18 / 47
第十八話~彷徨う死者2~
しおりを挟む
とりあえず、ニートリッヒの依頼を受けることにした。
国からの依頼ってことは、あの悪臭王の依頼ってわけで、それだけで受けたくなくなるんだけど、せっかくひげもじゃが選んでくれたわけだし、やらなきゃ悪いよね。
という訳で、ニートリッヒに向かって出発した私とアンリ。
目的地はエクリプセから二週間ほどいった場所だ。
前線からかなり離れているように見えるが、これはこれで仕方がない。
ニートリッヒは戦場に送る食料の生産地なわけで、それを場所ごと移動することは不可能。まぁ、滅んでいるんだけどね。
でも、空間移動系のスキルなんかを勇者が持っていたりしたら、あまり関係ないか。
だって、食料をわざわざ運ばなくても、手元に持ってこれるわけだからね。
私みたいに転移できる奴はいないだろうけど、空間を繋げて取り寄せるぐらいならできそう。
そう考えると、空間系の魔法って、怖い。
戦争で最も重要な兵站の考えが一気に崩壊しそう……。
もう勇者じゃないから関係ないけど。
「よし、そろそろ転移をーー」
「ダメですぅ! 今回は! 絶対に歩いていくんですから!」
「で、でも……ニートリッヒまで、何もないんだよ」
ほんと、傭兵ギルドでひげもじゃに聞いたときは卒倒しそうになった。
二週間の野宿生活。いやそこはいいんだけど、アンリと外でふたりっきり。しかも、アンリに夜の見張りをやらせるには、いささか不安が……。
こりゃあれか。私に仕事が終わるまで寝るなってか。無理だろう。
「大丈夫です! それに、小雪お姉ちゃんの素晴らしいスキルのおかげで、食料とかは、どうにかなりそうですし、この旅を楽しみましょうよ!」
「うぐぅ、口を滑らせてしまったのがいけなかった……」
アンリが言っている素晴らしいスキルというのは、『世界創造』と『生物創造』の二つだ。
鑑定さんにお願いするとこんな感じ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『世界創造』
自分だけの世界をつくることができる固有魔法。
ただし、その世界を創造した術者は、作った世界に行くことができない。
だけど、モノや作った世界に住まう生物などを取り出すことは可能。
『生物創造』
あらゆる生物を創造することができる。ただし、作った生物は一定時間が経過した後に死亡する。
術者と同じ世界に存在できる時間は、『世界創造』によって作られた世界に行くことで回復する事ができる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鑑定さんがふざけなかったので、ちょっと怖い。でも、真面目に仕事してくれるのはいいことだ。今後共、こんな感じになることを期待しよう。
んで、この二つのスキルなんだけど、かなり使えるスキルなんだよね。
ラノベとかにありそうな、アイテムボックス。あれに近いかもしれない。
私が好き勝手に作った世界に、食料などをぽいぽい入れていく。
世界なんて、すぐに埋まってしまうような場所じゃないから、無限に近い容量を収納可能。それだけじゃなく、生物創造を使えば、私の世界で生産も可能となるっ!
まさに万能スキル。
しまうだけが取り柄のアイテムボックスよりスゲェって思われるやつだよね。
しかも、創造した生物は、召喚できるから、戦闘要員としても使える。まさに完全無敵の魔法だね!
とりま、エクリプセで買ったものを世界にしまって、一番最初に創造した『触手ちゃん』に管理してもらうことにした。随時生物創造させて行く予定だ。
この使い方は、エクリプセで買い物中に鑑定さんにお願いして、自分のスキルの確認をしていた時に気がついたんだ。
だけど、うっかりアンリに言ってしまい……。
転移は使わせまいとだだこねるようになっちゃった。
まあ、これも旅の醍醐味だと思えばそれでいいんだけどね。
「ぴゅき!」
「あわわ、なんですかあれ!」
「ああ、スライムだね、こんなところにいるなんて」
超絶危険モンスター、スライム。誰が言ったか知らないが、世界最強でドラゴンすら食らうらしい。
その生態はかなり謎に包まれているとかいないとか。
青くてぷるんとした体をしているが、あれは水ではない。濃硫酸だっ!
