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14-03 二人だけの誓い**
しおりを挟む「ずっと、君のそばにいるよ」
その言葉にルザは息が詰まったような気がした。
ずっと彼女の口から聞きたかった言葉。五年前には言ってくれなかったその一言。
それがようやく、自分に向けられている。
「とこえぇ……」
今まで堪えていたいろんなものが決壊するように彼は大粒の涙を溢す。それを口付けで拭ってやりながら、トコエは彼の頭を優しく撫でてやった。
「泣き虫なんだから」
「うぅっ、ずっと一緒だよ、トコエっ、ずっと、ずっとずっと……!」
「うん、ずっと一緒」
ゆっくりと腰を浮かせ、勃ち上がった彼を手で握る。先端を定めるように秘裂に滑らせ、入り口へとぐっと押し込ませる。
「……愛してるよ、ルザ」
そのまま腰を下ろし、ずぷずぷと彼の屹立を飲み込んでいく。雄の昂りを受けいれる快楽と、雌の中を侵していく快楽を同時に感じ、蕩け切った声を口から漏らす。体重を足で支えられなくなるも、そのまま重力に従って最奥まで貫かれる。
「トコエ、僕も、僕も愛してるっ」
「う、ん……はぁ、さ、泣くのはやめて、一緒に良くなろう」
気をしっかり持って、トコエはルザと両手を繋ぐと、腰を揺らし始める。ぐぷぐぷと音を立てているのが自分だとはっきり分かって、恥ずかしさで顔から火を吹きそうになる。
膝で立って、また下ろして、その繰り返し。それだけだと言うのに座り込む際には屹立が奥までしっかり突いてきて腰が砕けそうになる。けれど包まれる男根の良さが、腰を止めることを許さない。
「あぁっトコエっ、きもちいっ、すごいっ」
「うんっ、あぁっ、とけるっ、入ってるのがとけそう、で、中ずこずこされるの、とびそうなほど、いいのっ、きもちいいっ」
「は、トコエもっとっ、もっとついてっ、奥がんがんしてっ」
蕩けた様子で手を握ってくるルザに、彼女は笑みを浮かべた。もはやどちらが男か女かなど関係なく、お互いの身体を感覚全てで感じていた。
「かわいいねルザ、ほらっ、もう、あぁうっ、でそうっ、せいえき出ちゃう……っ」
「ほしいっ、だしてっ、トコエ、ぜんぶ、僕の全部、トコエのにしてっ」
「んぁっ、でるよ、ルザにだしちゃうっ、なかいっぱいにしちゃうっ、ぜんぶわたしのものに」
ぱんっと肌がぶつかり合って、屹立の先端が深々と突き刺さる。精を欲する膣の収縮に促されるままそれは弾け、夥しいほどの精を吐き出す。お互いの快楽を感じていた二人は無意識のうちにその性器を刺激し、絶頂を味わっていた。
精液を飲み込んでいく感触と射精の脈動を感じていたトコエは、ぼんやりとした頭で彼の腹部を撫でる。もはや自分にどちらがついていて、どっちが中に入っているのかよく分からなかった。
そこで腹にあった傷が消えているのに気付く。どうやら彼女の礼装は上手く機能してくれたようだった。
「はぁ、よか……うわっ!」
ぐっと腕を引かれて彼の胸の中へと飛び込んだかと思えば、立場がくるりと逆転する。いつの間にかルザの下に組み敷かれたトコエは、恐る恐る視線を上に向けた。
「じゃあ、次は僕が攻めね」
「あ、足の骨は……」
「もうばっちり。普通に動くし痛くもないよ。頭も完治」
ゆっくりと彼女の腰を浮かせ、足を自分の腰に回すように促す。ああ、これは絶対に激しくなる、そう経験からトコエは思った。
「あと一回、結構ギリギリだからなかなかイけないと思うけど、久しぶりだから全力でイくよ」
「あぅ、もう中で勃ってる……」
ぐりぐりと奥に擦り付けるようにルザは自身を揺らす。彼女の背中に腕を回し、完全に抱え込むようにして口づけを交わす。
「……愛してる」
ばちゅん、と腰を叩きつけ、それを機に中を容赦なく蹂躙していく。お互いの快楽に蕩けた顔を目にしながら、喘ぎ声と共に愛を囁き、舌を一つにするように絡ませる。
「あぁっんふ、うぅっ、あっ、あんっ、ルザっ、あぁあっ」
「トコエっ、好きっ、僕を受け止めてっ、このままっ、ぜんぶ一つになろう……!」
「う、んっ、あはぁっ、もっと、もっとしてっ、ルザのせいし、いっぱいちょうだい……っ」
「ほんと、もっとできればいいのに……っ、次からは、僕が薬使う、かなぁ」
そう言って深く唇を重ね、更に激しく彼女の中を侵していく。ギリギリまで抜きかけたのを一気に奥まで差し込めば、その交わりによる強烈な快感が降ってくる。
「セックスは、赤ちゃん作るための、ものなんだよっ、だから、僕と子作りっ、しようねっ」
「うぁっ、ほしい、ルザっ、もっと、もっと一緒に、ずっと一緒にいたいのっ」
「大丈夫だよっ、まだこの先も、ずっと、何年も、何十年も、ずっとずっと……」
お互いをきつく抱きしめ合う。もう二度と離れぬようにと願いながら、愛を叫んだ。
「幸せになろう、二人で」
「んんっ、うんっ……!」
身体と感覚だけでなく、想いも一つになる。辛く苦しい旅時の果てに、二人はようやく互いの手を握りあえたような気がした。
「好き、ルザっ、だいすきっ」
「愛してるよ、トコエっ、僕のトコエ……!」
頂が見える。高め合った性器が限界に震え、隙間を残すことなくぴったりと重なり合う。
声を漏らしながら激しい快楽に思考を放棄し、互いの口を塞いだ。その時ばかりはもう息をしなくていいと思った。ずっとその瞬間が続いていけばいいと思ったからだ。
彼女の胎が彼の熱で満たされていく。絶頂の余波が消えていくのを惜しむかのように、二人は繋がったままお互いを愛撫する。何度もキスをしながら、胸に、腹に、背に、手を這わせて。
「あっ」
「…………」
「や、だめっ、トコエ……」
くんっと乳頭を弄られ、ルザは喘ぐ。
「君がここが好きなんて知らなかったなぁ」
「こ、これは、その……あまり触って、ほしくなくて……」
僅かに表情を曇らせるルザに、トコエは笑みを浮かべた。
もう一度彼を強く抱きしめ、優しく囁やく。
「君が望むなら、全部、わたしで染めてあげる」
「っ、うん、全部トコエに、トコエで感じたい……」
「いつか、終わりを迎える時まで、ずっと」
くちゅりと二人の重なったままの部分が擦れる。ルザは彼女の髪を撫でると、ラゾと話したことを語り始める。
「エヴァンジルの寿命は兵士になってから十年、十五年。僕たちにはもう、長くて十年しか残されてない」
「……わたしはもっと短いよ」
今までの熾烈な戦いの中でトコエは自分の命を燃やし続けてきた。
きっと保ってあと数年。そう彼女自身は思っていた。
「トコエはエヴァンジルというのがどういう意味なのか、知ってる?」
「……さぁ?」
「福音のことだよ」
良い知らせを意味するそれは、長く膠着状態にあるこの戦争に良い影響をもたらすものとして作られた。それが、本来兵士の才能によって礼装・武装の適合率が大きく左右されてしまう旧式を人為的に改良した新き兵士、エヴァンジルという存在だった。
「あいつは、研究所に居たおっさんは、僕をある意味での成功と言った。最初は皮肉かと思ったけど、多分、それは間違っていないんだ」
ルザはあの日、彼女に突き放された日にラゾと多くを話した。来たばかりの頃は機密だとか何とか言って情報を渡さなかったラゾだが、それは彼を信頼していないが故の行動だった。
機械のくせに。
「エヴァンジルに急速な進化をもたらす、それこそが、エヴァンジルの特殊体である僕の力。礼装・武装の性能向上、傷ついた炉の修復……そんな数多の可能性を繋げる、“福音”」
「じゃあ、もしかしたら……」
「君はエネルギー切れを克服したんだ。僕と力を合わせれば、寿命の限界だって克服できる。もちろん、子供だってできるかも」
その言葉にトコエは息を呑む。こんな都合の良いことがあってもいいのかと、そう思いながら喜んでしまうのを隠せなかった。
「ルザ、ごめんねっ、わたし……君と一緒に居たいけど、終わりを考えてしまうのが怖くて、君を拒絶してしまった、ごめん、ほんとに……」
「分かってるよ。僕だって怖かったよ。あと少ししか君と一緒に居られないなんて……。でももう、きっと大丈夫だ。僕たちはたくさん捨ててきた。だから今度は、たくさん拾っていくんだよ」
「うん……、うん」
「ということで、今日からもうここに住んでもいいよね?」
すかさずそう尋ねてくるルザに、トコエは泣きながら笑った。
「うん、そうだね。ここで、好きな時に一緒に気持ちよくなろう」
「トコエ……!そうだ、もう他の子とはしちゃダメ?」
「他の女の子と寝てるのはまぁ妬けるけど、嫌じゃないなら君の好きなようにしていいよ。ここにはルザみたいな存在が必要だから……わたしたちはそうやって、ここの平和を守ってきた」
少しだけ遠い目をしながらトコエは言う。
「こう言えるのは、君が一途だって見込んでのことだから。今度は周りの反感を買わない程度に気をつけること。浮気したら超すごいお仕置きだよ」
「どうしよう、お仕置きがすごい気になる」
くすくすと彼女は笑う。それにつられてルザも笑みを浮かべた。
「誓うよ。僕の愛しい人は後にも先にも君ただ一人。僕は生涯をかけて、トコエを愛し続ける」
「わたしも。ずっと、君を一番愛してる。あの時から、ずっと」
「僕だって、初めて会った時からずっとトコエを愛してる」
「ふふふ、知ってる」
そんな微睡の中で、二人はずっとお互いの想いを伝え続けた。
世界を脅かす争いは、これからも続くだろう。けれど救いのない世界で、二人に福音は訪れた。
狂ってしまった夢に寄り添う数多の物語によって、いつしか幸福な目覚めは必ずもたらされるだろう。
14 初恋にまさる想いなし③
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