僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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間違い探し

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木の上に座りながら視線は校門を潜る生徒たちを追っていた。

真新しい制服を着込んだ生徒らは、何処か緊張した表情で体育館へと向かう。案内板を持った教師陣が的確に誘導していて、ここがゲームの世界だと忘れてしまいそう。

まだ出会った事のない第2王子 。偶然だけど知り合ってしまった第2皇子の右腕になる男、ロカ。そして2人の好感度が高くなれば、隠れキャラであるのルートが解放される。


ハーレムルートが存在したかは知らないけれど、僕が前世で辿ったルートはどれも固定カプと言われるものばかり。

皇子ルートでは主人公と2人でお忍びデート、つまり下町に出掛けるシーンが描かれていたり。ロカのルートでは野原でゆったりとした時間を過ごすスチルがゲーム内で見れた。

そして最後の攻略キャラとも言える彼のルートではテスト範囲を一緒に勉強するシーンが学生らしくて、よく覚えている。場所は確か学内にある図書館で…、

ノートを見ていた主人公がふと視線を上げたら、彼が主人公を見ていて。徐々に2人の距離が縮まり、最後にはそっと優しい…触れるようなキスをする。



初々しい2人のキスシーンに胸が切なくなったのを今でも覚えている。

僕には縁の無かった青春という名の世界。

自分の未来に期待はあまり出来なかったけれど、あの白い部屋で唯一幸せを貰えたゲーム。



何がどうしてその世界に僕が来ちゃったのか…分からないけれど、

ここは、この世界は僕にとって大切な場所。



『……しっかりしなきゃ、』

大切な場所だからこそ守りたい。前世の記憶を持つ僕はゲーム内に登場しない…。所謂、僕の存在はイレギュラー。

僕みたいなちっぽけな存在がゲームに支障をきたすとは思えないけど、


(バグが起きている以上、放ってはおけない)





皇子の家族の死因と皇子の瞳の色、

ゲームと大きく異なるのはこの2つだけだが、

攻略対象であるロカにも、異変はあった。



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