19 / 98
第一部 失業したおっさんがVRMMOで釣りをしていたら伯爵と呼ばれるようになった理由(わけ)
リアルコンパ
しおりを挟む
「初めまして、時野正41歳、無職です」
「やだ、時野さん、マジ受ける~」
時野の斜め前に座った看護士が笑いながら言った。
今日は4対4のコンパの日。
4人テーブルで2つに別れて座っていた。
時野の隣には、常盤亮一が。
「先輩は、逆玉狙ってるんで、注意してくださいね。」
常盤が女性に忠告した。
「マジぃ?なら先生は、尚更気を付けないと。」
そう言って看護士は、時野の正面に座ってる女性に声をかけた。
髪を若干染めていて、軽くウェーブもかかっており、
とても先生には見えない風貌だった。
「えっ、病院の先生なんですか?」
常盤が驚いて、聞いた。
「え、ええまあ、今日は人数合わせで連れてこられました。」
「奇遇ですね。自分もなんですよ。先生、自己紹介お願いします。」
すかさず時野が自己紹介を勧める。
「えっと、佐柄鏡子です。いちおう医師をやってます。」
「キョウコさんですか、いい名前ですね。」
そう言って、時野はいつの間にか手を握り相手の瞳を見つめる。
「ちょっと時野さん。」
隣の看護士が注意する。
「常盤君、時野さんってこういう人なの?」
「ええ、そういう人です。」
「じゃあ、しょうがないかっ。先生気を付けてくださいね。
次、手を握られたら、叫んじゃってください。」
「だ、大丈夫よ。慣れっこだから。」
「さすがっ。先生は、美人でモテるから。」
「そ、そうでもないと思うんだけど。」
「時に、キョウコさん、キョウコさんのキョウの字は、鏡ですか?」
時野が聞いた。
「すっごい、中々でなくないですか?」
看護士が驚いて言った。
「そ、そうよね。キョウの字とか多いから。」
「鏡で、ミラー。それでミラちゃんなんですね。」
ガタっ。
突然、佐柄鏡子は立ち上がった。
「え、ミラさんなんですか?」
常盤が聞いた。
「ゆ、裕子ちゃん、ごめんなさい急用がっ。」
鏡子は、別のテーブルにいる幹事に声を掛けた。
「えっ、鏡子先生、4対4なんで抜けられると・・・。」
「だ、大丈夫、この人も連れていくから。」
「「「えっ」」」
時野のテーブルの3人が驚いた。
「えっ、先生?」
幹事が驚いてると、鏡子は時野の腕を引っ張り、店を出て行った。
「先輩がお持ち帰りされちゃった・・・。」
「「「先生がお持ち帰りした???」」」
「鏡子さん何処まで?」
店を出て、しばらくしてから、時野は声を掛けた。
「じゃあ、ここで解散で・・・。」
「えっ・・・。」
「時野さんも数合わせなんですよね?それとも、本気で逆玉を?」
「いえ、それはいいんですが、何も食べてないんですが・・・。」
最初の自己紹介で、引っ張り出されてしまい、空腹の時野。
「私は、お腹すいてませんので、これで。」
そう言って帰ろうとしたとき、
くぅ~
可愛らしいお腹の音が鳴った。
「減ってるんじゃないですか?」
「減ってません。」
「何処か、飯でも?」
「行きません!」
「警戒してます?」
「はい!」
「・・・。パルコさんですか?」
「ええ、時野さんのような男性には気を付けてとよく聞かされてますんで。」
「飯くらいよくないです?」
「良くないです!」
「・・・。」
「・・・」
「じゃあ、屋台なんかどうですか?」
「屋台?」
「ええ、行ったことありませんか?」
「ないですけど・・・。」
「屋台で軽くラーメン食って解散はどうでしょう?」
「うーん・・・、屋台ならいいかなあ・・・。」
屋台というものに、ムード的なものを感じない為、やむなく鏡子は了承した。
「よくこういう所来るんですか?」
屋台でラーメンを食べながら鏡子は聞いた。
「前は、たまに。無職になってからは、初めてかな。」
「就職活動せずに、コンパってどうかと思いますよ?」
「夜に就活はしないでしょ?」
「まあ、そうですけど。」
「鏡子さんなら、モテそうですし、コンパなんて行かなくても?」
「私は、数合わせです。どうしても他に空いてる看護士が居なかったんで。」
「幹事に連れてこられたんですか?」
「はい。それより、どうして私が、ミラだってわかったんですか?」
「大概、わかりますよ?」
「普通はわからないと思うんですけど。」
「だって俺の事わかったでしょ?」
「時野さんは、ゲームで名前名乗ったじゃないですか。」
「ああ、なるほどw」
「カラットさんなんでしょ、常盤君が。」
「わかります?」
「そりゃあ、口調は、そのままだし、見た目も似てるし、先輩って、
呼んでたら誰だってわかるかと。」
「まあ、あいつは、まったく気にしない人間なんで、マンマなんですよ。
ゲームだと自分の中にキャラ作って、口調とかも変える人がいるでしょ?」
「ええ。」
「でもね、VR機って仕草というか雰囲気というか、実際の人と同じように
人それぞれ違うんですよ。その人特有の癖や仕草なんてついついでちゃうでしょ?」
「そうなんでしょうか?」
「脳波を拾ってるんで、体を介してませんからね、余計ダイレクトに出るんじゃないかなあと。」
「パルちゃんや、ヴォルグさんも直ぐわかりましたよね?」
「パルコさんは自滅したようなもんですけどね。」
「リアルネームなんか言うからですよ。」
「確かに。そうだ、今度オフ会やりませんか?」
「オフ会ですか?」
「ええ、昨日は、常盤をみんなに紹介して、ちょっとしたプチオフ会を
したんですよ。」
「パルちゃんが参加するなら行ってもいいですけど。」
「あれ、まだ警戒してます?」
「もちろんw」
二人は連絡先を交換して、色っぽいことも何事もなく帰宅した。
「やだ、時野さん、マジ受ける~」
時野の斜め前に座った看護士が笑いながら言った。
今日は4対4のコンパの日。
4人テーブルで2つに別れて座っていた。
時野の隣には、常盤亮一が。
「先輩は、逆玉狙ってるんで、注意してくださいね。」
常盤が女性に忠告した。
「マジぃ?なら先生は、尚更気を付けないと。」
そう言って看護士は、時野の正面に座ってる女性に声をかけた。
髪を若干染めていて、軽くウェーブもかかっており、
とても先生には見えない風貌だった。
「えっ、病院の先生なんですか?」
常盤が驚いて、聞いた。
「え、ええまあ、今日は人数合わせで連れてこられました。」
「奇遇ですね。自分もなんですよ。先生、自己紹介お願いします。」
すかさず時野が自己紹介を勧める。
「えっと、佐柄鏡子です。いちおう医師をやってます。」
「キョウコさんですか、いい名前ですね。」
そう言って、時野はいつの間にか手を握り相手の瞳を見つめる。
「ちょっと時野さん。」
隣の看護士が注意する。
「常盤君、時野さんってこういう人なの?」
「ええ、そういう人です。」
「じゃあ、しょうがないかっ。先生気を付けてくださいね。
次、手を握られたら、叫んじゃってください。」
「だ、大丈夫よ。慣れっこだから。」
「さすがっ。先生は、美人でモテるから。」
「そ、そうでもないと思うんだけど。」
「時に、キョウコさん、キョウコさんのキョウの字は、鏡ですか?」
時野が聞いた。
「すっごい、中々でなくないですか?」
看護士が驚いて言った。
「そ、そうよね。キョウの字とか多いから。」
「鏡で、ミラー。それでミラちゃんなんですね。」
ガタっ。
突然、佐柄鏡子は立ち上がった。
「え、ミラさんなんですか?」
常盤が聞いた。
「ゆ、裕子ちゃん、ごめんなさい急用がっ。」
鏡子は、別のテーブルにいる幹事に声を掛けた。
「えっ、鏡子先生、4対4なんで抜けられると・・・。」
「だ、大丈夫、この人も連れていくから。」
「「「えっ」」」
時野のテーブルの3人が驚いた。
「えっ、先生?」
幹事が驚いてると、鏡子は時野の腕を引っ張り、店を出て行った。
「先輩がお持ち帰りされちゃった・・・。」
「「「先生がお持ち帰りした???」」」
「鏡子さん何処まで?」
店を出て、しばらくしてから、時野は声を掛けた。
「じゃあ、ここで解散で・・・。」
「えっ・・・。」
「時野さんも数合わせなんですよね?それとも、本気で逆玉を?」
「いえ、それはいいんですが、何も食べてないんですが・・・。」
最初の自己紹介で、引っ張り出されてしまい、空腹の時野。
「私は、お腹すいてませんので、これで。」
そう言って帰ろうとしたとき、
くぅ~
可愛らしいお腹の音が鳴った。
「減ってるんじゃないですか?」
「減ってません。」
「何処か、飯でも?」
「行きません!」
「警戒してます?」
「はい!」
「・・・。パルコさんですか?」
「ええ、時野さんのような男性には気を付けてとよく聞かされてますんで。」
「飯くらいよくないです?」
「良くないです!」
「・・・。」
「・・・」
「じゃあ、屋台なんかどうですか?」
「屋台?」
「ええ、行ったことありませんか?」
「ないですけど・・・。」
「屋台で軽くラーメン食って解散はどうでしょう?」
「うーん・・・、屋台ならいいかなあ・・・。」
屋台というものに、ムード的なものを感じない為、やむなく鏡子は了承した。
「よくこういう所来るんですか?」
屋台でラーメンを食べながら鏡子は聞いた。
「前は、たまに。無職になってからは、初めてかな。」
「就職活動せずに、コンパってどうかと思いますよ?」
「夜に就活はしないでしょ?」
「まあ、そうですけど。」
「鏡子さんなら、モテそうですし、コンパなんて行かなくても?」
「私は、数合わせです。どうしても他に空いてる看護士が居なかったんで。」
「幹事に連れてこられたんですか?」
「はい。それより、どうして私が、ミラだってわかったんですか?」
「大概、わかりますよ?」
「普通はわからないと思うんですけど。」
「だって俺の事わかったでしょ?」
「時野さんは、ゲームで名前名乗ったじゃないですか。」
「ああ、なるほどw」
「カラットさんなんでしょ、常盤君が。」
「わかります?」
「そりゃあ、口調は、そのままだし、見た目も似てるし、先輩って、
呼んでたら誰だってわかるかと。」
「まあ、あいつは、まったく気にしない人間なんで、マンマなんですよ。
ゲームだと自分の中にキャラ作って、口調とかも変える人がいるでしょ?」
「ええ。」
「でもね、VR機って仕草というか雰囲気というか、実際の人と同じように
人それぞれ違うんですよ。その人特有の癖や仕草なんてついついでちゃうでしょ?」
「そうなんでしょうか?」
「脳波を拾ってるんで、体を介してませんからね、余計ダイレクトに出るんじゃないかなあと。」
「パルちゃんや、ヴォルグさんも直ぐわかりましたよね?」
「パルコさんは自滅したようなもんですけどね。」
「リアルネームなんか言うからですよ。」
「確かに。そうだ、今度オフ会やりませんか?」
「オフ会ですか?」
「ええ、昨日は、常盤をみんなに紹介して、ちょっとしたプチオフ会を
したんですよ。」
「パルちゃんが参加するなら行ってもいいですけど。」
「あれ、まだ警戒してます?」
「もちろんw」
二人は連絡先を交換して、色っぽいことも何事もなく帰宅した。
0
お気に入りに追加
353
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

びるどあっぷ ふり〜と!
高鉢 健太
SF
オンライン海戦ゲームをやっていて自称神さまを名乗る老人に過去へと飛ばされてしまった。
どうやらふと頭に浮かんだとおりに戦前海軍の艦艇設計に関わることになってしまったらしい。
ライバルはあの譲らない有名人。そんな場所で満足いく艦艇ツリーを構築して現世へと戻ることが今の使命となった訳だが、歴史を弄ると予期せぬアクシデントも起こるもので、史実に存在しなかった事態が起こって歴史自体も大幅改変不可避の情勢。これ、本当に帰れるんだよね?
※すでになろうで完結済みの小説です。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる