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三章 超AIの大失踪
40話 人生相談サイトキューピット
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オレは学校で3時間目の授業を終えた。
机にうつ伏せになり徹夜して眠気のある身体に、しばしの休息を与えていた頃だった。
眠っているのか起きているかのギリギリのラインで確かにそれを訊いていた。
「ねぇ昨日の占い結果だったんだけどさーー、やっぱり当たってたわ」
「マジ? うちもうちも……この占いサイト超当たってるよねぇ~~」
女子たちのたあいのない会話が聞こえて来た。
「本名と顔写真入れるのが怖かったんだけど……これであたしも彼氏持ちだわ」
「うっそ~~、いいなぁ~~、うちなんか車にはねられそうだった所、赤い傘持ってきたらものの見事に寸止めで、衝突事故防いでくれたよ~~」
「それマジ危なくない? 運転手何か言ってた?」
「言ってた言ってた『キミの赤い傘が無ければ目に入らず衝突しそうだったよ』って」
「それだけ? もっと追求すればよかったのに」
「いい人そうだったからすぐ返したわけ、でもいいじゃんそっちは彼氏持ちになれて……いつ告白したん?」
「今日の登校中にね。付き合ってくださいって言ったらすんなり許諾してくれた」
「いいなぁ~~わたしもそういう明るい占いが欲しいなぁ」
うつらうつらとした表情を引き締めてオレは起き上がった。そしてスマフォにいるAIヒカリに話しかけてみた。
「ヒカリ、アイツらの言っていた占いサイトを補足できるか?」
『…………検索してみます』
しばし、時間が掛かってからのこと。
『検索結果2件ありました』
「その中に噂になるほどのサイトはあるか?」
『該当0です。両方とも個人情報の取得を目的とした危ないサイトでした』
「……なるほど、本人たちに訊かなくてはならないわけか、めんどくさ、ねよねよ」
(こんな時あの超AIなら検知できるんだろ言うなぁ、ヒカリの性能ではそれは無理か……後ろの漫画バカにでも訊いてみるか)
オレはやっぱり気になったので後ろへ振り返り松村キンタに話しかけてみた。
「なぁ、アイツらの言ってる占いサイトって知ってるか?」
「はぁ? 何だよ急に今マンガ読んでて忙しいんだけど……」
週刊漫画雑誌を閉じた松村キンタが視線を合わせてオレと対等に話をし始める。
「声がでかい、もう少しコソコソしてくれないか? あいつらの話を盗み聞きしたことがバレる」
「はいはい、で? 何だって?」
「よく当たる占いサイトって知ってるか?」
「オカルト研究部のことか?」
「問いを問いで返してくるなよ……そうじゃなくて顔認証と個人名義を登録して占うサイトだよ」
「なんだ……そんなことか……ちょいと待ってな」
そうすると松村キンタは漫画雑誌を机の上に置き、席を立ちあがる。
「どうしたんだ? トイレか?」
「アホ……本人たちに訊いてきた方が早い」
そう言って女子のたまり場へと何の躊躇もなく歩きだして行った。どうやら占いサイトのことを直接訊いて来るらしい。
「訊いて来たぞ……」
(人見知りのオレには真似できないことを、いともたやすく、こいつやるな)
オレの中でこいつの評価が上がった。
「何でも人生相談サイトキューピットだとさ……」
「人生相談サイトか、訊いてきてくれてありがとう」
「い、意外だな……」
素っ頓狂な顔をして吐露する松村キンタ。
「何が……?」
「てっきり礼も何も言わずに話を切り上げられると思ったんだが……」
(……1か月前のオレならそうだったかもな、アイツの影響かな)
「何か悩み事でもあるのか? ひょっとして例の彼女の件とか……?」
「これ以上詮索するな、そのサイトは安全なのか?」
「アイツらの話じゃそうらしいぜ、なんでも3日前に出来たサイトらしいけど」
「そうか……まぁ何はともあれありがとう、そしておやすみ」
「おう」
その返事を訊いてオレはまた机に伏し眠りにつくのであった。
机にうつ伏せになり徹夜して眠気のある身体に、しばしの休息を与えていた頃だった。
眠っているのか起きているかのギリギリのラインで確かにそれを訊いていた。
「ねぇ昨日の占い結果だったんだけどさーー、やっぱり当たってたわ」
「マジ? うちもうちも……この占いサイト超当たってるよねぇ~~」
女子たちのたあいのない会話が聞こえて来た。
「本名と顔写真入れるのが怖かったんだけど……これであたしも彼氏持ちだわ」
「うっそ~~、いいなぁ~~、うちなんか車にはねられそうだった所、赤い傘持ってきたらものの見事に寸止めで、衝突事故防いでくれたよ~~」
「それマジ危なくない? 運転手何か言ってた?」
「言ってた言ってた『キミの赤い傘が無ければ目に入らず衝突しそうだったよ』って」
「それだけ? もっと追求すればよかったのに」
「いい人そうだったからすぐ返したわけ、でもいいじゃんそっちは彼氏持ちになれて……いつ告白したん?」
「今日の登校中にね。付き合ってくださいって言ったらすんなり許諾してくれた」
「いいなぁ~~わたしもそういう明るい占いが欲しいなぁ」
うつらうつらとした表情を引き締めてオレは起き上がった。そしてスマフォにいるAIヒカリに話しかけてみた。
「ヒカリ、アイツらの言っていた占いサイトを補足できるか?」
『…………検索してみます』
しばし、時間が掛かってからのこと。
『検索結果2件ありました』
「その中に噂になるほどのサイトはあるか?」
『該当0です。両方とも個人情報の取得を目的とした危ないサイトでした』
「……なるほど、本人たちに訊かなくてはならないわけか、めんどくさ、ねよねよ」
(こんな時あの超AIなら検知できるんだろ言うなぁ、ヒカリの性能ではそれは無理か……後ろの漫画バカにでも訊いてみるか)
オレはやっぱり気になったので後ろへ振り返り松村キンタに話しかけてみた。
「なぁ、アイツらの言ってる占いサイトって知ってるか?」
「はぁ? 何だよ急に今マンガ読んでて忙しいんだけど……」
週刊漫画雑誌を閉じた松村キンタが視線を合わせてオレと対等に話をし始める。
「声がでかい、もう少しコソコソしてくれないか? あいつらの話を盗み聞きしたことがバレる」
「はいはい、で? 何だって?」
「よく当たる占いサイトって知ってるか?」
「オカルト研究部のことか?」
「問いを問いで返してくるなよ……そうじゃなくて顔認証と個人名義を登録して占うサイトだよ」
「なんだ……そんなことか……ちょいと待ってな」
そうすると松村キンタは漫画雑誌を机の上に置き、席を立ちあがる。
「どうしたんだ? トイレか?」
「アホ……本人たちに訊いてきた方が早い」
そう言って女子のたまり場へと何の躊躇もなく歩きだして行った。どうやら占いサイトのことを直接訊いて来るらしい。
「訊いて来たぞ……」
(人見知りのオレには真似できないことを、いともたやすく、こいつやるな)
オレの中でこいつの評価が上がった。
「何でも人生相談サイトキューピットだとさ……」
「人生相談サイトか、訊いてきてくれてありがとう」
「い、意外だな……」
素っ頓狂な顔をして吐露する松村キンタ。
「何が……?」
「てっきり礼も何も言わずに話を切り上げられると思ったんだが……」
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「何か悩み事でもあるのか? ひょっとして例の彼女の件とか……?」
「これ以上詮索するな、そのサイトは安全なのか?」
「アイツらの話じゃそうらしいぜ、なんでも3日前に出来たサイトらしいけど」
「そうか……まぁ何はともあれありがとう、そしておやすみ」
「おう」
その返事を訊いてオレはまた机に伏し眠りにつくのであった。
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