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第1章 執着と躾
ひとりぼっち
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そしてとうとうこの家から旅立つ日が来た。
瞬は今まで使っていた物は全部家に置いて行くように言われ、洋服も下着も全部新しい家の人が用意してくれたものに着替えて家を出た。
迎えに来たという黒塗りの車に乗り込んでも母親も父親も誰も見送りには出て来てくれなかった。
そして父親の友人だという人も迎えに来ては居なかった。
そこに居たのは車の運転手だけで、車に乗り込むと小さい小瓶の飲み物を渡される。
運転手はそれを栄養剤だと言った。
多分自分でも気が付かない程に身体は先々の不安から疲労が溜まっているだろうからまずそれを飲んで気を落ち着けなさいと言われて、素直に瞬はそれを飲み干した。
その栄養剤と言われたものはもっと幼い頃、風邪を引いた時などに小児科でもらってくる子供用の薬シロップのように甘かった。
それが幸せだった頃を思い出し一瞬泣きそうになるが、その涙をぐっと堪える。
言葉というものは不思議なもので栄養剤だと言われると、そんな気もして来て、少しだけ心が落ち着くような気がして来た。
確かに養子に行くと決まってからの瞬はどこか緊張して眠れていなかった事を身をもって感じていた。
そんな瞬を乗せて車はどんどん都会を離れて行くようだった。
運転手に何処へ行くのか質問してもいい子にしていないとお父さん達が困りますよと言われてしまい、質問するのはいけない事なんだと理解する。
そのうち同じような山の景色を見ていたらすごく眠くなってしまい、居眠りをしてしまったらしく、運転手にもうすぐ着きますよと起こされると目の前に高い壁が迫っていた。
最初に飲むように言われた栄養剤だと言うその中には、確かにビタミン剤も含まれていたのだが、精神安定を目的とした誘眠剤と利尿作用をもよおす薬が混ざっていた。
その薬が効き眠気に誘われ、瞬は起こされるまで数時間もの間、深い眠りの中にいたのだった。
車は高い塀にぐるっと囲まれた施設の中に入って行く。
自動で開閉する高い鉄格子の門は瞬の乗った車の後ろでガシャンと重苦しい音をたてて閉まった。
寄宿学校だと言われた通り学校らしい建物が見えて来たが、どこかシンと静まり返っていて、同じ年頃の子供は本当にいるのだろうか?と少し不安になった。
建物の入口に警官のような服装の男が立っていて、瞬が車から降りると運転手はそのまま来た道を引き返して行ってしまった。
一人訳もわからず取り残された瞬はなんとなくこの世の終わりのように感じていた。
瞬は今まで使っていた物は全部家に置いて行くように言われ、洋服も下着も全部新しい家の人が用意してくれたものに着替えて家を出た。
迎えに来たという黒塗りの車に乗り込んでも母親も父親も誰も見送りには出て来てくれなかった。
そして父親の友人だという人も迎えに来ては居なかった。
そこに居たのは車の運転手だけで、車に乗り込むと小さい小瓶の飲み物を渡される。
運転手はそれを栄養剤だと言った。
多分自分でも気が付かない程に身体は先々の不安から疲労が溜まっているだろうからまずそれを飲んで気を落ち着けなさいと言われて、素直に瞬はそれを飲み干した。
その栄養剤と言われたものはもっと幼い頃、風邪を引いた時などに小児科でもらってくる子供用の薬シロップのように甘かった。
それが幸せだった頃を思い出し一瞬泣きそうになるが、その涙をぐっと堪える。
言葉というものは不思議なもので栄養剤だと言われると、そんな気もして来て、少しだけ心が落ち着くような気がして来た。
確かに養子に行くと決まってからの瞬はどこか緊張して眠れていなかった事を身をもって感じていた。
そんな瞬を乗せて車はどんどん都会を離れて行くようだった。
運転手に何処へ行くのか質問してもいい子にしていないとお父さん達が困りますよと言われてしまい、質問するのはいけない事なんだと理解する。
そのうち同じような山の景色を見ていたらすごく眠くなってしまい、居眠りをしてしまったらしく、運転手にもうすぐ着きますよと起こされると目の前に高い壁が迫っていた。
最初に飲むように言われた栄養剤だと言うその中には、確かにビタミン剤も含まれていたのだが、精神安定を目的とした誘眠剤と利尿作用をもよおす薬が混ざっていた。
その薬が効き眠気に誘われ、瞬は起こされるまで数時間もの間、深い眠りの中にいたのだった。
車は高い塀にぐるっと囲まれた施設の中に入って行く。
自動で開閉する高い鉄格子の門は瞬の乗った車の後ろでガシャンと重苦しい音をたてて閉まった。
寄宿学校だと言われた通り学校らしい建物が見えて来たが、どこかシンと静まり返っていて、同じ年頃の子供は本当にいるのだろうか?と少し不安になった。
建物の入口に警官のような服装の男が立っていて、瞬が車から降りると運転手はそのまま来た道を引き返して行ってしまった。
一人訳もわからず取り残された瞬はなんとなくこの世の終わりのように感じていた。
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