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第二部 淡水の王者と虫の王者

目的がオマケに

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「予定外のボス戦がありましたが、皆さん時間の方は大丈夫ですか?」
サトシが、パーティーメンバー全員に聞いた。
「「「問題ないです。」」」
特に問題が無いという事で、一行は頂上を目指した。
それからは、特に変わったこともなく。
ベルラインがやや、放心状態ではあったが。

頂上へ着くと3匹のブラックオークが待ち構えていた。
決して弱い敵ではない。
レベル50の解放クエだけあって、ボスとしては強い部類になる。
が・・・。
キングヘラクレスと比べると、物凄く見劣りする。
大きさもそうだが、強さも大きく下回る。

キングヘラクレスは、会いたくないレアボスであって、ブラックオークは
多くの冒険者が超えていく為のボスである。
その差歴然。

「ベル様、私が一匹担当すれば?」
「ああ、アタッカーに回ってもいいぞ。」
投げやりなベルライン。
「私がアタッカーに回ったら、壁はベル様だけですよ?」
「構わん。」
「・・・。」
【どうしたんだろう?キングヘラクレスが思いもよらず
早く手に入ったんで、後は、どうでもいいのかな?】
カルディナはそう思った。
【でも、ブラックオーク3匹を一人で壁って出来るものなの?】
「私、アタッカーやります。」
一人壁が見たくなったカルディナは、アタッカーを選択した。

一応、ボスなのだが。
ベルラインはお構いなく一人で突っ込んだ。
【ええええっ 突っ込むの?】
敵のど真ん中で、扇動スキルを発動させる。
扇動スキルは、最初は、挑発だが、スキルを振り続けると同士討ちも、
使えるようになる。
が、ベルラインはそこまで扇動スキルに振ってはいない。
3匹のタゲが全てベルラインに向けられ、一斉に敵の攻撃が始まる。
それをいとも簡単に盾で受け止めるベルライン。
「なっ・・・。」
タゲがベルラインに移ったのを確認したカラットは、1匹に向け攻撃を
開始していた。
サトシは、トリプルダガーを、ターヤは呪文を唱えていた。
ベルラインは、初撃でダメージを受けていたが、瞬時に全回復している。
「カルディナさん、攻撃しないと。」
最初の回復呪文が終わったルビアが、カルディナに声を掛けた。
「あっ、はい。」
カルディナは、カラットが攻撃していない1匹を選び攻撃を開始した。
ブラックオークは、3匹ともベルラインを取り囲んでいて、背中を
向けている為、攻撃し放題だった。
カルディナは、攻撃を続けながら、ベルラインをじっと観察した。
3体のブラックオークの攻撃は、ほぼ同時に繰り出されている。
全ての攻撃を視認するのは不可能であるはずなのに、全てを盾で
受け止めている。
【プレイヤースキルが全然違いすぎる・・・。】
頑強が頑強たる所以を、カルディナは、今日身に染みてわかった。

カルディナが一体のブラックオークを倒すと、戦闘は終了した。
「皆さんありがとうございました。これでレベル55まであげれます。」
サトシは全員にお礼を言った。

パーティーは解散され、帰り際、カルディナは、ベルラインに言った。
「ベル様、凄いです。3体のブラックオークを一人で盾するなんて、
聞いたことありません。」
「貴様は、何を見ていた?」
「へ?」
「あんな無茶な事、いつも出来るわけないだろう。」
「・・・。」
「ルビアさんの回復はどう思った?」
「教会の人は違うなあと。」
「貴様は、ビショップといつも冒険していただろ?」
「ビショップは、あんなに早く二人同時回復なんてした事ないですよ?」
「クレインちゃんが突っ込み過ぎるせいだな。範囲回復は範囲内に居ないと
意味ないからな。」
「あっ・・・。」
「じゃあ、サトシの方は見ていたか?」
「インセクトドクターですか?トリプルダガーばっかり撃ってましたよね?」
「最初に状態異常の遅延攻撃をしてたろ。」
「・・・。」
全然見てなかったカルディナ。
「回復と状態異常、そしてカラットとターヤさんの攻撃があれば、3匹の
攻撃もそんなに続くわけではない。」
カルディナが1体倒す頃には、カラットは2体目を倒していた。
「今日は、メンバーに恵まれてただけだ。私が凄いわけではない。」
「私には経験が足りないんでしょうか?」
「そうだな。そしてそれは、カルディナのせいではない。私とギルバルトの
せいだ。だから気にするな。」
何処までも甘いベルライン。
「私もいつか、ベル様のようになりたいです。」
カルディナが、最初に聖騎士団に入団した理由がこれだった。
同じ盾を持つものなら、誰もが憧れる頑強。
「慣れれば直ぐに追いつける。」
「はい。でも今日はついてましたね。」
「何がだ?」
「ベル様が所望した品が手に入って。」
「・・・。」
ベルラインは、すっかり忘れていた。
カルディナのアイテムボックスには巨大なアレが入ってる事を・・・。
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