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01-05 最初の誓い**

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 彼女の視界に入ったのは見慣れていない者にはグロテスクにも思える男の証だ。それを直視してしまった彼女は顔を赤らめ咄嗟に手で目を覆う、がすぐにヘニルに手を掴まれ見せられる。


「人間だって、こうやって子供作るんだろ? なら恥ずかしがるこたぁないさ」


 硬く立ち上がった剛直を掴み、彼は先端を濡れた秘裂へと摺り寄せる。ぬるぬると零れた愛液をなじませるように被らせ、再び鈴口をその穴の中へと向ける。
 触れているだけだったそこに力が入る。指で広げられたとはいえ狭い膣内に彼の一物は少し大きい気もする。だというのに、彼女の中はゆっくりと剛直を飲み込んでいく。


「あ、あぁ……、んっ、うぅ」
「ちゃんと息吸って、大丈夫、大丈夫」


 ヘニルの大きな手が頭を撫でて、セーリスは思わずその腕に縋る。それに一瞬驚いたような顔をするも、彼は微笑んで彼女の頬に触れる。そして、そっと唇を合わせた。


「ん、……!」


 口付けなど、初めてだった。もしかしたら処女を失くした彼女にとって最後に純潔性を象徴していたかもしれないものだ。けれどそれも、簡単に奪われてしまった。
 ショックを受けているセーリスにも構わず、柔らかな唇が艶かしく交じり合う。ぺろりと唇を舐められたのに驚き口を開けば、発熱したように熱い舌が口内に入り込む。そのまま舌を絡め取られ、好き勝手に嘗め回される。

 その激しい刺激に混乱している内に、ずぶずぶと屹立が中を進み最奥まで貫かれる。じんじんと熱のようなものを感じていたそこは、じわりと麻痺が切れて痛みに変わっていく。あっという間に処女を散らされた感覚に涙が滲んで、彼の腕に縋った手が震える。


「……姫様はさぁ、俺が信用できる奴に見えたの?」


 突然のヘニルの言葉に彼女はぎこちなく視線を上げる。笑みを消した彼の顔に、ひやりと腹の底が冷えていく気がした。


「さっきも言っただろ、テキトーにしゃべってるし、更に言えばテキトーに生きてる。そんな男にさ、ほいほい処女差し出しちゃって……やり逃げされたら泣き寝入りだぜ?」
「そ、そんなこと、させないっ、絶対に逃がさない、から……!」
「へぇ、どうやって?」


 ゆっくりと中にあったものが引き抜かれる感触がして、傷をなぞるような痛みに耐えながらセーリスは彼は睨みつける。


「どんな手を使って、も」
「オヒメサマに追っかけまわされるのか、悪くないな。英雄の大条件だ」
「なにを、ふざけ、たことを、んっ」


 逃がさないと思い知らせるように、セーリスは強くヘニルを抱き締める。その動作に大して驚くような素振りも見せず、彼はゆっくりと剛直を抜き差ししながら、彼女の頭に口付けを落とす。片手は変わらず愛でるように頬を撫でていて、その手つきは妙に優しい。


「真面目すぎるんだよなぁ、ほんと」


 じんじんと響く痛みを感じながら、彼女は耐えるように目を閉じる。こうしていればいつかは終わりがくるはずだ。
 彼女にとってこの行為は痛いほうが良かった。自分がやっている行いが褒められたことなのではないのだと、痛みだからこそ自分の良くない選択を肯定できるような気がしたからだ。

 だから耐えられる。今は少し痛いだけだと。
 そう思っていた。


「なぁ、姫様。随分イイ顔してるじゃねぇか」
「えっ」


 何か中の圧迫感が増す。ヘニルの方を見れば彼は興奮しているかのように微かに息を荒げ、頬を紅潮させていた。にやりと、その口元がいやらしげに歪む。


「何だ、もう感じちまってるのか」
「な、なに、が、んぁっ」


 ぐっと押し込まれる際に痛みと同時に何か甘やかな感覚が身体を奔る。


「処女には半端くらいが丁度いいと思ったんだが……姫様が良い反応するもんでもう完全に勃っちまった。はぁっ、そそるなぁ……」


 圧迫感が増して、だというのに痛覚に混ざる快楽が更に大きくなっていく。気付けばヘニルが動く度に蕩けた喘ぎ声が零れてしまっていて、数拍遅れてそれを自覚したセーリスは顔を真っ赤に染める。


「いや、ぁあっ、あんっ、う、うそっ」
「は、相性がいいのかねぇ……いいな、この締まりで、んっ、喘がれちゃ、ははっ、いい初体験じゃねぇか姫様っ、国のことなんか忘れて、気持ちよくなっちまえよ」
「だめっ、んんっ、それだけはだめっ、わたし、あっ、わたしはっ」


 必死に己を律しようと言葉を口にしようとしたところを再びキスで塞がれる。艶かしく舌を交わらせていれば、下で感じる快楽も激しくなっていくような気さえする。


「んんっ、んぁ、あっ、んぅ……!」


 涙が溢れる。けれどそれが生理的なものから来たものか、それともこんな状況で感じてしまっている自分に失望しているのか、分からなかった。
 自分の意思には関わらず、中はヘニルの男根を締め付け、射精を促す。それがまるでちゅうちゅうと吸い付いてねだっているかのように感じて、彼女は必死に首を横に振った。


「諦めろって姫様、ふ……っ、気持ちよくイって、終わりにしようや」
「んぅ、や、約束っ、んぁっ、やくそく、を、あっ……」
「分かってるって、ほらほら」


 ぐいっと腰を持ち上げられたかと思えば、ヘニルの腿の上に乗せられる。下半身だけが僅かに上向きになって、その体勢でじゅぶじゅぶと屹立が動く。奥までがつがつと貪るような挿入に、身体はびくびくと喜ぶように震えてしまう。


「いいっ、いいぜ、姫様、最高だ……っ!」
「あぁ、あがって、ひゃっ、んんっ、きちゃう、だめ、あ、あぁあっ!」


 急速に何かが駆け上がってきて弾ければ、全身に波のような絶頂の快楽が襲ってくる。ぎゅうっと中が彼のものをきつく咥え込み、精を吸い上げようとする。それに応えるようにヘニルは甘く息を吐き、堪えるのを止めてそのまま中へと吐き出してしまう。どくり、どくりと脈動のようなものが、隙間なく密着したそこから響いてくるようだった。

 汗ばんだ額を撫で、ヘニルは彼女に触れるだけのキスをする。射精を終えたそれをそっと引き抜くと、呆然と意識を失いかけていくセーリスに語りかける。


「なかなか良かった、姫様。嬉しくねぇと思うけど、男を喜ばせる才能は有ると思うぜ」


 ばさっとシーツを被せてやり、そのまま彼は脱ぎ捨てた服を着直す。このまま逃げられると思ったセーリスはなんとか手を伸ばすが、空を切ってしまう。
 意識が沈んでいく。慣れない情事と心的プレッシャーに耐えかね、彼女は重くなった目蓋を閉じる。

 最後に誰かが手を掴む感触と、小さなリップ音だけが聞こえた。
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