浮気な彼氏

月夜の晩に

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【浮気な彼氏#11-3】

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◆主人公視点





僕はその日、寝坊してしまい起きたら12時半。時計を見てびっくりした。

慌ててリビングに行ったら、暁都さんは本を読みながらコーヒーを飲んでるところだった。その傍らには僕の携帯があったけど、もう気にしないことにした。



「お、やっと起きてきたねえ~。今日は朝ゆすっても全然起きてこないからそのまんま寝かしといたよ」



良く寝れた?と僕を抱きしめる。寝過ぎちゃったと言えば、それで良いよと言われてしまった。

良い歳してこんな甘やかされて良いんだっけ・・?







暁都さんが朝食用に買っておいてくれたパンに齧り付きながら、今日の予定を立てた。


「今日さあ、君さえ良ければなんだけど。美容院行ってまた新しい服買いに行かない?」
「え、何でですか?」



「あさって元彼と会うだろ?洒落れた感じにしてって、あああ惜しい奴逃したな~!って思わせたいから。あと自慢したいから。俺が」



にゃはと彼は笑った。僕は曖昧に微笑んだ。



「気持ちは嬉しいんですがそんな変わりますかね僕・・?」
「変わるって!君は磨けば光るタイプだ。俺が見立ててやるから、一緒に来てよ」


ええ?と半信半疑だったけど。ねえ良いでしょとキュッと手を握られて僕は頷いた。


まあいっか。暁都さんはお洒落なタイプだし。任せて変なことには多分ならないだろう。

・・ってぶっちゃけ過度な期待はしてなかったけど、いい意味でその的は外れることになる。







「あああ、良いじゃん君・・!」


めっちゃ嬉しそうな暁都さん。

お店の試着室のウインドーには、大分垢抜けた自分が立っていた。



暁都さんも使ってるらしい何か高そうな美容院で、重たかった髪を切って軽く色を入れてもらった。

カッコつけて言えば、今フリーランスだからこそ出来る髪型。




そしてまた同じく高そうなお店で、僕はいま暁都さんにお洒落な服装を選んでもらっていた。

試着室であれこれ着て、ようやく暁都さんが気にいるコーデが出来たところ。



落ち着いた色味、上質な生地で高級感ある服装。確かに良い感じだった。

地味な僕にしては、上出来にしてくれた。



「どう?俺たちお似合いだと思わない」


試着室の鏡に並んで映った、僕らふたり。

暁都さんプレゼンツにより、僕らはなんとなく雰囲気の似た出立ちになっていた。大人の恋人同士って感じ。



「良いねえ可愛いねええ。髪もやっぱ良いじゃない」

繰り返し言われて照れてしまう。



「あの、店員さん来ちゃうので・・」

嬉しそうな暁都さんはデレデレして目尻が大分下がっている。猫を愛でる猫好きの視線だった。



「俺の見立て通りだったな」

彼は満足した様にうんうんと頷くと、店員さんにこれ全部くださぁい!と言ってしまった。



チラリと垣間見たレジの請求金額は、計12万也・・!







ショッピングモールからの帰り道。最後に近くのスタバに寄っていきたいらしい。機嫌良く両手に買い物袋を下げて歩きながら暁都さんは言った。


「どう?新しい服に新しい男の俺。こっちは新しい人生もう送ってんだよって元彼には言ってやろうな。

まあ元彼に君のこと返してって言われても絶対返さないがね。見せびらかすだけだよ」



ふははとあまりに楽しそうに笑うもんだから、つられて僕も笑ってしまった。





あっという間に暁都さんに囲い込まれてしまった自分がいた。なし崩しに付き合うことになっているような。でも、悪くなかった。こういうのを幸せって言うんだろうか。




「家でもさっきのまた着てみてよ。諸々我慢出来なかったらゴメン♪」
「何が!?」


「まあ意味深に汚れてる服で登場して見せるっていうのもまた一興だよね」
「何言ってんですか!?」



ぺしんとその肩を軽く叩いた。わー怖え♪と嬉しそうな暁都さん。わちゃわちゃとこんな日々がずっと続くのも良いかもしれない。





家に着いたら暁都さんはずっと離してくれなくて。今まで以上にくっつかれてしまってちょっと困った。僕の今回のイメチェンが大分気に入った様だった。それは嬉しいんだけれど。



あんまり可愛い可愛い言われると、ふと自信めいたものが芽生えそうになる。いや勘違いだからねそれ。でも・・ほんのちょっとだけそれが嬉しかったのは内緒の話。





元彼との再会まで、残りあと1日。

明日を挟んで、明後日が約束の日。







続く
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