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20-01 どちらの甘いキスがお好み?*※(3Pぎみ)

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「贈り物対決の結果は……」


 正直、結果は最初からこれにしようと決めていたのだが、贈り物の中身を見てもまったく同じ結論だった。それに安心しつつも、彼女は苦い笑みを浮かべる。


「引き分けです」
「なんで!」


 案の定理由を求められ、ノイナは怯んでしまう。せっかくの贈り物を採点するなんてことはしたくないのだが、それでも痛む良心を無視して説明した。


「先輩はどちらも好印象、ゲブラーはケーキがすごく好印象でしたがアクセサリーはちょっと重い……なので、どっちも同じくらいです」
「なんで俺が贈ったものがただのペンより感触悪いわけ? ちょっと、ノイナー!」
「ただのペンじゃない。彼女の手の大きさに合わせて、女性用に軽量化された優秀な万年筆だ」
「そんなちっちゃいことまで考えてるなんて、あんたちょっとキモいんだけど……!」


 ノイナに迫ってくるかと思いきや、ゲブラーはスタールとどっちの贈り物が良いのか口論を始めてしまう。なんとも醜い争いだった。


(二人ともちゃんと考えて選んでくれた物だし、文句なんて言わずに受け取りたいところだけど……)


 やはり、どちらが優れているかを競い合うという方法では、優劣の判定をするノイナの精神的負担が大きいのだ。
 なぜ自分が決める必要があるのかと思いつつも、自分が賞品のようなものだから仕方ないと言えば仕方なかったりする。


(やっぱり競争以外で、二人を釘付けにできるような、そんな妙案はなにかないか……?)


 思考を巡らすノイナは、しかし集中できない。大の甘い物好きである彼女の目の前にあるのは美味しそうなチョコレートにタルト、目移りしないはずがないのだ。


「あー……だんだん馬鹿らしくなってきた」
「ん、ノイナ」


 ようやく冷静になったのか、二人は口喧嘩終えたらしい。頭を抱えるゲブラーに対して、スイーツを物欲しそうに眺めていたノイナに気づいたスタールは、彼女の名前を呼んだ。


「はいっ」
「遠慮せずに食べていいんだよ。君のために買ってきたんだから」
「え、いいんですか!」


 意気揚々と箱を手に取れば、スタールはチョコレートを一粒摘んでノイナに差し出してくる。


「ほら、口を開けて」
「へっ、えっと、……あ」


 一瞬ためらうも恥じらいながらノイナは口を開ける。ころりと丸いものが転がりこんだとたん、すぐに甘味が口の中をいっぱいにして、思わず彼女は満面の笑みを浮かべた。


「んー! 美味しいです!」
「それは良かった」
「……ちょっと、なにイチャイチャしてんの」


 二人の良い雰囲気を邪魔するように、ゲブラーがノイナを後ろから抱き寄せる。
 けれど自分が贈った甘味を幸せそうに味わうノイナに、スタールはゲブラーなど眼中にない様子で微笑んでいる。


「贈り物を選ぶたび、ずっと君の喜ぶ顔が直接見たいと思っていた。やっと……」
「ん、んんっ!?」
「え」


 感極まった様子でスタールはノイナの頬を撫でると、そのままぐいっと顔を近づけてキスをした。それからほとんど間を空けずに彼の舌が唇に触れて、チョコレートの甘味を共有するかのように艶かしく舌が絡まる。

 混じり合った二人の唾液にチョコレートが溶けて、口内が甘くまろやかな味でいっぱいになる。ノイナの柔い舌を堪能していたスタールの舌は、次第に上顎をなぞったり、歯列を刺激したりする。未知のその感触たちは次第に快感に近くなって、ずくずくと彼女の下腹部を疼かせていく。


「ふ、ぁあっ……」


 口が離れるのと同時に、唾液の糸が伸びる。それを恍惚とした表情で見つめたスタールは、再び舌先だけをつなげてチロチロと舐めまわし、もう一度ノイナの唇をじっくりと食んで味わった。


「ふふ……甘いキスはお気に召していただけたかな。もっと欲しいって、そんな顔をしているよ」
「せ、せんぱ」
「はい、ノイナ、あーん!」


 唐突に口の中になにか突っ込まれたかと思えば、嫉妬を露わにしたゲブラーに噛み付くように唇を奪われる。タルトの甘みと酸味の完璧な味わいに一瞬目を輝かせるも、乱暴に入り込んできた舌に慌ててそれを飲み込んでしまう。
 けれどタルトを飲み込んでもキスは終わらずに、口の中に残った甘さを奪うように深く交わり続ける。なんとか押し出そうと舌を伸ばせば、絡みついたそれはいやらしく彼女の舌を扱いてくる。


「んっ、んぅ……ふ、んんっ……」


 腰抜けになりながら暴力的なキスに耐えていれば、ようやくゲブラーは満足した様子で唇を離した。顔を真っ赤にして荒い息を吐き出すノイナをいやらしく見つめて、唾液が溢れた口端を舐めてくる。


「えっちな顔。俺とのキス、そんなに気持ちよかったんだ。味しなくなっちゃったし、もう一口いこうか?」
「んーん!」


 せっかくのノイナとの触れ合いを邪魔されたからか、スタールもさすがに余裕の表情を崩し、ゲブラーを鋭く睨みつける。けれどすぐに、穏やかな微笑を浮かべてみせた。

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