モフモフ異世界のモブ当主になったら側近騎士からの愛がすごい

番外編SS

こまかいおはなし色々２

こまかいおはなし色々その2


【春越え編】

夏休みのお昼ご飯を買いにコンビニへ来た浅草琉夏あさくさるか。
うっかり「袋いらないです」と言ってパックのお寿司を両手で大切に持って帰る羽目になる琉夏。
直射日光に晒されてるとお寿司が傷むかもと思い、片手でお寿司パックに日陰を作ってあげる琉夏。


【リュカの日常編】

苦手な大使との会談に向かおうとするも耳がペチャンコになってしまうリュカ様。
「リュカ様、イカ耳になってますよ」と諫めるヴァン。
手で耳を直すリュカ様。やっぱり耳がイカになってしまうリュカ様。


【キツネだけど別に油揚げは好きじゃないリュカ様】

リュカ「油揚げ？　別に好きじゃない……嫌いでもないけど……」


【ルーチェの尻尾しゃぶり（0歳）】

おんぶされているとリュカの尻尾を触りたがるルーチェ。尻尾を触らせておくとおとなしいので好きにさせておくリュカ。しゃぶられてガビガビになる尻尾。
ルーチェが毛を飲み込んで吐いてしまうのでカバーをつけられるリュカの尻尾。
ヴァン「見栄えが悪い……」
リュカ「見栄えなんて気にしてたら育児してらんないよ」
尻尾がしゃぶれなくて怒るルーチェ「んーー！！」


【あざとさに負けないリュカ様】

ゾーイ「萌え袖でマシュマロ入りのココアをふーふーしながら飲んでくだされ！！」
リュカ「袖が長いの嫌いなんだ、捲ってもいい？　飲み物にマシュマロ入ってるのちょっと苦手かも……てかココアじゃなきゃ駄目？　のど乾いてるからグビグビ飲めるアイスティーがいいな。え、ふーふーが大事？　俺ネコ舌じゃないから熱いの平気だよ？」
ままならないゾーイ「んんんんんんんんんんんん！！」


【爵位の話】

　レイナルド邸の護衛騎士団は基本的に貴族の当主、或いはその嫡男である。

　しかしインセングリム侯爵家の跡継ぎでなくなったヴァンは、今はいいがいずれ爵位のない平民になってしまう。従属爵位のないこの世界では、爵位は基本的にひとりの後継者しか継げないのだ。

　黄金麦穂団はインセングリム一族が担っているので、特例で爵位を持たない次男や三男、傍系もいるが、団長が平民というのも如何せん体面が悪い。

　もっともリュカはヴァンの身分がどうであっても気にしないし、彼の剣の腕と功績を知っているレイナルド領の者なら文句を言う輩などいないのだが。

　それでも彼の名誉のためになんとかしてあげたいと常々思っていたリュカは、あることを決めた。

　それは、ウルデウス王国復刻に大いなる貢献をした褒章として、ヴァンとピートに新たな爵位と領地を与えるというものだ。

　ピートは現在子爵位を持っているが、違法な取引で買った爵位で、森しかない小さな領地はほとんど機能していない。

　リュカはウルデウス王国が復活したことで公爵から王になった。それに伴い王の側近となったふたりにも相応しい身分を与えねばと思う。

　大臣らと協議を重ねた結果、ヴァンとピートは建国一周年記念の日に叙爵されることとなった。

　爵位は辺境伯。領地は虚空の神殿を囲う北東と南西だ。

　虚空の神殿は四公爵領に跨っていて、その周囲と領境はそれぞれの公爵領の貴族が守っている。レイナルド領の守護はテレス辺境伯だ。

　しかし一年前に四大公爵家が崩壊したり虚空の神殿が聖域となったことで、神殿回りは国王であり現人神であるリュカが守るべきとなり、レイナルド領以外の神殿回りは国の管理地となっていた。

　今回ヴァンとピートに授けるのはこの神殿回りの土地である。テレス辺境伯領を除く四分の三……つまり神殿を囲むワレンガ領とガルトマン領とヴェリシェレン領の土地を、ヴァンとピートでわけるのだ。

　聖域と領境を守る重要な土地である。英雄ともいえる活躍をした両団長にこそ相応しい。この決定に異を唱える者など誰もいなかった。

　北東側をヴァンが、南西側をピートが賜った。護衛騎士としてリュカのそばを離れられないふたりは直接領地の運営には携われないので総督が代理を務めることになるが、それでも領主は領主だ。

　国境でそれなりに栄えている街なので大きな税収が入ってくるようになるし、報告に目を通し領主として解決せねばならない問題も出てくるだろう。

　リュカも国王になってから立場も責任も大きくなり多忙を連日極めているが、ヴァンとピートもこれで同じだ。侯爵家嫡男と子爵から、国でトップクラスの上級貴族当主である。その責務は大きい。

　側近騎士として国王を守りつつ、辺境伯として聖域と領境を守る。ふたりはまごうことなき王国の守護者になったのであった。