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上条賃貸ハウジングの事件簿
ステーキ
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「ちわーっす!」またあの男がやってきた。
「上条さん!今度は美味しそうなステーキの店を見つけたんですよ。一緒にいきませんか?」この男、完全に肉食系だなと思った。
「はいはいはい!私も一緒に行きたいです!」益留がアピールするように手を挙げる。
「えっ!でも・・・・・・・」食事と言いながらも実際はあの事件に関する取り調べみたいなもの。彼女を巻き込んでしまうのではないかと危惧する。
「駄目なんですか・・・・・・」子供のように下を向いて悲しそうな顔を見せる。
「いや、全然構わないですよ!むしろ大歓迎って感じです!」狩屋は満面の笑みで益留を誘った。
「やったー!狩屋さん、有難うございます!」彼女が元気にお礼を言うと小さな鞄を手に持った。
「じゃあ、行きましょう!」テンション高めの二人に囲まれて、俺は少し憂鬱な気分になった。
店から少し歩いたところにその店はあった。出店した時は凄い行列が出来ていて、とても並ぶ気にはならなかったが、だいぶと落ち着いたようであった。
「好きなの頼んでいいですよ!」どうやらまた経費で落とすつもりであるらしい。
「私この200gで!」益留はメニューに載っているステーキを指さす。
「それじゃあ、俺と上条さんは300ですね」勝手に決めるなと言いたい処ではあったがそれは口にしない事にする。
「今日は何が聞きたいんんだ?」彼が来たからには、何か情報を仕入れに来たのに間違いが無かった。
「えーとですね。三年ほど前の話になると思うのですが、あのメゾン・ド・リープの申し込みは、如月遥が上条さんの店に来て申し込んだのですか?」言いながら服に肉の汁が飛ばないように紙エプロンを準備している。肉を焼くのに時間が掛かるだろうから、準備が早すぎると思ったが突っ込むのは止めた。
「たしかあの部屋は、業付け・・・・・・、いや他所の仲介不動産業者が間に入って申込をしてきたんだ。」部屋の契約書を改めて確認していたので、答える事ができた。
「その時、申込者が提出する必要書類は?」
「うちの場合は、入居申込書と運転免許証。免許証が無い場合は健康保険証です」益留が答える。
「入居申込書に書く内容は?」
「えーと、氏名・生年月日・現住所と電話番号・お勤め先とその住所と電話番号ですかね」彼女は色々思い起こしながら返答をする。
「あと申込者の年収と緊急連絡先といったところだな」補足する。
「ですか・・・・・・、住民票とか収入証明の提出は不要なんですか?」いよいよ肉が運ばれてきた。狩屋はナイフとフォークを持って待ち構えている。俺達の話を本当に聞いているのか疑問に思えた。
「まず、入居申込書を元に、保証会社に審査を行うのです。過去に滞納履歴があったり、カードなどの不払い事故があった人はここで判ります」
「なるほど」狩屋は小さく切った肉を一口食べた。そして如何にも旨いと言いたげな笑顔を見せた。
「その審査に通って貸主様の許可が下りてから契約手続きに入ります。契約書を頂戴する時に、住民票・収入証明・入居者の顔写真、駐車場が必要な場合は車検証の写しも頂戴します」益留が丁寧な説明を続ける。こういうふうにお客様にも伝えられているのであれば、当社の営業マンとしては合格だなと思った。俺も、自分の肉にナイフとフォークを入れる。
「それで、契約が終わって鍵渡しの段取りがどうなるのですか?」
「鍵は仲介業者から契約書が届いた事と、入金があった事を確認してから渡す」
「直接本人にですか?」
「いいや、たいていの場合、我々は仲介業者に鍵を渡し、それを入居者に鍵を渡すのは仲介業者だな」
「あと契約は対面では行わないのですか?」
「そうだな、売買の場合は売主・買主一緒にやったり、遠方の場合が持ち回りといって契約書を持参して行う時もあるが、賃貸契約の場合は仲介業者に任せている事が多いな」隣で益留が頷《うなず》く。
「ふーん、そうなんだ。メゾン・ド・リープの入居者を紹介してきた業者が解かりますか?」
「ああ、店に戻って契約書を確認すれば解かると思うよ」
「上条さん!今度は美味しそうなステーキの店を見つけたんですよ。一緒にいきませんか?」この男、完全に肉食系だなと思った。
「はいはいはい!私も一緒に行きたいです!」益留がアピールするように手を挙げる。
「えっ!でも・・・・・・・」食事と言いながらも実際はあの事件に関する取り調べみたいなもの。彼女を巻き込んでしまうのではないかと危惧する。
「駄目なんですか・・・・・・」子供のように下を向いて悲しそうな顔を見せる。
「いや、全然構わないですよ!むしろ大歓迎って感じです!」狩屋は満面の笑みで益留を誘った。
「やったー!狩屋さん、有難うございます!」彼女が元気にお礼を言うと小さな鞄を手に持った。
「じゃあ、行きましょう!」テンション高めの二人に囲まれて、俺は少し憂鬱な気分になった。
店から少し歩いたところにその店はあった。出店した時は凄い行列が出来ていて、とても並ぶ気にはならなかったが、だいぶと落ち着いたようであった。
「好きなの頼んでいいですよ!」どうやらまた経費で落とすつもりであるらしい。
「私この200gで!」益留はメニューに載っているステーキを指さす。
「それじゃあ、俺と上条さんは300ですね」勝手に決めるなと言いたい処ではあったがそれは口にしない事にする。
「今日は何が聞きたいんんだ?」彼が来たからには、何か情報を仕入れに来たのに間違いが無かった。
「えーとですね。三年ほど前の話になると思うのですが、あのメゾン・ド・リープの申し込みは、如月遥が上条さんの店に来て申し込んだのですか?」言いながら服に肉の汁が飛ばないように紙エプロンを準備している。肉を焼くのに時間が掛かるだろうから、準備が早すぎると思ったが突っ込むのは止めた。
「たしかあの部屋は、業付け・・・・・・、いや他所の仲介不動産業者が間に入って申込をしてきたんだ。」部屋の契約書を改めて確認していたので、答える事ができた。
「その時、申込者が提出する必要書類は?」
「うちの場合は、入居申込書と運転免許証。免許証が無い場合は健康保険証です」益留が答える。
「入居申込書に書く内容は?」
「えーと、氏名・生年月日・現住所と電話番号・お勤め先とその住所と電話番号ですかね」彼女は色々思い起こしながら返答をする。
「あと申込者の年収と緊急連絡先といったところだな」補足する。
「ですか・・・・・・、住民票とか収入証明の提出は不要なんですか?」いよいよ肉が運ばれてきた。狩屋はナイフとフォークを持って待ち構えている。俺達の話を本当に聞いているのか疑問に思えた。
「まず、入居申込書を元に、保証会社に審査を行うのです。過去に滞納履歴があったり、カードなどの不払い事故があった人はここで判ります」
「なるほど」狩屋は小さく切った肉を一口食べた。そして如何にも旨いと言いたげな笑顔を見せた。
「その審査に通って貸主様の許可が下りてから契約手続きに入ります。契約書を頂戴する時に、住民票・収入証明・入居者の顔写真、駐車場が必要な場合は車検証の写しも頂戴します」益留が丁寧な説明を続ける。こういうふうにお客様にも伝えられているのであれば、当社の営業マンとしては合格だなと思った。俺も、自分の肉にナイフとフォークを入れる。
「それで、契約が終わって鍵渡しの段取りがどうなるのですか?」
「鍵は仲介業者から契約書が届いた事と、入金があった事を確認してから渡す」
「直接本人にですか?」
「いいや、たいていの場合、我々は仲介業者に鍵を渡し、それを入居者に鍵を渡すのは仲介業者だな」
「あと契約は対面では行わないのですか?」
「そうだな、売買の場合は売主・買主一緒にやったり、遠方の場合が持ち回りといって契約書を持参して行う時もあるが、賃貸契約の場合は仲介業者に任せている事が多いな」隣で益留が頷《うなず》く。
「ふーん、そうなんだ。メゾン・ド・リープの入居者を紹介してきた業者が解かりますか?」
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