13 / 37
第二章 籠城する村への道
中立地帯の村
しおりを挟む
ノーラスと呼ばれる山岳地帯が存在する。
その山々は、聖王国、剣王国、砂王国、三つの大国を跨がるように横たわり、地勢学的な見地から非常に複雑かつ重要な拠点とされてきた。
現在は、いずれの国もノーラス山岳地帯を領土に組み入れず、緩衝地帯のままおくという三国協定が約一世紀前に締結され、百年経った今もなお守られている。
当時の三国の思惑は様々だが、聖王国側の軍事的な事情を推測すると、隣国に繋がる領土面積を減らしたい。聖結界外となる山岳地帯の統治が難しい。そして、聖王国の主力である白竜騎士団の騎馬隊は、山岳地帯で性能を十分に生かせないという三点。
何より聖王国は、東や南を向けば見渡す限り広大な平野が広がっている豊かな国である。あえて北に構える山岳地帯を抑えるメリットは、デメリットを上回るものではなかったのだろう。この協定が聖王国にとって有利に働いているのは想像に難くない。
そして、三国を跨ぐ山岳地帯の中央部に、ノーラス村と呼ばれる集落が存在する。四日半ぶりに休めそうな集落を目前にしたエレノアは、山の高所からその丘陵の村を見下ろしていた。
(……嘘。どうなっているの)
一目で不穏な様子が窺えた。不慣れながら何とかやり過ごしてきた山道の旅の、最後に待ち構えた難関にエレノアは思わず目を凝らした。
まずノーラス村は高さ六メートル近くある外壁で周囲を覆われていた。外壁には高さ一〇メートルを越える監視塔が東西南北に四本。城壁をさらに囲うように外縁には水の張られた堀が見えた。
そして、村の中央部には高さ二〇メートル近くはある監視用と思わしき高塔が聳え立っていた。
壁の中こそ村のような雰囲気だが、外周は想像以上に堅牢な造りをしているという事になる。簡易な動物避けの木柵しかない聖王国平地部の村とはまるで趣が違うもので、砦の跡地にでも集落を築いたのかという印象すらあった。
もし自前で築いた城壁だとしたら大したものである。もっとも怪物が跋扈する山岳地帯、そして国家の後ろ盾のない中立地帯。これくらい堅固でなければ集落を維持するのは難しいかもしれない。
エレノアが不穏に感じたのは、ノーラス村が要塞のように映ったからではない。
ノーラスの外壁周辺および村から少し離れた数百メートル程の位置。小柄な二足歩行の怪物が山程いた。その数は見渡すだけでも一〇〇匹以上、丁寧に数えれば、目に付くだけでも三〇〇匹は超えそうな勢いである。
エレノアは、その存在を以前目を通した怪物図鑑で知っていた。その図鑑は有名な怪物しか記載されていない簡易なものだったが、目の前の怪物は一般人にも広く知られているほど知名度の高いものだった。
(……小鬼の大群。ノーラスが襲われているみたいね)
小鬼は人間と比べて知能や文明のレベルは低いが、棍棒や石槍、弓矢を用いるくらいの知能はあるらしく、毒物を使用した例もあり、語彙は少ないものの小鬼語という独自の言語を操ると怪物図鑑には書かれていた。
体格は人間の子供とそう変わらず、武装した人間の成人ならば一対一でも十分太刀打ち出来るくらいには、弱い怪物とされているが、その中でも例外もあり、人間の熟練戦士に劣らない強さや、明晰な頭脳を持つ上位種が突然変異として生まれる事がある。
人間がそうであるように、小鬼の世界でも一騎当千の英雄が誕生する事もあるのだろう。
(……数が多い上に散らばり過ぎているわ。どうしたらいいのかしら)
エレノアは思考を巡らせた。まず前提として、小鬼に包囲されているノーラス村を迂回して進む事は出来る。
一応選択肢として思い付いたが、この状況を見てしまった以上、見過ごすのは気が引けたし、何より切り詰めてきた食料がいよいよ底を尽きかけている。ここを諦めるなら明日からは野草を拾い集めて飢えをしのぐ必要がありそうだった。
では、この大群を蹴散らせるかどうか。
エレノアが扱える光魔法は性質上、回復魔法や防御系の支援魔法に傾倒している。攻撃手段に乏しいが、エレノアには大幅に戦闘力を向上させる熾天翼という切り札がある。ノートン商会のアンガス一味を撃退したように、少人数の相手なら誰が相手でも太刀打ちできる自信がエレノアにはあった。
ただ、この魔法は燃費は良いとは言えず、特に攻撃手段である光刃を放射すると著しく魔法力を消耗する。これだけ広範囲に散らばっている小鬼を全て残らず殲滅させる事は不可能。追い払う事は出来るかもしれないが、集団戦の経験が無いエレノアに正確な予測は出来なかった。
それに加えて体調があまり良くない。行軍による疲労に加え、三日間、質の良い睡眠がとれていなかったせいで、消費した魔法力の回復がろくに出来ていない。
一か八かで強襲したとして、魔法力が限界を迎えたら一巻の終わりである。まずは休息を取り回復を図りたい処だった。
