プロダクションのおっさんにその話をされた時は呆れて言葉が出なかった。
「でも、せっかくのチャンスなのに、なりたいと思ってもなれない人が多いのよ」友伽里は、なぜか残念そうに呟く。そういえば、穂乃花《ほのか》と同じような話ををしたような気がする。
「でも、穂乃花さんがあんな有名人になるとは思わなかったわ。サインでももらっておけば良かったかしら」友伽里は残念そうな顔をした。
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「でも、値打ちが出るかもよ」穂乃花がもっと有名になったらサインを売り飛ばすつもりなのかと思った。
「結局、金かよ」俺は精一杯の呆れ顔を見せた。
友伽里と別れて家に帰る。途中そろそろ自分も受験生であることを思い出して大学の赤本を書店へ探しに行くことにする。
書店の自動ドアをくぐり店内へ入る。
「なんじゃこりゃ!」俺は書店の中のを見て絶叫してしまった。
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