32 / 67
【浮気な彼氏#11-3】
しおりを挟む
◆主人公視点
僕はその日、寝坊してしまい起きたら12時半。時計を見てびっくりした。
慌ててリビングに行ったら、暁都さんは本を読みながらコーヒーを飲んでるところだった。その傍らには僕の携帯があったけど、もう気にしないことにした。
「お、やっと起きてきたねえ~。今日は朝ゆすっても全然起きてこないからそのまんま寝かしといたよ」
良く寝れた?と僕を抱きしめる。寝過ぎちゃったと言えば、それで良いよと言われてしまった。
良い歳してこんな甘やかされて良いんだっけ・・?
暁都さんが朝食用に買っておいてくれたパンに齧り付きながら、今日の予定を立てた。
「今日さあ、君さえ良ければなんだけど。美容院行ってまた新しい服買いに行かない?」
「え、何でですか?」
「あさって元彼と会うだろ?洒落れた感じにしてって、あああ惜しい奴逃したな~!って思わせたいから。あと自慢したいから。俺が」
にゃはと彼は笑った。僕は曖昧に微笑んだ。
「気持ちは嬉しいんですがそんな変わりますかね僕・・?」
「変わるって!君は磨けば光るタイプだ。俺が見立ててやるから、一緒に来てよ」
ええ?と半信半疑だったけど。ねえ良いでしょとキュッと手を握られて僕は頷いた。
まあいっか。暁都さんはお洒落なタイプだし。任せて変なことには多分ならないだろう。
・・ってぶっちゃけ過度な期待はしてなかったけど、いい意味でその的は外れることになる。
「あああ、良いじゃん君・・!」
めっちゃ嬉しそうな暁都さん。
お店の試着室のウインドーには、大分垢抜けた自分が立っていた。
暁都さんも使ってるらしい何か高そうな美容院で、重たかった髪を切って軽く色を入れてもらった。
カッコつけて言えば、今フリーランスだからこそ出来る髪型。
そしてまた同じく高そうなお店で、僕はいま暁都さんにお洒落な服装を選んでもらっていた。
試着室であれこれ着て、ようやく暁都さんが気にいるコーデが出来たところ。
落ち着いた色味、上質な生地で高級感ある服装。確かに良い感じだった。
地味な僕にしては、上出来にしてくれた。
「どう?俺たちお似合いだと思わない」
試着室の鏡に並んで映った、僕らふたり。
暁都さんプレゼンツにより、僕らはなんとなく雰囲気の似た出立ちになっていた。大人の恋人同士って感じ。
「良いねえ可愛いねええ。髪もやっぱ良いじゃない」
繰り返し言われて照れてしまう。
「あの、店員さん来ちゃうので・・」
嬉しそうな暁都さんはデレデレして目尻が大分下がっている。猫を愛でる猫好きの視線だった。
「俺の見立て通りだったな」
彼は満足した様にうんうんと頷くと、店員さんにこれ全部くださぁい!と言ってしまった。
チラリと垣間見たレジの請求金額は、計12万也・・!
ショッピングモールからの帰り道。最後に近くのスタバに寄っていきたいらしい。機嫌良く両手に買い物袋を下げて歩きながら暁都さんは言った。
「どう?新しい服に新しい男の俺。こっちは新しい人生もう送ってんだよって元彼には言ってやろうな。
まあ元彼に君のこと返してって言われても絶対返さないがね。見せびらかすだけだよ」
ふははとあまりに楽しそうに笑うもんだから、つられて僕も笑ってしまった。
あっという間に暁都さんに囲い込まれてしまった自分がいた。なし崩しに付き合うことになっているような。でも、悪くなかった。こういうのを幸せって言うんだろうか。
「家でもさっきのまた着てみてよ。諸々我慢出来なかったらゴメン♪」
「何が!?」
「まあ意味深に汚れてる服で登場して見せるっていうのもまた一興だよね」
「何言ってんですか!?」
ぺしんとその肩を軽く叩いた。わー怖え♪と嬉しそうな暁都さん。わちゃわちゃとこんな日々がずっと続くのも良いかもしれない。
家に着いたら暁都さんはずっと離してくれなくて。今まで以上にくっつかれてしまってちょっと困った。僕の今回のイメチェンが大分気に入った様だった。それは嬉しいんだけれど。
あんまり可愛い可愛い言われると、ふと自信めいたものが芽生えそうになる。いや勘違いだからねそれ。でも・・ほんのちょっとだけそれが嬉しかったのは内緒の話。
元彼との再会まで、残りあと1日。
明日を挟んで、明後日が約束の日。
続く
僕はその日、寝坊してしまい起きたら12時半。時計を見てびっくりした。
慌ててリビングに行ったら、暁都さんは本を読みながらコーヒーを飲んでるところだった。その傍らには僕の携帯があったけど、もう気にしないことにした。
「お、やっと起きてきたねえ~。今日は朝ゆすっても全然起きてこないからそのまんま寝かしといたよ」
良く寝れた?と僕を抱きしめる。寝過ぎちゃったと言えば、それで良いよと言われてしまった。
良い歳してこんな甘やかされて良いんだっけ・・?
暁都さんが朝食用に買っておいてくれたパンに齧り付きながら、今日の予定を立てた。
「今日さあ、君さえ良ければなんだけど。美容院行ってまた新しい服買いに行かない?」
「え、何でですか?」
「あさって元彼と会うだろ?洒落れた感じにしてって、あああ惜しい奴逃したな~!って思わせたいから。あと自慢したいから。俺が」
にゃはと彼は笑った。僕は曖昧に微笑んだ。
「気持ちは嬉しいんですがそんな変わりますかね僕・・?」
「変わるって!君は磨けば光るタイプだ。俺が見立ててやるから、一緒に来てよ」
ええ?と半信半疑だったけど。ねえ良いでしょとキュッと手を握られて僕は頷いた。
まあいっか。暁都さんはお洒落なタイプだし。任せて変なことには多分ならないだろう。
・・ってぶっちゃけ過度な期待はしてなかったけど、いい意味でその的は外れることになる。
「あああ、良いじゃん君・・!」
めっちゃ嬉しそうな暁都さん。
お店の試着室のウインドーには、大分垢抜けた自分が立っていた。
暁都さんも使ってるらしい何か高そうな美容院で、重たかった髪を切って軽く色を入れてもらった。
カッコつけて言えば、今フリーランスだからこそ出来る髪型。
そしてまた同じく高そうなお店で、僕はいま暁都さんにお洒落な服装を選んでもらっていた。
試着室であれこれ着て、ようやく暁都さんが気にいるコーデが出来たところ。
落ち着いた色味、上質な生地で高級感ある服装。確かに良い感じだった。
地味な僕にしては、上出来にしてくれた。
「どう?俺たちお似合いだと思わない」
試着室の鏡に並んで映った、僕らふたり。
暁都さんプレゼンツにより、僕らはなんとなく雰囲気の似た出立ちになっていた。大人の恋人同士って感じ。
「良いねえ可愛いねええ。髪もやっぱ良いじゃない」
繰り返し言われて照れてしまう。
「あの、店員さん来ちゃうので・・」
嬉しそうな暁都さんはデレデレして目尻が大分下がっている。猫を愛でる猫好きの視線だった。
「俺の見立て通りだったな」
彼は満足した様にうんうんと頷くと、店員さんにこれ全部くださぁい!と言ってしまった。
チラリと垣間見たレジの請求金額は、計12万也・・!
ショッピングモールからの帰り道。最後に近くのスタバに寄っていきたいらしい。機嫌良く両手に買い物袋を下げて歩きながら暁都さんは言った。
「どう?新しい服に新しい男の俺。こっちは新しい人生もう送ってんだよって元彼には言ってやろうな。
まあ元彼に君のこと返してって言われても絶対返さないがね。見せびらかすだけだよ」
ふははとあまりに楽しそうに笑うもんだから、つられて僕も笑ってしまった。
あっという間に暁都さんに囲い込まれてしまった自分がいた。なし崩しに付き合うことになっているような。でも、悪くなかった。こういうのを幸せって言うんだろうか。
「家でもさっきのまた着てみてよ。諸々我慢出来なかったらゴメン♪」
「何が!?」
「まあ意味深に汚れてる服で登場して見せるっていうのもまた一興だよね」
「何言ってんですか!?」
ぺしんとその肩を軽く叩いた。わー怖え♪と嬉しそうな暁都さん。わちゃわちゃとこんな日々がずっと続くのも良いかもしれない。
家に着いたら暁都さんはずっと離してくれなくて。今まで以上にくっつかれてしまってちょっと困った。僕の今回のイメチェンが大分気に入った様だった。それは嬉しいんだけれど。
あんまり可愛い可愛い言われると、ふと自信めいたものが芽生えそうになる。いや勘違いだからねそれ。でも・・ほんのちょっとだけそれが嬉しかったのは内緒の話。
元彼との再会まで、残りあと1日。
明日を挟んで、明後日が約束の日。
続く
45
お気に入りに追加
295
あなたにおすすめの小説
執着攻めと平凡受けの短編集
松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。
疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。
基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶のみ失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
平凡くんと【特別】だらけの王道学園
蜂蜜
BL
自分以外の家族全員が美形という家庭に生まれ育った平凡顔な主人公(ぼっち拗らせて表情筋死んでる)が【自分】を見てくれる人を求めて家族から逃げた先の男子校(全寮制)での話。
王道の転校生や生徒会、風紀委員、不良に振り回されながら愛されていきます。
※今のところは主人公総受予定。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
ガラス玉のように
イケのタコ
BL
クール美形×平凡
成績共に運動神経も平凡と、そつなくのびのびと暮らしていたスズ。そんな中突然、親の転勤が決まる。
親と一緒に外国に行くのか、それとも知人宅にで生活するのかを、どっちかを選択する事になったスズ。
とりあえず、お試しで一週間だけ知人宅にお邪魔する事になった。
圧倒されるような日本家屋に驚きつつ、なぜか知人宅には学校一番イケメンとらいわれる有名な三船がいた。
スズは三船とは会話をしたことがなく、気まずいながらも挨拶をする。しかし三船の方は傲慢な態度を取り印象は最悪。
ここで暮らして行けるのか。悩んでいると母の友人であり知人の、義宗に「三船は不器用だから長めに見てやって」と気長に判断してほしいと言われる。
三船に嫌われていては判断するもないと思うがとスズは思う。それでも優しい義宗が言った通りに気長がに気楽にしようと心がける。
しかし、スズが待ち受けているのは日常ではなく波乱。
三船との衝突。そして、この家の秘密と真実に立ち向かうことになるスズだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる