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30-01 どこまで我慢できるかな*
しおりを挟むベッドに片足を掛ければ、ゲブラーに手を引かれる。なだれるように彼の腕に抱かれて、お互いをじっと見つめ合ったあと、そっと唇を寄せた。
いつもはすぐに激しくなるキスも、触れるだけのものを何度か繰り返して、唇の感触をじっくりと味わう。それが妙に恥ずかしくて赤くなっていれば、彼の手が愛でるように髪を撫でて、少しずつ唇が深く交わっていく。
肌を擦り付け合うように強く抱きしめ合っていると、すりすりと怒張が股の間を擦る。入浴時からずっと我慢し続けていたそれは先走りでベタベタで、それを感じるほどにノイナも下腹部が熱くなってしまう。
「んん……」
ようやく口が開いて、舌を絡め合う。相変わらず腰が砕けてしまいそうな深いキスに翻弄され、口端から混ざり合った唾液が溢れ、胸元を汚した。
「ふ、ぅ……はぁ」
落ち着きながらも熱の入ったキスが終わって恍惚としていれば、ゲブラーはノイナの手を取って自分の頬にあてがった。甘えるようなその仕草にどきどきしていると、熱っぽい瞳にじっと見つめられる。
「ちゃんと、我慢できたでしょ」
「はい。偉いですね、ゲブラー」
「子供じゃないんだけど……あんたって、たまに俺のこと子供だと思ってるでしょ」
「否定はしません」
正直に子供扱いしていると言えば、彼はむっとする。そういう顔をするところも幼く感じるのだが、きっと指摘すれば臍を曲げてしまうだろう。
「俺は立派な大人だから。だからがっつかないし、我慢だって普通にできるの!」
「なるほど……」
意地を張るゲブラーに、ノイナは好奇心が湧いてしまう。
あの傍若無人の自己中男だったゲブラーが、今やノイナのためならばちゃんと我慢ができるようになったのだ。それだけでも嬉しいのだが、どれだけ耐えられるのかも気になってしまう。
「その、ゲブラー?」
「なに」
頼み方によっては、あっさり試させてくれるかもしれない。そう考えたノイナは、思ったままの気持ちを言葉にした。
「私がベッドでしたいって言ったから、我慢してくれて、その……すごく嬉しいです」
「っ、ま、まぁ、当然でしょ」
「そんなに、私のこと好きでいてくれて、大切にしようとしてくれるんだなって」
「……そうだよ」
ノイナの言葉にダメージを受けるように、顔を真っ赤にしたゲブラーの返事はどんどん小さくなっていく。そんな彼の姿が不覚にも可愛いと思ってしまい、ノイナはついつい笑みを浮かべてしまう。
「我慢してるゲブラーを見ると、すごく、どきどきして……」
「……!」
「もっと見たいって……思っちゃったんです」
一瞬期待するような笑みを浮かべたゲブラーも、ノイナの言葉に渋い顔をする。だがノイナのしてほしいことはすると言った手前引けない彼は、ノイナから少し離れてベッドに座った。
「いいよ。まだ我慢、しててあげる」
「いいんですか?」
「ノイナがしたいなら…………するって、言ったし」
ノイナに嘘はつかない。その約束を今もまだ律儀に守っているゲブラーに、ノイナは柔らかく微笑んだ。
「ゲブラーのそういう律儀なところ、好きですよ」
「っ……、ほんと……?」
「はい」
思わず笑みを浮かべてしまいそうになったゲブラーは、しかしそれを堪えるように口を噤んだ。恐らくノイナにデレデレしているところを見せるのが恥ずかしいのだろう。それでも口元が緩んで、微妙に嬉しさを隠しきれていない。
そんなゲブラーの姿にノイナは思わず震えてしまう。健気な姿に、我慢などさせずに好きなだけさせてあげたい、なんて思ってしまうくらいには。
(……まさかゲブラーを、ここまで可愛いと思ってしまう、とは)
だが我慢してあげると言ってくれたのだから多少は耐えてもらおうと、ノイナは彼の男根に手を這わせた。ずっと耐えていたそこは、まだ鈴口からとろとろと先走りを溢し続けていて、ひどくもどかしそうだった。
「ゲブラーのここ……とっても切なそう、です」
「んぅっ……」
身を屈めてぺろりと先端を舐めれば、ゲブラーは敏感に反応する。彼の様子を上目遣いで見つめながら鈴口を舌先でほじくっていると、ぴくぴくと手の中のそれは震えて、ごぷっとまた透明な汁を溢れさせる。
「いっぱい、溢れて……、んむ、ん……」
先走りを舐め取って飲み込んで、そこからノイナはゆっくりと彼のものを口に含んだ。彼が喜ぶように舌を先端に絡めながらきつく手で扱けば、甘い快感に彼の腰が震え始める。
「ちょ、っん、ノイナ、それだめ、だって……っ」
「ん……だめ、ですか」
「じゃな、くて……っ、いいけど、いいんだけど」
今舐められるのは嫌なのかと思い口を離すも、顔を真っ赤にしたゲブラーは続けていいと言う。どこか噛み合わなさに首を傾げながら手を動かしていると、その違和感の正体に気づく。
(あれ、挿れるの我慢してって言ったつもりなんだけど……もしかして、ゲブラー……出すの我慢、してる……?)
試しにノイナは彼のものを口に含むと、そのままゆっくりと深く飲み込んでいく。唇を締めて、裏筋に舌を這わせながら今度は引き抜いていけば、彼はシーツを強く掴んで必死に堪えている。
また先端を執拗に舐め回して、きつく手で扱き上げてみる。それにもゲブラーは口を噤んで、足に力を入れて出さないよう我慢しているようだった。
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