幸い堅牢な城壁と外堀があり、西と東にある二つの城門へは、閉じた跳ね橋のせいで辿り着けなくなっている。
そして見張り塔に付く射手の牽制が、今のところは上手く機能しているように見えた。直ちに危険が迫っているようには見えないので、もう少し様子を窺うべきかもしれない。
(……ここからじゃ全体が見渡せないわ。もう少し高い処……あの岩場からなら)
エレノアが見上げると、現在地から高さ二〇メートルの位置に切り立った高台を見つけた。あの位置なら、より全体を俯瞰して、村の状況確認が出来るかもしれない。
そこまで歩いて登るのは困難だが、熾天翼の光翼を頼りにすれば辿り着けそうである。
『熾天翼』
エレノアの手から光が形成され、背に光翼が宿る。高台に向けて飛翔の準備が整った矢先の事だった。
「──光の翼。まさか、このような場所で天使様に出逢えるとは」
抑揚の効いた男性の声が、エレノアの背後から響いた。
その山々は、聖王国、剣王国、砂王国、三つの大国を跨がるように横たわり、地勢学的な見地から非常に複雑かつ重要な拠点とされてきた。
現在は、いずれの国もノーラス山岳地帯を領土に組み入れず、緩衝地帯のままおくという三国協定が約一世紀前に締結され、百年経った今もなお守られている。
当時の三国の思惑は様々だが、聖王国側の軍事的な事情を推測すると、隣国に繋がる領土面積を減らしたい。聖結界外となる山岳地帯の統治が難しい。そして、聖王国の主力である白竜騎士団の騎馬隊は、山岳地帯で性能を十分に生かせないという三点。
何より聖王国は、東や南を向けば見渡す限り広大な平野が広がっている豊かな国である。あえて北に構える山岳地帯を抑えるメリットは、デメリットを上回るものではなかったのだろう。この協定が聖王国にとって有利に働いているのは想像に難くない。
そして、三国を跨ぐ山岳地帯の中央部に、ノーラス村と呼ばれる集落が存在する。四日半ぶりに休めそうな集落を目前にしたエレノアは、山の高所からその丘陵の村を見下ろしていた。
(……嘘。どうなっているの)
一目で不穏な様子が窺えた。不慣れながら何とかやり過ごしてきた山道の旅の、最後に待ち構えた難関にエレノアは思わず目を凝らした。
まずノーラス村は高さ六メートル近くある外壁で周囲を覆われていた。外壁には高さ一〇メートルを越える監視塔が東西南北に四本。城壁をさらに囲うように外縁には水の張られた堀が見えた。
そして、村の中央部には高さ二〇メートル近くはある監視用と思わしき高塔が聳え立っていた。
壁の中こそ村のような雰囲気だが、外周は想像以上に堅牢な造りをしているという事になる。簡易な動物避けの木柵しかない聖王国平地部の村とはまるで趣が違うもので、砦の跡地にでも集落を築いたのかという印象すらあった。
もし自前で築いた城壁だとしたら大したものである。もっとも怪物が跋扈する山岳地帯、そして国家の後ろ盾のない中立地帯。これくらい堅固でなければ集落を維持するのは難しいかもしれない。
エレノアが不穏に感じたのは、ノーラス村が要塞のように映ったからではない。
ノーラスの外壁周辺および村から少し離れた数百メートル程の位置。小柄な二足歩行の怪物が山程いた。その数は見渡すだけでも一〇〇匹以上、丁寧に数えれば、目に付くだけでも三〇〇匹は超えそうな勢いである。
エレノアは、その存在を以前目を通した怪物図鑑で知っていた。その図鑑は有名な怪物しか記載されていない簡易なものだったが、目の前の怪物は一般人にも広く知られているほど知名度の高いものだった。
(……小鬼の大群。ノーラスが襲われているみたいね)
小鬼は人間と比べて知能や文明のレベルは低いが、棍棒や石槍、弓矢を用いるくらいの知能はあるらしく、毒物を使用した例もあり、語彙は少ないものの小鬼語という独自の言語を操ると怪物図鑑には書かれていた。
体格は人間の子供とそう変わらず、武装した人間の成人ならば一対一でも十分太刀打ち出来るくらいには、弱い怪物とされているが、その中でも例外もあり、人間の熟練戦士に劣らない強さや、明晰な頭脳を持つ上位種が突然変異として生まれる事がある。
人間がそうであるように、小鬼の世界でも一騎当千の英雄が誕生する事もあるのだろう。
(……数が多い上に散らばり過ぎているわ。どうしたらいいのかしら)
エレノアは思考を巡らせた。まず前提として、小鬼に包囲されているノーラス村を迂回して進む事は出来る。
一応選択肢として思い付いたが、この状況を見てしまった以上、見過ごすのは気が引けたし、何より切り詰めてきた食料がいよいよ底を尽きかけている。ここを諦めるなら明日からは野草を拾い集めて飢えをしのぐ必要がありそうだった。
では、この大群を蹴散らせるかどうか。
