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悪役師匠は手がかかる!魔王城は今日もワチャワチャです
第三章 エルフの子と僕
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声をかけたら驚かせちゃうかなと心配したけど、このままじゃわかってもらえないと言ったドゥガーリンの言葉を思い出して、意を決して話しかけてみる。
「あ……あの! ビックリさせちゃったらごめんね。ちょっときみと話がしたいなーって……」
扉の奥で少しだけしていた物音がやんだ。怖がらせちゃったかなと申し訳なくなり、声が少し小さくなってしまう。
「気が向いたら聞いて。嫌だったら無視して構わないから。……えっと、あの……前も言ったけどここは怖い場所じゃないよ。みんなでのんびり暮らしてるだけなんだ。僕とドゥガーリンは家事をしながら師匠に魔法を教わってる。師匠はすごい魔法使いで、魔法の研究をしてるんだ。毎日みんなでご飯食べて、バタバタ掃除したりして、時々街へ買い物にいって……楽しいよ。豪華じゃないけどご飯もお腹いっぱい食べられるし、毎日お風呂も入れる。それから……ここでは夜伽とかしなくていい」
最後のひと言を聞いて、扉の向こうで微かに反応した気配があった。
……やっぱりだ。この子はきっと師匠に夜伽をさせられるんじゃないかって心配して、部屋に閉じこもっていたんだ。
足音を立てないように、けれど扉に近づいてくる気配が部屋の中からする。僕はそれに気づかないふりをして、さっきと同じように話し続けた。
「僕も師匠に買われた子なんだ。最初はやっぱりそういうことさせられるのかなって不安だったけど、そんなことなかった。師匠はね、弟子が欲しいんだって。すごい魔法使いだから才能のある子に魔法を教えたいんだってさ。でも本当は家族が欲しいんだと思うよ。師匠ってああ見えてめちゃくちゃ淋しがりやだから」
話しながら、一年前の自分のことを思いだす。あのときは師匠のことを誤解してたっけ。申し訳ないなとも思うけど、同時に仕方なかったなとも今なら思える。だってこの世界は子供にちっとも優しくなくて、僕は師匠みたいな優しい大人に会ったことがなかったんだから。
「僕も師匠もドゥガーリンも、きみが新しい家族になってくれたらなって思う。無理にとは言えないけど……もしちょっとでも気が向いたら、僕とお喋りしてくれたら嬉しいな。あ、あとご飯は頑張って食べたほうがいいかも。食べないと気持ちまで弱っちゃうからね。もし食べたいものがあったら言って、作るから!」
耳を傾けてくれたことが嬉しくてつい喋りすぎちゃったけど、一気に色々言われても頭がゴチャゴチャしちゃうよね。僕はそこから立ち上がると、最後に扉にそっと手をふれた。
「遅い時間にいっぱい喋っちゃってごめんね。おやすみ、また明日ね」
結局扉が開けられることはなかったけど、ほんの少しだけ距離が縮まってたらいいなと思う。僕はお下がりの服をもう一度たたみ直して置くと、静かに廊下をあとにした。
翌日。部屋の前に置いておいた服はなくなっていた。
今まで水くらいしか受け取ってもらえなかったことを思うとすごい前進に、僕は思わず飛び跳ねて喜んでしまった。
それからエルフの子はまったく手をつけなかった食事にも手をつけるようになった。相変わらず扉は開けないものの、部屋の前に置いておくと数時間後には食べ終えた食器が置いてある。ただし肉には手をつけていないので、野菜と穀物しか食べられないみたい。
確実に距離が縮まったことが嬉しくて、僕は時間を見つけては彼の部屋の前にいってお喋りをした。今日教わった魔法のこと、師匠が作ったヘンテコな魔道具のこと、ドゥガーリンと飛雄が腕相撲をしてドゥガーリンが勝ったこと。時々扉の奥から小さな笑い声が聞こえると、僕はもっと嬉しくなって夢中で喋った。
そんな生活が一ヶ月くらい続いただろうか。僕がいつものように食事を持っていって「ここに置いておくね」って声をかけると、扉の向こうから小さく「ありがとう……」って聞こえた。
見た目と同じで儚くて、すごく可愛い声だった。僕は驚きと感激ですっかり動揺して、裏返った声で「どういたしまして!」って叫んじゃった。
その日から、エルフの子は扉越しに僕と喋ってくれるようになった。主に僕が喋って彼が相槌を打つというやり取りは、日を追うごとに言葉のキャッチボールが増えて会話らしくなっていった。
「それでね、初めてパイを焼いてみたんだけど失敗しちゃってね、真っ黒こげになっちゃった。でも師匠もドゥガーリンも優しいから『おいしい』って全部食べてくれたんだよ。口の周り真っ黒にして」
「ふふっ。でもぼくのパイは焦げてなかったよ」
「きみのは焦げてないところをカットしてあげたんだ。一番年下だからね。ねえ、きみは何が好き? 好物はある? 今度作ってあげたいな」
「好きなのは……採れたての木の実や綺麗な水。あとは香草とか。森の朝露も好き」
「へー、鳥や蝶々みたいだ。じゃあ今度森へ行ったときに採ってきてあげるね」
まだ名前は教えてもらえないけど、少しずつ自分のことを教えてもらえるのが嬉しい。
だから僕はもっと彼のことが知りたくていっぱいお喋りしたんだ。……きっと僕はちょっと過信していた。こうしてコミュニケーションをとり続けることが正しいって。
誰かの深い傷にふれるという意味が、まだ子供だからわかっていなかったんだ。
「あ……あの! ビックリさせちゃったらごめんね。ちょっときみと話がしたいなーって……」
扉の奥で少しだけしていた物音がやんだ。怖がらせちゃったかなと申し訳なくなり、声が少し小さくなってしまう。
「気が向いたら聞いて。嫌だったら無視して構わないから。……えっと、あの……前も言ったけどここは怖い場所じゃないよ。みんなでのんびり暮らしてるだけなんだ。僕とドゥガーリンは家事をしながら師匠に魔法を教わってる。師匠はすごい魔法使いで、魔法の研究をしてるんだ。毎日みんなでご飯食べて、バタバタ掃除したりして、時々街へ買い物にいって……楽しいよ。豪華じゃないけどご飯もお腹いっぱい食べられるし、毎日お風呂も入れる。それから……ここでは夜伽とかしなくていい」
最後のひと言を聞いて、扉の向こうで微かに反応した気配があった。
……やっぱりだ。この子はきっと師匠に夜伽をさせられるんじゃないかって心配して、部屋に閉じこもっていたんだ。
足音を立てないように、けれど扉に近づいてくる気配が部屋の中からする。僕はそれに気づかないふりをして、さっきと同じように話し続けた。
「僕も師匠に買われた子なんだ。最初はやっぱりそういうことさせられるのかなって不安だったけど、そんなことなかった。師匠はね、弟子が欲しいんだって。すごい魔法使いだから才能のある子に魔法を教えたいんだってさ。でも本当は家族が欲しいんだと思うよ。師匠ってああ見えてめちゃくちゃ淋しがりやだから」
話しながら、一年前の自分のことを思いだす。あのときは師匠のことを誤解してたっけ。申し訳ないなとも思うけど、同時に仕方なかったなとも今なら思える。だってこの世界は子供にちっとも優しくなくて、僕は師匠みたいな優しい大人に会ったことがなかったんだから。
「僕も師匠もドゥガーリンも、きみが新しい家族になってくれたらなって思う。無理にとは言えないけど……もしちょっとでも気が向いたら、僕とお喋りしてくれたら嬉しいな。あ、あとご飯は頑張って食べたほうがいいかも。食べないと気持ちまで弱っちゃうからね。もし食べたいものがあったら言って、作るから!」
耳を傾けてくれたことが嬉しくてつい喋りすぎちゃったけど、一気に色々言われても頭がゴチャゴチャしちゃうよね。僕はそこから立ち上がると、最後に扉にそっと手をふれた。
「遅い時間にいっぱい喋っちゃってごめんね。おやすみ、また明日ね」
結局扉が開けられることはなかったけど、ほんの少しだけ距離が縮まってたらいいなと思う。僕はお下がりの服をもう一度たたみ直して置くと、静かに廊下をあとにした。
翌日。部屋の前に置いておいた服はなくなっていた。
今まで水くらいしか受け取ってもらえなかったことを思うとすごい前進に、僕は思わず飛び跳ねて喜んでしまった。
それからエルフの子はまったく手をつけなかった食事にも手をつけるようになった。相変わらず扉は開けないものの、部屋の前に置いておくと数時間後には食べ終えた食器が置いてある。ただし肉には手をつけていないので、野菜と穀物しか食べられないみたい。
確実に距離が縮まったことが嬉しくて、僕は時間を見つけては彼の部屋の前にいってお喋りをした。今日教わった魔法のこと、師匠が作ったヘンテコな魔道具のこと、ドゥガーリンと飛雄が腕相撲をしてドゥガーリンが勝ったこと。時々扉の奥から小さな笑い声が聞こえると、僕はもっと嬉しくなって夢中で喋った。
そんな生活が一ヶ月くらい続いただろうか。僕がいつものように食事を持っていって「ここに置いておくね」って声をかけると、扉の向こうから小さく「ありがとう……」って聞こえた。
見た目と同じで儚くて、すごく可愛い声だった。僕は驚きと感激ですっかり動揺して、裏返った声で「どういたしまして!」って叫んじゃった。
その日から、エルフの子は扉越しに僕と喋ってくれるようになった。主に僕が喋って彼が相槌を打つというやり取りは、日を追うごとに言葉のキャッチボールが増えて会話らしくなっていった。
「それでね、初めてパイを焼いてみたんだけど失敗しちゃってね、真っ黒こげになっちゃった。でも師匠もドゥガーリンも優しいから『おいしい』って全部食べてくれたんだよ。口の周り真っ黒にして」
「ふふっ。でもぼくのパイは焦げてなかったよ」
「きみのは焦げてないところをカットしてあげたんだ。一番年下だからね。ねえ、きみは何が好き? 好物はある? 今度作ってあげたいな」
「好きなのは……採れたての木の実や綺麗な水。あとは香草とか。森の朝露も好き」
「へー、鳥や蝶々みたいだ。じゃあ今度森へ行ったときに採ってきてあげるね」
まだ名前は教えてもらえないけど、少しずつ自分のことを教えてもらえるのが嬉しい。
だから僕はもっと彼のことが知りたくていっぱいお喋りしたんだ。……きっと僕はちょっと過信していた。こうしてコミュニケーションをとり続けることが正しいって。
誰かの深い傷にふれるという意味が、まだ子供だからわかっていなかったんだ。
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