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第二部 淡水の王者と虫の王者
ゲーム過去編「略奪恋愛事情」
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VFGXの防具には、防御の数値とスピードのマイナス数値がついている。
当然、防御の数値が高ければ、スピードのマイナス数値も多くなる。
某カンピオーネは、防御力の少ない防具を着ており、マイナス数値は、小さい。
攻略組では、自殺行為であるが、尋常じゃない避けで、攻略組としてもやっていけている。
同じく攻略組のポリースは、攻略組としては正統派で、ちゃんと防御力のある装備をしている。
一方の、クレインと言えば、店売りの初期装備である。
ある程度ゲームに慣れた人なら、買う事が無い装備だ。
暫くは、裸で過ごし、レべルが10もしくは20になってから、露店なり人づてなりで、PC製品を買う。
クレインの場合は、あの水着のような恰好が許せず、鎧武者で身を固めているのだが。
ちなみ初期装備は、どの装備も防御力とスピードのマイナス値は同じである。
勝負事という物は、スピードだけで決まるものではない。
上背のある男が、渾身の飛び上段を放ち、その恐怖に打ち勝つ心が必要となってくる。
一瞬でも怯めば、攻撃が鈍ってしまい、負けに繋がってしまうものだ。
一瞬の躊躇もせず、ただ相手の喉めがけ一心不乱に放たれた突きは、見事ポリースの喉に突き刺さった。
クレインの勝利で終わった。
「見事な突きだ。俺の完敗だよ。」
「物凄く楽しませてもらいました。」
「一つだけ聞いていいかな?」
「はい?」
「何故、平正眼の構えにしなかった?」
「剣道の試合なら、平正眼にしたと思います。今回は・・・、
ただ何となくです。」
「そうか。」
ポリースは納得した。勝負の世界では、何となくといった機転が勝敗を決する事がよくあるからだ。
「シンゲンさん、今日はどうもありがとうございました。」
「いや、こちらこそ。誰も勝てずに申し訳ない・・・。」
「いえ、凄く楽しかったです。」
「それならいいが。」
「あの、もしよかったら、私をギルドに入れてくれませんか?」
「うちは、攻略ギルドで、デュエルといった対戦が得意ではないが?」
「皆さんが日本刀を使ってて、いいなあと思いまして。」
「ふむ。それならうちの方は、全然問題ない。」
「おおー、ついにうちにも女性キャラがっ!」
「でも、俺たちより強いべ・・・。」
「実際問題、女性の方が強いご時世だからいいんじゃね?」
「そりゃそうか。」
ざわつくギルメン達。
「ということで、ポリースさんも、宜しくお願いしますね。」
「仕事の関係上、そうそうONは出来ないがな。ONした時は、相手になろう。」
「是非っ!」
それから、数日後。
聖騎士団のギルドルームでは、ギルバルトが首を締め上げられていた。
「どういうことっ!」
「な、何がだ・・・。」
「私の可愛いクレインが、野武士に入団してるのよ。」
「そ、そのようだな。シンゲンと一緒に挨拶に来たぞ。」
カルディナは、締め上げていた首を放り出すように投げ出した。
「どうにかしなさいよっ!」
「何をだ?」
「クレインは、聖騎士団に入れます。」
「・・・。」
「あんたがどうにかしなさいと言ってるのよっ!」
「お前のリアル彼女なんだろ?お前がどうにかしろ。」
シンゲンとクレインが挨拶に来た時、クレインは全員に謝った。
その低姿勢に、聖騎士団のギルメン一同は好感触を持った。
ベルラインに至っては、小っちゃくて可愛い武者姿のクレインを直ぐに気にいってしまった。
あの武者姿か可愛いかどうかは、人それぞれの主観によるのだが・・・。
ギルバルトは、挨拶の時に、カルディナのリアル彼女じゃないことは、既に承知していた。
「くっ・・・。」
「ギルドなんてものは、本人が入りたい所へ入ればいいだろ?」
「あんたがシンゲンを紹介しなければっ!」
「お前が日本刀がどうのと言ってきたんだろ?」
「うっ・・・。」
「このクソ屑があああああああっ」
と最後に叫んで、カルディナは、どっかに行ってしまった。
奇しくも、これが、ギルバルトが言い合いで、カルディナに勝った初めての事だというのは、言うまでもない。
当然、防御の数値が高ければ、スピードのマイナス数値も多くなる。
某カンピオーネは、防御力の少ない防具を着ており、マイナス数値は、小さい。
攻略組では、自殺行為であるが、尋常じゃない避けで、攻略組としてもやっていけている。
同じく攻略組のポリースは、攻略組としては正統派で、ちゃんと防御力のある装備をしている。
一方の、クレインと言えば、店売りの初期装備である。
ある程度ゲームに慣れた人なら、買う事が無い装備だ。
暫くは、裸で過ごし、レべルが10もしくは20になってから、露店なり人づてなりで、PC製品を買う。
クレインの場合は、あの水着のような恰好が許せず、鎧武者で身を固めているのだが。
ちなみ初期装備は、どの装備も防御力とスピードのマイナス値は同じである。
勝負事という物は、スピードだけで決まるものではない。
上背のある男が、渾身の飛び上段を放ち、その恐怖に打ち勝つ心が必要となってくる。
一瞬でも怯めば、攻撃が鈍ってしまい、負けに繋がってしまうものだ。
一瞬の躊躇もせず、ただ相手の喉めがけ一心不乱に放たれた突きは、見事ポリースの喉に突き刺さった。
クレインの勝利で終わった。
「見事な突きだ。俺の完敗だよ。」
「物凄く楽しませてもらいました。」
「一つだけ聞いていいかな?」
「はい?」
「何故、平正眼の構えにしなかった?」
「剣道の試合なら、平正眼にしたと思います。今回は・・・、
ただ何となくです。」
「そうか。」
ポリースは納得した。勝負の世界では、何となくといった機転が勝敗を決する事がよくあるからだ。
「シンゲンさん、今日はどうもありがとうございました。」
「いや、こちらこそ。誰も勝てずに申し訳ない・・・。」
「いえ、凄く楽しかったです。」
「それならいいが。」
「あの、もしよかったら、私をギルドに入れてくれませんか?」
「うちは、攻略ギルドで、デュエルといった対戦が得意ではないが?」
「皆さんが日本刀を使ってて、いいなあと思いまして。」
「ふむ。それならうちの方は、全然問題ない。」
「おおー、ついにうちにも女性キャラがっ!」
「でも、俺たちより強いべ・・・。」
「実際問題、女性の方が強いご時世だからいいんじゃね?」
「そりゃそうか。」
ざわつくギルメン達。
「ということで、ポリースさんも、宜しくお願いしますね。」
「仕事の関係上、そうそうONは出来ないがな。ONした時は、相手になろう。」
「是非っ!」
それから、数日後。
聖騎士団のギルドルームでは、ギルバルトが首を締め上げられていた。
「どういうことっ!」
「な、何がだ・・・。」
「私の可愛いクレインが、野武士に入団してるのよ。」
「そ、そのようだな。シンゲンと一緒に挨拶に来たぞ。」
カルディナは、締め上げていた首を放り出すように投げ出した。
「どうにかしなさいよっ!」
「何をだ?」
「クレインは、聖騎士団に入れます。」
「・・・。」
「あんたがどうにかしなさいと言ってるのよっ!」
「お前のリアル彼女なんだろ?お前がどうにかしろ。」
シンゲンとクレインが挨拶に来た時、クレインは全員に謝った。
その低姿勢に、聖騎士団のギルメン一同は好感触を持った。
ベルラインに至っては、小っちゃくて可愛い武者姿のクレインを直ぐに気にいってしまった。
あの武者姿か可愛いかどうかは、人それぞれの主観によるのだが・・・。
ギルバルトは、挨拶の時に、カルディナのリアル彼女じゃないことは、既に承知していた。
「くっ・・・。」
「ギルドなんてものは、本人が入りたい所へ入ればいいだろ?」
「あんたがシンゲンを紹介しなければっ!」
「お前が日本刀がどうのと言ってきたんだろ?」
「うっ・・・。」
「このクソ屑があああああああっ」
と最後に叫んで、カルディナは、どっかに行ってしまった。
奇しくも、これが、ギルバルトが言い合いで、カルディナに勝った初めての事だというのは、言うまでもない。
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