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「ほとんど一人で、ぽつんと過ごしていました。職員に対しても、微妙に距離を取っていて」
「……好きな子とか、いなかったんですか?」
そういえば初恋があった、という話をしていたのを思い出し、ノイナは質問してみた。あの反応を見るに、孤児院で一緒にいた女の子だろうか。
「そんなことも……あったにはあった、んですが……その、言い難いんですが、いじめもあったりして」
(好きな子にいじめられた、か……)
「子どもたちはなぜかゼルスを怖がっているようで、決してあの子と遊ぼうとしてくれませんでした。あの子もそれを分かってか、一年が経つころには周りの子と一切話さなくなってしまいました」
寂しい幼少期、なんて言葉にすれば簡素に聞こえてしまうが、そのころの彼の心境を思えばそんな生やさしいものではないだろう。
大好きだった母の迎えだけを心の支えにし、周囲に馴染むことなく孤独な日々を送る。子どもが経験するにはつらく苦しい環境だ。
「あの子が笑ってくれるときは、いつだって母親の話をしてくれたときと、甘いお菓子を食べているときだけでした」
「あ、ケーキ、ですか」
「ええ。特別な日にしか食べられないものでしたから、ケーキは特に。誕生日や、……院を出る前日に開かれるお別れ会でも」
「なるほど……」
今の彼と通じる話に、ノイナは小さく頷いた。となると、ケーキが嫌いになったのはそのあと、ということになる。
「あの……」
ノイナが頭の中で情報を整理していると、リサはおずおずと声を発した。どうしたのかと小さく首を傾げれば、彼女は怯えた様子で尋ねてくる。
「ゼルスは、なにか、言っていませんでしたか?」
「なにかとは……?」
「騙されたとか、その、嘘をつかれた、とか」
もしかしてそれは、彼が嘘を嫌っている、という話だろうか。
「嘘が嫌い、とは聞いたことがあります」
「そうですか……」
「でも、彼が嘘を嫌うようになったのは、お母さんが原因、なんですよね……?」
迎えに来ると約束した母が現れなかったこと。それが原因かと尋ねれば、リサは暗い表情で首を横に振った。
「あの子が嘘を嫌いになったのは……私のせいなのです」
「え?」
「私が吐いた嘘が、あの子をひどく傷付けてしまった……」
深い後悔を含んだ彼女の言葉に、ノイナは沈黙した。しばらく続きの言葉を待っていれば、息を詰まらせながらも話してくれる。
「あの子が母親の迎えを待っていたと、お話ししましたよね。孤児院に馴染めなかった彼は、歳を重ねても諦めずにずっと母親を待ち続けていました。いつしか、手紙まで待つようになって」
「お母さんから手紙が届く、って?」
「些細なものでも、希望を持っていたかったのでしょう。私とも距離を取るようになって、周りに分厚い壁を作って、毎朝早くから郵便が来るのを待つゼルスの姿を見ていて、……私は」
じっと孤独に耐えながら、来るかどうかも分からない手紙を健気に待ち続ける彼の姿を見たリサは、ひどく憐れに思ったことだろう。そんな彼に、何かしてやりたいと思ってしまうのは、仕方のないことなのかもしれない。
「彼の目を母親から逸らしたくて、文字でなら彼ももっと自分の気持ちを教えてくれると思って……文通をしようと、手紙を書いたのです。けれど彼はそれを、母親からの手紙だと勘違いしてしまって」
「あ……」
「違うと、言えなかったんです。あんなに嬉しそうに笑う彼の顔を見たら、それが私が書いたものだなんて……」
ようやく得られた母との繋がりに彼が喜ぶのは、当然だった。そしてその手紙は、母がいずれ迎えに来るという言葉の裏づけにもなってしまった。
「余計に手紙に執着してしまうようになったゼルスに、駄目だと思いながら手紙を書き続けました。一年に、数回程度……いずれバレる嘘と、分かりながらも」
「結局……バレてしまったんですね」
「はい。それも、彼が院を去る、前日の夜に」
翌日には母親が迎えに来る。そう無垢に信じて、お別れ会で大好きなケーキを味わっていた彼にとって、その真実はあまりにも残酷なものだった。
そして、手紙が偽物であったと知るのと同時に、彼は理解してしまったことだろう。
どれだけ待っていても母は、迎えに来てはくれないのだと。
――先生の、っ、嘘つき……!!
