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二章 超AIの大活躍

35話 ギャルゲーの中盤戦

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淡々とヤミヤミちゃんとの失恋はダメを攻略していくデレデーレ。小さな身体が映し出され、モニター内では魚のように泳ぎ回っていた。

『えっと、次はこの選択肢っと……』

自分の両腕を使い選択肢を押していくデレデーレであった。
かれこれ30分は経過しているであろう。

「中盤だな……よくここまで殺されずに辿り着いたもんだよ。この選択肢で通算18だ」

一度でも失敗すればバットエンド直行のこのゲーム、前渡とうやは感心したのか口笛をヒューと鳴らす。

(ここで中盤か……選択肢の難易度もどんどん上がって来てるみたいだし、大丈夫なのかデレデーレ)

オレはここでスマフォのLINEにて呼びかける。

――段々選択肢が難しくなってるぞ。何度も言うがホントに大丈夫なのか?

――信じてください。大丈夫ですって、

LINEでのやりとりをしていると次の選択肢が出て来た。主人公が自動販売機でヤミヤミちゃんとどの飲み物がいいか、悩んでいるシーンだ。

――コーヒーを飲みますか? ウーロン茶を飲みますか?

「さぁ、分かるかな?」

前渡とうやがニヤニヤしながらモニター内の超AIに尋ねていた。

『――答えは後者、つまりウーロン茶です』

――デレデーレは即答だった。

次のシーン自動販売機でウーロン茶を頼もうとした主人公をヤミヤミちゃんが止める。そうすると、

――あの~~、私、ウーロン茶でしたら水筒で持参しています。それでよかったらどうですか?

――ああ、じゃあ貰おうか。

学校の中庭にてCGシーンに入る。どうやらお昼時らしい。草原の上にシートをひき、手作りのお弁当を食べることになった。

「コーヒー選んでたらどうなってた?」

オレは疑問を口にした。

「ああ、コーヒーですか? 大人なんですね、大人、大人、大人、もう大人の階段は登られてしまったのですね。私との付き合いは遊びだったんですねと言われて包丁で刺される」

「――こわっ!? ヤミヤミちゃんの愛重すぎない?」

オレは率直に感想を述べた。

「しかしよく当てたな。オレ最初コーヒー選んで死んだよ」

『水筒を落とすシーンがありましたからね。それで伏線だと覚えていたんですよ』

「そんなかなり序盤の伏線なんてよく覚えていたな。さすが超AIだ」

前渡とうやが褒めたたえる。

こうして主人公とヤミヤミちゃんの食事シーンも過ぎ去って次の選択肢が出る。次は午後の授業の話だった。

――午後の授業サボりますか? サボりませんか?

「暁、お前ならどっち選ぶよ」

ふと前渡とうやが質問してくる。

「えっ、そりゃサボる方だろ。彼女との時間をもっと多くにした方がいいに決まってる」

「ほう、デレデーレさんは?」

答えを焦らす前渡とうや。

『――もちろん、サボらないです』

「――何!? 彼女と過ごす時間は多い方がいいって刺されるって」

『信じてください』

懇願のまなこでオレを見つめるデレデーレ。

「わかったよ」

オレは信じてみることにした。デレデーレがサボらない方向で話を進めると、いつもの授業風景のCGシーンに入る。

「おいおい、本当に包丁で刺されなかったぞ? どういうことだ?」

「知りたいか? 二人とも……」

「知りたい」

オレは率直に訊いてみたんだが、

『答えは簡単です。ズバリ大学入試』

「――正解」

前渡とうやが答える。

「大学入試だと……」

「サボるを選ぶと、大学入試の話になって、あなたは私と同じ大学に行きたくないの? と問いかけてくる。無論主人公も言い訳をするんだけど、問答言わずに不良と付き合うなんて出来ませんと言いながら包丁でグサリだ」

「――そんな未来の話のことまで考えなくちゃならないのかよ」

オレはあきれ果てた。同時にデレデーレの推理力に感嘆を覚えた。

(まぁ、この調子ならデレデーレもクリアできそうだな……)

オレは密かに心の中で安堵する。
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