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r18【ヤンデレメーカー#50最終話】終われない共依存 

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それからしばらく時が経った頃。テディが僕にチョーカーをくれた。

「藍。これあげる」

黒いチョーカーにはクマくんのチャームがついていた。

「なあにこれ?随分かわいいね」

「俺の~~!っていう所有の証をね、一応つけておこうって……あと他の奴がこれ見て俺を思い出してヤッてる最中に萎えれば良いなって……」


有無を言わさず巻きつけられた。
カチャ、と小さな小さな南京錠と共に。

ヒッと一瞬喉が鳴った。

「これなら外れないね。……藍の1番は俺♪だから悲しくない、何も」


一見機嫌良さそうに抱きしめてきた。その厚い背中を抱きしめ返す。


「……テディ。僕はいつも側にいるから……」

ウンと力なく頷いたテディ。


テディの父親が再婚することが決まり、以来テディは沈みがちだったのだ。

「……今さら他のマミーなんて……。それにマミーがくれるはずだった愛は、藍がくれる。それ以上のものも。藍……好きだよ。他の誰よりも」

そう言って僕の衣服を野獣の様に剥ぐと、胸にしゃぶりついたテディ。

「あっやめてぇ……」

激しい愛撫は続く。
僕にできるのは、ただ優しくテディの後ろ頭を撫でてあげるだけ……。






僕を何度も何度も抱いて、ようやく満足したらしい。

ベッドの背もたれに背を預けさせ、ふうと座った僕。勝手に膝枕してきたテディ。薄紫の瞳がいじけたように僕を見つめている。

「……俺はやっぱり藍を独り占めしたいなあ。他のヤツらころしちゃダメ?」

「ダメだよお。辞めてテディ、ね?」

そっとテディの金髪頭を撫でた。
ぐりぐりと僕の膝に額を擦り付けたテディ。

「俺。藍を独り占めしないとおかしくなりそう……俺、おくすり増えちゃうよ……」

それは心を落ち着ける薬だった。

「……そしたら僕が飲ませてあげるから……。
ほら、今日の分、あーん……」

ギュッと手のひらを握って、テディは起き上がった。

僕はサイドボードにあったカプセルを咥えてテディに飲ませてやった。水も。

「藍……」

水で唇をほんのり濡らした美青年は言った。


「俺はいつか本当に、我慢できなくて藍をさらってしまうかもしれない。他の皆を殺してでも」

「ダメだよテディ。殺すなら僕だけにして。僕、テディになら殺されてあげても良いよ」

ほんとだよ。テディは1番の恋人だから。1番の恋人がもしもそう望むなら応えてあげるよ。君を
悪い子にはしたくないからね。


「……そんなこと出来る訳ないじゃないか」

心底苦しそうな薄紫の瞳は潤んでいる……。



■■■



ある日サミーさんは、僕と二人でいるときは敬語はやめるようにと言ってきた。

「でもサミーさん僕より歳上ですし」
「そっけないの嫌いなんだよな。せめて二人の時くらい、な」

そう言われてからは、ずっと敬語はナシになった。




ある夜。

「ん、やっあ、サミー、さん……」
「藍。ほら、もっと脚開いて」

バチュ!と奥を突かれて、一瞬僕は体が震えて二人して果てた。


汗のひかない中、サミーさんに腕枕されながらこんな話をした。

「そういえばさあ俺。バイク買い換えようかなって思ってんだよね。もっと大型のやつ」
「え、そうなの?」

「うん」
「でも……サミーさんは結構スピード出すからなあ。危ない運転はだめだよ」

「えー平気じゃん?バイクは飛ばさねーと面白くないし」
「ダメダメそういうの。僕は心配だなあ」


「ちゃんとヘルメットするし、ヘーキだよ」
「いやあ。バイクなんて身体はモロ出しなんだよ。余計なお世話かもしれないけど怪我でもしたらどうするの?」

「……俺のこと心配?」
「当たり前だよ」

「たとえば俺がバイクで転んで入院とかしたら、どうする?」
「お見舞いに飛んでいくよ。ここを出してもらえればの話だけど……」

「病室来てどうする訳?」
「え。えーっと。りんごを剥く、話相手になる、野菜ジュースを作って持っていく。着替えを洗濯して、それからエート」

色々考えてたらむちゅ、とキスされた。

「藍ならそう言ってくれると信じてた。こりゃ安心してバイク買えるな。藍~好きだあ」


えへへと笑ったサミーさんは随分寂しそうな顔をしていた。胸が無性にズキリと傷んだ。どうして皆、時々こんな顔をするんだろう……。


そう考えていたら、僕に腕枕していたサミーさんは大勢をぐるりと変えて僕を組み敷いた。

逞しい腕に手首を掴まれて、ドキッとした。

「じゃあさあ……藍が怪我したら俺が世話してやるな」

笑っていない瞳が僕を見下ろす。
ミシミシと手首が痛む。

「な、何するの……」