下手すれば溶かされるぞって、図鑑に書いてあった。
どこの図鑑だって?
ギルドカードだよっ! あれ、マジスゲェ機能満載だよ。
「ス、スライムですか! あんなに可愛らしいのに世界最強なんて……信じられない!」
「アンリの言いたいこともわかるけど、これが現実なんだよ。あいつ、物理攻撃効かないし、触れたらこっちの体が溶かされるし……」
ライトノベルに登場するスライムのように、核みたいなのがあったら良かったんだけどね。
普通に進化して生まれた生物にそんなものあるわけないじゃん。
という訳で、このスライムに核なる弱点はありません。
一体どういう原理で存在しているんだろうって思ったことがあったから調べたけど、あれってアンデットと同じだったよ。
魔力によって体を構成する魔物。アンデットは魔力で死体を動かしている魔物。
あの二つが親戚って考えるとなんか違うような気がするけど……。
「アンリ、あれは炎で焼き尽くさないと倒せないよ、ここは私に任せーー」
「ここは私がやるですっ! はあああああああっ! ファイヤー」
「うぉ、何これ!」
アンリの周りに魔力が激しく迸る。
もしかして、アンリがあのスライムをっ!
そんなことを思ったことがありました。
アンリが放ったのは、ライターの火? って思えるほど小さかった。そういえば、この子の炎魔法は素人級だった。そりゃ当たり前か。
だったら、さっきの魔力はなんだったの!
スライムはアンリが放った火に当たったが、なんともないと言っているかのように、ぷるんとしていた。
「な、火に弱いはずなのにっ!」
「あんな火じゃ倒せる訳ないじゃんっ!」
この子は一体何を考えてそんな行動をっ!
なんて思って、意識をスライムから外したのが悪かった。
自前の弾力で、スライムが飛び跳ね、木にぶつかったと思ったら、その反動を利用して更に加速した。
私とアンリの周りを青い閃光が飛び交う。
飛び交ってんのスライムなんだけどっ!
っく、これだけ早いと対処が……。
スライムがは速すぎて、炎系の魔法を当てられそうにない。
物理で何とかなれば、化物じみたステータスでどうにかなるのに……クソ。
バキッと強烈な音が響く。青い閃光となったスライムは、木が折れるほどのスピードに達した。
てか、あれで跳弾なんて無理だよね! どういう原理になってるの!
驚いていたら、スライムは私ではなく、アンリに向かって飛びかかってきた!
「ぐぶぅ」
「あ、アンリっ!」
やばい! 顔がスライムに包まれた。
失敗した、失敗した、失敗した。
私は慌ててアンリに近づいた。こんなところでアンリを死なせてなるものかぁ!
必死にスライムを剥がそうと……。
ぷるんっ。
あれ? あっさり取れたんだけど?
「あ、小雪お姉ちゃん。このスライムさんすごいよ。私のお肌がぷるぷるにっ!」
「あ、本当だ、肌の艶が……って、なんでぇ! これはスライムだよね! そのスライムに包まれてなんで綺麗になってんの!」
いや、これはこれで良かったんだけど……。
このスライムが本当にあのスライムなのか、疑問に思えてくる。
「これ、どうやらパックスライムですね。激レアですっ!」
「パックスライム? なにそれ」
そんなスライム、私は知らないよ。
「このスライムを顔に乗せてあげると、お肌がぷるぷるになるんです。ついでに、古い細胞やらなんやらを丁寧にとってくれて……。女性に大人気のスライムなんですよ!」
「顔パックか! なんだそのスライム、生物としておかしすぎだろぉ! てか、それならさっき飛び跳ねていたのはなんだったの! 意味ないじゃん。青い閃光やべぇって思った私の気持ちに謝ってよ!」
なんか納得いかねぇ!
「こ、小雪お姉ちゃん……。スライムに謝れって言っても……その……」
「そして、哀れみの目で見られた!」
もうやだ……死にたい。死ねないけどね!
