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第四章 希望華

決着

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 やがて稲妻は治まり、黒い茨の拘束も解けて、元の姿に戻ったゴダルセッキが現れる。ヴァラレイスの力で浮かされているのだろう、そのまま彼女の元へ引き寄せられていき、共に国会樹治塔の禁断室に舞い降りて来た。
 俺は夜空から降りてきた二人の元へ駆け寄っていく。
 彼女は安らかな眠りについているゴダルセッキをそっと床に降ろし、その隙に左手に植え付けられる枯れてしまった絶望華を引き抜いていた。そして傷跡も残さないように、手を翳して貰い去っていく。
 そして彼女は手にした絶望華を握りつぶし、それから開いて見せると小さな玉に変わっていた。

「――これで――絶望華の花粉は広がらなくなった。あとはこの種を――」

 小さな玉を自らの慎ましい口へと運び入れ――ゴクンと飲み込んでしまった。

「――うん、やはりこの絶望は……この世界に背負わせるには重すぎるな」

 彼女は腹部に手を当てて感想を漏らし、勝手に納得している。

「……これで、終わったのか」
「ああ、君の案じているトラブルの発生と衰弱者の続出なら、一応これで解決だ。後になってしまうが、悪夢種を宿してしまった者たちも何とかできる」
「……は、はぁ~~~~、そうかぁ~~、終わったのか~~」

 俺は緊張の糸がようやっと緩んだことで、その場に力なく座り込んだ。

「力を抜くのはまだ早いぞ……次はお前の持っている希望の種を使わなければならないんだ」
「……? ああ! ――これの事か?」

 俺はポケットに忍ばせておいた一つの小さな玉を取り出して聞いてみた。これは先ほど希望華を処分してから現れたものだった。

「それだ…………えーーっと……」

 ヴァラレイスが返事をすると、禁断室内を歩き回って何かを探し始めた。するとトンカチを見つけてきてこちらに持って来る。

「これで、その種を叩き割ってくれ……」
「種……これは希望華の種なのか? ……そこまでする必要はあるのか?」
「……今回の事件を完全に鎮静化するには必要なことだ。私に絶望華が宿ったことでこれ以上は被害は広がらないが、悪夢の種は皆の心に存在していたままだ。私の希望を壊して、この地に拡散することでそれを中和すれば完全に事件は解決する。だから壊してくれ……私は離れているから」

(……俺も、希望は潰すって宣言したなぁ、最後まで責任を取らないと……)

 言われるがままにトンカチを受け取ると、彼女は禁断室の壁際まで離れて行く。
 俺は希望の種を床に置いて、割るためにトンカチを振り上げる。

(……ヴァラレイスの希望を叩き割って、今回の事件は解決する)

 しっかりとトンカチを握り締め、種を叩き割るために振り下ろした――――が、寸前のところで止めた。

「やっぱり、やめた……」
「………………はぁ?」
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