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第二部 淡水の王者と虫の王者
秘密の会合
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「わざわざ、このような場を設けて申し訳ありません。」
ベルラインは丁寧に、グランマを出迎えた。
ここは闘技場のシークレットスペース。
「あら、あなたもゲームをやっていたのね?」
「やはり、わかりますか?」
ベルラインは、正体がバレるのを危惧していた。
「面白いものね。ゲーム内でもリアルとまったく変わらないのだから。」
「そういうのが、わかるのは、一部の人だけだと思いますよ?」
「やっぱり年の功なのかしら?」
「人生経験かと。」
「そうかもね。」
「うちのギルドに入隊したいとか?」
「ええ。もちろんエチケットは、クレインからしっかり教わってるから、
大丈夫よ。」
「クレインちゃんの対戦するだけなら、ギルド入らなくてもいいのでは?」
「そうね。最初は、そのつもりだったのだけど。性(サガ)かしらね。」
「性ですか?」
「ええ、武人のね。」
「武人・・・。」
「私も驚いてるのよ?この年になって、こんな気持ちになるなんてね。」
「は、はあ・・・。」
【血は争えないというより、この人が元か・・・・。】
「まあ、これを見て貰えばわかるわ。まだクレインにしか見せてないけど。」
そう言って、グランマは、R6の薙刀を見せた。
「なっ・・・。」
圧倒的な存在感。
武器には、妖刀と名刀と呼ばれるものがあるが、どちらも同じものである。
結局、使い手によってどちらかになるかが決まってしまう。
「ラ、ランク6の薙刀ですか・・・。存在するんですね。こんな物が。」
「あなたもリアルで薙刀は見たことあるでしょ?でもね、あれは、まがい物よ。」
「まがい物?」
「少なくとも武器ではないわ。」
「武器・・・。」
「私の道場に飾ってあるのは、巴型よ。祭事用の薙刀ね。」
「飾り用なのだから、仕方ないと思いますが?」
「これはね、静型なのよ。作った人は本当に薙刀を知ってるのね。」
「誰が、こんな罰当たりな物を?」
「秘密よ。」
そう言って、グランマは悪戯っぽく笑った。
ベルラインは、まったく見当がつかなかった。そもそも薙刀使いをゲーム内で
見たことがない。
「それで、私をギルドに入れてくれるのかしら?えっと・・・。そういや、
まだこっちの名前聞いてなかったわね?」
「ベルラインです。」
「あら?よくバレないわね。その名前で。」
「まあ・・・なんとか。」
「私はグランマよ。宜しくね。」
「聞いてます。グランマも直球じゃないですか・・・。」
「最初はクレイン以外の人と関わる気がなかったから、まあそんなに
気にならないし。」
「申し訳ありませんが、入隊頂くとなれば、グランマさんと呼びます。」
「構わないわ。私はベルラインさんと呼べばいいかしら?」
「ええ、それでお願いします。ゲームの方は慣れましたか?」
「大体慣れてきたわ。もう少しすれば、クレインに負ける事はないわ。」
「・・・。」
「正直に言えば、今の私ですら、リアルの私を超えてるでしょうね。」
「意外にそういう人は、多いですよ。」
「あら、そうなの?私のような年寄りだけかと思ったわ。」
「ゲーマーと呼ばれる人たちは、リアルで運動なんかしませんから。」
「それじゃあ、強くなれないのではなくて?」
「そういう輩は、妄想力だけは、人一倍なんですよ。」
「なるほど。頭の中では、出来るけど、体はグータラって事ね。」
「そうみたいです。」
「ますます、面白いわ。早くいろんな人と戦ってみたいものね。」
「まさか、デュエル大会にも出るつもりじゃあ・・・。」
「クレインが私を超える様なら出ないけどね。」
「それは、クレインちゃんが勝てなければ、大会にも出させないと?」
「ええ、クレインにはもう言ってあるわ。あの子、それでも勝ち続けてる
から余裕みたいだけど、あと1週間すれば、わかるでしょうね。」
「クレインちゃんも、とんでもない人をゲームに巻き込みましたね・・・。」
「こんな気持ちになれるなんてね。あの子には感謝してるわ。」
「あの、もうお年なんですから、ゲームにあまりのめり込まない様に・・・。」
「大丈夫よ、その辺は節度を保つように心がけるわ。もし入り込み過ぎてたら
あなたが注意して頂戴。」
「わかりました。それでは、入隊の方も許可いたします。」
「ありがとう。」
「今からギルドルームに向かいますが、お時間は大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。」
