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05 大胆告白!
3 険悪から一転?
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学園にはいくつか憩いの場みたいな空間がある。庭に設置されたガゼボ、東屋みたいなそれも、そのうちの一つ。丁寧に整えられた庭の中心部にあるので、雰囲気は抜群だ。
ここで優雅にお茶会したりとか……なんて考えたりはした。特に、フェルナン様と一緒に、婚約者として甘いひとときみたいな、そんなのがあったらいいなぁって。
今この現状は甘くないけど。
「…………」
既視感。またもや沈黙が重い。
思わずオーケーしてしまったけど、正直沈黙が辛いのもあって早く終わって欲しい気持ちが強い。それにハッター先生を待たせてしまっている。巻きでお願いします、フェルナン様。
頭の中で語りかけても通じないけどね。
ちらりとフェルナン様の方を伺えば、ばちっと目が合う。すぐさま視線を逸らされ、普通に私はショックを受けた。
「(やっぱまだ溝は埋まりませんよねー……)」
そうこうしているとフェルナン様が深呼吸をする。そして一つ息を吸い込んで、私の名前を呼んだ。ちなみに今度はちゃんと反応できました。
「休暇中、ずっと悩んでいた。でも、もう決心がついた。アリシェール」
「は、はい」
「今までのことを謝りたい。本当に、ごめん」
真っ直ぐな謝罪の言葉とともに、フェルナン様は頭を下げてきた。
予想外の光景にしばらく思考停止してしまった私だが、この国の王子様に頭を下げさせているということに気付く。
「いやっ、頭を下げないで、気にしてませんから……!」
「君が気にしていなくても、僕は納得できない。今まで何度も、君を酷く傷付けたと思う」
真剣なその瞳に射抜かれれば私はもう何も言えない。
ああ、フェルナン様のこういうところが好きなんだ。ある意味馬鹿がついてしまうほどの大真面目かもしれないけど、それほどしっかり向き合おうとする人なんだ。本当に、素敵。
「君の婚約者として恥ずかしい行いをした。僕は何があっても、最後まで君を信じるべきだったのに」
「フェルナン様……」
クレイン兄上と比べて、やっぱりこういうところは不器用だ。理想的すぎて危なっかしくもあるんだけれど、そういう性格をしているからこそフェルナン様も多くの人の信頼を集めている。
そしてすごく、お顔がよろしい。
「許してくれとは言わない。けれど、もう二度と君を傷付けるようなことはしないと誓う」
「(フェルナン様の口説き文句も、こんな感じにすごーくお堅くて、恥じらいと真剣さが同居しちゃってる感じが堪らないんだよね~……)」
「……これからは何よりも、君を大切にする」
ん?
何か会話の流れが変わった気がする。
そしてまたフェルナン様はそっと私の手を取る。じっとこちらを見つめる視線はどこか熱くて、なんだかこっちまで気恥ずかしさを感じる。
そういえばフェルナン様は攻略キャラの中でも初々しいスキンシップが多かったり。そう、こんな風によく手を握ってきて、じっと見つめてくるみたい、な……
「(あれっ)」
「だから、……、これからも、僕の婚約者でいてほしい」
「え」
すいません。思わずえって言っちゃった。
だって謝罪の流れからこんな自然に恋愛パート入る? 私そんなにフェルナン様の好感度上げたつもり全くないんだけど、寧ろ愛想笑いの件から「あいつ何か気持ち悪いな」って思われてると思ってたんですけど。
いいんですか。貴方のことを顔がいいなぁって見ながら内心で推し語りしているような女なんですよ。スーパーヒロインのロサリアちゃんとは雲泥の差、月とスッポンみたいなレベルの格差があるんですよ、本当にいいんですか!
フェルナン様はというと、私のえっという反応に明らかに動揺してる。
「や、やっぱり、嫌、か……?」
おずおずと緊張した様子でフェルナン様は尋ねてくる。
いや、嫌じゃないですよ。寧ろ転生してからは貴方のお嫁さんになることを目標に今まで頑張ってきたわけでして。
でも、どうして。嬉しいはずなのに、どうしてこんなに戸惑ってしまうんだろう。
「嫌じゃないです! あと本当に、フェルナン様のお気持ちも十分分かりますし、ギリギリまで私のことを信じようとしてくれたのも分かってますから。どうかあまり自分を責めすぎないでください」
婚約者の件は一旦置いておき、私は思っていたことを口にする。
妖精さんのしわざだったんだ、っていうのも嘘ですし。不可抗力なのはそうだけど、実際に私がやったことだし。あんまりフェルナン様に気負われると私の方も辛い。
「フェルナン様はいつだって、私の好きなフェルナン様です」
「アリシェール……」
緊張した面持ちをしていることが多いフェルナン様は、少しだけ表情を緩める。少しだけ頬が赤らんで見えるのは目の錯覚でしょうか。
「(あ、待って、ちょっとこれ間違えたかもしれない)」
不穏、というわけではないんだけど私にとっては不穏と呼べる空気が流れる。心なしかフェルナン様の周りにピンクのエフェクトみたいなものが、ゲーム画面が。
「アリシェール、君を想っている」
そのお声は何にかき消されることもなく、私の耳に届いてしまう。
そしてフェルナン様は私の手の甲にキスを落とした。
「必ず君に相応しい男になる。だから君も、僕を見ていて欲しい」
ある意味私は、このお話が始まったときに掲げた目標を達成してしまった。
ここで優雅にお茶会したりとか……なんて考えたりはした。特に、フェルナン様と一緒に、婚約者として甘いひとときみたいな、そんなのがあったらいいなぁって。
今この現状は甘くないけど。
「…………」
既視感。またもや沈黙が重い。
思わずオーケーしてしまったけど、正直沈黙が辛いのもあって早く終わって欲しい気持ちが強い。それにハッター先生を待たせてしまっている。巻きでお願いします、フェルナン様。
頭の中で語りかけても通じないけどね。
ちらりとフェルナン様の方を伺えば、ばちっと目が合う。すぐさま視線を逸らされ、普通に私はショックを受けた。
「(やっぱまだ溝は埋まりませんよねー……)」
そうこうしているとフェルナン様が深呼吸をする。そして一つ息を吸い込んで、私の名前を呼んだ。ちなみに今度はちゃんと反応できました。
「休暇中、ずっと悩んでいた。でも、もう決心がついた。アリシェール」
「は、はい」
「今までのことを謝りたい。本当に、ごめん」
真っ直ぐな謝罪の言葉とともに、フェルナン様は頭を下げてきた。
予想外の光景にしばらく思考停止してしまった私だが、この国の王子様に頭を下げさせているということに気付く。
「いやっ、頭を下げないで、気にしてませんから……!」
「君が気にしていなくても、僕は納得できない。今まで何度も、君を酷く傷付けたと思う」
真剣なその瞳に射抜かれれば私はもう何も言えない。
ああ、フェルナン様のこういうところが好きなんだ。ある意味馬鹿がついてしまうほどの大真面目かもしれないけど、それほどしっかり向き合おうとする人なんだ。本当に、素敵。
「君の婚約者として恥ずかしい行いをした。僕は何があっても、最後まで君を信じるべきだったのに」
「フェルナン様……」
クレイン兄上と比べて、やっぱりこういうところは不器用だ。理想的すぎて危なっかしくもあるんだけれど、そういう性格をしているからこそフェルナン様も多くの人の信頼を集めている。
そしてすごく、お顔がよろしい。
「許してくれとは言わない。けれど、もう二度と君を傷付けるようなことはしないと誓う」
「(フェルナン様の口説き文句も、こんな感じにすごーくお堅くて、恥じらいと真剣さが同居しちゃってる感じが堪らないんだよね~……)」
「……これからは何よりも、君を大切にする」
ん?
何か会話の流れが変わった気がする。
そしてまたフェルナン様はそっと私の手を取る。じっとこちらを見つめる視線はどこか熱くて、なんだかこっちまで気恥ずかしさを感じる。
そういえばフェルナン様は攻略キャラの中でも初々しいスキンシップが多かったり。そう、こんな風によく手を握ってきて、じっと見つめてくるみたい、な……
「(あれっ)」
「だから、……、これからも、僕の婚約者でいてほしい」
「え」
すいません。思わずえって言っちゃった。
だって謝罪の流れからこんな自然に恋愛パート入る? 私そんなにフェルナン様の好感度上げたつもり全くないんだけど、寧ろ愛想笑いの件から「あいつ何か気持ち悪いな」って思われてると思ってたんですけど。
いいんですか。貴方のことを顔がいいなぁって見ながら内心で推し語りしているような女なんですよ。スーパーヒロインのロサリアちゃんとは雲泥の差、月とスッポンみたいなレベルの格差があるんですよ、本当にいいんですか!
フェルナン様はというと、私のえっという反応に明らかに動揺してる。
「や、やっぱり、嫌、か……?」
おずおずと緊張した様子でフェルナン様は尋ねてくる。
いや、嫌じゃないですよ。寧ろ転生してからは貴方のお嫁さんになることを目標に今まで頑張ってきたわけでして。
でも、どうして。嬉しいはずなのに、どうしてこんなに戸惑ってしまうんだろう。
「嫌じゃないです! あと本当に、フェルナン様のお気持ちも十分分かりますし、ギリギリまで私のことを信じようとしてくれたのも分かってますから。どうかあまり自分を責めすぎないでください」
婚約者の件は一旦置いておき、私は思っていたことを口にする。
妖精さんのしわざだったんだ、っていうのも嘘ですし。不可抗力なのはそうだけど、実際に私がやったことだし。あんまりフェルナン様に気負われると私の方も辛い。
「フェルナン様はいつだって、私の好きなフェルナン様です」
「アリシェール……」
緊張した面持ちをしていることが多いフェルナン様は、少しだけ表情を緩める。少しだけ頬が赤らんで見えるのは目の錯覚でしょうか。
「(あ、待って、ちょっとこれ間違えたかもしれない)」
不穏、というわけではないんだけど私にとっては不穏と呼べる空気が流れる。心なしかフェルナン様の周りにピンクのエフェクトみたいなものが、ゲーム画面が。
「アリシェール、君を想っている」
そのお声は何にかき消されることもなく、私の耳に届いてしまう。
そしてフェルナン様は私の手の甲にキスを落とした。
「必ず君に相応しい男になる。だから君も、僕を見ていて欲しい」
ある意味私は、このお話が始まったときに掲げた目標を達成してしまった。
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