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第三章 廃墟の遊園地
21話 いざ! 目的地へ!
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午前7時30分、それがとある駅での待ち合わせ時間だった。
「遅いではないか、我がクレヴァナルの諸君、10分も時を飛ばしてしまったぞ!」
ダークネス・カイザー様は、私とクリスチャンとビーブリオテーカ様に、腕時計を見ながらそう告げた。
「すみませんでした。ダークネス・カイザー様」
私は素直に謝罪した。原因はクリスチャンの特大パフェにあったのだが、
「来翔さん、私たちが喫茶店に居たこと言っていないの?」
ビーブリオテーカ様がソリトゥス様に尋ねていた
「あ、ああ、そうでしたね。部長、彼女たちはとっくに来ていたんですよ。今まで、喫茶店に居ました。み、幹久先輩が35分前に、離岸さんが37分前に、そして黒井さんが20分前に、そして僕一番最初の――」
来翔先輩の――もとい、ソリトゥス様のお声はダークネス・カイザー様によって遮られた。
「――そういうことは早めに言ってもらおうか。ゴホン……そ、そうか、その心がけは素晴らしいが、遅れたことに変わりなし! ペナルティーを与える!」
「ペ、ペナルティー……ゴクリ」
「バツとして帰ってきたら大邪神様の新たな彫刻の制作だ!」
「ねぇ、もう少し声のトーン下げてくれない……?」「――部長、そこは見逃すべき場面でしょう……!? って、おはようございます!」「ごきげんよう。その依頼、承りましたわ。ダークネス・カイザー様」
私たちはそれぞれの朝の挨拶を交わした。
「うむ、では、出発だ! クレヴァナルの幹部たちよ」
私たちは7時40分にとある駅に入り、切符を買い、7時45分発の電車に乗り込んだ。バステトがいたので私はキャリーケースに雌猫を入れて、ペットの持ち運びのさいの特別料金も支払った。
――ガタンゴトン! ガタンゴトン! と電車は揺れながら進んで行く。
「俺様の契約者はこの黒条サイコってのがお気に入りなのか?」
「(外では静かになさいと言っているでしょう!? それもこんな人ごみの中で、なんて質問を問いかけるのよ!?)」
休日のため通勤ラッシュはないものの、依然として電車内は満員だった。
「どうかしましたかアゲハちゃん? お顔が真っ赤ですよ?」
「なんでもないわ、あはははははは……?(デビルンは後でお仕置きね。ってアイツどこへ行ったのよ)」
「これが勝負下着ってやつか……? テレビのドラマで聞いたこと――グワシャ!?」
ショーツをガン見していた小悪魔的マスコットを、お気に入りのロリータヒールで思いっきり踏んづけてやった。
「(このお馬鹿///)」
「あれ、アゲハちゃんお顔が真っ赤ですよ、さては黒条先輩に波調を送っていますねぇ」
「そ、その通りよクリスチャン。この真眼で求愛していたところなの。恥ずかしいから皆には内緒ね……?」
「はい! わっかりました!」
『まもなく化眼駅、まもなく化眼駅、右側のドアが開きます。ご注意ください』
電車は化眼駅に停車し、クレヴァナルのメンバーは続々と降りて行った。私の荷物はほとんどソリトゥス様が持ってくれていた。
「では! 行くぞ彼の地へ!!」
ダークネス・カイザー様は何やらワクワクが隠せないでいるらしい。いつも以上に張り切って指揮を執っていた。一行は目的地へと向かう為、改札口を突破して進んで行く。実はと言うとここまで来るのにかなり乗り継いできて,歩かされたりもして、バスにも乗って、最後には2時間の時を経てようやく目的の駅に辿り付いた。
「情報源は確かなんだろうなぁ、デイネブリスパピヨンよ」
「あっ、はい、我が使い魔によるところ徒歩13分ですって……」
「フフフ、ようやくこの包帯を取り除く時が来たようだな。感じるぞ、この禍々しい気、我が力、存分に発揮してくれようぞ!」
「包帯なんて、いつもは付けていなかったでしょう……」
ビーブリオテーカ様が静かに突っ込みを入れた。
「よし! 行くぞ! クレヴァナルのメンバーよ! 我が足跡に続け! 世界征服の為に廃墟となった満笑遊園地に向かうのだ!」
「――はい!」
私は、先頭に立ち進む、ダークネス・カイザー様の後ろ姿を追いかけた。
「遅いではないか、我がクレヴァナルの諸君、10分も時を飛ばしてしまったぞ!」
ダークネス・カイザー様は、私とクリスチャンとビーブリオテーカ様に、腕時計を見ながらそう告げた。
「すみませんでした。ダークネス・カイザー様」
私は素直に謝罪した。原因はクリスチャンの特大パフェにあったのだが、
「来翔さん、私たちが喫茶店に居たこと言っていないの?」
ビーブリオテーカ様がソリトゥス様に尋ねていた
「あ、ああ、そうでしたね。部長、彼女たちはとっくに来ていたんですよ。今まで、喫茶店に居ました。み、幹久先輩が35分前に、離岸さんが37分前に、そして黒井さんが20分前に、そして僕一番最初の――」
来翔先輩の――もとい、ソリトゥス様のお声はダークネス・カイザー様によって遮られた。
「――そういうことは早めに言ってもらおうか。ゴホン……そ、そうか、その心がけは素晴らしいが、遅れたことに変わりなし! ペナルティーを与える!」
「ペ、ペナルティー……ゴクリ」
「バツとして帰ってきたら大邪神様の新たな彫刻の制作だ!」
「ねぇ、もう少し声のトーン下げてくれない……?」「――部長、そこは見逃すべき場面でしょう……!? って、おはようございます!」「ごきげんよう。その依頼、承りましたわ。ダークネス・カイザー様」
私たちはそれぞれの朝の挨拶を交わした。
「うむ、では、出発だ! クレヴァナルの幹部たちよ」
私たちは7時40分にとある駅に入り、切符を買い、7時45分発の電車に乗り込んだ。バステトがいたので私はキャリーケースに雌猫を入れて、ペットの持ち運びのさいの特別料金も支払った。
――ガタンゴトン! ガタンゴトン! と電車は揺れながら進んで行く。
「俺様の契約者はこの黒条サイコってのがお気に入りなのか?」
「(外では静かになさいと言っているでしょう!? それもこんな人ごみの中で、なんて質問を問いかけるのよ!?)」
休日のため通勤ラッシュはないものの、依然として電車内は満員だった。
「どうかしましたかアゲハちゃん? お顔が真っ赤ですよ?」
「なんでもないわ、あはははははは……?(デビルンは後でお仕置きね。ってアイツどこへ行ったのよ)」
「これが勝負下着ってやつか……? テレビのドラマで聞いたこと――グワシャ!?」
ショーツをガン見していた小悪魔的マスコットを、お気に入りのロリータヒールで思いっきり踏んづけてやった。
「(このお馬鹿///)」
「あれ、アゲハちゃんお顔が真っ赤ですよ、さては黒条先輩に波調を送っていますねぇ」
「そ、その通りよクリスチャン。この真眼で求愛していたところなの。恥ずかしいから皆には内緒ね……?」
「はい! わっかりました!」
『まもなく化眼駅、まもなく化眼駅、右側のドアが開きます。ご注意ください』
電車は化眼駅に停車し、クレヴァナルのメンバーは続々と降りて行った。私の荷物はほとんどソリトゥス様が持ってくれていた。
「では! 行くぞ彼の地へ!!」
ダークネス・カイザー様は何やらワクワクが隠せないでいるらしい。いつも以上に張り切って指揮を執っていた。一行は目的地へと向かう為、改札口を突破して進んで行く。実はと言うとここまで来るのにかなり乗り継いできて,歩かされたりもして、バスにも乗って、最後には2時間の時を経てようやく目的の駅に辿り付いた。
「情報源は確かなんだろうなぁ、デイネブリスパピヨンよ」
「あっ、はい、我が使い魔によるところ徒歩13分ですって……」
「フフフ、ようやくこの包帯を取り除く時が来たようだな。感じるぞ、この禍々しい気、我が力、存分に発揮してくれようぞ!」
「包帯なんて、いつもは付けていなかったでしょう……」
ビーブリオテーカ様が静かに突っ込みを入れた。
「よし! 行くぞ! クレヴァナルのメンバーよ! 我が足跡に続け! 世界征服の為に廃墟となった満笑遊園地に向かうのだ!」
「――はい!」
私は、先頭に立ち進む、ダークネス・カイザー様の後ろ姿を追いかけた。
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