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#4 テディvs 亜蓮

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◆ヤンデレメーカー#4 

どうしよう、どうしよう!?逡巡した挙句、僕は言った。

「ごめんテディ!割り込みで電話来ちゃった、また後で掛け直すよ!」

怒られたくないので速攻で電話の相手を切り替えた。

「もしもし…」

『藍?時間が出来たんでな、電話した。今から部屋来いよ』

ううっ

『藍?俺の言うことは絶対だろ』

電話だと耳のすぐそばで言われてるみたいでドキドキソワソワ感が増す。それは心臓を握られるみたいな感じで…。

「は、はい…今行きます…」

見えない首輪でも着けられてしまったのだろうか?僕は亜蓮さんの部屋に本日2度目の訪問をしに行った。


ごめんテディ。今日電話掛け直せないかも。怒っちゃうかな、怒っちゃうよね…。






コンコンと訪れた亜蓮さんの部屋。ガチャ、とドアが開く。風呂上がりっぽい濡れた髪は艶を増している。

「遅い。…もっと早く会いに来て欲しかった」

そうやってまた僕を部屋に引き摺りこんだ。部屋の中の長い廊下を歩く。僕の手を引いて歩く、筋の浮きでた腕。


「あ、あの…台本はもう?」
「まあね完璧」

手短にしか答えてくれないんだけど。

「あー、その、今度演技とか、見てみたいです」
「考えといてやる」

ちょっとぶっきらぼうなその物言いが僕は嫌いではなかった。



居間について、とりあえず僕は大きなグレーのソファにぽすんと座らされた。

「で、あの、えーと、僕ってこれから何したら良いんでしょう…?」

ドキドキしながら聞く。
すると亜蓮さんは僕の側まで寄ると指先でくい、と僕の顎先を持ち上げて見上げさせた。キツめの瞳に見下ろされてまたひとつ鼓動が鳴った。


「嫌がらせ」
「え?」
「ちょっと協力してよ」


訳が分からない僕の隣に亜蓮さんは座ると、僕の肩をグイと抱いた。

え、ちょっとと言おうとしたら唇の端にキスされてしまった。血が沸騰してしまいそうだ!

パシャ、と写真を撮られた。

「…?…」

携帯をタタ、と弄る亜蓮さん。

「今のテディに送っといた。アイツ死ぬ程悔しがるだろうな」
「え!!!?」

くはは、と意地悪な表情で心底楽しそうに亜蓮さんは笑った。

「俺が藍にこんなことしてるかも、って今頃多分妄想してるだろうな」

そう言って僕をソファに押し倒した。

「や、ちょっと!?な、何を言ってるんですかあなた!?」

「どう?テディとはもうこんなことした?」
「え、い、いやそんな仲じゃないですし!」
「じゃあ俺が先だね。気分良いや」


機嫌良く僕に手を出そうとする亜蓮さん。い、いやだ!!こういう流れでとか!!!

どうしよう、何かどうにか止めなきゃどうするどうする、何か思いつけ!!!!!あ、そうだ!!

「テ、テディは辞めてって言ったら辞めましたよ!?ここで推し進めたらテディに負けたことになると思いますけどっ…!!」

ピタ、と止まった手。


「負ける?この俺が他の誰かに?」


一瞬稲妻の様な苛立ちが目の奥に光った。心底ゾクッとした。やばい、亜蓮さんを激怒させてしまうかも、と覚悟した。背筋が凍る思いの下で、嫌われちゃったかもと残念な気持ちも。


「……」

何も言わない亜蓮さんの下から這いずり出してソファ奥へと後ずさった僕。どうしよう、何か言って…。

逡巡して亜蓮さんはフウと髪を掻き上げた。


「藍にそう思われるのは本意じゃない。フン…」

ソファからふいに立ち上がった。

よ、良かった。助かったっぽい…?



「…今日は辞めだ。俺は今度の舞台資料の確認作業、これからやるから」

「あ、じゃあ僕は部屋に戻れば…?」

腰を浮かしかけた僕の腕を、亜蓮さんはギュと握って引き戻した。

「んな訳ないだろ。夜中ずっと俺のそばにいろ。俺をさっきガッカリさせた件、それなら許してやる」

「う、はい…すみません…」


そうして僕は部屋にとどめ置かれた。ソファで真面目に資料を読み込む亜蓮さんの隣に座って、共にただ時を過ごした。




しばらくして…

僕はウトウトと寝かけていた。結構良い時間になっていたから。亜蓮さんの逞しい身体に頭を預けて。時折亜蓮さんは僕の頭を撫でた。

心地良い眠りに入ろうとしていたその時。

突然ダンダン!と玄関のドアが鳴った。ハッと目を覚ました。時計を見ると深夜に差し掛かろうかという時間だった。


『亜蓮、藍!!!』


ドアの外でがなる声。テディだった。







続く
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