上 下
16 / 52
第二章 御剣星座標学園のオカルト研究部

16話 オカルト研究部は廃部の危機

しおりを挟む
「え、えっと、誰だった?」

ソリトゥス様が訪問者に向けて問いかけた。

「私は御剣座標学園の理事長の娘! 白石伊志子です! いい加減に覚えておきたいものですね。来翔メイカ先輩」

「ひ、ひぃ……」

白石伊志子、もとい守護天使カトリックはソリトゥス様をにらみつけた。

「ごめんなさい。うるさくしてしまって……白石さん」

ビーブリオテーカ様はダークネス・カイザー様のスマートフォンを片手にいじりながら謝罪を述べた。
一方のダークネス・カイザー様はまだ、机の上で黒いコートをばたつかせている。

「――何の用かな! 守護天使カトリックよ! 我々の計画の邪魔をしに来ただけなら帰りたまえ!」

「守護天使……その呼び方、いい加減やめてください」

「我が名ダークネス・カイザーも、いい加減覚えてもらいたいのだがなぁ」

「はぁ~~、会話になりません。とにかく机からその足を退けてください」

少々の沈黙の後、ダークネス・カイザー様は机から降り立ち、スマフォもビーブリオテーカ様から取り返していた。

「今宵は何の用かな? 我らの邪神聖な会議に興味でも示し、堕天使になる決心でもつけて来たのかなお嬢さん……?」

「言っていることが意味不明。もう疲れるなぁ~~、私の用は子のオカルト研究部に重大発表をしに来たんです」

「――キミのフォロワー数でも明かしてくれるのか?」

「はぁ……?」

呆れた調子で守護天使カトリックが言う。

「我々は今、ツイッターのフォロワー数で競い合ていたのだよ!」

「――くだらないですね。それでは私があなた方に悲報をお伝えします。よく聞きなさい黒条先輩、幹久先輩、来翔先輩、離岸さん、黒井さん、残念な報告です」


一呼吸の後に話を始める。


「――今月を持って、オカルト研究部は廃部となります。今のうちに荷物をまとめておいてくだいね」

白石伊志子、もとい守護天使カトリックは邪神殿に難なく侵入し、闊歩して真っ黒いカーテンまで近づいて光を差し込ませようとしたとき――

「待ちたまえ、この邪神域に足を踏み入れた時点でキミは呪いにかかってしまった。解きたくば我らの指示に従ってもらおうか!」

「はぁ……何言って――ゲホゲホ――な、何ですか!? 埃まみれじゃないですかこの部室……!? ――ケホケホ――最後に掃除したのは何時ですか!?」

「ごめんなさい白井さん。ここ、掃除なんてしたことないの」

「――な、何という不潔、やっぱりお母さんに言ってこの部を今すぐに廃部にします!」

「いかがされました。主様……」

ふと――バステトが話しかけて来た。

「(――だって、廃部の危機なのよ。このまま見過ごせないわ)」

「はいぶのきき?」

バステトは理解できていないようだった。

「――と言うか、あの娘は天使なのか!? いかん! この身を隠さねば――」

デビルンは机の下に隠れた。白石伊志子は真っ黒いカーテンを掴みながら咳き込んでいる。

「空気の入れ替えくらいしなさいよ……」

「――待って、カトリックさん」

私は昼間の光が差し込むのを止めてみた。

「何ですか? 黒井アゲハさん……?」

「まずはこれを見てちょうだい」

私は白井さんに傍らに置いてあった機械を見せてみた。暗がりに目を凝らすカトリック。

「……これは空気清浄機ですか?」

「――一応この邪神殿の空気は正常よ、それは保証するわ」

「……これはあなたの私物ですね。まぁ、いいでしょう」

「ねぇ、どうして廃部になってしまうのか教えてくださる?」

「……そうですね。まずはあなた方の部活動でも見学して指摘してあげましょうか?」

白石伊志子は真っ黒いカーテンを放してホワイトボードへと向かった。まじまじと秘密結社クレヴァナルのシンボルマークを見ていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

婚約者の浮気相手が子を授かったので

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。 ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。 アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。 ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。 自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。 しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。 彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。 ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。 まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。 ※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。 ※完結しました

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

処理中です...