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21-03 *※(3Pぎみ)

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「ゲブラーもスタール先輩相手だったら自信ないですか?」
「んー……わかんない。実際話してみないと嘘を見抜けるかどうかは……」
「そもそも、ゲブラーの嘘センサーって……どういう仕組みなんです?」
「俺はウソ発見器じゃないからね?」


 不満そうに彼は言うと、またぐいぐいと酒を飲み込む。果たしてワインはそんな飲み方をしていいものだっただろうか。


「なんていうのかな……んー、なんとなく分かるんだよね。でも分かるのと同時に、殺意が沸く」
「さ、殺意……?」
「うん。そのまま嘘つかれ続けたら多分、殺しちゃうだろうなって、マジの殺意だよ。……前に近付いてきた美人のおねーさんも、すっごい嘘吐きだったな。襲いかかってきたから返り討ちにしたけど」
(美人のおねーさん……他国の諜報員のことかな)


 要は殺意を覚えるのと同時に嘘だと分かる、ということか。ほとんど第六感の類と言っていいかもしれない。


「本当に嘘が嫌いなんですね」
「嫌い、嫌い、大っ嫌い。嘘吐く奴は全員殺したいよ、そんくらい嫌い」
「嘘ついたことない人っていないと思いますけど……野菜を食べるのとどっちが嫌いですか?」
「うーん……嘘かなぁ……でも野菜は殺せないからなぁ……」


 物騒な話に混ざる野菜の話に、なぜかノイナはくすくすと声をあげて笑ってしまう。
 そうしているとゲブラーがくっついているのが気に入らないのか、スタールがノイナの手を握ってくる。すぐに彼の手を握り返せば、スタールの頬がまたじわりと赤らんだ。


「先輩の嫌いなものは……そういえば、好き嫌いはない、でしたっけ」


 任務の邪魔になるから好き嫌いしない、なんて言っていたことを思い出す。だが彼の人格の話を聞いたあとでは、本当にそうなのかな、なんて思った。


「いや……一つだけ、あるよ。嫌いなもの」
「え、あるんですか?」
「ん…………ピエロが、苦手なんだ」


 怯える子供のようにぼそぼそと告白するスタールに、思わずノイナはキュンとしてしまう。ピエロ恐怖症は確かに実在するものだが、まさか完全無欠のスタールもそうだとは思わなかった。


「ピエロ、怖いんですか?」
「うん。あまり、いい思い出がなくて」


 恋しそうにノイナの手を頬に寄せると、スタールは彼女の手のひらにキスを落としてくる。甘えるようなその仕草にそっと彼の頬を撫でてやれば、彼は緩みきった笑みを浮かべる。


「でも好きなものも、今はちゃんとある」
「え、あっ、あぁ」
「ノイナ……ノイナのことが、好きだよ。君は僕の、宝物なんだ……」
「なに宝物って、子供みたい」


 気がつけばスタールはノイナの指に舌を這わせて、ひどく恋しそうに舐めてくる。スタールの言葉を子供っぽいと吐き捨てたゲブラーも、なぜかごそごそと彼女の服に手を潜らせてくる。


「あの」
「ノイナは、最高の玩具だよ。感度だっていいし、俺が触るとすぐびしょびしょに濡らすし、セックスだってすっごい気持ちいいし……」
「ん……僕も、ノイナと、一番奥深くまで繋がってみたい……愛する人と一つになったら、きっともう、寝る仕事ができなくなるくらい……でも、そうなってしまいたい」


 まさかと思いノイナがテーブルをみれば、いつの間にかあんなにあったワインボトルはことごとくが空だった。確かに会話に夢中になってはいたけれど、さすがに飲むのが早すぎないかと、そう声には出さずに突っ込んでしまう。

 いや、今はこの状況のほうが問題だった。


「また突っ込まれてとろとろになっちゃうあんたの顔が、見たいなぁ……ねーえ、ちゅーして」
「僕とも、ノイナ……ん、舌を出して、また一緒に舐め合おう……」


 間違いなく二人は酔っている。顔は赤いし少しだけ呂律も回っていない。酔わない宣言とはいったいなんだったのか。


「ちょ、ちょっと酔いを覚ましましょう! ね? お水、お水とってきますから……!」
「酔ってないよ。全然平気だ」
「そうだよ。俺のどこが、んっ、酔ってるってぇ?」
「だったら手を止めろぉ!」


 いつの間にかゲブラーの手は直に胸に触れていて、ぴんと尖った頂きをいやらしく指で弄っている。それにぴくぴくと反応を示せば彼は熱く息を吐き出して、ノイナの耳をしゃぶってくる。

 酔ってない、そう言ったスタールもどこか様子がおかしい。片手はしっかりとノイナの手を指を絡めて、もう片方の手は煽るように太ももを撫でている。そうしているうちにスカートが捲られて、もぞもぞと下着の中に入ってきてしまう。


「はぁ……ノイナ、もう濡れてる……ここもとっても素直で、可愛らしいね……いっぱい可愛がって、あげないと……」
「んゃっ、あっ、だめ、指、挿れちゃっ」
「そろそろ、ん、乳首だけでイけるんじゃない……? 真っ赤になって、かわいいねぇ」


 いつの間にかシャツの前ははだけ、肌着もブラジャーも捲れ上がっている。あれこれ止めようと手を動かすほどに服は脱げていって、スカートがずるりと脱げてしまえば、もはや裸も同然の状態だった。


「座ったままじゃやりにくいね。……続きはベッドで、一緒に気持ち良くなろう、ノイナ」
「ほら、こっちも脱いじゃって」


 ばさっと残りを脱がされながら抱き上げられ、裸になったノイナは強制的にベッドへと連行される。優しく柔らかなベッドに下ろされるも、すぐに迫ってくる男二人にノイナは小さく悲鳴をあげた。


(絶体絶命……)


 ベッドの上の攻防戦が、今始まる。



21 了
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