鈍感王女は狂犬騎士を従わせる

02-07 パワハラ代（二）**

「姫様とヤってから、ふっ、一度もしてないんで、はぁっ、気持ちいいですよ、姫様の中、溶けちまいそうですっ」
「う、うれしく、ないっ！」
「えー？　褒めてるんです、けど」


　ぐっと押し込まれたそれが胎の口を抉り、セーリスは悲鳴のような声を上げてしまう。身体の芯を揺さぶる感触に声を我慢できなくなりそうでヘニルの手に縋れば、彼は甘く蕩けた笑みを浮かべる。


「ほんと、姫様は手がかかる」


　身体を倒し、ヘニルは完全にセーリスに覆い被さる。声が漏れないようにと深く口付けてそれを塞ぎ、舌を入り込ませる。


「んんっ、ふ……っ、んぅっ」


　ヘニルの手がしっかりと頭を押さえて、唇は離れることなく交わり続ける。ぬるぬると絡まりあった舌が気持ち良さを伝えて、緩んだ表情のままセーリスはそれに夢中になってしまう。そうしている間にも構わずヘニルは剛直を何度も奥まで挿し込み、きつく締まる中の感触を楽しんでいるようだった。


「んぁ、っあ、んん、ぁ……っ、んっ！」
「……っ」


　僅かに彼は眉を寄せ、セーリスの腰を掴んでいた手に力がこもる。最奥を叩く剛直の動きが執拗なものになり、先端をぐりぐりと子を宿す場所の入り口へと摺り寄せる。その妙な感覚にセーリスははっとなり、口を離して制止しようとするも、彼の手はびくともしない。


「んんっ！　んーっ！」


　下生えがぴったりとくっ付いた状態でぐいぐいと腰を大きく揺らされる。その衝撃が伝わるたびに下半身が痺れてしまいそうなほど気持ち良くなり、彼女は鈍くシーツを蹴飛ばす。それに気付いたヘニルは彼女の片足を掴むと、自分の腰に巻き付けるように促す。

　激しく舐められ続けた舌が痺れてきて、なのにただただ深いキスは終わる気配がない。ちゃんと呼吸できているのかも分からなくなって、酸欠となった頭が感覚を鋭敏にしていく。

　目の前の彼の表情に余裕が無くなり、両腕で華奢な彼女の身体を強く抱きしめると、ようやく口を離す。舌と口の端に混ざり合った涎の糸を伸ばしながら、彼は嬉しそうに笑う。


「出しますよ、姫様……！」
「ぁあっ、だめ、なかは、あっ！」


　彼の剛直が深く中を侵したところで、セーリスは目の前がチカチカと光ったような気がした。一拍遅れて全身を快楽の波が襲い、それに耐えるようにヘニルの背に縋った。

　隙間なく繋がった場所が熱い。ヘニルが何度か腰を小刻みに揺らし、その形のいい唇から荒い呼吸を吐き出す。びゅるびゅると、夥しい量の精が容赦なく胎の中へと注がれていく。


「なか、だめ……っん、にんしん、しちゃう……」


　涙目でそう訴えれば、ヘニルは一瞬口を噤み、じわりと頬を赤くして笑みを浮かべた。中に吐き出してやったと主張するかのようにまた腰を揺らして、それに声を漏らしてしまうセーリスの頬に何度も口付けを落とす。


「ん、ぅ……」
「……その気になれば、姫様なんて一発で孕ませられますよ」