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第二章 御剣星座標学園のオカルト研究部
17話 世界征服の真の意味
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「では、始めよう! 我々クレヴァナルの世界征服会議を!」
ダークネス・カイザー様はそう宣言した。
「はい!」
私はその宣言に応え、そしてため息をつく白石伊志子さん。
「フォロワー数の獲得は無事成と言っていいだろう。さぁ、では本題に入ろうか!」
ダークネス・カイザー様は言い終えると、ホワイトボードに世界地図を描き始めた。
「夏休み中という名の、広大な儀式期間、私は国会議事堂の生中継をテレビという魔道具で鑑賞していた」
「サイコてっば相変わらずですね……国会はまた責任の押し付け合いでもしていたのですか?」
「その通り!! ビーブリオテーカよ! この国は未だ平和ボケしていて、第三次世界大戦の予兆よりも、国の抱える莫大な借金の話をしていた! これをどう見る!」
「どうでもいい……」
ビーブリオテーカ様は片手に持っていた小説の続きを読み始めた。
「どうでもよくない! 世界中は未だ戦争が蔓延しているのだぞ! 宗教の争い! 土地や資源の奪い合い!政治的信条の差異! 裕福なる者と貧困者のゲリラ戦争! これらは未だ現在もどこかの国で続いている戦争なのだ!」
ダークネス・カイザー様はビーブリオテーカ様から小説を引っこ抜いてしおりを挟みパタンと閉じてしまった。
「戦争が何? 日本は平和……アメリカ様に守られている限り安全ですよ」
「――否、断じて否、世界情勢を知らないと見たぞビーブリオテーカよ! 今年度もまた核保有国が出たというのに、アレを抑止力で終わらせる気か……!」
「(全然話についていけません。どうしましょうアゲハちゃん……?)」
「(要するに核戦争の前触れを指摘したいんじゃないかしら、我らがダークネス・カイザー様は)」
私たちはヒソヒソと話をしているのに対し、白石、もとい守護天使カトリックは深くため息をついていた。
「っで……よう! ――するに何が言いたいのですか?」
ダークネス・カイザー様から小説を取り返し、再読するビーブリオテーカ様。
「この戦争の流れを変えるため、我々は世界征服を成し遂げなくてはならないのだ!」
「それが、どうして、世界征服になるのですか?」
クリスチャンが横から口を挟んだ。
「無論決まっている。世界征服さへ達成すれば、あらゆる民族、人民は、我らにひざまずき大人しくなる。言ってしまえば独裁政治に他ならないが、皆武器を捨て、反乱の意思も根絶やしに出来ることだろう」
「えっ、え~~(アゲハちゃん私にはよくわかりません。どうしましょう……?)」
「(いいわ説明する。要するに世界平和を成し遂げたいってこと)」
私がクリスチャンに説明している傍らで立ち上がったのは守護天使カトリックだった。
「はぁ~~、減点ですね。何ですか世界征服って……? いい加減、ボランティア部にでもなって地位の為に尽力してもらいたいものですね」
「わからないのか! 守護天使カトリックよ! 戦争の火種は既に撒かれている! 刻一刻と第三次世界大戦は近づきつつあるのだよ!」
ダークネス・カイザー様はホワイトボードにバツ印を書き込んで、戦争している国を明らかにしていく。
「そんなことはどうでもいいんです! 重要なのはこの部が我が学園に何の利益ももたらしてはくれないこと。重要なのはその一点です。それだけでも十分廃部の理由付けにはなるんですよ。黒条先輩」
「なっ! この話を聞いてなおオカルト研究部を認めないのか!?」
「認める? 認めるのはあなた方の方です! 国家の揉め事なんて国に任せて、私たちは普通に学生生活に勤しんでいればいいんです。先輩、聞きましたよ、お母さんから、あなた部長になってから成績の方がだいぶ落ちたって、それと夏休み中に出された課題も未提出の物が多いって」
「うぐっ! ま、待ちたまえ! 私の成績よりも今は世界の情勢を分析し見聞しなくては、世界征服に近づけないのだ」
「だから! 世界征服なんかより、今を大事に生きましょうと言っているだけですよ! この問題に、戦争にあなたの力で何ができるっていうんですか!?」
「……それは現在模索中だ。それに…………この魔道具スマートフォンを見よ! フォロワー数で私の使い魔は12万だ!」
「――そんなことをしているから学業がおろそかになるんです! 先輩このまま世界征服とやらの計画を続けて、大学受験や就職活動はどうするつもりなんですか?」
(頑張って論破してください。ダークネス・カイザー様!)
