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二章 超AIの大活躍

14話 デレデーレのアイスクリームパン頂戴大作戦

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「凄い! 本当に購買部限定10個のアイスクリームパンが買えたぞ!」

オレは昼休み誰もいない購買部で騒いでいた。

「おやまぁ~~、いつも余りもののパンを買いにくる子じゃないかい……? 今日はどうしたんだろうねぇ皆、誰も限定アイスクリームパンを買いに来やしないじゃないかい……坊ちゃん何か知らないかい?」

「さぁ~~なんででしょうねぇ」

オレはしらばっくれる。本当は理由を知っている。
そして、、、

「凄い勇気……オカルト研究部の占いのヒット率知らないのかしら……?」

「でも、貴重な限定アイスクリームパン。いつもは運動部に邪魔されて、食べられてないのに……今なら買える」

「――やめなってバチが当たるよ」

コソコソと噂話しているインテリ系の女子先輩たち。買っといたほうがいいぞとは言わなかった。

『背中、押してあげればいいのに……』

呟くデレデーレは今回の限定アイスクリームパンを手に入れさせてくれた立役者だ。その気持ちをむげには出来ないかと思った。

「あの~~勇気を出して買ってみたらどうですか? こんな機会滅多にないんですから」

オレは思いとどまる先輩たちの背中を押してやった。

「そ、そうね。考えておくわ」

「……決めた。私は買う」

「ちょっと待ってよう」

――と後に続いていく女子の先輩方、すれ違いざまに購入に行くのだった。

「さて、せっかくだし食堂で食うか」

『はい、ケンマ様♪』

にこやかスマイルのデレデーレ。相変わらずラブメーターの変動があり、58から59になっていた。

それにしても、このパンは冷たいな。その食す前の手触りはひんやりと気持ちがいい物であった。

ここで今回デレデーレが立てた作戦を言っておこうと思う。

今日の午前8時15分のことだった。教室でうつ伏せにデレデーレと会話しているところ。

『(――正解はオカルト研究部を利用することですよ)』

とデレデーレは切り出した。

「(オカルト研究部を利用する?)」

オレは意図が良く読めなかった。何故アイスクリームパンを買うのにオカ研が出てくるのか疑問に思った。

『(考えてみればすぐわかりますよ。この学校のオカルト研究部って生徒からの信頼が厚いじゃないですか……?)』

「(そうだなぁ、噂で聞いたことがある。この学校のオカ研って占いが良く当たるって、それで部活動でいい成績を残したり、恋人同士になったカップルも存在するだとか……)」

『それです! その占いを利用するんです!』

「(ああぁ~~オカ研にアイスクリームパンを食べてはイケナイ的なことを言わせる算段ね)」

『(さっすがケンマ様、理解が早くて助かります)』

「(オカ研にこのアイスクリームパン食べると呪われますよ~~とでも言わせる気か? 依頼しても成功しないって)」

『(以来の必要はありません)』

「(えっ!? じゃあどうやってオカ研を利用するんだ)」

オレはだんだんと意図が読めなくなってきた。アイスクリームパンを買わせないよう占いの結果を皆に、悪い報せにするところまではわかるが、その先がわからない。どうやって皆に伝える。そもそもオカ研が協力してくれるか?

『(名前だけ借りるんですよ。オカルト研究部という名前だけ……)』

「(名前を借りる? 借りてどうする……?)」

『(わかりませんか? この学校の仕組みを……)』

「(この学校の仕組み?)」

『(ほら、ケンマ様もご存じでしょう、この学校はスマフォ必須の町一番の名門校。誰もがスマフォを持ち、持てない方でも支給される仕組みを……)』

「(そうなのか~~)」

そんな学校の仕組みを今初めて知った。そういえばスマフォに宿題やら日程やらが送られてくると思ったが、みんなそうだったんだよなと今になって思い出す。

『(つまり説明しますと、まずオカルト研究部の名前を借り、今日は食べない方がいいですよ的な文章を書きます。そうして次はニュース部です。アプリを使って学校の様々な情報を発信するそのアプリ、ケンマ様も毎日ご覧になられてるでしょう?)』

「(ああ、そうだな)」

『(そのアプリにオカルト研究部の今日の占いを載せるんです。するとどうでしょう。皆今日のアイスクリームパンを買うことに躊躇します。もちろんオカルト研究部の方々にも、このいたずらに気づくでしょうが、その時にはもうパンは買えている頃合いでしょう。つまり――)』

「(昼食までは保つことが出来る作戦)」

『(その通りです♪)』

「(完璧な作戦だが、一人でできるのか)」

『(一大企業相手なら苦戦しますが、学校のハッキングなんて楽勝ですよ)』

そう言って全校生徒全員に「今日の皆さんの運勢はアイスクリームパンを食べるとお腹を下しますよ」というものだった。この作戦は午前8時30分に決行された。あとでバレても誰の仕業か分からない完璧な計画にオレは感銘さえ受けた。

そして時は昼食時になり、、、

「――う、うまい」

カリカリの生地に閉じ込められた。口の中に広がる生クリームの甘い甘い解け具合は最高にマッチしていた。

「どおりで毎日売り切れ殺到するわけだ」

学校の食堂で堂々と皆が避けて来た絶品のアイスクリームパンを食べるのは最高だった。
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