浮気な彼氏

月夜の晩に

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【浮気な彼氏#13-1】元彼と暁都さんの直接対決の行方

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「早く来すぎちったなあ」



地獄の3者面談当日。暁都さんが早く早くと急かすもんだから、20分も前に待ち合わせ場所に来てしまっていた。


そこは海沿いのカフェテラスの一席だった。テラスには他には誰もいない。


ぴゅうと風が少し寒い。暁都さんに着ろと言われて着てきたハイネックに、助かっていた。




「・・良いか?てな訳でな、今日の流れはさっき言った通りだ。何があっても話は俺に合わせてくれよ、良いな?」



いつもに増してお洒落してきて、男前な美貌に磨きの掛かった暁都さん。内心ちょっとクラッてしつつ、僕は分かったと真面目に頷いた。



暁都さんによる僕らの設定。



①僕らは付き合っている
②暁都さんの一目惚れで始まった関係
③もう一緒に住んでいる



まあここまでは大体良い。だけど4つ目に問題があった。



「でも嘘つく必要なんて・・」

ひそひそと抗議した。



「良いから!俺に任せてよ。落とし前つけるんだろう?

あ・・アイツじゃねえか?来たぜ」



遠目にも分かる長身にハンサムな顔立ち。元彼が僕らの方へ向かって歩いてきていた。









僕らのところまで来て少し気まずそうにテーブルに座る。

チラと暁都さんを一瞥してから、僕に言った。




「久しぶり。・・その、随分垢抜けたな」

元彼は少し驚いた様に僕を見つめている。

ただ上から下までそんなにじっくり見つめられると困ってしまう。




「あ、うんありがと・・?」
「いやホント、見違えたよ。・・前はこんなじゃなかったよな」



そう言って無意識なのか、恋人同士だった時みたいに僕の髪を梳こうとした・・のを暁都さんが手首を掴んで止めた。




「お前に触る権利ないんだけど」
「・・おっさんは黙ってろよ」

「口のきき方に気をつけねえとこの手首へし折るぜ」




ぐいと力強く握り、元彼が呻き声をあげると暁都さんはその手首を振り落とした。

バチバチと視線同士がぶつかって火花が散る。地獄の3者面談が今始まった。




「・・あんた何なんだよマジで」

「俺アキトって言うんだけど。傷ついてたこの子をたまたまバーで見つけたラッキーな男さ。一目惚れしてそのまま囲い込んで今は恋人。

誰かさんが浮気したおかげでな」



「あんた、邪魔なんだよ!」

「邪魔なのはお前。浮気がバレてフラれたんだから良い加減諦めろよ」



「あんたに関係ないだろ」

「大いにある。俺たちもう一緒に住んでんの。なのに昔の男から連絡がじゃんじゃん来たらウザイ訳。新婚生活の邪魔しないでくれる~?」



「はあ!?・・本当かよ」

僕の方を向いて問い詰める様に聞いてきた。僕は頷いた。



「本当だよ」
「いつから」
「ちょっと前」



暁都さんが即割り込んだ。


「ほら毎晩同じベッドで寝てるって教えてあげないと」



「はぁ!?嘘だよな!?」
「えっと本当だよ」
「んだよそれえ・・!」


元彼は苛々と顔を歪める。・・アレコレ余計な想像を多分されてるんだろう。



「こんなおっさんが良いのかよ!?・・どうせ大した仕事してないくせに!」






続く
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