国からの依頼ってことは、あの悪臭王の依頼ってわけで、それだけで受けたくなくなるんだけど、せっかくひげもじゃが選んでくれたわけだし、やらなきゃ悪いよね。
という訳で、ニートリッヒに向かって出発した私とアンリ。
目的地はエクリプセから二週間ほどいった場所だ。
前線からかなり離れているように見えるが、これはこれで仕方がない。
ニートリッヒは戦場に送る食料の生産地なわけで、それを場所ごと移動することは不可能。まぁ、滅んでいるんだけどね。
でも、空間移動系のスキルなんかを勇者が持っていたりしたら、あまり関係ないか。
だって、食料をわざわざ運ばなくても、手元に持ってこれるわけだからね。
私みたいに転移できる奴はいないだろうけど、空間を繋げて取り寄せるぐらいならできそう。
そう考えると、空間系の魔法って、怖い。
戦争で最も重要な兵站の考えが一気に崩壊しそう……。
もう勇者じゃないから関係ないけど。
「よし、そろそろ転移をーー」
「ダメですぅ! 今回は! 絶対に歩いていくんですから!」
「で、でも……ニートリッヒまで、何もないんだよ」
ほんと、傭兵ギルドでひげもじゃに聞いたときは卒倒しそうになった。
二週間の野宿生活。いやそこはいいんだけど、アンリと外でふたりっきり。しかも、アンリに夜の見張りをやらせるには、いささか不安が……。
こりゃあれか。私に仕事が終わるまで寝るなってか。無理だろう。
「大丈夫です! それに、小雪お姉ちゃんの素晴らしいスキルのおかげで、食料とかは、どうにかなりそうですし、この旅を楽しみましょうよ!」
「うぐぅ、口を滑らせてしまったのがいけなかった……」
アンリが言っている素晴らしいスキルというのは、『世界創造』と『生物創造』の二つだ。
鑑定さんにお願いするとこんな感じ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『世界創造』
自分だけの世界をつくることができる固有魔法。
ただし、その世界を創造した術者は、作った世界に行くことができない。
だけど、モノや作った世界に住まう生物などを取り出すことは可能。
『生物創造』
あらゆる生物を創造することができる。ただし、作った生物は一定時間が経過した後に死亡する。
術者と同じ世界に存在できる時間は、『世界創造』によって作られた世界に行くことで回復する事ができる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鑑定さんがふざけなかったので、ちょっと怖い。でも、真面目に仕事してくれるのはいいことだ。今後共、こんな感じになることを期待しよう。
んで、この二つのスキルなんだけど、かなり使えるスキルなんだよね。
ラノベとかにありそうな、アイテムボックス。あれに近いかもしれない。
私が好き勝手に作った世界に、食料などをぽいぽい入れていく。
世界なんて、すぐに埋まってしまうような場所じゃないから、無限に近い容量を収納可能。それだけじゃなく、生物創造を使えば、私の世界で生産も可能となるっ!
まさに万能スキル。
しまうだけが取り柄のアイテムボックスよりスゲェって思われるやつだよね。
しかも、創造した生物は、召喚できるから、戦闘要員としても使える。まさに完全無敵の魔法だね!
とりま、エクリプセで買ったものを世界にしまって、一番最初に創造した『触手ちゃん』に管理してもらうことにした。随時生物創造させて行く予定だ。
この使い方は、エクリプセで買い物中に鑑定さんにお願いして、自分のスキルの確認をしていた時に気がついたんだ。
だけど、うっかりアンリに言ってしまい……。
転移は使わせまいとだだこねるようになっちゃった。
まあ、これも旅の醍醐味だと思えばそれでいいんだけどね。
「ぴゅき!」
「あわわ、なんですかあれ!」
「ああ、スライムだね、こんなところにいるなんて」
超絶危険モンスター、スライム。誰が言ったか知らないが、世界最強でドラゴンすら食らうらしい。
その生態はかなり謎に包まれているとかいないとか。
青くてぷるんとした体をしているが、あれは水ではない。濃硫酸だっ!
下手すれば溶かされるぞって、図鑑に書いてあった。
どこの図鑑だって?
ギルドカードだよっ! あれ、マジスゲェ機能満載だよ。
「ス、スライムですか! あんなに可愛らしいのに世界最強なんて……信じられない!」
「アンリの言いたいこともわかるけど、これが現実なんだよ。あいつ、物理攻撃効かないし、触れたらこっちの体が溶かされるし……」
ライトノベルに登場するスライムのように、核みたいなのがあったら良かったんだけどね。
普通に進化して生まれた生物にそんなものあるわけないじゃん。
という訳で、このスライムに核なる弱点はありません。
一体どういう原理で存在しているんだろうって思ったことがあったから調べたけど、あれってアンデットと同じだったよ。
魔力によって体を構成する魔物。アンデットは魔力で死体を動かしている魔物。
あの二つが親戚って考えるとなんか違うような気がするけど……。
「アンリ、あれは炎で焼き尽くさないと倒せないよ、ここは私に任せーー」
「ここは私がやるですっ! はあああああああっ! ファイヤー」
「うぉ、何これ!」
アンリの周りに魔力が激しく迸る。
もしかして、アンリがあのスライムをっ!
そんなことを思ったことがありました。
アンリが放ったのは、ライターの火? って思えるほど小さかった。そういえば、この子の炎魔法は素人級だった。そりゃ当たり前か。
だったら、さっきの魔力はなんだったの!
スライムはアンリが放った火に当たったが、なんともないと言っているかのように、ぷるんとしていた。
「な、火に弱いはずなのにっ!」
「あんな火じゃ倒せる訳ないじゃんっ!」
この子は一体何を考えてそんな行動をっ!
なんて思って、意識をスライムから外したのが悪かった。
自前の弾力で、スライムが飛び跳ね、木にぶつかったと思ったら、その反動を利用して更に加速した。
私とアンリの周りを青い閃光が飛び交う。
飛び交ってんのスライムなんだけどっ!
っく、これだけ早いと対処が……。
スライムがは速すぎて、炎系の魔法を当てられそうにない。
物理で何とかなれば、化物じみたステータスでどうにかなるのに……クソ。
バキッと強烈な音が響く。青い閃光となったスライムは、木が折れるほどのスピードに達した。
てか、あれで跳弾なんて無理だよね! どういう原理になってるの!
驚いていたら、スライムは私ではなく、アンリに向かって飛びかかってきた!
「ぐぶぅ」
「あ、アンリっ!」
やばい! 顔がスライムに包まれた。
失敗した、失敗した、失敗した。
私は慌ててアンリに近づいた。こんなところでアンリを死なせてなるものかぁ!
必死にスライムを剥がそうと……。
ぷるんっ。
あれ? あっさり取れたんだけど?
「あ、小雪お姉ちゃん。このスライムさんすごいよ。私のお肌がぷるぷるにっ!」
「あ、本当だ、肌の艶が……って、なんでぇ! これはスライムだよね! そのスライムに包まれてなんで綺麗になってんの!」
いや、これはこれで良かったんだけど……。
このスライムが本当にあのスライムなのか、疑問に思えてくる。
「これ、どうやらパックスライムですね。激レアですっ!」
「パックスライム? なにそれ」
そんなスライム、私は知らないよ。
「このスライムを顔に乗せてあげると、お肌がぷるぷるになるんです。ついでに、古い細胞やらなんやらを丁寧にとってくれて……。女性に大人気のスライムなんですよ!」
「顔パックか! なんだそのスライム、生物としておかしすぎだろぉ! てか、それならさっき飛び跳ねていたのはなんだったの! 意味ないじゃん。青い閃光やべぇって思った私の気持ちに謝ってよ!」
なんか納得いかねぇ!
「こ、小雪お姉ちゃん……。スライムに謝れって言っても……その……」
「そして、哀れみの目で見られた!」
もうやだ……死にたい。死ねないけどね!
0
お気に入りに追加
293
あなたにおすすめの小説
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
しっかり者のエルフ妻と行く、三十路半オッサン勇者の成り上がり冒険記
スィグトーネ
ファンタジー
ワンルームの安アパートに住み、非正規で給料は少なく、彼女いない歴35年=実年齢。
そんな負け組を絵にかいたような青年【海渡麒喜(かいときき)】は、仕事を終えてぐっすりと眠っていた。
まどろみの中を意識が彷徨うなか、女性の声が聞こえてくる。
全身からは、滝のような汗が流れていたが、彼はまだ自分の身に起こっている危機を知らない。
間もなく彼は金縛りに遭うと……その後の人生を大きく変えようとしていた。
※この物語の挿絵は【AIイラスト】さんで作成したモノを使っています
※この物語は、暴力的・性的な表現が含まれています。特に外出先等でご覧になる場合は、ご注意頂きますようお願い致します。
おっさん、勇者召喚されるがつま弾き...だから、のんびりと冒険する事にした
あおアンドあお
ファンタジー
ギガン城と呼ばれる城の第一王女であるリコット王女が、他の世界に住む四人の男女を
自分の世界へと召喚した。
召喚された四人の事をリコット王女は勇者と呼び、この世界を魔王の手から救ってくれと
願いを託す。
しかしよく見ると、皆の希望の目線は、この俺...城川練矢(しろかわれんや)には、
全く向けられていなかった。
何故ならば、他の三人は若くてハリもある、十代半ばの少年と少女達であり、
将来性も期待性もバッチリであったが...
この城川練矢はどう見ても、しがないただの『おっさん』だったからである。
でもさ、いくらおっさんだからっていって、これはひどくないか?
だって、俺を召喚したリコット王女様、全く俺に目線を合わせてこないし...
周りの兵士や神官達も蔑視の目線は勿論のこと、隠しもしない罵詈雑言な言葉を
俺に投げてくる始末。
そして挙げ句の果てには、ニヤニヤと下卑た顔をして俺の事を『ニセ勇者』と
罵って蔑ろにしてきやがる...。
元の世界に帰りたくても、ある一定の魔力が必要らしく、その魔力が貯まるまで
最低、一年はかかるとの事だ。
こんな城に一年間も居たくない俺は、町の方でのんびり待とうと決め、この城から
出ようとした瞬間...
「ぐふふふ...残念だが、そういう訳にはいかないんだよ、おっさんっ!」
...と、蔑視し嘲笑ってくる兵士達から止められてしまうのだった。
※小説家になろう様でも掲載しています。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる
竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。
ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする.
モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする.
その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.
第六監獄の看守長は、あんまり死なない天使らしい
白夢
ファンタジー
混乱を極める公国にて。
天界を追放され、魔界から爪弾きにされ、這這の体で辿り着いたこの場所で、不運にもマッドサイエンティストに拾われた俺は、実験体としては比較的幸運なことに、看守として楽しく過ごしている。
しかし愛すべき公国は、悲しきかな崩壊の最中。
数年前、人類の天敵としてこの国に突如ヴァンピールという存在が現れてからというもの、ただでさえ悲惨な世情はさらに悪化の一途を辿っていた。
しかし幽閉中の愛しい死刑囚594番と、可愛い部下達、ついでに育て親のイかれた官吏に、害が及ばなければそれでいい。
俺は、このままの日常に満足していた。
そんなある日、俺はマッドサイエンティストの官吏から、我が第六監獄において、とある子供を保護するように依頼された。
囚人番号427番として移送されてきた、傷だらけのその子供。
彼は史実上唯一無二の、人類に友好的な、理性を持つヴァンピールらしい。
もちろん官吏には従うが、あまり気が進まない。
なんというかぼんやりと、どうにも嫌な予感がする。
---
※一部に残酷・暴力描写がありますので、苦手な方はご注意下さい。
お気に入りの死刑囚、官吏さんから預かったヴァンピール、育て親の官吏、友達の監獄医、様子がおかしい矯正長、可愛い部下の看守たちなど、ちょっと楽しくて、少しだけ狂った平穏な日常が終わりを告げるまでのお話です。
悲しい出来事も多いですが、きっと最後はみんな笑顔になれるはず。
楽しんでいただければ幸いです!
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる