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「うわあーー!!」
ごおおっと耳のそばを駆け抜けていく暴風と轟音。そして重力にあっちへこっちへと押される固定された身体。まるで風になったかのようにレールを駆け抜けていく大きな機械。
そこは、遊園地だった。
休む間もなくひとしきりアトラクションを楽しんだノイナは、スタールに支えてもらいながらベンチに腰を下ろした。なんだかここまではしゃいだのは久しぶりな気がする。
「けっこう刺激が強かったね」
「ですねぇ。安全バーが少ないアトラクションのほうが、なんか別の意味でドキドキしちゃいます」
すっかり日も暮れ、園内の明かりで照らされた別世界を、ノイナは眺めた。
スタールが行きたかった場所というのは、街から少し離れた場所にある遊園地だった。閉園二時間前というギリギリな時間ながら滑り込んだ二人は、そこで雰囲気もへったくれもないくらい遊び回った。
本当にこんなデートでいいのか。そんな疑問も抱く隙もないほどに。
「はぁー……楽しかった」
「ノイナは遊園地に来たことある?」
「小さいころにお母さんと一緒に。あんまり覚えてないですけど、懐かしくなっちゃいました」
「それは良かった」
楽しそうに遊び回るノイナを見て、スタールも満足そうにしていた。もしかしたら遊んでいる間のノイナは、ケーキを前にしたとき並にはしゃいでいたかもしれない。
「先輩は? そもそも、どうして遊園地を選んだんですか?」
「こういうところは初めてではないよ。任務で行く機会もあった」
「遊園地デート?」
「そうとも言えるかもね」
それなら、こういうデートも初めてではないのか。そう思った矢先に、彼は少しだけ恥ずかしそうにしながら語る。
「でも……ノイナと、来てみたかったんだ」
「私と?」
「そう。好きな人とこういうところを歩くのは、どんな気分なんだろう、と思って」
相変わらずスタールは直球で好意を伝えてくる。思わず照れたように視線を地面に落とせば、そっと彼の手がノイナの手を握った。
「ノイナのことが好きだって気づいたときから、恋人同士ですることが急に、憧れみたいなものになってしまってね。デートなんて任務で何度もしたことがあるけど、でも……好きな人と一緒ならきっと、すごく幸せな時間になるんだろう、って」
「そう、ですか」
「ああでも、遊園地というのは少し、子供っぽ過ぎたかな。それは、まぁ、初恋が遅すぎた自分を恨むしかないけれど」
「初恋……」
遠回しにノイナが初恋なんだと言われ、彼女はまたぐらぐらと揺れてしまう。
スタールからの好意は、本当にくすぐったい。純粋な想いと、尊敬と、憧れが、言葉のひとつひとつに詰まっているような、そんな気がしてしまうのだ。
彼がノイナに恋をした理由は、あの日の帰りに言っていた言葉から考えるに、きっと彼と初めてケーキを食べに行った日がきっかけだったのだろう。
――やっぱり先輩には、好きなものがあったほうがいいと思います
「先輩には好きなものがあったほうがいい、って……今思えば、すごいお節介みたいだなぁって後悔してたんですけど……先輩にとっては、そうではなかったり?」
「聞いた当初はなにも思わなかった、かな。でもあの言葉を聞いてから、ノイナと話していくうちに、だんだん……君に惹かれていったんだ」
「なるほど……」
「はっきり恋だって気づいたのは、君にお土産はなにがいいかって、電話をかけるようになってからだよ」
電話。それはスタールとノイナの奇妙な習慣だった。
思えばノイナは、あの習慣になにか特別な意味があったと思っていた。聴いていいものかと少しだけ迷ってしまうも、彼女は口火を切る。
「あの電話って、お土産を聞くためとか、私の、その、声を聞くためとか……それ以外にもなにか、あったんじゃないんですか?」
「なかなか鋭いね」
「あ、でも、秘密とかだったら全然いいので……!」
すぐさま手を振るも、大丈夫だとスタールは頷いてくれる。彼はどこか遠くを眺めるように暗い夜空を見つめると、こんなふうに話し始めた。
「少し、昔の僕のことについて話そうか」
「昔の?」
「そう。先生……マシェット長官に拾ってもらう前の僕の話。といっても、詳しくは話せない。ロクでもない過去だからね」
思わずノイナは固唾を飲んでしまう。どこか薄暗い部分が見え隠れするスタールの過去は、きっと生半可なものではないと思ったからだ。
「前に少し、話しただろう? 僕の、人格の話。あれは、子供のころからあったんだ。それも、今よりもコントロールが効かない状態で」
「多重人格……ってこと、ですか?」
「そうだね、病名で言うなら、解離性同一症。昔の僕は、当時少し……いや、かなりひどいところにいて、重度のストレスを抱えていたんだ」
スタールは孤児だと聞いている。劣悪な家庭環境からなんとか逃れて長官に拾われた、なんてことも十分あり得るだろう。
そもそも、解離性同一症を患ってしまっている時点で、まっとうな幼少期を過ごせていないことと同義なのだ。今の彼の様子を見るに、ある程度症状は改善しているように見えるが。
「繰り返される異常な体験に耐えきれず、僕の精神は霧散してしまったんだろう。ひどいときには一日で何十という人格に切り替わっては、いつのまにかどれも消えて、元の自分が誰なのかも分からなくなるほどに」
「そんな……」
「多分、今の“スタール”も、昔の僕とは違う人格なんだろう。まぁ、自分は誰か、なんていう問いは、ひどくナンセンスだと思うけどね」
どうしてそう思うのかと問い掛ければ、スタールはじっとノイナを見つめる。そして彼女の手をしっかりと握った。まるで自分という感覚を確かめるように。
「これが自分だと思えるたった一つの証だけで、人は自分という存在を認識できる。アイデンティティ、というやつだね。それは自分で見つけて、決めるものだから。誰かが教えてくれるものじゃない」
「ふ、ふむ……?」
「僕にとってそれは、ノイナへの恋心だった。つまりは、そういうことなんだ」
抽象的な説明にノイナが難しそうな顔をすればスタールは無邪気に笑った。そして今度はしっかりと説明してくれる。
この胸に抱いた想いこそが、自分が“スタール”である証だ、ということを。
27 了
ごおおっと耳のそばを駆け抜けていく暴風と轟音。そして重力にあっちへこっちへと押される固定された身体。まるで風になったかのようにレールを駆け抜けていく大きな機械。
そこは、遊園地だった。
休む間もなくひとしきりアトラクションを楽しんだノイナは、スタールに支えてもらいながらベンチに腰を下ろした。なんだかここまではしゃいだのは久しぶりな気がする。
「けっこう刺激が強かったね」
「ですねぇ。安全バーが少ないアトラクションのほうが、なんか別の意味でドキドキしちゃいます」
すっかり日も暮れ、園内の明かりで照らされた別世界を、ノイナは眺めた。
スタールが行きたかった場所というのは、街から少し離れた場所にある遊園地だった。閉園二時間前というギリギリな時間ながら滑り込んだ二人は、そこで雰囲気もへったくれもないくらい遊び回った。
本当にこんなデートでいいのか。そんな疑問も抱く隙もないほどに。
「はぁー……楽しかった」
「ノイナは遊園地に来たことある?」
「小さいころにお母さんと一緒に。あんまり覚えてないですけど、懐かしくなっちゃいました」
「それは良かった」
楽しそうに遊び回るノイナを見て、スタールも満足そうにしていた。もしかしたら遊んでいる間のノイナは、ケーキを前にしたとき並にはしゃいでいたかもしれない。
「先輩は? そもそも、どうして遊園地を選んだんですか?」
「こういうところは初めてではないよ。任務で行く機会もあった」
「遊園地デート?」
「そうとも言えるかもね」
それなら、こういうデートも初めてではないのか。そう思った矢先に、彼は少しだけ恥ずかしそうにしながら語る。
「でも……ノイナと、来てみたかったんだ」
「私と?」
「そう。好きな人とこういうところを歩くのは、どんな気分なんだろう、と思って」
相変わらずスタールは直球で好意を伝えてくる。思わず照れたように視線を地面に落とせば、そっと彼の手がノイナの手を握った。
「ノイナのことが好きだって気づいたときから、恋人同士ですることが急に、憧れみたいなものになってしまってね。デートなんて任務で何度もしたことがあるけど、でも……好きな人と一緒ならきっと、すごく幸せな時間になるんだろう、って」
「そう、ですか」
「ああでも、遊園地というのは少し、子供っぽ過ぎたかな。それは、まぁ、初恋が遅すぎた自分を恨むしかないけれど」
「初恋……」
遠回しにノイナが初恋なんだと言われ、彼女はまたぐらぐらと揺れてしまう。
スタールからの好意は、本当にくすぐったい。純粋な想いと、尊敬と、憧れが、言葉のひとつひとつに詰まっているような、そんな気がしてしまうのだ。
彼がノイナに恋をした理由は、あの日の帰りに言っていた言葉から考えるに、きっと彼と初めてケーキを食べに行った日がきっかけだったのだろう。
――やっぱり先輩には、好きなものがあったほうがいいと思います
「先輩には好きなものがあったほうがいい、って……今思えば、すごいお節介みたいだなぁって後悔してたんですけど……先輩にとっては、そうではなかったり?」
「聞いた当初はなにも思わなかった、かな。でもあの言葉を聞いてから、ノイナと話していくうちに、だんだん……君に惹かれていったんだ」
「なるほど……」
「はっきり恋だって気づいたのは、君にお土産はなにがいいかって、電話をかけるようになってからだよ」
電話。それはスタールとノイナの奇妙な習慣だった。
思えばノイナは、あの習慣になにか特別な意味があったと思っていた。聴いていいものかと少しだけ迷ってしまうも、彼女は口火を切る。
「あの電話って、お土産を聞くためとか、私の、その、声を聞くためとか……それ以外にもなにか、あったんじゃないんですか?」
「なかなか鋭いね」
「あ、でも、秘密とかだったら全然いいので……!」
すぐさま手を振るも、大丈夫だとスタールは頷いてくれる。彼はどこか遠くを眺めるように暗い夜空を見つめると、こんなふうに話し始めた。
「少し、昔の僕のことについて話そうか」
「昔の?」
「そう。先生……マシェット長官に拾ってもらう前の僕の話。といっても、詳しくは話せない。ロクでもない過去だからね」
思わずノイナは固唾を飲んでしまう。どこか薄暗い部分が見え隠れするスタールの過去は、きっと生半可なものではないと思ったからだ。
「前に少し、話しただろう? 僕の、人格の話。あれは、子供のころからあったんだ。それも、今よりもコントロールが効かない状態で」
「多重人格……ってこと、ですか?」
「そうだね、病名で言うなら、解離性同一症。昔の僕は、当時少し……いや、かなりひどいところにいて、重度のストレスを抱えていたんだ」
スタールは孤児だと聞いている。劣悪な家庭環境からなんとか逃れて長官に拾われた、なんてことも十分あり得るだろう。
そもそも、解離性同一症を患ってしまっている時点で、まっとうな幼少期を過ごせていないことと同義なのだ。今の彼の様子を見るに、ある程度症状は改善しているように見えるが。
「繰り返される異常な体験に耐えきれず、僕の精神は霧散してしまったんだろう。ひどいときには一日で何十という人格に切り替わっては、いつのまにかどれも消えて、元の自分が誰なのかも分からなくなるほどに」
「そんな……」
「多分、今の“スタール”も、昔の僕とは違う人格なんだろう。まぁ、自分は誰か、なんていう問いは、ひどくナンセンスだと思うけどね」
どうしてそう思うのかと問い掛ければ、スタールはじっとノイナを見つめる。そして彼女の手をしっかりと握った。まるで自分という感覚を確かめるように。
「これが自分だと思えるたった一つの証だけで、人は自分という存在を認識できる。アイデンティティ、というやつだね。それは自分で見つけて、決めるものだから。誰かが教えてくれるものじゃない」
「ふ、ふむ……?」
「僕にとってそれは、ノイナへの恋心だった。つまりは、そういうことなんだ」
抽象的な説明にノイナが難しそうな顔をすればスタールは無邪気に笑った。そして今度はしっかりと説明してくれる。
この胸に抱いた想いこそが、自分が“スタール”である証だ、ということを。
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