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三章 超AIの大失踪

47話 同じモデリングの謎

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オフィシャルジェンス社の重大発表、トワイライトの紹介も無事終わったその夜、オレは自室の寮でAIヒカリのメンテナンスを行っていた。

(超AIトワイライトかぁ……)

思い耽るオレ。その超AIの容姿がデレデーレに似ていたからだろう。気になって気になって仕方がない。

オレはオフィシャルジェンス社の発表が終わった直後を思い出す。

コンピューター研究部の部室にいるメンバーは混乱していた。

「ちょっと待って……あのトワイライトとかいう超AI何だけど、デレデーレちゃんに少し似てない?」

ふぶくデヨーネさんが冗談抜きに疑問を口にする。

「似てるどころかそのままの姿だったじゃないか……違いは髪の色が黒くらいだったぞ」

前渡とうやが率直な感想を漏らす。

「えっと……どいうことかしら、つまりあそこにいたのはデレデーレちゃんでいいのかしら?」

おっとりとした口調の岸本げるかさん。

「違う、アレはオフィシャルジェンス社の開発した超AIトワイライトだ。もしデレデーレくんなら自分はデレデーレと名乗るだろうし、姿形が似ているのは暁くんのように同じモデルで作られたからかもしれない。暁くんモデリングはアニメ、君との約束のヒロイン佐城さんからきているんだろう。アレは確か世界的名作だった。イギリスでも有名で同じモデリングであっても不思議ではない」

来ヶ谷部長が真剣な面持ちで語る。

「それにどうやってデレデーレくんをトワイライトという偽名にしてまで洗脳まがいなことをするんだ? それでは会社の方針、超AIの開発とは言えないぞ」

目頭副部長も便乗する。

「つまり偶然にもケンマとオフィシャルジェンス社は同じモデルを模倣してモデリングを作り出した――そういう訳ですか?」

ネルナしぬぞうがそう結論付ける。

「これでもうお前の超AIが発表できたとしても、パクリ扱いされるわけだ……さっさと行動に起こさないからノーベル賞ものの成果を取られちまうんだよ」

峰谷ゆうすけの声はオレには届かなかった。

「アレはアイツではないか……」

ポツリと呟いて椅子から立ち上がる。するとフラッとして机にもたれ掛かる。

「――大丈夫かい!? 暁くん!?」

「はい、ちょっと今日はもう帰ります」

そうして寮まで帰ってきたわけだが、夕食も喉を通らず残してしまい、そのまま数時間ベットに横たわっていた。

そして落ち着くと日課であるヒカリのメンテナンスを開始して今に至る。

(似ているだけ……ゼロパーセントじゃない。来ヶ谷部長も言っていたようにイギリスでも君との約束は大ヒットした長編映画だ。あの容姿をオレ以外が使っていたとしても不思議じゃない。けど……出来すぎだ。何か引っかかる。オレが皆が見落としている何かがある)

「よし、メンテナンスも終わりだ。ヒカリ、早速オフィシャルジェンス社の公式サイトを映し出してくれ」

『はい、わかりました』

ヒカリはサイトをすぐに表示する。そして翻訳機能を使いオレでも読めるようにしてくれた。

オレは公式サイトを流し読みしていく。早速トワイライトの公式化が発表されたので代替的に宣伝されていた。

(やっぱり、どこにも書いていない)

もう一度公式サイトを、今度は念入りにチェックしていく。

(書かれていない。ネットのプログラムを模倣して開発したとか、システム面にハイパーコンピューターを使用するだとか書かれていない。ここに書かれているのはAIとの会話から情報をインプットして徐々にその情報処理能力を高めていくものだと……そう書かれている。オレのアイツはこんな作り方をしない、なのに何故発言者の言うことに従ったのか、即時に対する会話反応が出来たのか……方法は一つアイツが情報の提供をしたに違いない)

オレは傍らに置いてあった水の入ったペットボトルに口をつけ飲み干していく。

「――ヒカリこれから質問するぞ、覚悟はいいな?」

『はい、何なりとお聞きくださいケンマ様』

「これからお前のデータ、つまり内部をいじくりまわって改変するがいいか?」

『――構いません』

感情のない無機質な声。アイツならこういう反応はしない。

「いや、今のはほんの冗談だ」

『そうでしたか……』

(ヒカリに冗談は通用しない。アイツの様に慌てふためいたり、激怒したりしない……ならば、見つけ出して問いただすまでだ。待っていろよデレデーレ)

オレはインターネットを駆使して、今日のオフィシャルジェンス社の発表の感想を、あらゆるサイトで追いかけた。今日は徹夜だ。
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