こうして、二人の秘密の会合は終了した。
ベルラインは丁寧に、グランマを出迎えた。
ここは闘技場のシークレットスペース。
「あら、あなたもゲームをやっていたのね?」
「やはり、わかりますか?」
ベルラインは、正体がバレるのを危惧していた。
「面白いものね。ゲーム内でもリアルとまったく変わらないのだから。」
「そういうのが、わかるのは、一部の人だけだと思いますよ?」
「やっぱり年の功なのかしら?」
「人生経験かと。」
「そうかもね。」
「うちのギルドに入隊したいとか?」
「ええ。もちろんエチケットは、クレインからしっかり教わってるから、
大丈夫よ。」
「クレインちゃんの対戦するだけなら、ギルド入らなくてもいいのでは?」
「そうね。最初は、そのつもりだったのだけど。性(サガ)かしらね。」
「性ですか?」
「ええ、武人のね。」
「武人・・・。」
「私も驚いてるのよ?この年になって、こんな気持ちになるなんてね。」
「は、はあ・・・。」
【血は争えないというより、この人が元か・・・・。】
「まあ、これを見て貰えばわかるわ。まだクレインにしか見せてないけど。」
そう言って、グランマは、R6の薙刀を見せた。
「なっ・・・。」
圧倒的な存在感。
武器には、妖刀と名刀と呼ばれるものがあるが、どちらも同じものである。
結局、使い手によってどちらかになるかが決まってしまう。
「ラ、ランク6の薙刀ですか・・・。存在するんですね。こんな物が。」
「あなたもリアルで薙刀は見たことあるでしょ?でもね、あれは、まがい物よ。」
「まがい物?」
「少なくとも武器ではないわ。」
「武器・・・。」
「私の道場に飾ってあるのは、巴型よ。祭事用の薙刀ね。」
「飾り用なのだから、仕方ないと思いますが?」
「これはね、静型なのよ。作った人は本当に薙刀を知ってるのね。」
「誰が、こんな罰当たりな物を?」
「秘密よ。」
そう言って、グランマは悪戯っぽく笑った。
ベルラインは、まったく見当がつかなかった。そもそも薙刀使いをゲーム内で
見たことがない。
「それで、私をギルドに入れてくれるのかしら?えっと・・・。そういや、
まだこっちの名前聞いてなかったわね?」
「ベルラインです。」
「あら?よくバレないわね。その名前で。」
「まあ・・・なんとか。」
「私はグランマよ。宜しくね。」
「聞いてます。グランマも直球じゃないですか・・・。」
「最初はクレイン以外の人と関わる気がなかったから、まあそんなに
気にならないし。」
「申し訳ありませんが、入隊頂くとなれば、グランマさんと呼びます。」
「構わないわ。私はベルラインさんと呼べばいいかしら?」
「ええ、それでお願いします。ゲームの方は慣れましたか?」
「大体慣れてきたわ。もう少しすれば、クレインに負ける事はないわ。」
「・・・。」
「正直に言えば、今の私ですら、リアルの私を超えてるでしょうね。」
「意外にそういう人は、多いですよ。」
「あら、そうなの?私のような年寄りだけかと思ったわ。」
「ゲーマーと呼ばれる人たちは、リアルで運動なんかしませんから。」
「それじゃあ、強くなれないのではなくて?」
「そういう輩は、妄想力だけは、人一倍なんですよ。」
「なるほど。頭の中では、出来るけど、体はグータラって事ね。」
「そうみたいです。」
「ますます、面白いわ。早くいろんな人と戦ってみたいものね。」
「まさか、デュエル大会にも出るつもりじゃあ・・・。」
「クレインが私を超える様なら出ないけどね。」
「それは、クレインちゃんが勝てなければ、大会にも出させないと?」
「ええ、クレインにはもう言ってあるわ。あの子、それでも勝ち続けてる
から余裕みたいだけど、あと1週間すれば、わかるでしょうね。」
「クレインちゃんも、とんでもない人をゲームに巻き込みましたね・・・。」
「こんな気持ちになれるなんてね。あの子には感謝してるわ。」
「あの、もうお年なんですから、ゲームにあまりのめり込まない様に・・・。」
「大丈夫よ、その辺は節度を保つように心がけるわ。もし入り込み過ぎてたら
あなたが注意して頂戴。」
「わかりました。それでは、入隊の方も許可いたします。」
「ありがとう。」
「今からギルドルームに向かいますが、お時間は大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。」
こうして、二人の秘密の会合は終了した。
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