「私を嘘つきと呼んで、ゼルスは初めて涙を見せました。そして翌日、誰も訪ねてこない孤児院から、飛び出すように出て行ってしまったのです」
「…………そうでしたか」
だからゲブラーはあれほどまでに、嘘を憎んでいたのだ。母親との約束と、リサとの手紙、信じていた二人に嘘を吐かれ、手酷く裏切られたと思って。
ケーキを“嘘の味”と言っていたのも、この思い出が深く染みついたものだから、だった。きっとケーキを食べると否応なく思い出してしまうのだろう。嘘を真実と無垢に信じた結果、心に深い傷を負った時のことを。
「今でも、後悔しています。あんなことをするべきではなかったと、私の余計な行動が余計にあの子を傷つけてしまった」
「院長先生……」
「きっと彼は、私を恨んでいるでしょう。今更謝ったところで……」
俯いてしまうリサの姿を、ノイナは悲しく思いながら見つめた。
善意でしかなかった彼女の行動は、結果的にゲブラーをひどく傷付けてしまった。
けどそれは、余計ではないとノイナは思った。すれ違いさえ起きなければ、きっとリサの行動はゲブラーの孤独をわずかでも癒してくれたはずだ。
(それに、院長先生に悪意がなかったって知ったら、きっとゲブラーだって……)
リサは彼を、優しい子だと言った。ノイナも、今も彼は本当は優しい人だと思っていた。確かに会った当初は傍若無人でとんでもない外道だったが、それでも他人の苦痛に共感を示したり、寄り添ったりできていた。
今の彼なら、この過去を清算できるかもしれない。なんとなく、そんなことを考えた。
「その、実は今、ゼルスさんを探していて……居場所とかに心当たりはありませんか?」
「居場所ですか……残念ですが。この孤児院にも立ち寄ることはないでしょう」
リサの悔恨の滲んだ言葉にノイナは俯いてしまう。
確かに孤児院での生活は、ゲブラーにとって思い出したくもない、忘れてしまいたい過去なのかもしれない。でも、本当にそれで終わらせてもいいのかと、そんな老婆心が浮かんでくる。
「そうですか。お話していただき、ありがとうございます。彼のことが知れて、嬉しかったです」
深々と頭を下げて、ノイナは礼を言った。そのまま立ち上がってもう一度礼をすると、まだ俯いたままのリサに声をかけた。
「私の勝手なイメージですけど……今の彼なら、院長先生の行動も理解してくれると思います」
「……え?」
「ちょっと捻くれちゃってるのは否定できないんですが、それでも彼は、優しい人ですから」
ノイナの言葉を聞いたリサは、また静かに涙ぐんだ。それを少しだけ見つめて、ノイナは再度感謝を伝えると、そのまま孤児院をあとにした。
「……、さぁ、切り替えていこう!」
「……好きな子とか、いなかったんですか?」
そういえば初恋があった、という話をしていたのを思い出し、ノイナは質問してみた。あの反応を見るに、孤児院で一緒にいた女の子だろうか。
「そんなことも……あったにはあった、んですが……その、言い難いんですが、いじめもあったりして」
(好きな子にいじめられた、か……)
「子どもたちはなぜかゼルスを怖がっているようで、決してあの子と遊ぼうとしてくれませんでした。あの子もそれを分かってか、一年が経つころには周りの子と一切話さなくなってしまいました」
寂しい幼少期、なんて言葉にすれば簡素に聞こえてしまうが、そのころの彼の心境を思えばそんな生やさしいものではないだろう。
大好きだった母の迎えだけを心の支えにし、周囲に馴染むことなく孤独な日々を送る。子どもが経験するにはつらく苦しい環境だ。
「あの子が笑ってくれるときは、いつだって母親の話をしてくれたときと、甘いお菓子を食べているときだけでした」
「あ、ケーキ、ですか」
「ええ。特別な日にしか食べられないものでしたから、ケーキは特に。誕生日や、……院を出る前日に開かれるお別れ会でも」
「なるほど……」
今の彼と通じる話に、ノイナは小さく頷いた。となると、ケーキが嫌いになったのはそのあと、ということになる。
「あの……」
ノイナが頭の中で情報を整理していると、リサはおずおずと声を発した。どうしたのかと小さく首を傾げれば、彼女は怯えた様子で尋ねてくる。
「ゼルスは、なにか、言っていませんでしたか?」
「なにかとは……?」
「騙されたとか、その、嘘をつかれた、とか」
もしかしてそれは、彼が嘘を嫌っている、という話だろうか。
「嘘が嫌い、とは聞いたことがあります」
「そうですか……」
「でも、彼が嘘を嫌うようになったのは、お母さんが原因、なんですよね……?」
迎えに来ると約束した母が現れなかったこと。それが原因かと尋ねれば、リサは暗い表情で首を横に振った。
「あの子が嘘を嫌いになったのは……私のせいなのです」
「え?」
「私が吐いた嘘が、あの子をひどく傷付けてしまった……」
深い後悔を含んだ彼女の言葉に、ノイナは沈黙した。しばらく続きの言葉を待っていれば、息を詰まらせながらも話してくれる。
「あの子が母親の迎えを待っていたと、お話ししましたよね。孤児院に馴染めなかった彼は、歳を重ねても諦めずにずっと母親を待ち続けていました。いつしか、手紙まで待つようになって」
「お母さんから手紙が届く、って?」
「些細なものでも、希望を持っていたかったのでしょう。私とも距離を取るようになって、周りに分厚い壁を作って、毎朝早くから郵便が来るのを待つゼルスの姿を見ていて、……私は」
じっと孤独に耐えながら、来るかどうかも分からない手紙を健気に待ち続ける彼の姿を見たリサは、ひどく憐れに思ったことだろう。そんな彼に、何かしてやりたいと思ってしまうのは、仕方のないことなのかもしれない。
「彼の目を母親から逸らしたくて、文字でなら彼ももっと自分の気持ちを教えてくれると思って……文通をしようと、手紙を書いたのです。けれど彼はそれを、母親からの手紙だと勘違いしてしまって」
「あ……」
「違うと、言えなかったんです。あんなに嬉しそうに笑う彼の顔を見たら、それが私が書いたものだなんて……」
ようやく得られた母との繋がりに彼が喜ぶのは、当然だった。そしてその手紙は、母がいずれ迎えに来るという言葉の裏づけにもなってしまった。
「余計に手紙に執着してしまうようになったゼルスに、駄目だと思いながら手紙を書き続けました。一年に、数回程度……いずれバレる嘘と、分かりながらも」
「結局……バレてしまったんですね」
「はい。それも、彼が院を去る、前日の夜に」
翌日には母親が迎えに来る。そう無垢に信じて、お別れ会で大好きなケーキを味わっていた彼にとって、その真実はあまりにも残酷なものだった。
そして、手紙が偽物であったと知るのと同時に、彼は理解してしまったことだろう。
どれだけ待っていても母は、迎えに来てはくれないのだと。
――先生の、っ、嘘つき……!!
「私を嘘つきと呼んで、ゼルスは初めて涙を見せました。そして翌日、誰も訪ねてこない孤児院から、飛び出すように出て行ってしまったのです」
「…………そうでしたか」
だからゲブラーはあれほどまでに、嘘を憎んでいたのだ。母親との約束と、リサとの手紙、信じていた二人に嘘を吐かれ、手酷く裏切られたと思って。
ケーキを“嘘の味”と言っていたのも、この思い出が深く染みついたものだから、だった。きっとケーキを食べると否応なく思い出してしまうのだろう。嘘を真実と無垢に信じた結果、心に深い傷を負った時のことを。
「今でも、後悔しています。あんなことをするべきではなかったと、私の余計な行動が余計にあの子を傷つけてしまった」
「院長先生……」
「きっと彼は、私を恨んでいるでしょう。今更謝ったところで……」
俯いてしまうリサの姿を、ノイナは悲しく思いながら見つめた。
善意でしかなかった彼女の行動は、結果的にゲブラーをひどく傷付けてしまった。
けどそれは、余計ではないとノイナは思った。すれ違いさえ起きなければ、きっとリサの行動はゲブラーの孤独をわずかでも癒してくれたはずだ。
(それに、院長先生に悪意がなかったって知ったら、きっとゲブラーだって……)
リサは彼を、優しい子だと言った。ノイナも、今も彼は本当は優しい人だと思っていた。確かに会った当初は傍若無人でとんでもない外道だったが、それでも他人の苦痛に共感を示したり、寄り添ったりできていた。
今の彼なら、この過去を清算できるかもしれない。なんとなく、そんなことを考えた。
「その、実は今、ゼルスさんを探していて……居場所とかに心当たりはありませんか?」
「居場所ですか……残念ですが。この孤児院にも立ち寄ることはないでしょう」
リサの悔恨の滲んだ言葉にノイナは俯いてしまう。
確かに孤児院での生活は、ゲブラーにとって思い出したくもない、忘れてしまいたい過去なのかもしれない。でも、本当にそれで終わらせてもいいのかと、そんな老婆心が浮かんでくる。
「そうですか。お話していただき、ありがとうございます。彼のことが知れて、嬉しかったです」
深々と頭を下げて、ノイナは礼を言った。そのまま立ち上がってもう一度礼をすると、まだ俯いたままのリサに声をかけた。
「私の勝手なイメージですけど……今の彼なら、院長先生の行動も理解してくれると思います」
「……え?」
「ちょっと捻くれちゃってるのは否定できないんですが、それでも彼は、優しい人ですから」
ノイナの言葉を聞いたリサは、また静かに涙ぐんだ。それを少しだけ見つめて、ノイナは再度感謝を伝えると、そのまま孤児院をあとにした。
「……、さぁ、切り替えていこう!」
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