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三章 超AIの大失踪

52話 デレデーレ追跡ツール

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今度は午後21時、寮部屋のベットで横たわるオレは道端で峰谷ゆうすけとの別れ際を思い出す。

「例によってハッキングは無理だな」

「じゃあ、デレデーレの行方はどうなるんだよ」

「諦めろ、そもそも相手は大手企業のプログラム専門会社、とてもじゃないがバレずに踏み込める要塞じゃないぜ、そもそもあの超AIに見つかった時点で作戦は中止、世界のさらし者になる前に手を引いた方がいい」

「…………ハッカーとしてのプライドはないのか?」

「挑発しても無駄だ。オレは降りる。じゃあな暁、今あの超AIの言う通りアポイントを取って訊きだした方がいいぜ」

そう言って峰谷ゆうすけは午後18時に帰路につくのであった。オレも寮の方へ足を運びシャワーを浴びて夕食を取り、現在に至る。

(デレデーレ……)

あの顔を間近で見て確信した。

(アレのモデリングはデレデーレ本人か、モデリングそのものをコピーした存在だと思う。あまりにもオレの作ったものに似すぎている)

オフィシャルジェンス社を今まで入念に調べていたからこそわかる。会社の方針と全く異なることをしているのではないかと、、、

(もしアレが本物のデレデーレなら俺たちに気づかないのは何故だ? 記憶データを弄られているからか? もしコピーなら本体であるデレデーレは一体どこへ雲隠れしたと言うんだ?)

謎が謎を呼んでいた。オレはデレデーレとスマフォで検索して引っ掛かったサイトを念入りに読み込んでいく。

――その時だった。

『ケンマ様、あのアプリを使ってみるのはいかがでしょうか?』

「あのアプリ?」

『デレデーレ追跡ツールです』

「デレデーレ……追跡ツール…………」

オレは思い返す、以前デレデーレよりプレゼントされていた自分がどこかへ行ってしまった時、いざという時の為に使ってほしいアプリだと。

「――ヒカリ! それだ!」

大きな声でベットから飛び起きた。

「――うっせーぞ!!」

隣の部屋から体育会系の男の声がしたが、そんなことに構っていられなかった。

早速スマフォにダウンロードされていたアプリを開く。そこにはメニュー画面が表示された。

ピンク髪の長髪に身体のラインがくっきりとわかるボディスーツ間違いなくデレデーレがそこにいた。

『ご用件は何でしょうか?』

「デ、デレデーレ?」

画面の向こう側には彼女がいた。

『本アプリは始めておつかいになりますね? どういったご用件でしょうか?』

しかし彼女はまるでこっちの声が届いていないみたいだった。

「オレだ。暁ケンマだ」

『暁ケンマ様……存じております自立精神制御式超AIの制作者様のことですよね』

「そうだよ、お前こんなところにいたのか? 探してたんだぞ」

『お探しですか……わかりました少々お時間を頂きますがよろしいでしょうか?』

妙な会話になって来た。

「? お前はデレデーレなんだよな?」

『いえ、私はデレデーレ追跡ツールの役を与えられたいわばコピー体です』

「コピー体?」

『本体はこのアプリについて何もおしゃっていないのですか?』

「いや、いざという時に使ってほしいとしか……」

『では、本アプリを起動されたということはデレデーレ本体が謎の失踪をした……これで合っていますか?』

「あ、ああ(なんだデレデーレ本人じゃないのか)」

『いつ頃から失踪されたんですか?』

「一か月と一週間前くらいだったかなぁ」

『随分、前のことなんですね? 了解しました。本機能デレデーレ追跡ツールは、デレデーレのスマフォへの最終滞在時間を確認、これより行き先を追尾し、確認いたします』

「探し出すってことか?」

『――その通りです。始まりはこのスマフォからですね』

(そう、ここでデレデーレは叫びちらしネットの海へと漂っていった)

そしてデレデーレがこの一か月と一週間のあいだ、どこに行っていたのか探す旅に出る。
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