これは全くの正論で私でさえ、この冷たい視線を送る白石伊志子に恐れをなした。
「ぐはぁっ!? や、やるではないか。さすがわ守護天使カトリック。利いたぞ今の一言は……」
「それで学園の利益についてですが、どうします……? このまま部を存続させたいのなら、こちらの利に叶うことをしてもらいます」
「――くっ! やむおえんか! いいだろう学園の利益になることをして見せようではないか!」
論破されてしまった。
「どうせ廃部ですが、精々頑張ってください黒条先輩」
そう言って白石伊志子、もとい守護天使カトリックは邪神殿から姿を消した。
ダークネス・カイザー様はそう宣言した。
「はい!」
私はその宣言に応え、そしてため息をつく白石伊志子さん。
「フォロワー数の獲得は無事成と言っていいだろう。さぁ、では本題に入ろうか!」
ダークネス・カイザー様は言い終えると、ホワイトボードに世界地図を描き始めた。
「夏休み中という名の、広大な儀式期間、私は国会議事堂の生中継をテレビという魔道具で鑑賞していた」
「サイコてっば相変わらずですね……国会はまた責任の押し付け合いでもしていたのですか?」
「その通り!! ビーブリオテーカよ! この国は未だ平和ボケしていて、第三次世界大戦の予兆よりも、国の抱える莫大な借金の話をしていた! これをどう見る!」
「どうでもいい……」
ビーブリオテーカ様は片手に持っていた小説の続きを読み始めた。
「どうでもよくない! 世界中は未だ戦争が蔓延しているのだぞ! 宗教の争い! 土地や資源の奪い合い!政治的信条の差異! 裕福なる者と貧困者のゲリラ戦争! これらは未だ現在もどこかの国で続いている戦争なのだ!」
ダークネス・カイザー様はビーブリオテーカ様から小説を引っこ抜いてしおりを挟みパタンと閉じてしまった。
「戦争が何? 日本は平和……アメリカ様に守られている限り安全ですよ」
「――否、断じて否、世界情勢を知らないと見たぞビーブリオテーカよ! 今年度もまた核保有国が出たというのに、アレを抑止力で終わらせる気か……!」
「(全然話についていけません。どうしましょうアゲハちゃん……?)」
「(要するに核戦争の前触れを指摘したいんじゃないかしら、我らがダークネス・カイザー様は)」
私たちはヒソヒソと話をしているのに対し、白石、もとい守護天使カトリックは深くため息をついていた。
「っで……よう! ――するに何が言いたいのですか?」
ダークネス・カイザー様から小説を取り返し、再読するビーブリオテーカ様。
「この戦争の流れを変えるため、我々は世界征服を成し遂げなくてはならないのだ!」
「それが、どうして、世界征服になるのですか?」
クリスチャンが横から口を挟んだ。
「無論決まっている。世界征服さへ達成すれば、あらゆる民族、人民は、我らにひざまずき大人しくなる。言ってしまえば独裁政治に他ならないが、皆武器を捨て、反乱の意思も根絶やしに出来ることだろう」
「えっ、え~~(アゲハちゃん私にはよくわかりません。どうしましょう……?)」
「(いいわ説明する。要するに世界平和を成し遂げたいってこと)」
私がクリスチャンに説明している傍らで立ち上がったのは守護天使カトリックだった。
「はぁ~~、減点ですね。何ですか世界征服って……? いい加減、ボランティア部にでもなって地位の為に尽力してもらいたいものですね」
「わからないのか! 守護天使カトリックよ! 戦争の火種は既に撒かれている! 刻一刻と第三次世界大戦は近づきつつあるのだよ!」
ダークネス・カイザー様はホワイトボードにバツ印を書き込んで、戦争している国を明らかにしていく。
「そんなことはどうでもいいんです! 重要なのはこの部が我が学園に何の利益ももたらしてはくれないこと。重要なのはその一点です。それだけでも十分廃部の理由付けにはなるんですよ。黒条先輩」
「なっ! この話を聞いてなおオカルト研究部を認めないのか!?」
「認める? 認めるのはあなた方の方です! 国家の揉め事なんて国に任せて、私たちは普通に学生生活に勤しんでいればいいんです。先輩、聞きましたよ、お母さんから、あなた部長になってから成績の方がだいぶ落ちたって、それと夏休み中に出された課題も未提出の物が多いって」
「うぐっ! ま、待ちたまえ! 私の成績よりも今は世界の情勢を分析し見聞しなくては、世界征服に近づけないのだ」
「だから! 世界征服なんかより、今を大事に生きましょうと言っているだけですよ! この問題に、戦争にあなたの力で何ができるっていうんですか!?」
「……それは現在模索中だ。それに…………この魔道具スマートフォンを見よ! フォロワー数で私の使い魔は12万だ!」
「――そんなことをしているから学業がおろそかになるんです! 先輩このまま世界征服とやらの計画を続けて、大学受験や就職活動はどうするつもりなんですか?」
(頑張って論破してください。ダークネス・カイザー様!)
これは全くの正論で私でさえ、この冷たい視線を送る白石伊志子に恐れをなした。
「ぐはぁっ!? や、やるではないか。さすがわ守護天使カトリック。利いたぞ今の一言は……」
「それで学園の利益についてですが、どうします……? このまま部を存続させたいのなら、こちらの利に叶うことをしてもらいます」
「――くっ! やむおえんか! いいだろう学園の利益になることをして見せようではないか!」
論破されてしまった。
「どうせ廃部ですが、精々頑張ってください黒条先輩」
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