エレノアが扱える光魔法は性質上、回復魔法や防御系の支援魔法に傾倒している。攻撃手段に乏しいが、エレノアには大幅に戦闘力を向上させる熾天翼という切り札がある。ノートン商会のアンガス一味を撃退したように、少人数の相手なら誰が相手でも太刀打ちできる自信がエレノアにはあった。
ただ、この魔法は燃費は良いとは言えず、特に攻撃手段である光刃を放射すると著しく魔法力を消耗する。これだけ広範囲に散らばっている小鬼を全て残らず殲滅させる事は不可能。追い払う事は出来るかもしれないが、集団戦の経験が無いエレノアに正確な予測は出来なかった。
それに加えて体調があまり良くない。行軍による疲労に加え、三日間、質の良い睡眠がとれていなかったせいで、消費した魔法力の回復がろくに出来ていない。
一か八かで強襲したとして、魔法力が限界を迎えたら一巻の終わりである。まずは休息を取り回復を図りたい処だった。
幸い堅牢な城壁と外堀があり、西と東にある二つの城門へは、閉じた跳ね橋のせいで辿り着けなくなっている。
そして見張り塔に付く射手の牽制が、今のところは上手く機能しているように見えた。直ちに危険が迫っているようには見えないので、もう少し様子を窺うべきかもしれない。
(……ここからじゃ全体が見渡せないわ。もう少し高い処……あの岩場からなら)
エレノアが見上げると、現在地から高さ二〇メートルの位置に切り立った高台を見つけた。あの位置なら、より全体を俯瞰して、村の状況確認が出来るかもしれない。
そこまで歩いて登るのは困難だが、熾天翼の光翼を頼りにすれば辿り着けそうである。
『熾天翼』
エレノアの手から光が形成され、背に光翼が宿る。高台に向けて飛翔の準備が整った矢先の事だった。
「──光の翼。まさか、このような場所で天使様に出逢えるとは」
抑揚の効いた男性の声が、エレノアの背後から響いた。
0
お気に入りに追加
1,358
あなたにおすすめの小説
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星河由乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
聖女追放。
友坂 悠
ファンタジー
「わたくしはここに宣言いたします。神の名の下に、このマリアンヌ・フェルミナスに与えられていた聖女の称号を剥奪することを」
この世界には昔から聖女というものが在った。
それはただ聖人の女性版というわけでもなく、魔女と対を成すものでも、ましてやただの聖なる人の母でもなければ癒しを与えるだけの治癒師でもない。
世界の危機に現れるという救世主。
過去、何度も世界を救ったと言われる伝説の少女。
彼女こそ女神の生まれ変わりに違いないと、そう人々から目されたそんな女性。
それが、「聖女」と呼ばれていた存在だった。
皇太子の婚約者でありながら、姉クラウディアにもジーク皇太子にも疎まれた結果、聖女マリアンヌは正教会より聖女位を剥奪され追放された。
喉を潰され魔力を封じられ断罪の場に晒されたマリアンヌ。
そのまま野獣の森に捨てられますが……
野獣に襲われてすんでのところでその魔力を解放した聖女マリアンヌ。
そこで出会ったマキナという少年が実は魔王の生まれ変わりである事を知ります。
神は、欲に塗れた人には恐怖を持って相対す、そういう考えから魔王の復活を目論んでいました。
それに対して異議を唱える聖女マリアンヌ。
なんとかマキナが魔王として覚醒してしまう事を阻止しようとします。
聖都を離れ生活する2人でしたが、マキナが彼女に依存しすぎている事を問題視するマリアンヌ。
それをなんとかする為に、魔物退治のパーティーに参加することに。
自分が人の役にたてば、周りの人から認めてもらえる。
マキナにはそういった経験が必要だとの思いから無理矢理彼を参加させますが。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
親友に裏切られ聖女の立場を乗っ取られたけど、私はただの聖女じゃないらしい
咲貴
ファンタジー
孤児院で暮らすニーナは、聖女が触れると光る、という聖女判定の石を光らせてしまった。
新しい聖女を捜しに来ていた捜索隊に報告しようとするが、同じ孤児院で姉妹同然に育った、親友イルザに聖女の立場を乗っ取られてしまう。
「私こそが聖女なの。惨めな孤児院生活とはおさらばして、私はお城で良い生活を送るのよ」
イルザは悪びれず私に言い放った。
でも私、どうやらただの聖女じゃないらしいよ?
※こちらの作品は『小説家になろう』にも投稿しています
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる