33 / 47
第三十三話~魔物が蔓延る町2~
しおりを挟む
はあ、もう胃が痛くなってきた。子供たちに目玉を配るってそれ何?
いやね、地域によっては食べるってことについては知っているよ。寒い地域なんかだと、動物の肉を生で食べたり、目玉をそのまま食べたりしているらしいからね。ほんとか嘘か知らないけど。
だけど、町中で配るもんじゃねぇだろ。ここの教会碌でもないな。いや? 子供たちに栄養豊富な目玉を配っているのだ。どちらかと言えばいい場所なのだろうか。判断に困る。
「すごいのを配ってますね、小雪お姉ちゃん」
「あ、うん、そうだね」
なんか目を輝かせて私に言ってくるアンリ。そりゃ目玉を配っている場所があれば興味を持つわな。
だけど、あれって目を輝かせてみるものか?
違う気がする。いやね、男の子だったらなんとなくわかるのよ。
虫とか爬虫類とか好きだもんね。コーロギ系男子とか学校で流行ったぐらいだからね。
ちなみに、帰り道にロギって、家で調理する人たちをコーロギ系男子と呼ぶらしい。
佃煮がぐにょっとして気持ち悪いとか美味しいとか……。あれ、これ漫画の話だっけ。そんな気がする。
まあ、そんなわけで、男子は虫大好き! 爬虫類大好き! なイメージがあるわけだけど、女の子には全くないな。
どちらかというと、豚の頭を割って脳みそを食べたり、豚の睾丸やきんつるを食べて、うっまーとか言っちゃうイメージが……ってこれはマジで漫画の話やんけ。
ゲテモノ系の食材が大好きな女の子の漫画の奴! そういえば、ロギるってこの漫画で初めて知った言葉だった。
……あれ、私はいったい何を考えていたんだっけ。最近思考がそれすぎだ。
とりあえず、あの漫画の話は頭の片隅に置いておいて、今はあの目玉を配っている謎の教会について考えるのが重要だ。
そもそも、あの目玉は何の目玉なんだよ。
大きさは手でコロコロするのにちょうどいいぐらいの目玉。どう見たって人間のやつな気がする。
あれか、私の脳みそが腐ってるからそんな考えに至るんだろうか、いや違う、絶対に違うんよ!
「小雪お姉ちゃん、私たちも貰いに行きましょう!」
「美味しいよ! お姉ちゃん!」
幼女二人に、一緒にお菓子食べようみたいなこと言われて和む光景だけど、目玉ってだけで、テンション下がるわー。
まあでも、アンリとクラヌがこう言ってくれているんだ。年長者である私が拒否するのはなんか違う気がする。違うよね?
というわけで、私は謎の目玉をもらうために、教会の方に近づいたわけだが、そこで異変が起きた。
突然聞こえた何かが割れるような音。いきなりのことだったので、びくぅっと体を震わせてしまった。恥ずかしい……。
アンリとクラヌも聞こえたようで、目に涙を溜めている。今にも泣き出しそうだ。
いったい何が……そう思った途端に周りに変化が訪れた。
笑顔で目玉を配っている教会の人とその人に群がっている子供たちの肌が突然ただれ始める。
そして目が赤く変色し、ぎらりと光った。
あ~とかう~とかよくわかんないうめき声のようなものを漏らし、私たちを睨んできた。
あの姿は間違いない。どっからどう見てもゾンビだ!
え、ちょ、なんで! なんで突然ゾンビ化するわけ! 意味わかんないよ!
頭がこんがらがって、わたわたしていたら、子供ゾンビの一人がクラヌに襲いかかった。
やべ、助けなきゃ!
