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第二部 淡水の王者と虫の王者

腐ってる

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「ガルフ腐った奴を連れてきたぞ。」
黒き戦士たちのギルドルームへ着くなり、カザミはカルディナを投げ捨てた。
「酷い扱いですね、先輩。私は、どっちでもいけますけど。」
雑に扱われても、カルディナは嬉しそうだった。
「久しぶりだな、カルディナ。」
ガルフが言う。
「男とは話したくないんですが、今日は、初めての方もいますんで、
 挨拶はしますよ。」
「この女性が問題児なのか?」
黒き戦士たちのメンバーのトールが言った。
「初めまして、カルディナと言います。」
初対面に対しては外面がいいカルディナ。
「は、初めまして、トールと言います。」
「はっ?何言ってんのあんたら、トール、そいつザイクだよ。」
カザミが言った。
「へ?ザイクって前のゲームで終わりの2年間うちのギルドに居た?」
「そうだよ。」
「え?黒き戦士たちは、11人でしたよね?トールさんなんて
 居ましたか?」
「俺は、その・・・。エテルナだ・・・。」
「はあ?手前もっ、ボルヴィスと一緒でネカマだったのかよっ!」
「いや、ていうかそっちこそ、男キャラだったじゃねえか。」
「てめえらみたいな、ネカマが居るから男キャラやってんだろうがっ。」
「ザイクってこんな奴だったか?」
トールは、ボルヴィスに聞いた。
「昔からな。俺は前のゲームの時から、男って言ってたから、前からこんなだ。」
「そういや、俺、男とかって言ってなかったかも・・・。」
「このクソ屑がっ!」
「こいつは、この通り昔から問題児のままだ。」
ガルフが言った。
「で、どうする?」
カザミが聞いた。
「カルディナ、お前、聖騎士団を辞めろ。」
「はあ?何言ってんだ、おっさん。」
「それで、うちのギルドに入れ。」
「・・・。」
「うちのギルドなら、お前に対して耐性がある奴が殆どだ。」
「ちょ、ガルフ、俺耐性ないんだけど・・・。」
トールは、そう言ったが、ボルヴィスが肩を叩き諦めろと合図した。
がっくし、うなだれるトール。
「なんで、てめえに指図されなきゃいけねえんだよっ。」
「聖騎士団は、うちと違って、人数も多い。女性も多いし、お前、
今のままじゃあ居場所が無くなるぞ?」
「ふっ、私の居場所は、ベル様の隣に決まってるっ!」
「ギルバルトもベルラインも優しいからな。お前に辞めろなんて言わないだろう。」
「当たり前だっ!」
「お前、あの二人に甘えてるんじゃないのか?」
「・・・。」
「一度、真剣に考えてみるんだな。うちのギルドなら素のままで過ごせるだろう。」
「ふんっ、大きなお世話よっ!」
カルディナは怒り心頭で、ギルドルームを後にした。


聖騎士団の会議室には、ギルバルト、ベルライン、カルディナの3人だけが居た。
「引き抜きにあっちゃって。」
カルディナが言う。
「私は反対だな。」
「べ、ベル様っ!」
「こんな迷惑千万な奴を黒き戦士たちに押し付けるわけにはいかんだろ。」
「・・・。」
ギルバルトは考え込んだまま何も言わなかった。
「後は、ギルバルト、お前の判断に任せる。」
そう言い残し、ベルラインは、ログアウトしていった。
「カルディナ、お前はどうしたいんだ?」
「さあねえ?」
「お前が居たいと思う方に居ればいい。誰も強制したりはしない。」
「は?私なんか居ない方がいいんじゃないの?」
「そんな事は思った事すらない。」
「あんた馬鹿なの?」
「黒き戦士たちの面々とは前のゲームで一緒だったらしいな?」
「へー、ガルフからメールでも来たのかしら?」
「ああ。カザミはリアルの先輩らしいな。」
「まあね。」
「あまりリアルの事を聞くのはマナー違反だとは思うが、クレインは、
 どうしてる?」
「へ?」
「デュエル大会で、落ち込んでるとかそういったことはないのか?」
「ああ、ないない。むしろ負けず嫌いだから、次へ向けて何かしてるんじゃないの?」
「それならいいが。カルディナ、どうしても黒き戦士たちのギルドへ行きたくなったら、
俺に言え。」
「行きたくないわよっ。」
「そうか、それならこの話は終わりだ。ガルフには俺からメールしておく。」
「せっかく厄介者、押し付けるチャンスなのに馬鹿なの?」
「厄介者という自覚があるなら、少しは自重しろ。」
「ふんっ。」
そう言って、カルディナはギルドルームから出て行った。


「メールの返信が来たぞ。」
ガルフが言った。
「何って?」
カザミが聞いた。
「現状維持だそうだ。」
「本当に、甘ちゃんね。」
「カザミ、すまないがこれからも聖騎士団を覗いてやってくれ。」
「世話が焼けること。」
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