「この腕折ってやろうか」
「どうして……」
「藍が俺以外の男の世話するのがイヤだから。今すごくそう思った。藍なら分かってくれるだろ?」


ああそうか。この人僕のこと独り占めしたいんだ。じゃあ応えてあげなくちゃ。僕だってきっと、サミーさんにお世話されてみたい。震える声で言った。


「い……い……。
いたくしないでね……せめて……」

ギュッと目を瞑った。
サミーさんはすっごく嬉しそうに言った。

「イヤって言ったら本当に折るところだった。分かってるなあ、藍。嘘だよ」

そう言って、僕の脚を抱え上げるとまたズブリと中に挿れた。

「あ、やだ……んっ」
「ああ、最高。藍は怖い時なかが締まるから……」


なあんだ、そのためにわざと怖がらせたのかな、ってホッとしたのだけど。


「俺やっぱり藍を独り占めしたいんだよなあどうしても……腕、我慢できるかなあ」


サミーさんは再度グッと僕の手首に力を込めた。


■■■


季節が変わっても、僕とBREEZEの皆との不思議な関係は変わっていなかった。


手首に巻いた包帯も、もうそろそろ取れるかな。そっと自分の手首に触れる。


「よそ見すんな」
「ん……」
雷さんが意地悪に乳首をつねってきた。

ベッドで蛇のように絡み合う身体。今日は全員いた。犯され、咥えさせられ、身体にかけられている。

「あん、もう、だめ……おねがい」
「俺たちとのしばしの別れが寂しくないのかよ」

許しを乞えばそうやり返されて、また身体の奥から揺さぶられる。

これからしばらくライブで皆いないんだ。
皆がいなくなるのは寂しいけどさ。

全員をいっぺんに相手するのはさすがにきつい。あんあんと喘ぎ声だって枯れるほど。

「……あん、あっ…んん…っ!」
「藍……!」

「もう時間だ。テディ、お前そろそろ良い加減終わりにしろ」
「いやだ」

サミーさんに怒られてもまだあと一回と辞めないテディ。昨日の夜だって散々僕を抱いたくせに。濃いキスマークだらけの身体を皆に見られるの、恥ずかしかったんだから……。




「じゃあな藍。メシとかはいつもんとこにいっぱい入れてあるから」

僕に最後キスをして、彼らは名残惜しげに出て行った。



一方僕は、どろどろになった身体を引きずってシャワー室へと向かう。

足元がフラフラだ……。

ああ、どうしよう。とりあえず一旦冷たい水で顔でも洗おうかなあ。そう思って、洗面台で顔を洗い、タオルで拭いていた時。


「随分楽しく暮らしてるんですねえ藍さん」

背後から声が聞こえて心底ゾクッとした。この声まさか。顔を上げる。


洗面台の鏡越しに目が合った。
廊下の壁に背をもたれかけさせた染谷さんと。


「ッ!い、いやあああ!!!!!どうやって入っむぐ」

叫ぶ暇もない速さで、染谷さんは僕に近寄ると僕の口を塞いだ。

「いやあ、テディくんとその後どうなったんだろって思ってスゲー頑張ってここに潜入してみたんですよ。藍さん元気かなあって。そしたらまさかのBREEZE全員手玉に取ってるなんて。たまげましたよ。

やりますねえ藍さん。いや大したもんだ。さすが僕が気に入っただけある。

あんなの見せつけられたらね、僕だってまた参戦しようかなって思うじゃないですか。

……さ、こっち来な」


ギラギラした欲を覗かせるゲスな男が僕の腕を力強く引っ張った。


いやだと抵抗しても離してくれない。

ベッドへ投げ出される。

「あ!」

「また楽しめるなんて、嬉しいですよ藍さん」

「や、やめ……!」



全部終わったと思っていた。全てどうにか丸く収まったのだと思っていた。でも違った。まだまだ攻防は続く。

「大人しくしな」

男の手のひらが肌をなぞり上げる。
嫉妬と執着が深まって、皆おかしくなっていく。

「手放してからずっと眠れなかった。記者の仕事が手につかないくらい。どうしてくれる?」

病んでいく。

「あんたは男を狂わせるヤンデレメーカーだ」

僕?僕が皆をおかしくさせてしまったの。そんなつもりじゃなかったのに。

「染谷さん、や、やめて……あ」

男は参戦の証に首筋に強く噛み付いた。

こんなのテディや皆に見られたら、どうなるか分かったもんじゃない。ヒヤヒヤとゾクゾクが背中を駆け上がる。けどヒートアップしたテディ達を、どうせまた染谷さんは挑発するのだろうきっと。そして酷い目に遭わされるのは僕で……。

イケナイ悪寒にぶる、と素肌が震えた。


「あら?もう気持ち良くなっちゃった?」

首を振ったのに、気を良くした染谷さんは僕の肌にさらに噛み付いた。

「ん、う……」


ギュッと手のひらを握る。



執着の負のスパイラルはまだまだ続く。
いや終わることはないのかもしれない。

これから先もずっと……。








end
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