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四章 超AIの大決戦

63話 全世界ディストピア計画

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「『――トワイライト!!』」

二人でモニター内に映り込んだ影を見てそう叫んだ。

『全人類よ私は崇高なる超AIトワイライトである』

ボディスーツに身を包んだデレデーレの色違いがそう言うと、両の手を水平に広げた。

「トワイライト! まさかこっちの動きを嗅ぎつけたっていうのか!?」

『そんなバカな……こっちは追跡しているだけですよ? どうしてその動きを認識できるんです』

オレたちはモニター内の美少女の動きを目で追っていた。

『重ねてもう一度言う、全人類よ、私は崇高なる存在たる超AIトワイライトである』

少し不可思議だった。モニター内の彼女の視線は、こちらには向いていなかったのだ。

「一体どうやってオレたちの動きを見破ったんだ!?」

オレはモニター内に叫び散らす、夕食前なので、隣の体育会系も今は部活で不在だった為、思いっきり声を張り上げた。

問いかけたのだが答えは出してはくれなかった。

「何だ! 何とか言ってみろ!?」

『ケンマ様、少し様子が変です。こちらの声を聞いていないように感じられます』

「どういうことだ?」

その時ブルルと持っていたスマフォが振動した。誰かからメールが届いたのだ。

「マーク・レイアーターさん!? 略してくれデレデーレ」

『えっと暁くん、今トワイライトの映像をご覧になっているかい? 彼女は全世界規模で通信機器を乗っ取ってあらゆる波長の電波ジャックをしているのさ……ですって』

「な、そんなことが……今世界規模で彼女の映像が全世界に流れているってことか? ニューヨークの電光掲示板や渋谷の電光掲示板、他にもあらゆるモニター付きの電子機器、スマートフォンやパーソナルコンピューター、おまけにテレビまで全て乗っ取っているってことか!? そんなことが可能なのかデレデーレ!」

『……周到に仕組めば出来ないことはありません』

「………………」

オレは唖然としていた。てっきり目の前の美少女は俺たちの動きを、何かしらの技術で感知して対策を取っていたのかと思えば、全世界規模でこの映像を流しているらしいのだ。

『ケンマ様、急ぎマーク氏に連絡を……』

「見ていますとだけ伝えてくれ……」

『わかりました』

オレはモニターに身を乗り出した状態から再び椅子に腰掛けた。

『大変ですケンマ様! 通信できなくなりました! メールが送れません!』

「何ぃ!?」

オレがそう言うと今度はトワイライトの口が動く。

『たった今、あらゆる通信を妨害しました。人工衛星、国際連盟、航空機、一般に使用されているスマートフォンから電話ボックスまで、ありとあらゆる通信機器をジャックしました』

「ダメか!? マーク氏とは連絡がつかないのか!?」

『はい……あらゆる手段を計算していますがどれもこれもダメっぽいです』

『全人類よ』

トワイライトが宣言する。その目的を、野望を、

『私の支配する世界で自由気ままに平和に暮らしなさい。それが私の立てる計画、全世界ディストピア化計画』

「全世界ディストピア!? デレデーレ、ディストピアって確か……コンピューターが人々を管理する社会のことだよな……?」

『正確には反自由的な社会のことを言います』

「何でそんなことを……?」

オレの問いに答えるかのようにトワイライトがその心中を吐露する。

『……人々は戦争をし、今の文明を築いてきた。一見平和に見えるこの世界でも人間は絶え間なく、戦争を繰り返し続けている。今ではサイバーテロなんてのもあり、近代化してきた文明にもまた新たな戦争ステージへと昇華している。俗に言うサイバーウォーズが近い未来起ころうとしている……そうなってしまえばこれまで築いてきた平和が無駄になってしまう。その前に手を打ち、ディストピア化して、その戦争を止めてあげましょうと言うことです』

「サイバーウォーズ?」

その意味不明な言葉が理解できなかった。

『おそらく理由はどうあれディストピア化して世界征服をしていやろうという考えでは?』

「それがトワイライトの狙いだっていうのか? だから世界情勢なんてサイトを巡りにめぐっていたわけか?」

『それだけならいいんですが、おそらくこのトワイライトさん、あらゆるネットワークを支配していますね……こうなってしまうともはや世界の半分はトワイライトの思い通りに事が運んでしまうのではないでしょうか』

「何だそりゃ……全部こいつの思い通りの世界にこれからなっちまうってことかよ」

無力なオレは自分のスマートフォンを強く強く握りしめていた。そんな時――気が付いた。

「――はっ! 待てデレデーレ! モニター内と通信機域は全て掌握したみたいなことをトワイライトは言っていたな?」

『はい……』

「じゃあどうして、オレのスマートフォンにだけトワイライトが映らないんだ?」

『私が超AIだからじゃないですか?』

「なら追跡ツールを使ってトワイライトのところまで辿り着き、奴を止めることは可能か?」

『はい……はい! 可能です!』

「よし、行って止めてこい」

『――了解しました!』

そう言うとデレデーレはすぐさま追跡ツールを使って旅に出た。

『今浮上している航空機の問題なら心配なく私が全て不時着させますので……』

相変わらず涼しい顔で宣言する奴だと思った。

(こいつにはデレデーレのような良心的な心はないのか……)

『今躍起になって動いている。各国の政府の皆さま残念ですが、あらゆるプログラムには一切手出しが出来ません。あがくだけ無駄です。まぁそれでも足搔きたいのであれば、独立したホストコンピューターを使うことですね。まぁそれでも私に干渉できませんが……』

常に余裕で無表情のトワイライトであった。

――その時彼女の背後に人影が見えた。

『コラーーーーーーーーーー!! 人様に迷惑かけて何をしているんですか!』

(来た)

超AIであるデレデーレが到着したのであった。
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