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07-02 *
しおりを挟むゆっくりと顔を上げれば、一心に自分を見つめる赤い瞳が見えた。しっかりと抱き留められ、交わされる口付けに、煩いほどの心音が体中に鳴り響く。
「セレフィア、君を、愛している」
「はい。お慕いしております、ジノ様」
互いに想いを口にした後、再び唇が重なる。けれど今度は昼間にしたような軽いものでは済まなかった。一度離れてもまたすぐに重なって、次第に深く唇が交わっていく。それと同時に密着した身体が擦れあって、足先までもが熱に浮かされてしまう。
「ん、……ふ、ぅ」
服越しにもはっきり分かってしまうジノの昂りに、セレフィアは僅かに硬直する。本当に自分に興奮して、交わりたいと思っているのだと強く実感してしまい、思考がゆっくりとこの先の淫らな展開を導いていく。
そのままなだれこむようにベッドに倒れ込んで、ジノの下に組み敷かれる。薄暗い部屋の中でも不思議と彼の表情がはっきりと見えて、興奮を隠せていないのが分かった。
手を重ねて、指を絡めて、夢中になってキスを交わしていると、物欲しげに彼の手がセレフィアの胸元を撫でる。けれど不慣れな愛撫が服の中に入ってくることもなく、ジノはそこで困ったような顔をして止まってしまう。
「……脱ぎましょう、か」
なんとなく、ジノが夜着をどうやって脱がすのかに苦心しているように思えて、彼女はそう尋ねた。
「す、すまない。あ……やり方を、教えて貰えれば」
別に難しいものではないはずなのだが、妙に初々しい反応にセレフィアはジノの手を取りながら尋ねる。
「もしかしてジノ様、ご経験ない……?」
「あるはずがないだろう。俺は最初から君にしか関心がなかった」
ジノならば多少なりとも男女経験があるのでは、そう思っていたセレフィアは驚いてしまう。
「ジノ様ならばもっと素敵な女性を選べるはずなのにと、結婚相手を知ったときはそう思っていました」
「そんなことを言わないでくれ。君の笑った顔は誰よりも可憐で、愛らしくて……他の女性に目移りなどできないよ」
「そ、そんなに、笑顔を褒められるのは、なんだか照れてしまいます……」
酷く落ち着かない気がしてセレフィアが頬を赤らめていると、するりと夜着の紐が解けて胸元が僅かにはだける。そのままはらりと零れてしまいそうな夜着を両腕で留めると、ジノが彼女の素肌を凝視しながら喉を鳴らす音が聞こえた。
「そ、その、あまりじっと見られると……」
「見せて、くれないのか」
指先で夜着を弱く引っ張りながら、ジノが懇願してくる。
こうも下心を隠さず真正面から来られると、耐性が一切ないセレフィアは困ってしまう。頬に触れたキスに促されるまま腕を緩めれば、するすると夜着は剥がされ、自分の裸体が晒されていく。
「……綺麗だ、セレフィア」
「う……」
彼の手が露わになった肌を撫でていき、唯一身につけている下着に触れる。そこに指を潜り込ませ、つうっと女陰をなぞった。
「下ろして、いいか」
「は、い」
弱々しく頷けば、ジノは控えめに彼女の下着を脱がしていく。
完全に裸となったセレフィアは、けれど恥ずかしそうに胸元と股座を手で隠してしまう。
「恥ずかしい、か?」
「すごく……」
涙目になりながらそう訴えると、彼は申し訳なさそうに眉を下げた。だが何を考えたか、彼は身体を起こすと今度は手早く自分の服を脱ぎ捨てていく。
シャツを脱ぎ、引き締まった上半身が露わになったところで大きく息を吐く。彼の表情もどこか恥ずかしげだ。
「俺に背を向けて、座ってくれるか」
「は、はい」
言われた通りにベッドの真ん中に座ると、そっとジノに背後から抱きしめられる。密着する肌の感触は未知のもので、彼女は高鳴る鼓動を落ち着けるように絡みついてくる腕に触れた。
「これなら少しは恥ずかしくない、だろう」
確かに正面から裸を見られているという感覚はなくなった。先ほどよりも羞恥心は収まった気がして、セレフィアは小さく頷く。
「……続きをしてもいいか?」
閉じた彼女の両足を撫でながら、ジノが耳元で囁く。これはこれで落ち着かないなと思いながら、セレフィアはまた頷いたあとにゆっくりと足を開いた。
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