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その日の晩は、近くに町や村が無かった為、野宿することになった。
「う、うまい・・・。野宿でこんな旨い物食えるなんて・・・。」
「あんた冒険者でしょ?料理は必須スキルでしょうが。」
「なんだそれは?フールの心棒者か?。大概の冒険者というのは、腹に貯まれば何だっていいんだ。」
「どうせ食べるなら、美味しいほうがいいでしょうに。」
「まあ、それはそうだが。そういや、お前の名前を知らないんだよな、俺。」
「は?私の事、知ってたんでしょ?」
「俺が知ってるのは、娼婦のようなド派手旅人服に身を包んだブラッディフッドの弟子って事だけだ。」
「恩を売りたい相手の名前くらい調べておきなさいよ!私の名前はアナスタシアよ。」
「オーケー、アナスタシア。俺の名前は・・・。」
「リスでしょ?」
「リスキーだ!小動物になってるじゃないかっ!」
「どっちでもいいんじゃない?」
「よくないっ!」
「細かいことを気にする男だこと。」
「細かくないっ!待て、囲まれてるぞ?」
周囲を警戒するリスキー。
「大丈夫よ、ハウリングドックよ。」
「大丈夫じゃないだろ?凶暴なモンスターじゃないか。」
「ハウリングドックは、決して自分たちから人を襲うことはないわ。」
「は?」
「お師匠様から、そう聞いてるし、今まで襲われたことないもの。」
そう言われて、リスキーは過去を振り返る。
ハウリングドックとは、かなりやりあってきたが、よくよく考えたら、警戒して先制抗議してるのは、常に自分の方だったと思いだした。
そもそも囲まれた後に、相手から先制攻撃を受けたら手遅れになりかねない。
アナスタシアは、囲まれているのを気にもせず眠りについた。
リスキーは、気が気でないまま寝るに寝られず夜を明かしてしまった。
「あんた目が赤いけど、美しい私の寝姿に悶々として夜を過ごしたんじゃないでしょうね?」
「違うわっ!!ハウリングドックに囲まれたまま、堂々と寝られる人間が何処に居るんだっ!」
「ここに居るじゃない。」
「・・・。」
ようやく小さな町へ着くと、リスキーが懇願した。
「今日は、町の宿に泊まろう?なっ。」
「宿代が、勿体ないでしょう?」
「馬鹿野郎、宿代くらい、俺が奢ってやる。」
よほど野宿したくないのだろう。
二人が町を歩いていると、奴隷を乗せた馬車が置いてあった。
荷台が鉄格子で覆われているので、直ぐに奴隷用馬車だとわかる。
2つの国家では、奴隷は禁止されているが、国無き地は無法地帯で、奴隷は別段珍しいものではなかった。
「おい、あの奴隷の女、アナスタシアを見てないか?」
「気のせいよ。」
「こっちに来いって合図してるぞ?知り合いじゃないのか?」
「あんな人間の女に知り合いは居ないわ。」
「そうなのか?本当に?」
リスキーは気になって奴隷の馬車へと近づいた。
「アナスタシアに私を買うように言って!」
「知り合いなのか?」
「そうよ。」
「でも、アナスタシアは、あんたのような知り合いの人間は居ないって言ってたがな?」
「そ、それは・・・。」
「おい、何を話してる!」
奴隷馬車を護衛しているごろつき風の男が、リスキーに近寄った。
「別に、ちょっと話すくらいいいだろ?」
「あ、あんたは・・・。」
リスキーの顔を見て、ごろつき風の男が怯む。
「どうした?」
奴隷商人がやってきて、護衛に聞いた。
「実は・・・。」
奴隷商人に耳打ちして、現状を伝えた。
「あなたがリスキー様ですか、お噂はかねがね。お気に入りの商品はございますか?と言っても、お売りできるのは、手前の女性だけですが。」
「連れの知り合いみたいでな。」
「そ、そうでしたか、でしたら30万ゴールドで如何でしょうか?」
「随分と安いな。」
「それは、もちろん。リスキー様の知りあいということですので。」
「アナスタシア、30万ゴールドだそうだ。どうする?」
「だから、知り合いじゃないって言ってるでしょ。」
「ちょっと、アナスタシア。」
「気軽に名前を呼ばないでくれる?あんたみたいな人間の知り合いは居ないんだから。」
「・・・。」
「まあ30ゴールドなら、買わないでもないけど?」
「それはさすがに・・・。」
「もちろん、奥のフードを被った少女も併せてね。」
「ははは・・・。」
困り切った顔で、奴隷商人は苦笑いした。
「リスキー様、お連れ様は買う気が無いようですので。」
「そうだな。アナスタシア、無茶を言うもんじゃない。」
「無茶?獣人を奴隷として扱っている方が無茶だと思うけど?」
アナスタシアの言葉に、町の住民たちが寄ってきた。
「おい、本当なのか?」
「この町を、潰す気かっ!」
何人かの町の人間が、奴隷商人に詰め寄る。
「お、お前たち、何とかしろ。」
奴隷商人が、数多く居た護衛に命令する。
が・・・。
既に護衛達は、逃げ出していた。
「ねえ、何で護衛は逃げ出したの?」
アナスタシアがリスキーに聞いた。
「まあ、俺を知っていたみたいだからな。」
「さすが級持ちね。」
暴徒と化した住民は、奴隷馬車の鉄格子を開けた。奴隷商人は、顔もわからないくらいに、ボコボコに殴られていた。
一人の住民が、フードを被った少女のフードを取ると、猫耳少女の可愛らしい耳が姿を現した。
「じゅ、獣人だ・・・。」
顔面が蒼白となる住民たち。
「き、きさまー!」
奴隷商人の胸倉をつかみ持ち上げるが、既に奴隷商人は死んでいた。
住民はボロ雑巾を扱うように、奴隷商人を投げ捨てた。
「お、終わりだ・・・。」
「この町は終わった。」
ある者は、逃げる準備をするために家へ、ある者は、その場にへたり込み絶望した。
「私が、その子を送り届けるわ。」
絶望に打ちひしがれた住民の前に救世主が現れた。
「ほ、本当に?」
「殺されるかもしれないぞ?」
「人には容赦ないぞ?」
「大丈夫よ、ほら級持ちの冒険者も居るし。」
そう言って、アナスタシアはリスキーの方を見た。
町の住民の視線もリスキーに向く。
「リ、リスキーさんだっ!」
「お、おおおーっ!」
住民たちは安堵の表情を浮かべた。
「級持ちは違うのね。」
「大丈夫なのか?あの子を送り届けるって言ったって、フールに出会えば、殺られるぞ?」
「級持ちで、私が仲間に居るのよ?」
「そりゃあそうだが、フールは別格だ。お前が居たって俺では到底無理だぞ。」
「なら、私が相手すればいいんでしょ?」
「お、おい・・・。」
アナスタシアは、ずっと怯えている獣人の子に話かけた。
「もう大丈夫よ。」
既に手かせ等は外されおり、少女はずっと身を縮めて怯えていた。
アナスタシアの声も届かないようだ。
「安心していいわ。私はフールの弟子なのよ?」
優しく語りかける。
「フ、フール様の?」
ようやく言葉を発する獣人の少女。
「あなたを住んでいた場所へ連れてってあげる。」
「お姉さんが?」
「ええ。」
ようやく安心したかのように、少女はアナスタシアに抱き着いた。
少女の頭を優しく撫でながら、アナスタシアはもう一人の奴隷に話しかけた。
「で、あんたはどうすんの?」
「私が助けなさいって言ってるのに、無視したわね!」
「私は、あなたのような人間の知り合いは居ないのよ。」
「くっ。」
「そのまま奴隷として生きていくの?」
「つ、ついていくに決まってるでしょ。」
「じゃあ、さっさとしなさい。」
アナスタシア達は、町を出る事にした。
「結局、また野宿か・・・。」
「仕方ないでしょ。」
アナスタシアは、町を出る前に、町の代表者に忠告した。
「万が一、フールが訪れたら、こう言いなさい。あんたの弟子が獣人の子を連れて行ったってね。」
町の代表者は、きょとんとしていたが、そのまま町を出た。
「で、こっちの女性とは、どういう関係なんだ?なんか不思議な女性だな。俺好みのいい女のはずなのに、俺の触手が反応しない。」
「さあ?言ったでしょ。私にこういう人間の知り合いは居ないって。」
「あんなこと言ってるけど?どうなんだ?」
リスキーは女性の方に聞いた。
「私の名前はフレイ。アナスタシアはあんなこと言ってるけど腐れ縁なのよ。」
「へえ、そうなんだ。」
人里離れた森の奥の方で立ち止まり。
「さて、この辺で野宿しましょうか。」
アナスタシアが宣言した。
「どうして、お前は毎度毎度、危険な場所を選ぶんだ?」
「何言ってるの、安全な場所を選んでいるのよ?」
「は?なんか周りに感じるだろ、モンスター達の気配をな。」
「だから安全なのよ。」
「はあ?」
そんなリスキーをよそに、野宿の準備をするアナスタシア。獣人の少女は、甲斐甲斐しく準備を手伝っていた。
「お嬢ちゃん、名前は?」
リスキーが獣人に聞いた。
「ミリィ。」
猫耳をピクピクしながら答えた。
「ほら、ミリィ。熱いから冷まして食べてね。」
「ありがとう。」
シチューを受け取ると、ふうふうしながら食べた。
「で、あんたは食事をとるの?」
アナスタシアはフレイに聞いた。
「そうね。」
アナスタシアは、仕方なさそうに手渡した。
「美味しい!」
ミリィがアナスタシアの料理を絶賛した。
「お、おいしい・・・。」
フレイも思わず、口に出てしまった。
「そりゃあどうも。」
ぶっきらぼうにアナスタシアは言った。
「アナスタシアは、料理が出来たのね。知らなかったわ。」
「なんだ小さい頃の知り合いか?」
リスキーが聞いた。
「そんなところよ。」
フレイが答えた。
「お姉ちゃんは、フール様の弟子なんだよ。だから料理もお上手なんだよ。」
ミリィが無邪気に言った。
「「はっ?」」
フレイとリスキーが驚きの声をあげた。
「お前、ブラッディフッドの弟子なんだろ?」
「そうだけど、色々あるのよ。」
「色々って・・・。」
リスキーは呆れてしまった。
それから4人は、ミリィの住んでいる村を目指していたのだが。
鬱蒼と茂った森の中で、襲撃を受けた。
「全員、動くな!動けば殺すっ。」
「う、うまい・・・。野宿でこんな旨い物食えるなんて・・・。」
「あんた冒険者でしょ?料理は必須スキルでしょうが。」
「なんだそれは?フールの心棒者か?。大概の冒険者というのは、腹に貯まれば何だっていいんだ。」
「どうせ食べるなら、美味しいほうがいいでしょうに。」
「まあ、それはそうだが。そういや、お前の名前を知らないんだよな、俺。」
「は?私の事、知ってたんでしょ?」
「俺が知ってるのは、娼婦のようなド派手旅人服に身を包んだブラッディフッドの弟子って事だけだ。」
「恩を売りたい相手の名前くらい調べておきなさいよ!私の名前はアナスタシアよ。」
「オーケー、アナスタシア。俺の名前は・・・。」
「リスでしょ?」
「リスキーだ!小動物になってるじゃないかっ!」
「どっちでもいいんじゃない?」
「よくないっ!」
「細かいことを気にする男だこと。」
「細かくないっ!待て、囲まれてるぞ?」
周囲を警戒するリスキー。
「大丈夫よ、ハウリングドックよ。」
「大丈夫じゃないだろ?凶暴なモンスターじゃないか。」
「ハウリングドックは、決して自分たちから人を襲うことはないわ。」
「は?」
「お師匠様から、そう聞いてるし、今まで襲われたことないもの。」
そう言われて、リスキーは過去を振り返る。
ハウリングドックとは、かなりやりあってきたが、よくよく考えたら、警戒して先制抗議してるのは、常に自分の方だったと思いだした。
そもそも囲まれた後に、相手から先制攻撃を受けたら手遅れになりかねない。
アナスタシアは、囲まれているのを気にもせず眠りについた。
リスキーは、気が気でないまま寝るに寝られず夜を明かしてしまった。
「あんた目が赤いけど、美しい私の寝姿に悶々として夜を過ごしたんじゃないでしょうね?」
「違うわっ!!ハウリングドックに囲まれたまま、堂々と寝られる人間が何処に居るんだっ!」
「ここに居るじゃない。」
「・・・。」
ようやく小さな町へ着くと、リスキーが懇願した。
「今日は、町の宿に泊まろう?なっ。」
「宿代が、勿体ないでしょう?」
「馬鹿野郎、宿代くらい、俺が奢ってやる。」
よほど野宿したくないのだろう。
二人が町を歩いていると、奴隷を乗せた馬車が置いてあった。
荷台が鉄格子で覆われているので、直ぐに奴隷用馬車だとわかる。
2つの国家では、奴隷は禁止されているが、国無き地は無法地帯で、奴隷は別段珍しいものではなかった。
「おい、あの奴隷の女、アナスタシアを見てないか?」
「気のせいよ。」
「こっちに来いって合図してるぞ?知り合いじゃないのか?」
「あんな人間の女に知り合いは居ないわ。」
「そうなのか?本当に?」
リスキーは気になって奴隷の馬車へと近づいた。
「アナスタシアに私を買うように言って!」
「知り合いなのか?」
「そうよ。」
「でも、アナスタシアは、あんたのような知り合いの人間は居ないって言ってたがな?」
「そ、それは・・・。」
「おい、何を話してる!」
奴隷馬車を護衛しているごろつき風の男が、リスキーに近寄った。
「別に、ちょっと話すくらいいいだろ?」
「あ、あんたは・・・。」
リスキーの顔を見て、ごろつき風の男が怯む。
「どうした?」
奴隷商人がやってきて、護衛に聞いた。
「実は・・・。」
奴隷商人に耳打ちして、現状を伝えた。
「あなたがリスキー様ですか、お噂はかねがね。お気に入りの商品はございますか?と言っても、お売りできるのは、手前の女性だけですが。」
「連れの知り合いみたいでな。」
「そ、そうでしたか、でしたら30万ゴールドで如何でしょうか?」
「随分と安いな。」
「それは、もちろん。リスキー様の知りあいということですので。」
「アナスタシア、30万ゴールドだそうだ。どうする?」
「だから、知り合いじゃないって言ってるでしょ。」
「ちょっと、アナスタシア。」
「気軽に名前を呼ばないでくれる?あんたみたいな人間の知り合いは居ないんだから。」
「・・・。」
「まあ30ゴールドなら、買わないでもないけど?」
「それはさすがに・・・。」
「もちろん、奥のフードを被った少女も併せてね。」
「ははは・・・。」
困り切った顔で、奴隷商人は苦笑いした。
「リスキー様、お連れ様は買う気が無いようですので。」
「そうだな。アナスタシア、無茶を言うもんじゃない。」
「無茶?獣人を奴隷として扱っている方が無茶だと思うけど?」
アナスタシアの言葉に、町の住民たちが寄ってきた。
「おい、本当なのか?」
「この町を、潰す気かっ!」
何人かの町の人間が、奴隷商人に詰め寄る。
「お、お前たち、何とかしろ。」
奴隷商人が、数多く居た護衛に命令する。
が・・・。
既に護衛達は、逃げ出していた。
「ねえ、何で護衛は逃げ出したの?」
アナスタシアがリスキーに聞いた。
「まあ、俺を知っていたみたいだからな。」
「さすが級持ちね。」
暴徒と化した住民は、奴隷馬車の鉄格子を開けた。奴隷商人は、顔もわからないくらいに、ボコボコに殴られていた。
一人の住民が、フードを被った少女のフードを取ると、猫耳少女の可愛らしい耳が姿を現した。
「じゅ、獣人だ・・・。」
顔面が蒼白となる住民たち。
「き、きさまー!」
奴隷商人の胸倉をつかみ持ち上げるが、既に奴隷商人は死んでいた。
住民はボロ雑巾を扱うように、奴隷商人を投げ捨てた。
「お、終わりだ・・・。」
「この町は終わった。」
ある者は、逃げる準備をするために家へ、ある者は、その場にへたり込み絶望した。
「私が、その子を送り届けるわ。」
絶望に打ちひしがれた住民の前に救世主が現れた。
「ほ、本当に?」
「殺されるかもしれないぞ?」
「人には容赦ないぞ?」
「大丈夫よ、ほら級持ちの冒険者も居るし。」
そう言って、アナスタシアはリスキーの方を見た。
町の住民の視線もリスキーに向く。
「リ、リスキーさんだっ!」
「お、おおおーっ!」
住民たちは安堵の表情を浮かべた。
「級持ちは違うのね。」
「大丈夫なのか?あの子を送り届けるって言ったって、フールに出会えば、殺られるぞ?」
「級持ちで、私が仲間に居るのよ?」
「そりゃあそうだが、フールは別格だ。お前が居たって俺では到底無理だぞ。」
「なら、私が相手すればいいんでしょ?」
「お、おい・・・。」
アナスタシアは、ずっと怯えている獣人の子に話かけた。
「もう大丈夫よ。」
既に手かせ等は外されおり、少女はずっと身を縮めて怯えていた。
アナスタシアの声も届かないようだ。
「安心していいわ。私はフールの弟子なのよ?」
優しく語りかける。
「フ、フール様の?」
ようやく言葉を発する獣人の少女。
「あなたを住んでいた場所へ連れてってあげる。」
「お姉さんが?」
「ええ。」
ようやく安心したかのように、少女はアナスタシアに抱き着いた。
少女の頭を優しく撫でながら、アナスタシアはもう一人の奴隷に話しかけた。
「で、あんたはどうすんの?」
「私が助けなさいって言ってるのに、無視したわね!」
「私は、あなたのような人間の知り合いは居ないのよ。」
「くっ。」
「そのまま奴隷として生きていくの?」
「つ、ついていくに決まってるでしょ。」
「じゃあ、さっさとしなさい。」
アナスタシア達は、町を出る事にした。
「結局、また野宿か・・・。」
「仕方ないでしょ。」
アナスタシアは、町を出る前に、町の代表者に忠告した。
「万が一、フールが訪れたら、こう言いなさい。あんたの弟子が獣人の子を連れて行ったってね。」
町の代表者は、きょとんとしていたが、そのまま町を出た。
「で、こっちの女性とは、どういう関係なんだ?なんか不思議な女性だな。俺好みのいい女のはずなのに、俺の触手が反応しない。」
「さあ?言ったでしょ。私にこういう人間の知り合いは居ないって。」
「あんなこと言ってるけど?どうなんだ?」
リスキーは女性の方に聞いた。
「私の名前はフレイ。アナスタシアはあんなこと言ってるけど腐れ縁なのよ。」
「へえ、そうなんだ。」
人里離れた森の奥の方で立ち止まり。
「さて、この辺で野宿しましょうか。」
アナスタシアが宣言した。
「どうして、お前は毎度毎度、危険な場所を選ぶんだ?」
「何言ってるの、安全な場所を選んでいるのよ?」
「は?なんか周りに感じるだろ、モンスター達の気配をな。」
「だから安全なのよ。」
「はあ?」
そんなリスキーをよそに、野宿の準備をするアナスタシア。獣人の少女は、甲斐甲斐しく準備を手伝っていた。
「お嬢ちゃん、名前は?」
リスキーが獣人に聞いた。
「ミリィ。」
猫耳をピクピクしながら答えた。
「ほら、ミリィ。熱いから冷まして食べてね。」
「ありがとう。」
シチューを受け取ると、ふうふうしながら食べた。
「で、あんたは食事をとるの?」
アナスタシアはフレイに聞いた。
「そうね。」
アナスタシアは、仕方なさそうに手渡した。
「美味しい!」
ミリィがアナスタシアの料理を絶賛した。
「お、おいしい・・・。」
フレイも思わず、口に出てしまった。
「そりゃあどうも。」
ぶっきらぼうにアナスタシアは言った。
「アナスタシアは、料理が出来たのね。知らなかったわ。」
「なんだ小さい頃の知り合いか?」
リスキーが聞いた。
「そんなところよ。」
フレイが答えた。
「お姉ちゃんは、フール様の弟子なんだよ。だから料理もお上手なんだよ。」
ミリィが無邪気に言った。
「「はっ?」」
フレイとリスキーが驚きの声をあげた。
「お前、ブラッディフッドの弟子なんだろ?」
「そうだけど、色々あるのよ。」
「色々って・・・。」
リスキーは呆れてしまった。
それから4人は、ミリィの住んでいる村を目指していたのだが。
鬱蒼と茂った森の中で、襲撃を受けた。
「全員、動くな!動けば殺すっ。」
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