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第三章 廃墟の遊園地
28話 本物の馬がいるメリーゴーランド
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ダークネス・カイザー様の一言で、一同はメリーゴーランドに乗る羽目になった。
「へ、へぇ~~よくできてる。っていうか、この馬は本物なんのでは……?」
ソリトゥス様が近づいて来てそういった
「そんなわけがないでしょう? まぁ、オーナーさんにも困ったもの。電源を入れているなら入れていると言えばいいのに……それにしてもいい出来栄え」
(あの~~ビーブリオテーカ様、それホンモノです。とは言えないわよねぇ。っていうか信じてもらえないし、特にビーブリオテーカ様は筋金入りの現実主義者。)
「――なっ、最近の遊具はリアルねぇ。この木馬、本物みたいにあったかい……」
(やっぱりホンモノのお化けとは信じてない。って言うか、それ、本物を知っての発言ですよねぇ、ビーブリオテーカ様。やっぱり乗馬とかやっていたんだわ。さっすが大企業のご令嬢様」
ビーブリオテーカ様が乗馬する。それに続いてソリトゥス様も乗馬するのだが、
「う、うわ~~、ひぃ~~、動いた! 今何もしてたのに動きましたよ幹久先輩。これ本物の馬なんじゃないですか!?」
「バカ言わないで、こんなお腹に鉄の棒を突き刺した馬がいてたまるものですか」
(さっすが現実主義者のビーブリオテーカ様、物分かりはいいわ)
「鈍いなぁ……あのねいちゃん」
デビルンが呟いていた。
「私は降ります。外から主様の様子を見ておきますから……」
そう言ってバステトは肩から降りて行った。
「あ! バステトちゃんが逃げちゃいますよ! アゲハちゃん!」
「別に逃げたりしないわ。危ないから降ろしただけの事よ……そんなことよりカメラ回して……もちろん私だけが映る位置取りよ」
「あっ、はい! わっかりました! 了解です!」
そして、クリスチャンは白馬に、私は黒馬に乗ることにした。
「(――にしても、本物のお化けなんだし、一応警戒しておかないと)デビルン、この馬、何かあったらすぐ始末し――」
私はドジを踏んだ。
『ヒヒ―ン! ヒヒ―ン!』
黒馬は騒ぎ動き始めた。
「バッカ! そういうことは乗る前に言いやがれ! 馬に聞こえるだろうが!」
「(えっ! 人語を理解できる馬だったの油断したわ!)――ちょっと暴れないでくれる!? 本当に消すわよ!」
私は何とか馬をなだめようとした。しかし言うことを聞いてはくれない。手綱を握る手にいっそうの力が入る。
「黒井さ!? 大丈夫!? 黒条くん! 何をしているの! 一旦スイッチを切ってあげて――!」
「何を言うビーブリオテーカよ。貴重なオカルトとの遭遇だ! そしてデイネブリスパピヨンだ! この程度のイレギュラーたやすく突破できるはずだ! 結論慌てる必要はどこにもない!」
「――いいわ! 私が電源を切るようオーナーに直接頼んでくる!」
(ま、まずい! 話が、話が段々とめんどくさい方向へ、こ、ここは私が何とかしないと――)
「ビ、ビーブリオテーカ様、心配ご無用、この程度のイレギュラーに対して何の備えもしない私ではありません!」
私は左右に揺れる馬の上で叫んだ。
「バステ! 例の物を持って来てちょうだい!」
すぐさまバステトは荷物置き場へ行き、例の物、私の荷物の中から一本のニンジンを取り出した。そしてすぐさま、私の乗る黒馬へと投げかけた。すると――
『ガブッ――ムシャムシャムシャムシャ』
ニンジンを咀嚼し始める黒馬であり、そうして何とか大人しくなってくれた。
(――な、何とか落ち着いたわ。は、はぁ~~~~、怖かった……)
「す、凄い。一世代前のメリーゴーランドって、暴れたり物を食べたりも、するのねぇ……お父様にお報告して、機械部門の皆さんにも頑張ってこれくらいの技術力を身に着けてもらわないと……」
などとビーブリオテーカ様は分析中であった。
「さて……ゴホン、メリーゴーランドよ! 起動せよ!」
ダークネス・カイザー様の掛け声と同時に、メリーゴーランドはきらびやかな装飾の明かりをつけて、回転し始める。その後ダークネス・カイザー様も直ぐに近場の馬、もといお化けに乗り移っていた。
「――クリスチャン! カメラは回してくれた!?」
「――もちろんバッチリと!」
私は不安要素も消えて安堵の溜息をふぅ~~と吐き出す。それから10分間、メリーゴーランドを色んな意味で楽しんでいた。
「へ、へぇ~~よくできてる。っていうか、この馬は本物なんのでは……?」
ソリトゥス様が近づいて来てそういった
「そんなわけがないでしょう? まぁ、オーナーさんにも困ったもの。電源を入れているなら入れていると言えばいいのに……それにしてもいい出来栄え」
(あの~~ビーブリオテーカ様、それホンモノです。とは言えないわよねぇ。っていうか信じてもらえないし、特にビーブリオテーカ様は筋金入りの現実主義者。)
「――なっ、最近の遊具はリアルねぇ。この木馬、本物みたいにあったかい……」
(やっぱりホンモノのお化けとは信じてない。って言うか、それ、本物を知っての発言ですよねぇ、ビーブリオテーカ様。やっぱり乗馬とかやっていたんだわ。さっすが大企業のご令嬢様」
ビーブリオテーカ様が乗馬する。それに続いてソリトゥス様も乗馬するのだが、
「う、うわ~~、ひぃ~~、動いた! 今何もしてたのに動きましたよ幹久先輩。これ本物の馬なんじゃないですか!?」
「バカ言わないで、こんなお腹に鉄の棒を突き刺した馬がいてたまるものですか」
(さっすが現実主義者のビーブリオテーカ様、物分かりはいいわ)
「鈍いなぁ……あのねいちゃん」
デビルンが呟いていた。
「私は降ります。外から主様の様子を見ておきますから……」
そう言ってバステトは肩から降りて行った。
「あ! バステトちゃんが逃げちゃいますよ! アゲハちゃん!」
「別に逃げたりしないわ。危ないから降ろしただけの事よ……そんなことよりカメラ回して……もちろん私だけが映る位置取りよ」
「あっ、はい! わっかりました! 了解です!」
そして、クリスチャンは白馬に、私は黒馬に乗ることにした。
「(――にしても、本物のお化けなんだし、一応警戒しておかないと)デビルン、この馬、何かあったらすぐ始末し――」
私はドジを踏んだ。
『ヒヒ―ン! ヒヒ―ン!』
黒馬は騒ぎ動き始めた。
「バッカ! そういうことは乗る前に言いやがれ! 馬に聞こえるだろうが!」
「(えっ! 人語を理解できる馬だったの油断したわ!)――ちょっと暴れないでくれる!? 本当に消すわよ!」
私は何とか馬をなだめようとした。しかし言うことを聞いてはくれない。手綱を握る手にいっそうの力が入る。
「黒井さ!? 大丈夫!? 黒条くん! 何をしているの! 一旦スイッチを切ってあげて――!」
「何を言うビーブリオテーカよ。貴重なオカルトとの遭遇だ! そしてデイネブリスパピヨンだ! この程度のイレギュラーたやすく突破できるはずだ! 結論慌てる必要はどこにもない!」
「――いいわ! 私が電源を切るようオーナーに直接頼んでくる!」
(ま、まずい! 話が、話が段々とめんどくさい方向へ、こ、ここは私が何とかしないと――)
「ビ、ビーブリオテーカ様、心配ご無用、この程度のイレギュラーに対して何の備えもしない私ではありません!」
私は左右に揺れる馬の上で叫んだ。
「バステ! 例の物を持って来てちょうだい!」
すぐさまバステトは荷物置き場へ行き、例の物、私の荷物の中から一本のニンジンを取り出した。そしてすぐさま、私の乗る黒馬へと投げかけた。すると――
『ガブッ――ムシャムシャムシャムシャ』
ニンジンを咀嚼し始める黒馬であり、そうして何とか大人しくなってくれた。
(――な、何とか落ち着いたわ。は、はぁ~~~~、怖かった……)
「す、凄い。一世代前のメリーゴーランドって、暴れたり物を食べたりも、するのねぇ……お父様にお報告して、機械部門の皆さんにも頑張ってこれくらいの技術力を身に着けてもらわないと……」
などとビーブリオテーカ様は分析中であった。
「さて……ゴホン、メリーゴーランドよ! 起動せよ!」
ダークネス・カイザー様の掛け声と同時に、メリーゴーランドはきらびやかな装飾の明かりをつけて、回転し始める。その後ダークネス・カイザー様も直ぐに近場の馬、もといお化けに乗り移っていた。
「――クリスチャン! カメラは回してくれた!?」
「――もちろんバッチリと!」
私は不安要素も消えて安堵の溜息をふぅ~~と吐き出す。それから10分間、メリーゴーランドを色んな意味で楽しんでいた。
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