咄嗟に使った魔法は、いつものあれ、拷問器具錬成だ。と言っても、何を出そうかちゃんと考えていなかったため、鉄の処女が出てしまった。きゃぴっとした、うざってぇデザインの鉄の処女が、くらぬを襲ったゾンビをぱくっと食べてしまう。
いや、急所を外すように設置された針だらけの中に引きずり込まれて、閉じ込められたと言ったほうが正しいか? まあどっちでもいいや。
ちょっとやばいものを出してしまったか? と思った矢先に、べきべきっと、聞こえちゃいけない音がなった。
なんと、子供ゾンビが素手で鉄の処女をこじ開けたではあーりませんか。
「これ、まずくねぇ」
「あうううう、怖いよ」
「クラヌを怖がらせるなんて、なんて子供なのかしら。刺し殺さなきゃ」
アンリさん。ヤンデレ設定が適当になってきてませんか? ってそうじゃなくて……。
「アンリ! あれに手を出しちゃダメ。さっきの見たでしょ。返り討ちにあうわよ」
「でも、クラヌのために、一刺ししておかないと……」
「もう! そんなのいいから、さっさと逃げる。クラヌも早く!」
「わふうううう、待ってよー」
「一刺し……したかった」
え、そんなに残念そうな表情になっちゃうの? どんだけ人を刺したいんだよ。シリアルキラーかよ! いや、この場合サイコパスか? 遊びみたいな感覚で人を殺しちゃう精神異常なやつ。いや、違うか。まあ、相手が死人だったからなんとも言えねぇけどな!
というわけで、私たちは逃げた。
それはもう、全力で逃げまくった。だって怖かったんだもん!
◇ ◆ ◇ ◆
「ぜぇぜぇ、はぁはぁ……二人共、いる?」
「はい、いますよ。ところで、大丈夫ですか?」
「わっふぅ! 走るの楽しかったよ!」
私たちは、アスリートもびっくりの綺麗なフォームで追いかけてくるゾンビたちから逃げまくっている途中で、ひっそりと建っている小屋を見つけた。
人間、追いかけられたら建物にこもりたくなるのは本能的なことだよね?
というわけで、私たちはその小屋に入った。
中は埃っぽくて、机などは腐っていた。壁もボロボロで、もしかしたら押し入られるかもしれない! と思ったけど、案外そんなことはなく、ゾンビどもは、飲み会終了後の解散時みたいにバラバラに去っていった。
ちなみに、私が地球にいたときはまだ未成年だったから飲み会になんて参加していないよ。未成年の飲酒は違法、犯罪だ!
お酒は夫婦になってから! ってこれ、漫画のタイトルや~。やべ、著作権とか大丈夫だろうか。大丈夫だな。だって異世界だもん。
心の中で呟くぐらい……いいよね!
「はぁ、なんとか逃げ切れた」
「そうですね。これで一刺しーー」
「行くな。やめろ。ゾンビが集まる」
「そ、そんな~」
アンリさん。もうちょっと自重しようね。そんな、一刺し依存性みたいなこと言わないで。
「クラヌは大丈夫?」
「わっふ~、ここ臭い。お外出ていい?」
「だからやめろっつってんの。またゾンビがアスリート走りしながら追いかけてくんだろ!」
「きゃうん、お姉ちゃんが怒った……」
いやね、怒ってないよ。でも、クラヌは瞳をうるうるさせて、チワワの如くこっちを見つめてくる。
っく、こっちが悪いことしているみたいじゃないか。絶対に謝んないんだからね。私、悪くない。
にしても、この小屋はいったいなんだろうか。ゾンビが近づかない、それだけで不思議がいっぱいだ。
だってあいつらは教会の中を平気で歩くことができる奴らなんだからな。
なのにこの小屋には入んない。
……匂いか?
いやいやいや、そんなわけないか。
私は改めて、この小屋の中を見渡した。腐った壁、腐った机、水瓶の中には腐った水。そして、モザイク必須な感じのビニール袋が……っておい。ここい世界だろう。なんでビニール袋が。そして、モザイク必須な感じは何! え、マジなんなの! 人の頭でも入ってんの!
私は恐る恐るビニール袋の中を確認して、そっとその場を離れた。
そういえば、前にアンリが物の召喚は比較的簡単だ的なことを言ってたなーと現実逃避する。
だけど、私の脳裏にはあのビニール袋の中身が再生され続けて……。
忘れようと思い、自分の頬を思いっきり殴った。
「こ、小雪お姉ちゃん!」
「お姉ちゃん!」
アンリとクラヌが心配そうに近づいて来る。まあ、自分で自分を殴ったぐらいじゃどうにもなんないけどね。現実逃避ぐらいしかできないから。
ああ、でも逃避できなかった。忘れられないあんな物……。
私は、もう我慢できなくなって、その場で叫んだ。
「なんでよりにもよってBL本なんだよ! ビニール袋の中身もね、腐ってたよ。ああ腐ってたさ。ここにある物のほとんどが腐ってたけど、あれはねぇだろ! 隠すならもっとちゃんと隠せよ。よりにもよって、ハードな奴はねぇだろ、こんちくしょう!」
「「ひぃ」」
うう、二人に怯えられる。すべてはあのビニール袋の中身がいけないんだ。
私はやけになって、あのビニール袋を中身ごと蹴飛ばした。
言葉されたビニール袋は、うまいぐわいに蹴っ飛ばせたのか、中を弧を描くように飛んでいき……。
バキィっという、やばいと思わせる音と共に床をぶち抜いて落ちていった。
っておい! 床をぶち抜いちゃうって、ここどんだけ腐ってんだよ。
もうだめだこれ。
手を額に当てて、天井に視線を移す。もう考えるのはやめよう。そうしよう。それがいい。
そう思って、全てを諦めようとしていたら、クイッと服を引っ張られた。
「お姉ちゃん、アンリがすっごいの見つけたよ!」
クラヌが無邪気な笑顔でそう言ってくれたのだが、言葉のほうが気になってそれどころじゃなくなった。
え、すごいのって何。え、え、なんなの!
もしかして……あのビニール袋の中よりすごいやつ? いーやー。もう勘弁して!
っと思いながら、私はアンリの近くに向かった。
すぅーっと、瞳から頬を汗が伝った気がする。うん、絶対に汗、汗なんなからな!
いやね、地域によっては食べるってことについては知っているよ。寒い地域なんかだと、動物の肉を生で食べたり、目玉をそのまま食べたりしているらしいからね。ほんとか嘘か知らないけど。
だけど、町中で配るもんじゃねぇだろ。ここの教会碌でもないな。いや? 子供たちに栄養豊富な目玉を配っているのだ。どちらかと言えばいい場所なのだろうか。判断に困る。
「すごいのを配ってますね、小雪お姉ちゃん」
「あ、うん、そうだね」
なんか目を輝かせて私に言ってくるアンリ。そりゃ目玉を配っている場所があれば興味を持つわな。
だけど、あれって目を輝かせてみるものか?
違う気がする。いやね、男の子だったらなんとなくわかるのよ。
虫とか爬虫類とか好きだもんね。コーロギ系男子とか学校で流行ったぐらいだからね。
ちなみに、帰り道にロギって、家で調理する人たちをコーロギ系男子と呼ぶらしい。
佃煮がぐにょっとして気持ち悪いとか美味しいとか……。あれ、これ漫画の話だっけ。そんな気がする。
まあ、そんなわけで、男子は虫大好き! 爬虫類大好き! なイメージがあるわけだけど、女の子には全くないな。
どちらかというと、豚の頭を割って脳みそを食べたり、豚の睾丸やきんつるを食べて、うっまーとか言っちゃうイメージが……ってこれはマジで漫画の話やんけ。
ゲテモノ系の食材が大好きな女の子の漫画の奴! そういえば、ロギるってこの漫画で初めて知った言葉だった。
……あれ、私はいったい何を考えていたんだっけ。最近思考がそれすぎだ。
とりあえず、あの漫画の話は頭の片隅に置いておいて、今はあの目玉を配っている謎の教会について考えるのが重要だ。
そもそも、あの目玉は何の目玉なんだよ。
大きさは手でコロコロするのにちょうどいいぐらいの目玉。どう見たって人間のやつな気がする。
あれか、私の脳みそが腐ってるからそんな考えに至るんだろうか、いや違う、絶対に違うんよ!
「小雪お姉ちゃん、私たちも貰いに行きましょう!」
「美味しいよ! お姉ちゃん!」
幼女二人に、一緒にお菓子食べようみたいなこと言われて和む光景だけど、目玉ってだけで、テンション下がるわー。
まあでも、アンリとクラヌがこう言ってくれているんだ。年長者である私が拒否するのはなんか違う気がする。違うよね?
というわけで、私は謎の目玉をもらうために、教会の方に近づいたわけだが、そこで異変が起きた。
突然聞こえた何かが割れるような音。いきなりのことだったので、びくぅっと体を震わせてしまった。恥ずかしい……。
アンリとクラヌも聞こえたようで、目に涙を溜めている。今にも泣き出しそうだ。
いったい何が……そう思った途端に周りに変化が訪れた。
笑顔で目玉を配っている教会の人とその人に群がっている子供たちの肌が突然ただれ始める。
そして目が赤く変色し、ぎらりと光った。
あ~とかう~とかよくわかんないうめき声のようなものを漏らし、私たちを睨んできた。
あの姿は間違いない。どっからどう見てもゾンビだ!
え、ちょ、なんで! なんで突然ゾンビ化するわけ! 意味わかんないよ!
頭がこんがらがって、わたわたしていたら、子供ゾンビの一人がクラヌに襲いかかった。
やべ、助けなきゃ!
咄嗟に使った魔法は、いつものあれ、拷問器具錬成だ。と言っても、何を出そうかちゃんと考えていなかったため、鉄の処女が出てしまった。きゃぴっとした、うざってぇデザインの鉄の処女が、くらぬを襲ったゾンビをぱくっと食べてしまう。
いや、急所を外すように設置された針だらけの中に引きずり込まれて、閉じ込められたと言ったほうが正しいか? まあどっちでもいいや。
ちょっとやばいものを出してしまったか? と思った矢先に、べきべきっと、聞こえちゃいけない音がなった。
なんと、子供ゾンビが素手で鉄の処女をこじ開けたではあーりませんか。
「これ、まずくねぇ」
「あうううう、怖いよ」
「クラヌを怖がらせるなんて、なんて子供なのかしら。刺し殺さなきゃ」
アンリさん。ヤンデレ設定が適当になってきてませんか? ってそうじゃなくて……。
「アンリ! あれに手を出しちゃダメ。さっきの見たでしょ。返り討ちにあうわよ」
「でも、クラヌのために、一刺ししておかないと……」
「もう! そんなのいいから、さっさと逃げる。クラヌも早く!」
「わふうううう、待ってよー」
「一刺し……したかった」
え、そんなに残念そうな表情になっちゃうの? どんだけ人を刺したいんだよ。シリアルキラーかよ! いや、この場合サイコパスか? 遊びみたいな感覚で人を殺しちゃう精神異常なやつ。いや、違うか。まあ、相手が死人だったからなんとも言えねぇけどな!
というわけで、私たちは逃げた。
それはもう、全力で逃げまくった。だって怖かったんだもん!
◇ ◆ ◇ ◆
「ぜぇぜぇ、はぁはぁ……二人共、いる?」
「はい、いますよ。ところで、大丈夫ですか?」
「わっふぅ! 走るの楽しかったよ!」
私たちは、アスリートもびっくりの綺麗なフォームで追いかけてくるゾンビたちから逃げまくっている途中で、ひっそりと建っている小屋を見つけた。
人間、追いかけられたら建物にこもりたくなるのは本能的なことだよね?
というわけで、私たちはその小屋に入った。
中は埃っぽくて、机などは腐っていた。壁もボロボロで、もしかしたら押し入られるかもしれない! と思ったけど、案外そんなことはなく、ゾンビどもは、飲み会終了後の解散時みたいにバラバラに去っていった。
ちなみに、私が地球にいたときはまだ未成年だったから飲み会になんて参加していないよ。未成年の飲酒は違法、犯罪だ!
お酒は夫婦になってから! ってこれ、漫画のタイトルや~。やべ、著作権とか大丈夫だろうか。大丈夫だな。だって異世界だもん。
心の中で呟くぐらい……いいよね!
「はぁ、なんとか逃げ切れた」
「そうですね。これで一刺しーー」
「行くな。やめろ。ゾンビが集まる」
「そ、そんな~」
アンリさん。もうちょっと自重しようね。そんな、一刺し依存性みたいなこと言わないで。
「クラヌは大丈夫?」
「わっふ~、ここ臭い。お外出ていい?」
「だからやめろっつってんの。またゾンビがアスリート走りしながら追いかけてくんだろ!」
「きゃうん、お姉ちゃんが怒った……」
いやね、怒ってないよ。でも、クラヌは瞳をうるうるさせて、チワワの如くこっちを見つめてくる。
っく、こっちが悪いことしているみたいじゃないか。絶対に謝んないんだからね。私、悪くない。
にしても、この小屋はいったいなんだろうか。ゾンビが近づかない、それだけで不思議がいっぱいだ。
だってあいつらは教会の中を平気で歩くことができる奴らなんだからな。
なのにこの小屋には入んない。
……匂いか?
いやいやいや、そんなわけないか。
私は改めて、この小屋の中を見渡した。腐った壁、腐った机、水瓶の中には腐った水。そして、モザイク必須な感じのビニール袋が……っておい。ここい世界だろう。なんでビニール袋が。そして、モザイク必須な感じは何! え、マジなんなの! 人の頭でも入ってんの!
私は恐る恐るビニール袋の中を確認して、そっとその場を離れた。
そういえば、前にアンリが物の召喚は比較的簡単だ的なことを言ってたなーと現実逃避する。
だけど、私の脳裏にはあのビニール袋の中身が再生され続けて……。
忘れようと思い、自分の頬を思いっきり殴った。
「こ、小雪お姉ちゃん!」
「お姉ちゃん!」
アンリとクラヌが心配そうに近づいて来る。まあ、自分で自分を殴ったぐらいじゃどうにもなんないけどね。現実逃避ぐらいしかできないから。
ああ、でも逃避できなかった。忘れられないあんな物……。
私は、もう我慢できなくなって、その場で叫んだ。
「なんでよりにもよってBL本なんだよ! ビニール袋の中身もね、腐ってたよ。ああ腐ってたさ。ここにある物のほとんどが腐ってたけど、あれはねぇだろ! 隠すならもっとちゃんと隠せよ。よりにもよって、ハードな奴はねぇだろ、こんちくしょう!」
「「ひぃ」」
うう、二人に怯えられる。すべてはあのビニール袋の中身がいけないんだ。
私はやけになって、あのビニール袋を中身ごと蹴飛ばした。
言葉されたビニール袋は、うまいぐわいに蹴っ飛ばせたのか、中を弧を描くように飛んでいき……。
バキィっという、やばいと思わせる音と共に床をぶち抜いて落ちていった。
っておい! 床をぶち抜いちゃうって、ここどんだけ腐ってんだよ。
もうだめだこれ。
手を額に当てて、天井に視線を移す。もう考えるのはやめよう。そうしよう。それがいい。
そう思って、全てを諦めようとしていたら、クイッと服を引っ張られた。
「お姉ちゃん、アンリがすっごいの見つけたよ!」
クラヌが無邪気な笑顔でそう言ってくれたのだが、言葉のほうが気になってそれどころじゃなくなった。
え、すごいのって何。え、え、なんなの!
もしかして……あのビニール袋の中よりすごいやつ? いーやー。もう勘弁して!
っと思いながら、私はアンリの近くに向かった。
すぅーっと、瞳から頬を汗が伝った気がする。うん、絶対に汗、汗なんなからな!
0
お気に入りに追加
293
あなたにおすすめの小説
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
しっかり者のエルフ妻と行く、三十路半オッサン勇者の成り上がり冒険記
スィグトーネ
ファンタジー
ワンルームの安アパートに住み、非正規で給料は少なく、彼女いない歴35年=実年齢。
そんな負け組を絵にかいたような青年【海渡麒喜(かいときき)】は、仕事を終えてぐっすりと眠っていた。
まどろみの中を意識が彷徨うなか、女性の声が聞こえてくる。
全身からは、滝のような汗が流れていたが、彼はまだ自分の身に起こっている危機を知らない。
間もなく彼は金縛りに遭うと……その後の人生を大きく変えようとしていた。
※この物語の挿絵は【AIイラスト】さんで作成したモノを使っています
※この物語は、暴力的・性的な表現が含まれています。特に外出先等でご覧になる場合は、ご注意頂きますようお願い致します。
おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした
あおアンドあお
ファンタジー
ギガン城と呼ばれる城の第一王女であるリコット王女が、他の世界に住む四人の男女を
自分の世界へと召喚した。
召喚された四人の事をリコット王女は勇者と呼び、この世界を魔王の手から救ってくれと
願いを託す。
しかしよく見ると、皆の希望の目線は、この俺...城川練矢(しろかわれんや)には、
全く向けられていなかった。
何故ならば、他の三人は若くてハリもある、十代半ばの少年と少女達であり、
将来性も期待性もバッチリであったが...
この城川練矢はどう見ても、しがないただの『おっさん』だったからである。
でもさ、いくらおっさんだからっていって、これはひどくないか?
だって、俺を召喚したリコット王女様、全く俺に目線を合わせてこないし...
周りの兵士や神官達も蔑視の目線は勿論のこと、隠しもしない罵詈雑言な言葉を
俺に投げてくる始末。
そして挙げ句の果てには、ニヤニヤと下卑た顔をして俺の事を『ニセ勇者』と
罵って蔑ろにしてきやがる...。
元の世界に帰りたくても、ある一定の魔力が必要らしく、その魔力が貯まるまで
最低、一年はかかるとの事だ。
こんな城に一年間も居たくない俺は、町の方でのんびり待とうと決め、この城から
出ようとした瞬間...
「ぐふふふ...残念だが、そういう訳にはいかないんだよ、おっさんっ!」
...と、蔑視し嘲笑ってくる兵士達から止められてしまうのだった。
※小説家になろう様でも掲載しています。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-
ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。
断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。
彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。
通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。
お惣菜お安いですよ?いかがです?
物語はまったり、のんびりと進みます。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる
竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。
ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする.
モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする.
その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.
第六監獄の看守長は、あんまり死なない天使らしい
白夢
ファンタジー
混乱を極める公国にて。
天界を追放され、魔界から爪弾きにされ、這這の体で辿り着いたこの場所で、不運にもマッドサイエンティストに拾われた俺は、実験体としては比較的幸運なことに、看守として楽しく過ごしている。
しかし愛すべき公国は、悲しきかな崩壊の最中。
数年前、人類の天敵としてこの国に突如ヴァンピールという存在が現れてからというもの、ただでさえ悲惨な世情はさらに悪化の一途を辿っていた。
しかし幽閉中の愛しい死刑囚594番と、可愛い部下達、ついでに育て親のイかれた官吏に、害が及ばなければそれでいい。
俺は、このままの日常に満足していた。
そんなある日、俺はマッドサイエンティストの官吏から、我が第六監獄において、とある子供を保護するように依頼された。
囚人番号427番として移送されてきた、傷だらけのその子供。
彼は史実上唯一無二の、人類に友好的な、理性を持つヴァンピールらしい。
もちろん官吏には従うが、あまり気が進まない。
なんというかぼんやりと、どうにも嫌な予感がする。
---
※一部に残酷・暴力描写がありますので、苦手な方はご注意下さい。
お気に入りの死刑囚、官吏さんから預かったヴァンピール、育て親の官吏、友達の監獄医、様子がおかしい矯正長、可愛い部下の看守たちなど、ちょっと楽しくて、少しだけ狂った平穏な日常が終わりを告げるまでのお話です。
悲しい出来事も多いですが、きっと最後はみんな笑顔になれるはず。
楽しんでいただければ幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる